学問・資格

2014年8月31日 (日)

法医学リーズン《86》・あ~こ

◎検視、死体見分などで使われる、一般的・基礎的な法医検案用語(50音順)
(間違いの無い検視・検案をするためには、最低でもここにあげた用語は理解していなければなりません。)
・・・常時編纂更新中・・・


○仰向<あおむけ>=腹部を上にした状態。=げいこう
○垢<あか>=油や汗などが、ほこりや脱落した表皮片と一緒に皮膚についてできた
          汚れ。
○赤鬼状<あかおにじょう>=腐敗が進行して溶血するため、血色素が出て赤く
          見える状態。
○亜急性<あきゅうせい>=急性に次ぐという意味で、急性より若干時間の経過が
          ある場合に用いる。例えば、亜急性窒息死などという。
          さらに時間が経過したものを遷延性(せんえんせい)という。
          (急性→亜急性→遷延性)。
○握傷<あくしょう>=刃物などを握ってできた傷。
○握雪音<あくせつおん>=雪を握りしめたときに出る音のことでギシギシした音。
○アクチノマイシン<actinomycin>=抗生物質。制癌剤などに用いられる。
○アクチン<actin>=筋繊維を構成する主要な蛋白質。筋肉運動に重要な働きを
          する。筋細胞のほか、細胞の分裂装置やアメーバの仮足などに
          みられる。 
○アクリノール<acrinol>=殺菌消毒薬。1000倍液にして消毒、洗浄に用いるほか、
          軟膏や散布剤にもする。
○顎<あご>=口の下にある口を動かす役割をする部位。
○アコニチン<aconitine>=キンポウゲ科トリカブトに含まれる猛毒で毒矢に用いた。
          血液に混じると、呼吸、知覚、運動などの神経を興奮させたり
          麻痺させたりする。
○朝<あさ>=慣用語として使う場合は、日の出から9時迄をいう。
○痣<あざ>=皮膚に生じる青色、赤色の斑紋。
○アザチオプリン<azathioprine>=免疫反応抑制剤として、現在広く使用されている
          薬剤。抗腫瘍薬である6メルカトプリンの誘導体で、臓器移植時に
          用いられる。
○麻の実大<あさのみだい>=麻の実の大きさ、まじつだい。
○足首<あしくび>=くるぶし上の関節部。
○アジソン病<addison disease>=トーマス・アジソンが発見した慢性の疾患で、副腎
          の結核、悪性腫瘍、梅毒、腰部の損傷などのために副腎皮質の
          機能が著しくそこなわれて起こるもの。皮膚の色が黒くなる。
○アシドーシス<acidosis>=血液中の酸とアルカリの釣り合いが破れて酸性に傾く
          こと。また、その症状。糖尿病やその他の病気に伴って起こる。
          酸毒症。酸性中毒症。=アチドーゼ、アルカローシス
○頭<あたま>=首から上の部位。
○圧痕<あっこん>=圧迫されていた部分に生ずる痕跡。
○圧搾<あっさく>=押して締め付けること(気道圧搾)。
○圧死<あっし>=押しつぶされて死ぬこと。
○圧迫<あっぱく>=押しつけること。
○圧平<あっぺい>=押しつぶされて扁平になっていること。
○アテトーゼ<athetose>=脳の随意運動をつかさどる神経線維群(錐体外路)の障 
          害によって生じる不随意運動。自分の意思とは無関係に手足が
          ゆっくりとねじれるような形で動いてしまう。
○アデノイド<adenoide vegetwton>=腺様増殖症。鼻の奥にある咽頭扁桃の肥大
          した状態をいう。鼻づまり、言語不明瞭、難聴などの症状を示す。
          小児、特に学童に多い。 
○アテロスクレローシス<atherosclerosis>=粥状動脈硬化症の項参照
○アトニー<atonie>=収縮性器官の弛緩をいう。無力性体質に多く、胃壁の緊張
          が低下している状態を呼ぶ「胃アトニー」が代表的。
○アトピー<atopy>=免疫学的に刺激に対して敏感に反応する遺伝的体質。
          アトピー性疾患には、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、蕁麻疹、
          結膜炎、アトピー性皮膚炎などがある。
○アドレナリン<adrenalin>=動物の交感神経や副腎髄質から分泌されるホルモン。
          交感神経を刺激して心臓や血管の収縮力を高める。
          1901年、高峰譲吉が初めて副腎髄質から抽出、止血剤、強心剤
          として使われる。
○アトロピン<atropine>=ナス科植物に含まれるアルカロイドの一種。中枢神経や
          副交感神経に作用し、瞳孔の散大、平滑筋の弛緩などを起こす。
          鎮痙剤、止汗剤、散瞳剤などとして用いる。
○アナフィラキシー<anaphylaxie>=異種の蛋白質などに対する生体の異常な、
          また、過大なアレルギー反応のことで、たとえば、抗原性をもつ
          物質を動物に注射し、一定の期間をおいて再び同じ物質を注射
          すると激しいショック状態を起こす場合やハチに刺されて毒素に
          対して抗体ができ、二度目には抗原抗体反応でヒスタミンが放出
          され、全身に蕁麻疹や血管性浮腫が生ずる場合などがある。
          =アナフィラキシーショック
○アニサキス<anisakis>=クジラ、アザラシ等の海獣に寄生する線虫の一種。
          幼虫はオキアミ等のプランクトンや魚類にも寄生し、鯖やイカを
          生食いすることで人体へ感染する。
          胃や腸の粘膜に刺入するため激しい痛みが起こり、またアレル
          ギー性反応を伴う。
○アノレキシア<anorexia>=食欲不振。若い女性に多い神経性食欲不振では
          拒食症となり、生命に危険な体重減少をもたらす。
○アフタ<aphtha>=口内炎の一種。粟粒大の斑点で、中央に白または白黄色の
          部分があり、周囲が赤く縁取られる。痛みが激しく、呼気が臭く
          なる。
○鐙骨<あぶみこつ>=耳の中にある軟骨(耳小骨)の一部。
○アポクリン汗腺<apocrine汗腺>=汗を分泌する腺。腋窩部に最も多く、乳首、
          外耳道、肛門の周囲、下腹部など皮膚の特定の部位にある。
○アミロイドーシス<amyloidosis>=生理的には存在しないアミロイドと呼ばれる
          一種の蛋白質が種々の臓器に沈着することによって起こる
          疾患。特に慢性感性症の結果生ずる全身性アミロイドーシス
          は脾臓、肝臓、腎臓に顕著な変性を生じる。
○アメーバ赤痢<amoebicせきり>=赤痢アメーバを病原体とする赤痢で、法定
          感染症。一日数十回にも及ぶ下痢を起こし、慢性で再発しや
          すい。
○アルカロイド<alkaloid>=植物体中に存在する窒素を含む塩基性有機化合物
          の総称。ニコチン、カフェイン、キシン、コルヒチン、ムスカリン、
          ベルベリン等約500種に及ぶ。
○アルカローシス<alcalosis>=血液の液状成分が、正常な範囲を超えてアルカリ
          性に傾いた状態。アルカリ血症。アシドーシスの項参照
○アルキル水銀<alkylすいぎん>=メチル、エチルなどアルキル基を持つ水銀化
          合物。脂溶性のため人体組織に蓄積され神経に作用する。
          極めて有毒。
○アルコール中毒<アルコールちゅうどく>=アルコール飲料によって起こる生体
          の機能障害。
     ※急性中毒=アルコール飲料を一時的に多量に摂取したために起こる。
          軽度のものは酩酊状態であるが、高度のものは人事不省、尿
          の不随意排出、鼻干声呼吸、瞳孔散大および皮膚血管弛緩を
          きたし、心臓および呼吸機能の衰弱により突然卒中様死をき
          たす。
     ※慢性中毒=長年にわたり習慣的なアルコール飲料の摂取の結果、量
          が次第に増し、アルコールに対する身体的、精神的依存が生
          じこれが断たれると禁断症状、つまり手が震えたり不眠や不安
          焦燥等をきたす。
          ひどくなるとアルコール精神病(振戦誇妄、アルコール幻覚症、
          アルコール癲癇など)となる。
○アルツハイマー病<alzheimer'sびょう>=50歳前後に始まる初老期痴呆の一型。
          いわゆる老人のボケとよく似ているが、比較的若年から始まる
          ことと、脳の神経繊維に独特な変化を生じることが特徴。
          ドイツの精神科医の名に由来。
○アルドステロン症<aldosteronismしょう>=副腎皮質ホルモンであるアルドステ
          ロンの過剰分泌による疾患。副腎皮質自体の病変によるもの
          と、心不全、ネフローゼ症候群、肝硬変など副腎外の障害によ
          り惹起されるものとに分けられる。高血圧、頭痛、筋力低下、
          多飲多尿等の症状が見られる。
○アレルギー<allergie>=色々な物質の摂取、接触などの結果起こる。
          その物質に対する過敏性、特異体質。
○暗赤紫色<あんせきししょく>=死斑色で暗い紫がかった赤色。=暗紫赤色
○暗緑色<あんりょくしょく>=腐敗時等にみられる黒味がかった緑色。


○胃<い>=内臓のひとつで消化器官の主要なもの。食道の先端部が大きく膨らん
          で右方に湾曲を描き肝臓下方で十二指腸に続くすうへき(皺襞)
          に富んだ袋状の器官。
     ※噴門(ふんもん)=食道と胃の接続部。 
     ※小湾部(しょうわんぶ)=胃本体の湾曲を描いた上面部。
     ※大湾部(だいわんぶ)=胃本体の湾曲を描いた下面部。
     ※幽門(ゆうもん)=胃と十二指腸の接続部。
○縊頸<いけい>=外表から頸部を圧迫し、気道閉塞を起こすこと。
○縊溝<いこう>=首吊り死体の頸部の索条の痕が溝状に凹んだ部を言う。
○移行部<いこうぶ>=相互に異なる組織が接する部分。
○縊痕<いこん>=首つりをした場合に頸部に存する索状の痕跡をいう。
○頤三角筋<いさんかくきん>=口角を引き下げる骨格筋。顔面。
○縊死<いし>=首吊り死。索条を頸部に巻きつけ又はかけて、その末端を高所に
          固定して吊り下がり、自分の体重で頸部を圧迫して死亡する
          方法。定型的縊死と否定型的縊死がある。
     ※定型的縊死=縊死のうち足や身体の一部が地上又は物から完全に離
           れ全体重が索条にかかり、かつ索条が前頸部から左右対称的
           に側頸部を後上方に向かって走っているもの。
           一般的には顔面蒼白で溢血点はない。
     ※否定形的縊死=縊死のうち足や身体の一部が地上又は物についてい
