法医学リーズン《84》
(4) 自他殺の判断
墜落死体・転落死体に、ためらい創とか防禦創などのように自殺あるいは
他殺を表す創傷とか、扼痕などが存在する場合は別として、墜落・転落時に
負った創傷だけから、自他殺の判断を行うことは不可能です。
したがって、墜落死及び転落死についての自他殺の判断は、死体所見以
外のもの、例えば、落下場所の状況や自殺の原因・動機の有無などを総合
的に検討して行う必要があります。ここでは、落下場所を観察する上での着
眼点について説明します。
① 墜落場所の高低
○ 自 殺
・ 覚悟の自殺の場合には、即死できるような高い建物などから墜・転落して
いることが多い。
● 他 殺
・ 即死するのは無理なような低い場所から墜・転落している場合は、他殺・
事故死の疑いが強い。
② 墜・転落場所の鉄柵等の高低
○ 自 殺
・ 鉄柵や窓枠などが高い場合は、そこを乗越えて飛び降り自殺したことが考
えられる。
● 他 殺
・ 突き落としたり、あるいは、投げ落としたりするためには、鉄柵、窓枠が低
くなくては困難である。
③ 墜・転落場所の鉄柵等の付着物等の状況
○ 自 殺
・ 墜・転落場所の鉄柵・窓枠などに死者の指・掌紋が整然と付いている場合
は、自殺と考えられる(死者の指・掌の付着物を必ず採取しておくことが大
切である)。
・ 鉄柵などのほこりが取れている幅が狭いと、そこから飛び降りた疑いが強
い。
● 他 殺
・ 墜・転落場所の鉄柵、窓枠などに死者の指・掌紋が付いていなかったり、
逆に多くの指・掌紋が乱れて付いている場合は、他殺の疑いが強い。
・ 鉄柵などのほこりが幅広くとれていたり、着衣の繊維片が幅広く付着してい
るときは、他人と争った疑いが強い。
④ 履物痕などの付着状況
○ 自 殺
・ 墜・転落場所の最先端に履物痕が少数ある場合は、そこを踏み台にして
飛び降り自殺している疑いが強い。
● 他 殺
・ 墜・転落場所に死者の履物痕がないとか、あるいは、離れている場所に
ある場合は、他殺の疑いが強い。
⑤ 履物などの遺留状況等
○ 自 殺
・ 墜・転落場所に履物がそろえて置いてあったり、遺書がある場合は、自殺
の疑いが強い(ただし、犯人が偽装していることもある)。
● 他 殺
・ 履物が不ぞろいで、しかも、離れていた場合は、他人と争った疑いが強い。
⑥ 落下地点
○ 自 殺
・ 墜・転落場所の直近に落下していることが多い。
● 他 殺
・ 墜・転落場所から著しく離れたところに落下している場合は、他殺の疑いが
強い。
| 固定リンク | コメント (2) | トラックバック (1)



















































最近のコメント