           て全体重が頸部にかかっていないか、あるいは索条のかかり
           方が左右対称でないもの。
           顔面が若干鬱血したり、溢血点が出ることもある。
○萎縮<いしゅく>=しなびてちぢむこと。
○囲繞<いじょう>=かこみめぐること。(頸部を囲繞する索条)
○異常死体<いじょうしたい>=発見時において不自然な死亡を遂げたと認められる
          死体のうち、その死亡が犯罪に基づかないことが明らかな死体を
          いう。
          犯罪に基づかないことが明らかとの認定は、当該死体の見分を待
          つまでもなく、現場および死体の状況、目撃者等からごく概括的な
          事情聴取等によって一見して明らかに犯罪によるものでないことが
          判断できる場合でなければならないものであって、死体の眼瞼や
          索条の状況を見分するなどして、はじめて自殺など非犯罪である
          ことが判明するような状況の場合は、当然変死体として検視の対
          象となる。
○遺精<いせい>=死に瀕して精液を漏出すること。
○胃穿孔<いせんこう>=胃潰瘍や強度の胃酸等によって胃壁に穴があくこと。
          腹膜炎を併発して致命的になることがある。
○一塊<いっかい>=ひとつのかたまり。
○一過性<いっかせい>=ある病状が一時的に現れ短時日のうちに全く元通りに
          戻ってしまうものをいう。(一過性脳卒中)
○溢血<いっけつ>=身体の組織間に起こる出血。
○溢血点<いっけつてん>=静脈に鬱積した血液が毛細血管を破って点状に出血
          したものをいう。
          眼瞼結膜、眼球結膜、口腔粘膜、内臓の漿膜などに生ずることが
          多く、皮膚に見られることもある。扼、絞頸、非定型的縊死など
          頸部圧迫による窒息死の場合、筋肉の比較的上層部を通る静脈
          は容易に停止してしまうが、深層部の動脈まではなかなかその力
          が及ばず、血液は流れて脈内は鬱血状になり、死戦期の痙攣に
          よって毛細血管が破れ、粘膜や皮膚に発現する。
          本来は急死の所見であるが、心臓疾患など内因性の急死にも
          多少は発現する。
○溢血斑<いっけつはん>=溢血点が集合し、米粒大以上の大きさで斑(まだら)状
          になったもの。頸部圧迫が急激でなく徐々に行なわれた場合など
          多い。
○一酸化炭素<いっさんかたんそ>=製造ガス(6B)の中に含まれるほか、物が不完
          全燃焼したときに発生する猛毒ガス。無色無味、無臭の比重が
          0.967の気体で、人体内に入った場合、ヘモグロビン(Hb)との結合
          力は酸素のおよそ250倍である。一般に換気の悪いところでガスを
          燃やした場合、空気中の酸素濃度(通常は21%)は低下し、その値
          がおおむね18~19%以下に低下すると、ガス器具は酸素不足に
          よって不完全燃焼を起こし、一酸化炭素(CO)が発生する。
          また排煙筒の取り付けが不適切の場合は排気が風で逆行し、酸
          素濃度の低い空気でガスを燃焼することになり、ガス器具に異常
          をきたし一酸化炭素が発生することがある。
○一酸化炭素中毒<いっさんかたんそちゅうどく>=一酸化炭素(CO)を含んだ空気を
          吸い込んだために起きる中毒。
          一酸化炭素が人体に入った場合、酸素のおよそ250倍の力で血
          液中のヘモグロビンと結合し酸素がヘモグロビンと結合するのを
          妨害する。
○胃底部<いていぶ>=胃体のうち噴門の左方に膨出して横隔膜の直下に入って
          いる部分。
○頤部<いぶ>=下顎・おとがいのこと。
○色の表現<いろのひょうげん>
     ※暗褐色=あんかっしょく。暗い褐色のことで暗い感じのある色には
          暗○○色と表現する。
     ※黄緑色=おうりょくしょく。黄色味の緑色。
     ※汚穢褐色=おわいかっしょく。きたない褐色で、きたない感じのある色
          には汚穢○○色と表現する。
     ※灰白色=はいはくしょく、かいはくしょく、かいぱくしょく。灰色の感じの
          白色。
     ※青藍色=せいらんしょく。赤味を帯びた青色。
     ※赤褐色=せきかっしょく。赤味のかかった皮膚の色。
     ※鮮紅色=鮮やかな赤色。
     ※蒼白=そうはく。青白い色で普通死体の皮膚の色。
     ※帯黄褐色=たいおうかっしょく。黄色を帯びた褐色のことで、本来の色に
          他の色が混ざっているときには帯○○色と表現する。
     ※淡紅色=たんこうしょく。薄赤色のことで、薄い色には淡○○色と表現す
          る。
     ※桃紅色=とうこうしょく。赤味かかった桃色。
     ※橙色=とうしょく。だいだい色。
     ※黄橙色=おうとうしょく。黄色かかっただいだい色。
     ※乳白色=にゅうはくしょく。乳色。
     ※緑褐色=りょくかっしょく。緑色をした褐色。
○陰核<いんかく>=女性性器。外陰部の左右小陰唇の交する上端部にある
          器官=クリトリス。
○インキュベーター<incubator>=(未熟児のための)保育器。
○陰茎<いんけい>=男性の外性器。生殖器の項参照
○インシュリン<insulin>=膵臓から分泌されるホルモン。血液中のブドウ糖を
          グリコーゲンに変えることなどにより血糖を低下させる。
          主に糖尿病の治療剤となる。
○咽頭<いんとう>=上は鼻腔、前は口腔、下は食道と喉にはさまれた部分。
○陰嚢<いんのう>=男性の外性器。生殖器の項参照
○陰部<いんぶ>=男女性器の部分を総称する呼び名。
○陰阜<いんぷ>=恥骨上部の脂肪の多い盛り上がったところで陰毛が生える
          部分=恥丘。
○隠蔽<いんぺい>=覆い隠すこと。(死体隠蔽)
○インレー<inlay>=歯の治療法で、歯の腐食部分の鋳型をとり、金属インレーを
          作りセメントで歯牙に充填する方法。


○ウイルス<virus>=濾過性病原体。細菌濾過器を通過し、電子顕微鏡でないと
          見られない微粒子で核酸としてDNAかRNAのいずれか一方を
          持ち、遺伝物質のみから複製される。寄生する宿主によって動
          物ウイルス、昆虫ウイルス、植物ウイルス、細菌ウイルスに大
          別される。(ビールス)
○右冠状動脈<うかんじょうどうみゃく>=主に右心の筋の栄養をつかさどる心臓
          の動脈。
○右肝静脈<うかんじょうみゃく>=肝右葉からの静脈。
○烏口突起<うこうとっき>=肩甲骨の上部にある突起のこと。
○右鎖骨下静脈<うさこつかじょうみゃく>=第1肋骨側縁から内頸静脈合流部ま
          での静脈
○齲歯<うし>=虫歯。虫食い歯のこと。
○蛆<うじ>=蝿の幼虫。蝿→卵→蛆→蛹→蝿
          卵は1日位で蛆になり、約1週間で蛹になる。更に2~3週間で
          脱穀して蝿になる。 
○右腎<うじん>=右の腎臓。
○右心耳<うしんじ>=右心房に袋状に付属しているもの。
○右心室<うしんしつ>=2心房2心室あるうちのひとつ、肺動脈が出る。
○右心不全<うしんふぜん>=右心不全は肺および肺血管障害や左心不全など
          により右心室への圧負荷が増加し、大動脈や右心房からの血
          液を還流させる能力が低下するため発生する。
          右心室拡張末期圧上昇→右心房圧上昇→中心静脈圧上昇が
          生じ、体静脈系の鬱血が発生する。したがって、右心不全の症
          状は、浮腫、肝腫大、腹水や胸水の貯溜などである。
          浮腫は重力の影響を受けやすい下半身、特に脛骨の下部や
          背足にみられるが、高度になると全身に及ぶ。
○右心房<うしんぼう>=心臓の右にあり、大静脈が出る。
○臼状関節<うすじょうかんせつ>=股関節など臼状に陥凹した関節。
○内肋間筋<うちろっかんきん>=肋骨を引き下げる筋=骨格筋、胸。
○鬱血<うっけつ>=身体の一部の組織や血管に静脈血が異常にうっ積してたまっ
          ている状態をいう。皮膚からは暗紫赤色や暗青色に見える。
○鬱病<うつびょう>=精神病のひとつ。躁鬱病の項参照
○俯伏<うつぶせ>=身体の前面を下方にして倒れた状態。
○項<うなじ>=後頸部正中の髪際部付近をいう。
○右房室弁<うぼうしつべん>=三尖弁のこと。
○運動根<うんどうこん>=三叉神経の運動性の部分。
○運動中枢<うんどうちゅうすう>=大脳にあり、運動を司令する部位。


○鋭<えい>=切創の創角などの鋭い状態。
○鋭角<えいかく>=直角より小さい角。
○鋭器<えいき>=鋭利な部分を有するもの。鋭器が人体に作用すると、切創、
          割創、刺創、刺切創が生ずる。
○永久歯<えいきゅうし>=乳歯が脱落したあとに出てくる歯。
○嬰児<えいじ>=生まれて間もない子供、生後1年以内くらいまで。=あかご
          法医学上では、狭義で生後1日以内、広義で生後7日以内の
          新生児という意味で使われている。
          一方、産婦人科においては生後14日以内の新生児、小児科に
          おいては、生後28日以内の新生児という意味で使われている。
○エイズ<AIDS>=後天性免疫不全症候群。1980年代になって発見されたエイズ
          ウイルスの感染によって起こる疾患。男性の同性愛者や静脈注射
          による薬物常習者や、これらの人々と性的接触のあった人などに
          感染者が多い。 
          種々の病原体(病原性の弱いカビや細菌、ウイルス)に対する抵抗
          が失われ、ほとんどの患者が感染症などの原因で2~3年以内に
          死亡する。
          AIDS=Acquired Immune Deficiency Syndrome の略 
○エイズウイルス<AIDS virus>=1983年に発見されたRNA(リボ核酸)タイプの
          遺伝子を持つレトロウイルスの仲間。エイズの原因となる。
          一般のウイルスと異なり、交代による攻撃を受けにくい。
          HIVともいう。
○エーラスダンロス症候群<ehlers danlosしょうこうぐん>=小児慢性特定疾患のひ
          とつ。先天的な結合組織の異常で、皮膚の過弾力性、関節の過
          伸展、血管の脆弱性が特徴。
○鋭利<えいり>=鋭いこと。
○会陰部<えいんぶ>=狭義には肛門と外陰部(男性では陰茎根、女性では膣前庭)
          との間の小部分を指し、広義には骨盤出口の全体をいう。
○会厭軟骨<ええんなんこつ>=舌の付根。喉頭の入口にある杓子状の軟骨。
          物を飲み込む際、喉頭を閉ざし物が器官に入るのを防ぐ役目を
          する。(喉頭蓋)
○腋窩<えきか>=わきの下のくぼんだところ(窩とは、穴又はくぼみのこと)。
○腋窩線<えきかせん>=創傷などを測定する必要上人体表面の腋窩の中央を中
          心に体側を縦に引いた仮想の基準線をいう。左右腋窩線がある。
○剔出<えきしゅつ>=えぐり出すこと。(心臓剔出)
○エクリン腺<eccrineせん>=ヒトの体の大部分に分布する汗線。毛とは独立して
          皮膚に分布する。
○壊死<えし>=組織が打ち砕かれるか、又は血液の供給が部分的に途絶する
          血行障害や高熱の作用などにより、生態の組織の局所的死滅。
          第3度の火傷による痂皮はその例。
○S状結腸<えすじょうけっちょう>=下行結腸と直腸の間にある大腸の一部。
○壊疽<えそ>=壊死の一種。壊死組織が限界と接触して血色素の変化によって
          褐色ないし黒色を呈したもの。
○エチルアルコール<athylalkohol>=脂肪族飽和アルコールのひとつ。酒精。
          無色透明で芳香のある液体。アルコール飲料、溶剤、不凍液、
          燃料、医薬品、分析用試薬等に使用。
○胞衣<えな>=胎盤の名称で、分娩後、後産として排出する。
○エナメル質<えなめるしつ>=歯の歯冠外側を包む光沢のあるカルシウム質の
          部分。
○エフェドリン<ephedrine>=白色の結晶。アルカロイドの一種で、漢方薬の麻黄に
          含まれる。喘息発作、低血圧症に用いる。
○エラスチン<elastin>=血管壁や靱帯など、弾性組織の一部をなすゴム状蛋白質。
○エルトールコレラ菌<ELtor colereきん>=コレラ菌の一種。かつてのアジア型
          コレラ菌に変わり、原因菌の主流である。東南アジア、アフリカ
          で毎年流行が見られる。
○嚥下<えんか>=呑むこと。飲み込むこと。
○遠射<えんしゃ>=離れたところから銃器で撃つこと。
○炎症<えんしょう>=腫れ、熱などを起こす症状。
○縁上回<えんじょうかい>=思考認識のある大脳の部位。
○延髄<えんずい>=脳の最下部に位置し、脳橋の直下で脊髄の上に続く部分。
○厭世<えんせい>=世をはかなんで人生が厭になること。自殺の原因のひとつ。
○豌豆大<えんどうだい>=えんどうまめの大きさ。変色、創傷の大きさを表す。


○オイタナジー<euthanasic>=安楽死。
○横臥<おうが>=横たわること。寝ること。横になること。
○横隔神経<おうかくしんけい>=横隔膜の運動を支配する神経。
○横隔膜<おうかくまく>=胸腔と腹腔との境をなす弓状をした筋肉の膜で、伸縮し
          て呼吸を助ける。
○横隔膜胸骨部<おうかくまくきょうこつぶ>=横隔膜が胸骨に付着している部分。
○黄褐色<おうかっしょく>=色の表現の項参照
○桜花弁状創<おうかべんじょうそう>=創口を真上から見たときに、桜の花弁のよ
          うな形をした創をいう。刺した刃物を引き抜くときに、刃部が刺入
          口と違った創壁に当たったためにできる創。
           (刃物の峯部の稜が鋭角をなしている場合には、峯部の創角が
           桜の花弁のように切れ込んでいることもある。表皮剥脱が伴って
           いるかどうかを見分すること)
○黄菌毛<おうきんもう>=カビの一種である放線菌(コハネバクリウム・テュウス)
          が毛髪に寄生し、皮膚から剥離した脂質を栄養分として、毛幹
          の外側に繁殖付着した黄色の毛。腋毛が多く、時には陰毛もあ
          る。発生しやすい者は成人で性ホルモンなどの新陳代謝が旺
          盛な10代後半から三十代前後の男女。
○横径<おうけい>=横のさし渡し、長さ。創傷・器官の大きさ、長さを測定する時
          に用いる。
○横行結腸<おうこうけっちょう>=大腸の一部。
○横指<おうし>=指を横に並べた巾(長さ)のことで、膣口の大きさ、創傷の位置
          を測定するのに用いる。(二横指、三横指)
○欧氏管<おうしかん>=中耳と鼻腔を結ぶ管。耳管の旧名。
○桜実大<おうじつだい>=サクランボの大きさ。変色や創傷等の大きさを表す。
○横走<おうそう>=創傷などが横に長い状態をいう。
○黄体<おうたい>=卵巣において卵子の脱落したあとにできる。
○黄疸<おうだん>=血中にビリルビンという物質が増加し、皮膚の色が黄色くなる
          こと。
○嘔吐<おうと>=吐き出すこと。
○横突起<おうとっき>=脊椎骨のうち、左右横側に突き出している部分。
○大きさの表現<おおきさのひょうげん>=直感的な通常の大きさを表し、数学的
          に厳密な基準はない。半米粒大、1倍半鶏卵大、2倍手掌面大
          等の表現も使う。
     ※針尖大=しんせんだい。針の先で突いた位の大きさ。
     ※蚤刺大=そうしだい。蚤に刺された位の大きさ。
     ※ケシの実大=けしのみだい。ケシの実の大きさ。
     ※粟粒大=ぞくりゅうだい。粟粒の大きさ。
     ※麻実大=まじつだい。麻の実の大きさ。
     ※米粒大=べいりゅうだい。米粒の大きさ。
     ※小豆大=あずきだい。小豆の大きさ。
     ※大豆大=だいずだい。大豆の大きさ。
     ※豌豆大=えんどうだい。豌豆の大きさ。
     ※蚕豆大=とんずだい。そらまめの大きさ。
     ※桜桃大=さくらんぼだい。さくらんぼの大きさ。
     ※胡桃大=くるみだい。くるみの大きさ。
     ※蜜柑大=みかんだい。みかんの大きさ。
     ※林檎大=りんごだい。りんごの大きさ。
     ※雀卵大=じゃくらんだい。雀の卵の大きさ。
     ※鳩卵大=きゅうらんだい。鳩の卵の大きさ。
     ※鶏卵大=けいらんだい。にわとりの卵の大きさ。
     ※鵞卵大=がらんだい。ガチョウの卵の大きさ。
     ※小指頭面大=しょうしとうめんだい。小指の末節から先の大きさ。
     ※示指頭面大=ししとうめんだい、じしとうめんだい。示指の末節から先の
          大きさ。
     ※拇指頭面大=ぼしとうめんだい。拇指の末節から先の大きさ。
     ※手拳大=しゅけんだい。手拳のおおきさ。
     ※手掌面大=しゅしょうめんだい。指を含んだ手掌面の大きさ。
     ※小児頭大=しょうにとうだい。小児の頭の大きさ。
     ※大人頭大=だいにんとうだい。大人の頭の大きさ。         
○汚染<おせん>=けがれ染まっていること。
○頤部<おとがいぶ>=頤部(いぶ)の項参照
○汚物輪<おぶつりん>=銃創の射入口外側に見られる輪状のもの。弾丸に付着し
          ている錆や脂などの汚物が創口の周囲に輪状に付着する。
○親知らず歯<おやしらずば>=上下最も奥に生える歯。智歯、第三大臼歯。
○オレアンドマイシン<oleandomycin>=マクロライド系抗生物質。放線菌の一種から
          発見された。小児の呼吸器感染症や異型肺炎に効果があり副作
          用も少ない。
○汚穢色<おわいしょく>=きたならしい色。(汚穢青藍色、汚穢○○色)
○オンコジーン<oncogene>=癌遺伝子。発がん性ウイルスのガン遺伝子は宿主
          DNAに組み込まれて発癌を起こす。健常な人細胞にもある。
○オンコセルカ症<oncocercia症>=細長い糸状の線虫オンコセルカによって起こる
          風土病。皮下に大きなこぶ上の腫瘤を作る。幼虫が血液から眼に
          入り失明する。ブユにより媒介される。
○温和<おんわ>=顔貌温和等と使う。苦痛の表情がなく穏やかなこと。


○外陰部<がいいんぶ>=女性性器のうち大陰唇、小陰唇、膣前庭などの部分。
○外踝<がいか>=下腿下端外側の突出部。外側のくるぶしのこと(内側のくるぶし
          は内踝という)。
○回外筋<かいがいきん>=肘を外側に回して手のひらを前に向ける=骨格筋
○外眼角<がいがんかく>=目じり部のこと。
○壊機法<かいきほう>=溺死、中毒死の場合、臓器を壊して体内のプランクトンや
          毒物を調べる方法。
○外頸動脈<がいけいどうみやく>=左右あり、総頸動脈から分かれている。
○開検<かいけん>=切開して検査検分すること。=剖検
○外後頭隆起<がいこうとうりゅうき>=後頭部で頭蓋骨が外側に最も突き出して
          いる部分。=外後頭結節
○外耳道<がいじどう>=耳たぶから鼓膜までの穴の部分。
○外側溝<がいそくこう>=大脳左右半球の上外側面にある溝。
○外側広筋<がいそくこうきん>=大腿の外側にある筋。
○外側中葉区<がいそくちゅうようく>=右肺中葉の外側の区域。
○外側肺底枝<がいそくはいていし>=肺動脈のうち、肺底部外側へ向かう枝。
○外側皮質脊髄路<がいそくひしつせきずいろ>=運動系の神経伝達路。
○懐胎<かいたい>=子をはらむこと。妊娠すること。=懐妊
○回腸<かいちょう>=小腸の項参照
○外腸骨動脈<がいちょうこつどうみゃく>=総腸骨動脈から分岐する2本のうち外
          側を走る動脈
○外聴道<がいちょうどう>=耳の穴。
○外転神経<がいてんしんけい>=脳神経の第6番目、眼の外側直筋を支配する
          神経。
○回内筋<かいないきん>=肘を内方に回して手の甲を前に向ける。=骨格筋
○外皮<がいひ>=外表の皮膚。
○外鼻孔<がいびこう>=鼻尖の下方にある一対の穴。
○外腹斜筋<がいふくしゃきん>=外側腹壁の筋。脊柱を同側に曲げ、同側に回転
          する。=骨格筋、腹。
○解剖<かいぼう>=生物体を解き開いて内部を調べること。系統解剖、病理解剖、
          法医解剖がある。
     ※系統解剖=人体の構造を系統的に探求するための解剖。
     ※病理解剖=人が死亡するに至った病気の原因を追究して明らかにする
            ための解剖。
     ※法医解剖=殺人など法律問題になっていることを医学によって解明する
            ための解剖。司法解剖、行政解剖がある。
      #司法解剖=犯罪に起因すると認められる死体について解剖によってそ
            の死因、凶器の種類、用法などを明確にする。
      #行政解剖=公衆衛生の向上に資するため、又は公共の福祉、たとえば
            工場の火災で死亡した者の労働災害保証に資するため、さら
            には医学教育に貢献するなど、行政目的のために行なう。
            死体解剖保存法8条、食品衛生法、検疫法に基づく解剖が
            ある。
○外膜<がいまく>=血管壁の最小層、気管の外側を被う膜。
○海綿状<かいめんじょう>=海面動物の骨格質のような物で、細かな穴が開き、
          やわらかいもの。=海綿様
○回盲部<かいもうぶ>=かいちょうと盲腸が接続する部。
○潰瘍<かいよう>=皮膚、粘膜などにでき深層部までに及ぶ組織のただれ、くず
          れ。浅い場合をびらんという。(胃潰瘍) 
○解離性大動脈瘤<かいりせいだいどうみゃくりゅう>=大動脈の動脈硬化のため
          に、血管の壁の内側に小さな裂け目ができ、そこから血液がしみ
          込み血管壁が縦の方向に剥がれるような状態をいい、血管の外
          側が破れると大量の出血を起こす。このような状態を解離性大動
          脈の破裂といい、胸部で破裂した場合、心臓と心嚢との間に血液
          が流れ出た状態を心嚢血腫という。
○外肋間筋<がいろくかんきん>=肋骨間にある筋肉=骨格筋、胸。
○蛙腹<かえるばら>=蛙のように膨らんだ腹。
○火焔<かえん>=ほのお。
○下顎骨<かがくこつ>=下あごの骨。
○加割<かかつ>=メス等の刃物で皮膚や筋肉などの組織を切り開くこと。
○顆間窩<かかんか>=大腿骨下骨端の内側顆と外側顆の間にある陥凹。
○蝸牛<かぎゅう>=内耳にあるカタツムリ様の形をした器官。
○架橋状組織<かきょうじょうそしき>=挫創、裂創の創底付近において、創壁間
          に橋をかけたように残存する筋肉のすじ、血管、神経などの組
          織をいう。
○角回<かくかい>=大脳の部位。
○顎関節<がくかんせつ>=あごを動かすための関節。
○革皮状(様)<かくひじょう>=表皮がなめしした皮のように硬くなっている状態。
          =革皮化
○角膜<かくまく>=眼球の一番外側前面にある無色透明な膜で、死後12時間位で
          濁りが著名となり、約48時間で白濁し、瞳孔が透見できなくなる。
○下結膜円蓋<かけつまくえんがい>=眼球結膜が下眼瞼結膜へ折りかえる部分。
○下行結腸<かこうけっちょう>=大腸の一部。
○下行膝動脈<かこうしつどうみゃく>=大腿部から膝部へかけて走る動脈のひと
                     つ。
○下甲状腺動脈<かこうじょうせんどうみゃく>=甲状腺へ走る動脈のひとつ。
○下行大動脈<かこうだいどうみゃく>=大動脈の項参照
○化骨核<かこつかく>=胎児の成長度を見るもので、大腿骨下端部や踵骨等の骨
          を切ると、赤く丸く見える核。
○仮死<かし>=意識を失って一見死亡したように見えるが、人工呼吸等で生き返る
          可能性のある状態。診断前の真死の状態。
○下肢<かし>=大腿部、下腿部、足部を総称した呼び名。
○下矢状静脈洞<かしじょうじょうみゃくどう>=脳硬膜にある静脈洞のひとつ。
○下斜筋<かしゃきん>=眼を動かす筋のひとつ。
○火傷<かしょう>=灼熱物体の火焔に接触し、あるいはそれらの輻射熱によって
          起こる皮膚などの身体組織の損傷をいう。火傷の局所的変化は
          その程度により第1度火傷、第2度火傷、第3度火傷、第4度火傷
          に分類される。
     ※第1度火傷(紅斑)=比較的軽度の熱による局所的充血で皮膚が赤くな
             る。生活反応であるから生体が熱作用を受けた場合にのみ見られる。
     ※第2度火傷(水疱)=第1度火傷よりさらに高い熱によって、炎症性の滲出
      作用が生じていわゆる「火ぶくれ」が生じる。生体の自衛反応(生活反応)
      として生じるので水疱内容液には白血球を多く含み、水疱が破れると底
      面の真皮は発赤充血している。体表の約1/2に達すると生命危険。
      死体を焼いても水疱ができる場合もあるが、この場合は液は少なく水疱
      の中央部がしぼんでいる。
     ※第3度火傷(痂皮)=熱の直接作用によって真皮層まで壊死に陥り組織は
      熱凝固を起こし、黄色ないし黄褐色に焦げる。体表の1/3に達すると生命
      危険。
      死体を焼いても痂皮形成はできるが生体の焼痂は血管内に血液が入っ
      たまま熱凝固している。
     ※第4度火傷(炭化)=熱の直接が高く長く続いた結果焼けが著しくなり皮下
      筋肉組織あるいは骨にまで達したもの。
      生体、死体の区別は不可能である。
     ※火傷と生命危険度=成人の場合
                   火傷第2度では体表の約1/2の損傷
                   火傷第3度では体表の約1/3の損傷
                  子供の場合
                   4歳くらいまでの危険度は成人の約3倍
                   5歳から12歳くらいでは成人の約2倍
○火傷死<かしょうし>=火傷が広範囲にあり死亡すること。皮膚への刺激による
          神経性ショックや循環血液量が減少するために起こる二次性
          ショックで死亡する。
○下唇方形筋<かしんほうけいきん>=下唇を引き上げる。=骨格筋
○ガス<gas>=家庭用燃料として供給されている。
○下垂体<かすいたい>=頭蓋骨の真ん中にあるトルコ鞍の中に納まっているエン
          ドウ豆状の器官で、成長ホルモン等種々のホルモンを出す。
○ガストロスコピー<gastroscopy>=胃鏡検査法。内視鏡により胃の内表面を観察、
          撮影する胃潰瘍や胃癌の診断法。
○カスペルの法則<casperのほうそく>=後期死体現象としての死体腐敗の進行速
                     度を現す法則。 空気中→1   水中→2   土(地)中→8
○風邪<かぜ>=感冒。ふうじゃ。
○下腿三頭筋<かたいさんとうきん>=腓腹筋、外側頭、内側頭、ヒラメ筋の総称。
○下腿三頭筋腱<かたいさんとうきんけん>=アキレス腱、踵骨腱(しょうこつけん)。
○下大静脈<かだいじょうみゃく>=大静脈の項参照
○下腿部<かたいぶ>=下肢のうち膝蓋下部から内外踝までをいう。
○肩関節<かたかんせつ>=上肢の上腕骨と肩甲骨との関節。
○形の表現<かたちのひょうげん>=点状、線状、半月状、円状、楕円形、長方
          形など通常の表現用語をもちいるほか、次のような表現をする。
     ※類円形=るいえんけい。輪郭が不鮮明な円形類似の形状。
     ※不正形=ふせいけい。輪郭が整然としておらず、特定の形状をなし
       ていない形。
     ※桜花弁状創=おうかべんじょうそう。桜の花びらのような形。
     ※柳葉状=りゅうようじょう。柳の葉の形。
○カタトニー<katatonie>=精神分裂病の一病型。冷たく硬い表情をして、奇妙で
          不自然な姿勢や態度をとったり意味不明の激しい運動興奮を
          示したりする。
○下直筋<かちょくきん>=眼球を動かす筋のひとつ。
○滑液嚢<かつえきのう>=筋や腱と骨との間にある薄い膜の袋で、内部の滑液
          は筋運動をなめらかにする。滑液嚢は主に手足にある=滑液包。
○喀血と吐血<かっけつととけつ>=口から吐く血液のうち、その出血部位で呼称
          が異なる。
     ※喀血=肺その他呼吸器官から動脈血の出血。
      #鮮紅色を呈し気泡を含むことが多い。
      #呼吸器系統の既往症がある肺結核、急性肺炎、肺癌、代償性月経、
       胸部大動脈瘤破裂(動脈硬化~梅毒性、剥離性、外傷性)。
     ※吐血=食道、胃、腸などの消化器器官の疾患あるいは鼻、口、咽喉
      の出血を嚥下したもの。
      #暗赤色、又は茶褐色を呈し、胃などの内容物を含むことがある。
      #消化器系統、特に胃疾患、肝硬変症等の既往症ある胃潰瘍、胃癌、
       十二指腸潰瘍、鬱血肝、肝硬変(食道静脈瘤破裂)。
○褐色<かっしょく>=色の表現の項参照
○カッシング病<cushingびょう>=脳下垂体の副腎皮質を刺激するホルモンが
          異常に分泌されて起こる疾患で、顔面、頸部、躯幹に急速に
          脂肪がつき、同時に多毛症、高血圧、無力症などが表れる。
○割創<かっそう>=創傷の項参照
○滑沢<かったく>=なめらかでつやがあること。
○滑膜<かつまく>=滑液膜、関節腔に接する周囲の膜で、滑液を分泌する。
○割面<かつめん>=メス等の刃物で切り開いた面。
○括約筋<かつやくきん>=肛門、陰部、尿道などの周囲を取り巻き、内容物を
          排出させる輪状の筋肉。
○カテーテル<katheter>=体腔(胸腔、腹腔)からの液体の排出を図り、また管状
          器官(気管、食道、胃、腸、膀胱、尿道)の内容物の排出、あるい
          は注入を図るために用いられる管状の外科用具で、ゴム、金属、
          プラスチックなど。
○カテコールアミン<catecholamine>=カテコールを分子内に持つ生体アミンの総称。
          神経刺激の伝達に関与する化学物質で、神経細胞内で合成され、
          刺激が神経細胞を興奮させると神経終末から放出され、次の神経
          細胞へと興奮を伝達していく。アドレナリン、ノルアドレナリンなど。
○カドミウム<cadmium>=亜鉛族元素のひとつ。記号Cd。有毒でメッキ材料、可融合
          金などに用いる。富山県神通川流域で発生したイタイイタイ病の
          原因物質。
○カニューレ<kanule>=医療器具で、呼吸を助けたり、身体の中の液体を抜いたり、
          薬を入れたりするため身体に差し込む管。挿管。
○化膿<かのう>=きずなどがウミをもつこと。
○痂皮<かひ>=はれもの、傷などが治るに従って、その上にできるカサブタ。
          革皮様化とは異なり、生活反応のひとつと見られる。
          火傷の際、第3度火傷を痂皮形成という。
○鵞皮<がひ>=皮膚がぼつぼつとし、鳥肌のこと。死体が寒冷なところにあると
          立毛筋のような弱い筋肉が硬直し鳥肌のようになる。溺死体や
          凍死体によく見られる。
○下鼻甲介<かびこうかい>=鼻腔内にある粘膜でおおわれた薄い骨。
○下鼻道<かびどう>=上、中、下三個の鼻甲介によって、鼻腔は上、中、下鼻道
          に分かれる。
○下腹壁動脈<かふくへきどうみゃく>=鼠径靱帯の上方で起こり、腹直筋内面へ
          と上行する動脈。
○カポジ肉腫<kapsi'sにくしゅ>=皮膚、リンパ節、内臓に見られる悪性の肉腫。
          皮膚に紫色の腫脹を生ずる。エイズ患者の症状のひとつ。
○鎌状間膜<かまじょうかんまく>=肝臓の右葉と左葉を分ける膜。=肝鎌状間膜
○粥状<かゆじょう>=おかゆのようにドロドロしていること。
○ガラクトース血症<galactosemiaけっしょう>=ガラクトース(単糖類のひとつ)の代謝
          異常により、血液や尿中のガラクトース濃度が異常に高まる感染
          症。栄養障害や知能障害を起こす。
○鵞卵大<がらんだい>=ガチョウの卵の大きさ。変色部の大きさを表す。
○カリニ肺炎<pneumocystosisはいえん>=ニューモシスチスカリニという微小な原虫
          が肺に寄生して起こる肺炎。エイズや白血病などで抵抗力が落ち
          た時にかかる。
○顆粒<かりゅう>=小さい粒状。
○カルテ<karte>=医師の診察記録カード。診療簿。
○癌<がん>=悪性の腫瘍、現代医学では不治の病といわれている。
○肝円索<かんえんさく>=胎児循環時の肺動脈が分娩後閉鎖し、索状化したもの。
○陥凹<かんおう>=落ちくぼんでいる状態。(陥凹骨折)
○眼窩<がんか>=眼球が入る頭蓋骨の穴のところ。
○緩解<かんかい>=ゆるんで戻ること。(硬直緩解)
○肝下縁<かんかえん>=肝臓の下側の縁。
○眼角<がんかく>=目じり。(内眼角、外眼角)
○間隔の表現<かんかくのひょうげん>=センチメートルなど通常の表現用語を用い
          るほか、次のような表現をする。
     ※横指=例えば3横指といえば指3本を接着させた横幅の長さをいい、2点間
       の間隔や膣口の直径等の表現に使う。
○眼窩脂肪体<がんかしぼうたい>=眼神経を包んでいる脂肪織。
○肝癌<かんがん>=病態像は肝硬変の症状を一般的には呈す。それに加え肝癌症
          状が認められる。右季肋部、背部に自発痛または圧痛を訴える。
          肝腫の増大と硬い腫瘤は重要な所見である。血性腹水は肝癌に
          多く見られる。
          黄疸は腫瘍にて胆管を圧迫閉塞するので末期のことが多く、1~2
          ヵ月以内に死の転帰をとる。肝腫や腹水が発現すると比較的急速
          な経過をたどり、死亡までの平均生存期間は約3ヶ月で、悪液質、
          消化管出血、腫瘍よりの出血、肝不全などが直接死因となる。
○眼球<がんきゅう>=眼の玉。
○眼球結膜<がんきゅうけつまく>=眼球自体を覆っている薄い膜。溢血点が出る。
○含気量<がんきりょう>=肺などに空気を含んでいる度合い。
○乾血<かんけつ>=乾燥した血液。
○眼瞼<がんけん>=まぶた。(上眼瞼、下眼瞼)
○眼瞼結膜<がんけんけつまく>=まぶた内面の膜。溢血点が出る。
○肝硬変<かんこうへん>=あらゆる原因によって生じた肝臓障害の終末像。
          肝臓が硬く変化する疾患であり、肝が瘢痕化していることを表して
          いる。すなわち、①びまん性の肝病変。②肝細胞の変性、壊死。
          ③結節性の再生結節を作ることが必要で、この結果、肝は硬化、
          縮小する。
          病態像はタンパク合成機能不全を示唆する低アルブミン血症では
          腹水や浮腫の原因となり、凝固因子の低下は消化器出血を引き起
          こす。
          初期には手掌紅斑、クモ状血管腫、女性化乳房、睾丸萎縮などが
          認められる。
○寛骨<かんこつ>=腸骨、坐骨、恥骨を総称した呼び名。
○寛骨臼月状面<かんこつきゅうげつじょうめん>=股関節のうち、寛骨臼内にある
          軟骨で大腿骨との摩擦を減ずる。
○観察医務院<かんさついむいん>=東京都監察医務院の項参照
○鉗子<かんし>=外科手術に使う器具で筋肉や臓器などを挟むときに使う鋏状の
          形をしたもの。
○眼脂<がんし>=めやにのこと。催眠剤中毒死に見られる特徴のひとつ。
○カンジタ症<candidiasisしょう>=真菌の一種、カンジダ菌によって起こる疾患。
          口腔粘膜の感染による鵞口瘡や口角炎、膣炎、皮膚カンジダ症
          などが多く、ときに気管支・肺・食道・脳などを侵す。抗生物質など
          の乱用による菌交代症。
○冠状循環<かんじょうじゅんかん>=心臓を養うための血液循環。
          大動脈の基部の大動脈球→左右一対の冠状動脈→毛細血管→
          静脈→冠状静脈洞→右心房(ただし冠状動脈洞は、下大静脈の
          入口の下部のところで独立に右心房に開口している)。
○冠状静脈<かんじょうじょうみゃく>=心臓自体の老廃物を運ぶ血管。
○冠状静脈洞弁<かんじょうじょうみゃくどうべん>=右心房にあり、冠状静脈洞の
          逆流防止弁。
○冠状動脈<かんじょうどうみゃく>=心臓自体を養う酸素、栄養等をつかさどる動
          脈。=冠動脈
○冠状縫合<かんじょうほうごう>=縫合の項参照
○肝静脈<かんじょうみゃく>=肝臓から出て下大静脈へ開く静脈。
○眼神経<がんしんけい>=三叉神経のひとつ。
○灌水試験<かんすいしけん>=水を注いで行なう試験。
○関節<かんせつ>=骨と骨のつなぎ目。
     ※関節の種類
      #球関節-(例・肩の関節)
      #楕円関節、顆状関節-(例・手根骨の関節)
      #蝶番関節-(例・肘の関節)
      #車軸関節-(例・第一頸椎と第二頸椎との関節)
            #平面関節-(例・椎間関節) 
○関節腔<かんせつくう>=関節内の骨と骨との間隙で、滑液を満たす。
○関節唇<かんせつしん>=関節の深さを補うためにできている軟骨。
○関節軟骨<かんせつなんこつ>=関節のうち、凸面をなす部にある軟骨。
○関節包<かんせつほう>=関節嚢、最下部にあって関節を包んで保護する。
○汗腺<かんせん>=汗を分泌する腺。
○乾燥<かんそう>=うるおいがなく、かわくこと。
○肝臓<かんぞう>=消化腺に属し、人体最大の臓器である。腹腔の上右側部で
          横隔膜の直下にある。上面は横隔膜に接する円蓋を示し、下面
          は浅いくぼみを呈しその中央部に肝門がある。
          大きく手厚い右葉と薄くて小さい左葉、さらに両葉の間に挟まれ
          る方形葉、尾状葉の4部に区別される。
          消化器系に属する大分泌腺で胆汁を作り、栄養の貯蔵所として
          余分の含水炭素をグリコーゲンに変えて貯える。
○カンタリス<cantharis>=ツチハンミョウ科の昆虫を乾燥させて作った薬品。
          毒性を持ち、皮膚刺激剤として、発泡、発毛などの目的で使用
          する。
○貫通孔<かんつうこう>=銃弾が身体を抜けた孔。
○環椎<かんつい>=第1頸椎のこと。
○感電死<かんでんし>=人体に電気が流れたため、呼吸中枢または心臓血管の
          中枢に障害を起こし死亡するもの。呼吸麻痺を起こすことが多い
          が心臓や血管の中枢に作用すると血管の麻痺を起こし血圧が降
          下し、強いショック症状を呈して急死する。一般に交流は直流より
          危険度が高く、直流は500ボルト、交流は300ボルト以上になると
          100ボルトでも死亡することがある。電流痕の項参照
○肝動脈<かんどうみゃく>=肝臓の動脈。
○嵌入<かんにゅう>=傷口や穿孔部に異物が入り込むこと。
○冠不全<かんふぜん>=心筋における酸素の需要と供給の不均衡に基づいて起
          こる心筋酸素の欠乏状態を総称。原因としては
          ①冠状動脈硬化、大動脈起始部および弁の疾患、ショックによる
          急性血圧降下、心不全。
          ②冠状動脈血酸素容量の低下(急性貧血、一酸化炭素中毒等)。
          ③心筋肥大、高血圧。
○肝不全<かんふぜん>=肝臓細胞の機能障害のうち比較的重篤な肝障害による
          症状。原因としては
          ①ウイルス性肝炎のうち特に劇症肝炎、亜急性肝炎、中毒性肝
          障害で起きる。
          ②慢性肝炎の経過中にも見られ、肝硬変、肝癌、閉塞性黄疸の
          進行したときに起こる。
○カンフル<kampher>=医薬品として用いる、精製したの樟脳。重病人の心臓の働
          きを強くするためカンフル液を注射する。強心剤。
○陥没骨折<かんぼつこっせつ>=骨折の項参照
○顔面骨<がんめんこつ>=次の三つの広場がある。
     ※眼窩=前頭骨・上顎骨・頬骨・口蓋骨・涙骨・蝶形骨・篩骨などからなる。
     ※鼻腔=鼻骨・上顎骨・口蓋骨・鋤骨(じょこつ)・蝶形骨・篩骨・涙骨・下甲
           介骨などからなる。
     ※口腔=上顎骨・口蓋骨・下顎骨などからなる。
○眼輪筋<がんりんきん>=まぶたにある眼瞼の開閉を行なう筋=骨格筋、顔面。
○眼裂<がんれつ>=眼の割れ目のこと。


○キーンベック病<kienbockびょう>=手首の手根骨のひとつである月状骨が軟化
          する疾患。大工、農夫のように手首に持続的、反復的外力が加
          えられる職業に多い病気。
○飢餓死<きがし>=飢え死にすること。
○気管<きかん>=脊椎動物の喉頭の下に続く長さ10センチの管状の気管。
          第7頸椎に始まり第5胸椎のところで気管支に分かれる。さらにそ
          の先端は肺門に入り樹枝状に分枝して気管支枝となり、さらに分
          枝して細気管支→呼吸細気管支→肺細管となって肺胞に達する。
     ※気管支=右肺は太くて短く、左肺は細長い。いずれも繊毛はあるが、軟
           骨は少ない。
     ※気管支枝=気管支が肺門から入るとき、右肺は3本、左肺は2本の気管
           支枝に分かれる。繊毛はあるが、軟骨はさらに少ない。
     ※肺胞=薄層でガス交換をするところ。周囲に肺毛細血管がある。
○器官系<きかんけい>
     ※骨格系・筋肉系=体の基礎となり、運動の働きを行なう系統。
     ※血管系・リンパ管系・呼吸器系・消化器系・泌尿器系・皮膚=栄養や排出
            を行なう系統。
     ※神経系・内分泌系=体の統一や調和を行なう系統。
○気胸<ききょう>=気胸療法の略。肋膜腔に空気を送って肺結核を治療する方法。
○起始部<きしぶ>=おこりはじまる部分。(大動脈起始部)
○気腫<きしゅ>=体の異常のある部位に、空気またはガスがたまること。
○奇静脈<きじょうみゃく>=胸部脊柱の右側で縦走する吻合静脈。
○基節骨<きせつこつ>=上下肢のうち近心側にあるもの。
○気道<きどう>=呼吸器の通路となる器官。(鼻から肺まで)
○キニーネ<kinine>=キナの皮から精製した結晶性アルカロイドの一種。
          白色の粉末で苦味がある。解熱・強壮薬として用いられる。また、
          マラリヤの特効薬。
○砧骨<きぬたこつ>=耳小骨の一部。
○機能障害<きのうしょうがい>=器官、神経等の作用が妨げられること。
○茸状乳頭<きのこじょうにゅうとう>=舌の前面に多数ある味覚器。味蕾は成人に
          はほとんどない。
○気泡<きほう>=空気を含んだ泡。
○キモグラフ<kymograph>=筋肉の運動や心臓の拍動などを記録する装置。
○逆行性健忘症<ぎゃくこうせいけんぼうしょう>=脳損傷の場合に受傷後時間の
          経過によって意識が回復し正常になったが受傷前の状況も
          受傷後の状況も全て忘れてしまうもの。
○キャリア<carrier>=ウイルスに感染しながら発病せず生活している保菌者。
○球間区<きゅうかんく>=歯の象牙質表面にあり、石灰化されていない部分。
○球関節<きゅうかんせつ>=球状をした関節。
○灸痕<きゅうこん>=灸のあと。
○嗅索<きゅうさく>=大脳にある嗅覚の神経伝達路。
○急死<きゅうし>=各種の病原により急に死亡すること。
     ※急死の三大特徴
        ①各種臓器に鬱血がある。
        ②各種臓器に溢血点があるほか、外表所見でも眼瞼、眼球結膜
          や皮膚にも溢血点がある。
        ③血液が流動性である。
○急性肝炎<きゅうせいかんえん>=ウイルスの違いによりA型、B型と非A・非B型
          に分類される。
          A型急性肝炎の感染経路は主に経口感染であり、汚水、汚物
          からの感染が多い。感染から発症までの潜伏期間は15~50日
          である。他方、B型急性肝炎ではHBVが粘膜、創口、HBV陽性の
          血液を輸血することによって感染する。潜伏期間は50~180日
          であり、この潜伏期の長さはHBVの感染量によって決定される
          といわれている。
          病態像は、次の3期に分けられる。
     ※前駆期=この期間には無気力、倦怠感、食思不振、悪寒、発熱、頭痛、
       関節痛など感冒と類似した症状を呈する。この期間が5~8日続いた
       あと、尿量は減少し紅茶色の尿となる。
     ※黄疸期=前駆期に引き続いて急激に黄疸が出現する。その後も黄疸は
       強くなり2~4週でピークに達し、大多数例では4~6週持続する。
       糞便は灰白色を呈するが、極期を過ぎると次第に正常化する。
       この頃より黄疸は軽快し始め、症状も消失し食欲も出てくる。
     ※回復期=約2~10週間で患者自身の症状は治癒した感じを持つが、
       血液検査ではなお異常値を呈する。しかし、これとは逆に血液検査
       が正常になっても、長期間の安静のために日常生活への不安が残
       り、いつまでも倦怠感を訴える場合もある。
○急性心臓死<きゅうせいしんぞうし>=心臓麻痺、心不全、狭心症、心筋梗塞、
          心臓弁膜症、心筋炎、ポックリ病等を原因とする急病死を総
          称したもの。
     ※心筋梗塞=冠状動脈硬化が原因となって血液の固まりが血管を閉塞
       して、心臓自体の循環障害が起こった状態。
     ※狭心症=冠状動脈硬化のために心臓の血行が悪くなり酸素不足
       (心臓自体)をきたして起こる発作症状。心臓部から胸骨付近にかけ
       て締め付けられるような痛みや窒息感がある。
     ※心臓弁膜症=心臓の血液逆流を防ぐための弁膜がリュウマチ、梅毒
       を原因として痛み、血液の流れが悪くなったり(弁口狭窄症)、逆流を
       防止するための機能障害(弁閉鎖不全)の症状。
     ※心臓麻痺=急性心機能不全の通称。心筋梗塞、心臓弁膜症などが
       原因となって、心臓からの血液搏出が途絶えるために起こる。
     ※心不全=原因が何であれ、心臓収縮力の減退によって身体の維持に
       必要とする血液を搏出できなくなった状態をいう。心臓を中心にして
       心臓後方の血管が鬱血し前方の血管臓器は貧血が生じる。
○急性灰白髄炎<きゅうせいはいはくずいえん>=ウイルスによって起こる急性の
          感染症で、保菌者の糞便等からのウイルスが食物を介して経口
          的に感染する。罹患の時期は6~8月ころが最も多く、生後6ヶ月
          から5~6歳までの小児が比較的かかりやすいが大人もかかるこ
          とがある。潜伏期は1週間位で、初めは鼻汁、軽い咳、頭痛、下
          痢その他夏風邪のような症状で、それを過ぎると急に発熱して
          38~39度の熱が2~4日続き、その上知覚が過敏となり四肢に触
          れたり背中を丸くすると痛がる。解熱後、下肢または上肢筋肉に
          麻痺症状を呈する。ときには腹部、頸部または呼吸器の筋肉の
          麻痺を起こすことがある。(脊髄性小児麻痺)
○鳩卵大<きゅうらんだい>=鳩の卵の大きさ。変色部の大きさなどを表す。
○弓隆<きゅうりゅう>=大脳内側にある側脳室を囲む弓状の繊維束。脳弓の旧名。
○穹窿部<きゅうりゅうぶ>=脳弓。(脳梁の下側にある一対の弓形の白質)
○キュウレット<curette>=尿道等の拡張や探査また掻爬等に使用する医療器具。
○胸横筋<きょうおうきん>=胸部前壁内面胸骨から斜上方へ至る筋。
○胸郭・胸廓<きょうかく>=胸部の外郭を形成する部分で、胸椎骨、肋骨、肋軟骨、
          胸骨によって籠状になった胸部の骨格(骨組)のこと。
○仰臥<ぎょうが>=仰向けになって寝ること。
○凝塊<ぎょうかい>=一塊になって固まったもの。(血液凝塊)
○頬筋<きょうきん>=口角を側方に引いて口を閉じさせる。=骨格筋、顔面
○胸腔<きょうくう>=胸部の肺臓・心臓などが入っているところ。
○胸腔概観<きょうくうがいかん>=胸腔の内側(心臓、肺、肋膜等)を見ること。
○凝血<ぎょうけつ>=血液が凝固したもの。生体の血管が破れて出血した場合や
          死後血液の循環が停止すると血液は凝固する。これは血漿中の
          繊維素原が繊維素として析出することによって生じるもので細か
          な繊維素の網の中に血球が一様に閉じ込められている。
          死後の凝血は凝固が徐々に行なわれているため赤血球の多い
          血餅と血球のない豚脂様凝血とに分かれる。
○凝固<ぎょうこ>=こり固まること。
○胸骨<きょうこつ>=胸郭を構成する骨で胸部の前壁において肋骨に連結してい
          る上下に長い骨。
○頬骨<きょうこつ>=眼窩部下部のいわゆる頬の骨。
○頬骨筋<きょうこつきん>=口角を上方および後方に引く。
○狭窄<きょうさく>=気管・血管などがせばまって狭隘になっている状態。
○胸鎖乳突筋<きょうさにゅうとつきん>=鎖骨下の内方から上後方に伸びる頸部
          最上層の筋肉。頸部圧迫による窒息死の場合に出血することが
          ある。頭の左右回転と後屈、顔を斜め上方に向ける筋肉。
○狭心症<きょうしんしょう>=冠状動脈の血管が動脈硬化などによって細くなり、
          心筋に十分な血液が流れなくなる病気。
          一般的には激しい胸痛が数分から20分間位続くが安静にして
          いればじきに痛みはなくなる。狭心症そのもので死ぬことは殆ど
          ないが、たびたび発作を起こしていると心筋梗塞に移行すること
          もある。急性心臓死の項参照
○胸水<きょうすい>=胸腔に貯留した液。
○胸腺<きょうせん>=胸骨の後側にある葉状の器官で皮質と髄質とからなり、
          4~5歳から漸次退行して脂肪塊となる。カルシウム代謝の調節、
          骨の成長の促進、性熟に関係あるとされ、バセドウ病、副腎障
          害、白血病などの場合に肥大することがある。
○鋏弾<きょうだん>=鋏で肋軟骨等を切断すること。
○胸椎<きょうつい>=脊椎の項参照
○胸背部<きょうはいぶ>=背部のうち、胸に相当する部分をいう。
○頬部<きょうぶ>=顔のほほの部分。
○胸部<きょうぶ>=体の全面。おおむね肋骨の部分。
○胸腹部<きょうふくぶ>=胸や腹の部分。
○胸腹壁<きょうふくへき>=胸部、腹部臓器を囲む胸、腹膜及び筋肉からなる部分。
○強(鞏)膜<きょうまく>=眼球のいわゆる白目の部分。
○胸膜<きょうまく>=胸腔の内面と肺の外表面を連続して覆う膜。
○胸腰筋膜<きょうようきんまく>=背部浅在部を脊椎に沿い縦走する筋膜。
○棘下筋<きょくかきん>=肩峰下部にあり、肩甲骨から上腕骨へ至る筋肉。
○棘状突起<きょくじょうとっき>=「棘」とはとげのことで脊椎骨が棘のように後方
          に突き出ている部分をいう。=棘突起
○虚血性心不全(虚血性心疾患)<きょけつせいしんふぜん>=心臓は血液を全身
          に送り出す臓器であり筋肉でできている。この筋肉は心臓の周り
          を取り巻いている冠状動脈から血液をもらって栄養や酸素を供
          給し働いている。
          冠状動脈の動脈硬化が起こって心臓の筋肉に一時的に血液が
          往かなくなったり、あるいは行きにくくなる状態を心の虚血といい、
          こうした病気で死亡した場合の診断名。
           虚血性心疾患は狭心症と心筋梗塞に代表される。特に心筋梗
          塞は心筋細胞が壊死にまで至り、激烈な胸痛と高い死亡率を示
          す危険な病気である。病態像の代表的な症状は、まず胸痛であ
          る。狭心症では急いでの歩行、走行、階段の登り、登坂、重い荷
          物を持つなどの労作で誘発されることが多い。労作など誘因とな
          る負荷を除くと数分間で発作は消失し10分以上続くことはない。
          一方、心筋梗塞の胸痛は死の恐怖を伴うほどの激烈な胸痛、絞
          扼感で、15分以上数時間に及ぶことが多い。胸痛は労作と必ずし
          も関係なく、安静中や睡眠中でも起こり、狭心症と異なり安静で
          寛解せずニトログリセリンも無効である。胸痛に伴い迷走神経緊
          張や低拍出により発汗、嘔吐、嘔気、血圧低下、顔面蒼白、不整
          脈とも関連して意識障害などが出現する。発熱は第一病日後半か
          ら第二病日にかけて37~38度程度の出現を見、数日間持続する。
          また、不整脈、心不全、ショック、血栓塞栓症、心外膜炎、心破裂な
          どの合併症が加われば、さらに多彩な症状が出現する。
○距骨<きょこつ>=足根骨のひとつで脛骨に連なる部分。
○鋸歯状<きょしじょう>=創縁などが鋸の歯のようにギザギザになっている状態
          をいう。          
○巨人様化<きょじんようか>=死後死体現象、死体が腐敗ガスによって巨人のように
          膨れ上がった状態をいう。
          夏は3日目以後、春秋は5~7日目頃、冬は1~2ヵ月後に現れ、
          溺死体に著しい。
○鋸断<きょだん>=鋸で切断すること。(頭蓋骨鋸断開検)
○ギランバレー症候群<guillain barreしょうこうぐん>=急性多発性神経炎。四肢の
          運動性、知覚性麻痺として発症。免疫性の抹消神経障害で四肢
          麻痺がそのまま治癒しない場合も多い。
○亀裂<きれつ>=ひびがはいってさけること。(亀裂骨折)
○季肋部<きろくぶ>=臍のやや上方の両側腹で肋骨下部の部分。
○近射<きんしゃ>=近い位置から銃で撃つこと。
○緊張<きんちょう>=臓器等がはっていること。
○筋膜<きんまく>=筋の表面を包む膜で、筋の過度の収縮を防ぐ。
○緊満性<きんまんせい>=臓器などがかたくしまって張り切っている状態。


○グアイヤックチンキ検査法<グアイヤックチンキけんさほう>=青酸化合物検査の
          項参照
○空気栓塞死<くうきせんそくし>=外傷、手術、出産などの際、比較的太い静脈が
          切断されると血管の中に空気が吸引され、重要な血行を塞ぐこと
          によって起きる死。静脈が半裁されて接続しているほど可能性が
          強い。気泡はおおむね肺循環に引っかかり肺は蒼白となり、左心
          室は空になる。
          法医書によれば空気が100cc以上でないと空気塞栓死にはいた
          らないが、死ぬ前に激しい痙攣を伴い急死の症状を呈する。
○空虚<くうきょ>=から。中に何もない状態。(胃内容空虚)
○空腸<くうちょう>=小腸の項参照
○躯幹<くかん>=哺乳類などの身体のうち、頭、手足以外の胴体の部分のこと。
○瘡<くさ>=かさぶたの出来るはれもの。湿疹。胎毒。
○楔状<くさびじょう>=V字型の形をしたいわゆるくさび形。
○屈筋支帯<くっきんしたい>=上下肢の屈筋群の腱上にある強い靱帯で、手首、
          足首にある。
○屈指筋<くっしきん>=指を屈曲させる筋。
○クッシング症候群<cushing'sしょうこうぐん>=副腎皮質より分泌されるステロイド
          ホルモンの過剰による疾患。高血糖、高血圧、満月様顔貌、多
          毛症、中心性肥満などを呈する。
○蜘蛛膜<くもまく>=脳、脊髄の皮膜である髄膜のひとつで、外層の硬膜と内層の
          軟膜の間にある薄い透明な膜。=くもう膜 (蜘蛛膜下出血)
○蜘蛛膜下出血<くもまくかしゅっけつ>=脳底部の動脈瘤や脳の動・静脈の奇形
          によって血管が破れ、蜘蛛膜と軟膜との間(蜘蛛膜下腔)へ出血
          することで、蜘蛛膜下腔の血管の破裂による原発性と脳実質内
          出血の脱出による続発性とがある。
          前者が多く、その原因は頭部外傷、脳血管性障害、腫瘍、火症
          など多彩である。
          出血があると脳圧が上がり、激しい頭痛、嘔吐、痙攣などがあって
          意識がなくなる。
○苦悶<くもん>=苦しみ悶えること。
○クライオサージェリー<cryosurgery>=冷凍手術。液体窒素などで冷凍したメスで
          局所の冷温壊死を起こさせ、壊死部分を自然に除去する方法。
○クラミジア感染症<chlamydiaかんせんしょう>=クラミジアトラコマチスという細菌に
          よる感染症、性行為により感染する。尿道炎、副睾丸炎、前立腺
          炎、子宮頸管炎などを起こす。
          感染症の母親からの新生児は結膜炎や肺炎になり、また、流産の
          原因になる。
○クランケ<kranke>=患者のこと。
○クリプトコッカス症<cryptococcosisしょう>=クリプトコッカスという真菌による急性、
          亜急性、慢性の感染症。肺や全身に真菌症を起こす。
○踝<くるぶし>=足関節の外、内突出部。(外踝、内踝)
○胡桃大<くるみだい>=くるみの実の大きさ。変色部の大きさなどを表す。
○クレアチン<creatine>=脊椎動物の筋肉に多く含まれるアミノ酸の一種。
          多くはクレアチンリン酸の形で存在し、筋肉収縮のためのエネル
          ギー貯蔵の役割をする。
○クレオソート<kreosot>=ブナ属植物の木タールを蒸留して得られる油液。無色
          または淡黄色の透明液で、強い刺激性のにおいがある。
          殺菌、消毒、防腐、去痰、鎮咳剤。
○クレゾール<kresol>=石炭タール、木タールから得られる無色または淡褐色の
          液体。消毒、殺菌、防腐剤として利用。
○クレチン病<cretinismびょう>=胎生期あるいは出産後早期に起こる甲状腺機能
          低下症。知能障害、発育障害を引き起こし、患者は小人症となり、
          独特の顔貌を呈する。
          ヨード摂取量の不足、甲状腺の先天的形成不全等が原因となる。
○クロールデン<chlordane>=有機塩素化合物の一種。無色、無臭の液体。
          猛毒で、シロアリ駆除剤に用いられる。
○クロールピクリン<chlorpikrin>=気化して刺激性、催涙性のガスを発する、無色
          油状の液体。穀物などの殺虫殺菌剤、殺人用の毒ガスなどに
          使用する。
○クローン病<crohnびょう>=主として若い成人に見られる原因不明の疾患。
          潰瘍形成を伴う肉芽腫性炎症からなり、消化管のあらゆる部位
          を冒し、特に肛門部病変が高率に見られる。


○頸窩<けいか>=胸骨上窩。
○鶏姦<けいかん>=男娼と交接すること。おかまを相手に肛門性交すること。
○頸骨<けいこつ>=くびの骨。
○脛骨<けいこつ>=下腿前側。いわゆるすねの骨。
○経産婦<けいさんぷ>=分娩(お産)を経験した婦人。
○茎状突起<けいじょうとっき>=尺骨、橈骨の先端の突起した部。側頭骨の根部
          にある突起物。
○頸静脈<けいじょうみゃく>=頸部をはしる静脈、内頸静脈、外頸静脈がある。
○頸神経叢<けいしんけいそう>=第1~第4頸神経からの枝の一部が絡み合って
          できたもの、側頸部にある。
○頸切痕<けいせっこん>=胸骨上縁の切れ込み。
○ケーソン病<caissonびょう>=高圧空気中で呼吸していた人が、急に大気圧に戻る
          時に起こる疾患。ケーソン(潜函)中での工事に従事する人や、潜
          水夫に起こる。症状はしびれ、呼吸困難、麻痺など。潜函病。
○頸椎<けいつい>=脊椎の項参照
○頸動脈<けいどうみゃく>=頸部をはしる動脈。心臓から出て上方に向かう上
          行動脈が左右の総頸動脈に分かれ、更にその先で内頸動脈、
          外頸動脈に分かれる。
○頸部<けいぶ>=いわゆる首の部分。前頸部、側頸部、後頸部に区分する。
○頸部器官<けいぶきかん>=喉頭、咽頭、甲状腺、食道、気管など頸部に存する
          諸器官の総称。
○鶏卵大<けいらんだい>=鶏の卵の大きさ。変色部の大きさなどを表す。
○痙攣<けいれん>=ふるえること。筋肉が病的に収縮すること。全身性と局所性の
          ものがある。てんかん、脳内出血、脳梅毒、脳腫瘍などの病気で
          おき、窒息死等の急死においても生ずる。
          溢血点の発現や失禁などに関係する。
○芥子の実大<けしのみだい>=けしの実の大きさ。変色部の大きさなどを表す。
○血液<けつえき>=血管内を流動する赤色液状の一種の組織。血液の色は主とし
          て赤血球中に含まれる血色素によって定まる。
                 ┏ 赤血球     ┓
           ┏ 血球┫ 白血球    ┣ 血餅(血塊)
     ※成 分┫    ┗  血小板    ┃
            ┃    ┏  繊維素原  ┛
           ┗ 血漿┫
                 ┗  血 清
       ※機 能=各組織における新陳代謝(酸素、栄養、ホルモンなどの運搬と
       炭酸ガスなどの老廃物の排泄)の媒介をする。
     ※血液の量=普通成人の場合、体重の1/12ないし1/13といわれる。
     ※失血と致死量=血液が急速に失われる場合の生命危険度は
       全血液量の1/4以内は自然回復
              1/3以上は危険
              1/2以上は死亡
       とされるが動脈出血の場合は1/4以内でも危険の場合があり、静脈
       出血のみでは1/2くらい出血しても救命したこともある。
     ※赤血球=酸素を生体組織に供給する役目。骨髄で生産され肝臓、脾臓
       で破壊される。血液1㎣中に平均450万個(♀)から500万個(♂)が含ま
       れる.。
     ※白血球=病原体に対する抗体(免疫体)の役目。骨髄で生産される顆粒
       白血体と、リンパ組織で生産されるリンパ球のほか単球がある。
       血液1㎣中に5,000個から9,000個含まれる。
     ※血小板=粘着と凝集の役目で出血に際し血栓を形成する。
       また血小板中のヒロトニンが血管を収縮する。骨髄中の巨核球から
       細胞質の中の一部がちぎれるような形で生成される。寿命は2週
       前後。血液1㎣中に20万個から50万個が存在する。
○血液型<けつえきがた>=血液中に存する抗原の差によって血液を何種類かに
          分類することができる。これを血液型という。親と子の間には一定
          の図式があり、血液型が決まる。
     ※分泌型・非分泌型=精液、膣液、唾液、糞尿等からも血液型が判定でき
       るが、人によって体液の中に血液型物質を持っていない者もある。
       これを非分泌型という。      
○血液凝固<けつえきぎょうこ>=血液が自らの凝固作用により固まること。
○血液就下<けつえきしゅうか>=心臓が停止することにより身体の血液が重力の
          作用で下方に下がること。外表からは死斑として見える。
○血液循環<けつえきじゅんかん>=血液が心臓から出て心臓に変える循環は、
          次のように二大別される。
     ①小循環(肺循環)=右心室→肺動脈→肺胞毛細血管→肺静脈→左心房
       なお、肺胞毛細血管通過前は静脈血で、通過後は動脈血である。
     ②大循環(体循環)=左心室→大動脈→体各部の動脈→各組織の毛細血
       管→体各部の静脈→上大静脈と下大静脈→右心房
       なお、心臓は冠状動脈により、また、肺臓は気管支動脈によって栄養
       を受ける。これらの動脈は大循環の一部である。
○血痂<けっか>=出血した血液が固まってかさぶた(痂皮)状を呈しているもの。
○月経<げっけい>=子宮内膜から定期的に出血する生理現象。
○結合組織<けつごうそしき>=器官の間を結合あるいは充填する組織。
○血痕<けっこん>=血のあと。
○血腫<けっしゅ>=皮下、筋肉組織内に出血した血液の一部が多量に溜まったた
          めこぶのように腫れあがったもの。
○血小板<けっしょうばん>=血液の項参照
○血清<けっせい>=血液から得られる黄色透明液。
○血性粘液<けっせいねんえき>=血液の混じった粘液。
○結石<けっせき>=腎臓や胆嚢等の身体の中にできる石のような固いもの。
○結腸<けっちょう>=大腸の項参照
○血餅<けっぺい>=固まって餅のようになった血液。
○血様液<けつようえき>=血液とは判定できないが血液のような赤い液体(鑑定が
          なされる以前に使う)
○ゲルトナー菌<gartnerきん>=サルモネラ菌の一種。腸炎菌ともいい、食中毒の
          原因菌のひとつ。
○ケルニッヒ反応<けるにっひはんのう>=泥酔者か脳内出血患者かを判定する
          方法。脳内出血の場合は両足を伸ばしたまま、片足を約40cm
          持ち上げると苦悶の表情を表し、泥酔者の場合は表情に変化が
          ない。
○ケロイド<keloid>=表面のつやつやした淡紅色あるいは暗褐色の皮膚上の硬い
          腫瘤。切創、やけど、潰瘍の治ったあとにできる。
○腱<けん>=筋肉が骨に付着するところにある強靭な結締組織のすじ。(アキレス腱)
○検案<けんあん>=医師が検死の立会いをして死体について死亡の事実を医学的
          に確認すること。
○眩暈<げんうん>=目がくらむこと。めまいを起こすこと。
○限局性<げんきょくせい>=部分的にとどまる状態。(限局性出血)
○肩甲骨<けんこうこつ>=左、右肩の後ろにあって腕と胴体とを結合する扁平な
          三角の骨。
○肩甲骨下角<けんこうこつかかく>=肩甲骨下端の部位名。
○腱索<けんさく>=心臓の房室弁と乳頭筋を結ぶ組織。
○犬歯<けんし>=歯牙の項参照
○検視<けんし>=検死には検視規則に基づく司法検視と死体取扱規則に基づく
          行政検視がある。
     ※司法検視=刑事訴訟法第229条に基づき死因が犯罪に起因するもの
       であるかどうか五官の作用によって死体の状況を調べる処分をいう。
     ※行政検視=一定の行政法規に基づき変死体および犯罪死体以外の
       不自然死体につき、公共の福祉、公衆衛生等の立場から行なわれる
       行政措置としての死体の見分をいう。
○犬歯筋<けんしきん>=口角を引き上げる筋肉。
○腱鞘<けんしょう>=手足の筋の長い腱の周囲を包む鞘状の薄い膜で、内部の滑
          液は腱の運動をなめらかにする。
○剣状突起<けんじょうとっき>=胸骨下端の剣のようになった骨の部分。
○捲退<けんたい>=大網が上方にまき退いている状態。
○倦怠<けんたい>=疲労感や、飽きてだらけること。
○弦長<げんちょう>=創傷などが弧状をなす場合、創端を直線で結んだ長さ。
○幻聴<げんちょう>=外界に音を出すものが無いのに、あるいは話しかける者が
          居ないのに音や声を聞こえたように感じること。
○減張切開<げんちょうせっかい>=火傷の際に皮膚などが引きつれて張ってしま
          ったり、収縮を起こしてしまったりするのを和らげるために表皮に
          切込みを入れて張りを弱めること。
○肩峰<けんぽう>=肩の上端、腕の付着部。
○腱様滑沢<けんようかったく>=内臓等がつやつやしてなめらかな状態。
          腱のように白く輝いてなめらかなこと。


○硬化<こうか>=正常より硬くなっている状態。
○口蓋<こうがい>=口の中の上側部分。
○口蓋扁桃<こうがいへんとう>=口蓋垂の後方両側にある。
○口蓋垂<こうがいすい>=のどちんこ。
○口角<こうかく>=口唇の外端。
○項窩部<こうかぶ>=後頸部髪際のくぼんだ部。=ぼんのくぼ。
○睾丸<こうがん>=生殖器の項参照
○口峡<こうきょう>=口腔(口の内部)と咽頭(鼻腔、口腔の後下部)との境。
○咬筋<こうきん>=下顎骨をあげ、噛むときに働く。
○口腔<こうくう>=口のなか全体をいう。
○口腔腺<こうくうせん>
     ※粘液腺=くちびる・ほお・舌・口蓋などの粘膜に分布。
     ※唾液腺=#耳下腺(一対)→頬の上部に開く。
            #顎下腺(一対)→舌下の奥に開く。 
                         #舌下線(一対)→舌下の奥に開く。
       顎下腺、舌下線は排出管が合一する。
○口腔前庭<こうくうぜんてい>=歯列と歯槽との前方(外側)をいう。
○口腔粘膜<こうくうねんまく>=口の中の粘膜。
○絞頸<こうけい>=索状物で頸部を絞めること。
○広頸筋<こうけいきん>=口および下唇を引き下げる。
○後頸部<こうけいぶ>=首の背部。
○硬結<こうけつ>=硬く結ぶこと。
○高血圧<こうけつあつ>=160/95mmHg以上を高血圧というが(高血圧治療ガイド
          ラインでは、収縮期血圧140mmHg、拡張期血圧90mmHg以上とさ
          れているが、法医学的には若干低目と思われる)、原因の明らか
          でない本態性高血圧と、原因が明らかな二次性高血圧に大別さ
          れる。本態性高血圧は原因が不明であり、ある程度遺伝的素因
          を持ち、30歳代の後半ないし40歳代から始まり、徐々に進行し、
          心臓、腎臓、脳などの重要臓器に血管性病変を起こしてくる。
          高血圧患者の8~9割はこの本体性高血圧であるが、ただ30歳代
          以下のいわゆる若年性高血圧では、二次性高血圧の頻度は高く
          なる。二次性高血圧は、①腎臓(腎実質性、腎血管性、腎周囲性、
          腎腫瘍性、尿路閉塞性)、②内分泌性(原発性アルドスステロン症、
          クッシング症候群、褐色細胞腫)、③心血管性(大動脈炎症候群、
          大動脈縮窄、大動脈弁閉鎖不全)、④神経性(脳出血、脳腫瘍、
          脳圧亢進)などに分類される。
          本態性高血圧の発作は極めて緩徐で、大部分の例では無自覚
          のまま経過し、健康診断などで初めて高血圧を指摘されることが
          多い。自覚症状としては頭重感、のぼせ、めまい、肩こり、頭痛、
          動悸等の不定愁訴が一般的で、また倦怠感、不眠、情緒不安定
          などの症状が見られる。しかし、個人差があり、必ずしも高血圧
          の程度、重症度とは一致をみない。
          高血圧が長年にわたって持続すると諸臓器に特有な病変が生じ、
          それに伴う症状が出現してくる。特に心臓、腎臓、脳などの重要
          臓器に血管病変が生じ、狭心症、心筋梗塞、鬱血性心不全、
          腎硬化症、腎不全、脳出血などを合併し、予後を左右する重大
          な鍵となる。
          二次性高血圧では患者によって、おのおの特有な臨床症状の
          出現を見る。
          腎性高血圧では、蛋白尿、腎機能障害、浮腫などが、原発性
          アルドステロン症では、低K血症に伴う四肢脱力感や周期性四肢
          麻痺症状などが出現する。クッシング症候群では肥満、満月様
          顔貌、多毛、皮膚線状などが、褐色細胞腫では血圧の動揺が著
          しく、高血圧の出現時に心悸亢進、瀕脈、発汗、頭痛、顔面蒼白
          などの症状が発作的に出現することが特徴である。
          大動脈炎症候群や大動脈縮窄症では、脈拍の左右差や上肢と
          下肢、左右での血圧の差異が認められる。
○咬合<こうごう>=歯の咬み合わせのこと。年齢推定に活用できる。
○絞痕<こうこん>=索状の圧迫、擦過等によってできた頸部の表皮変色、陥凹部
          をいう。
○虹彩<こうさい>=眼の瞳孔径を変化させる部位。
○絞死<こうし>=首に紐等の索状を巻きそれを引き締めて窒息死する死に方。
          通常は他為であるが、自為によることもある。(自絞死、絞殺)
          死体所見としては、
      #索溝が水平輪状に頸部を一周以上囲繞し、交差部や結節部が明瞭で
       ない場合もある。
      #顔面は鬱血腫脹。
      #眼球、眼瞼結膜に溢血点が著名。
      #死斑が顕著。
      #脱糞、失禁が多い。
○ゴーシェ病<gaucherびょう>=小児慢性特定疾患のひとつ。酵素の先天性欠損に
          より大食細胞にグリコセレブロシドが蓄積する難病。肝脾腫、リン
          パ腫症、骨変化を生じる。
○後耳介筋<こうじかいきん>=耳介後部から乳様突起に至る筋。
○後縦隔<こうじゅうかく>=前縦隔の項参照
○咬傷<こうしょう>=昆虫類によって咬まれた傷。=咬虫痕
○甲状腺<こうじょうせん>=甲状腺ホルモンを分泌する内分泌腺。
          喉頭の前下部、気管の左右両側に位置する馬蹄鉄状に突出して
          発育した甲状軟骨前部の内分泌気管。甲状腺ホルモンは身体の
          発育および新陳代謝に関係があり、これが欠乏すると発育障害を
          起こし、多すぎるとバセドウ病を起こす。
○甲状軟骨<こうじょうなんこつ>=後頭部の前部および左右側部の壁を構成する扁
          平方形の軟骨(頸部圧迫による窒息の場合に骨折することがある)。
○甲状披裂筋<こうじょうひれつきん>=甲状軟骨から披裂軟骨へ至る発声に関与す
          る筋肉。
○口唇<こうしん>=上下の唇のこと。
○口唇前庭<こうしんぜんてい>=口腔内歯齦から下口唇にかけての粘膜部。
○項靱帯<こうじんたい>=頸椎上部で後方へ張り出す靱帯。
○口唇粘膜<こうしんねんまく>=くちびるの口腔内粘膜部分。チアノーゼ、溢血点の
          好発部。
○硬性索溝<こうせいさっこう>=比較的細くて固い索条によってできる索溝。革皮化、
          表皮剥脱を伴う。
○後正中溝<こうせいちゅうこう>=脊髄、延髄の背面正中にある溝。
○咬舌<こうぜつ>=舌を咬むこと。縊死の場合に舌先を咬んでいる状態。
○厚層<こうそう>=層が厚いこと。多いこと。(厚層の出血)
○コーチゾン<cortisone>=副腎皮質ホルモンの一種。無色の柱状結晶。
          抗炎症、抗アレルギー作用のため、リューマチ性関節炎、喘息、
          皮膚疾患などに用いられるが、高血圧、糖尿、精神異常などの
          副作用もある。
○後肘部<こうちゅうぶ>=ひじのうしろ。
○硬直<こうちょく>=筋肉が硬くなって動かなくなること。
          死体硬直は死後の時間経過と共に筋肉等が硬くなり関節部が
          動かなくなる死体現象。顎関節に始まり、だんだん下方に進み、
          最後に指趾の小関節に至るのを下行性といい、これと反対に
          下肢に始まってだんだん上方に進み顎に至るのを上行性という。
     ※死体硬直と死後経過時間(推定経過時間)
         30分   一般的には発現しない。
        1時間   下顎に軽く発現する。          再硬直する。
      2~3時間   下顎、頸部に発現する。        同 上
      4~5時間   上肢の関節にも発現する。       同 上
      7~8時間   下肢の関節にも発現する。       再硬直は起きない
     10~12時間   全身の諸関節に強く発現し24時間
               位迄は最強状態を持続する。     同 上
        24時間   夏季は下顎(下行性)が緩解し始め
               冬季はなお硬直が強く残る。      同 上
        30時間   上肢の緩解が始まる。           同  上
        48時間   下肢の緩解が始まる。          同 上
          3~4日   全身の硬直が消失する。        同 上
○硬度<こうど>=かたさ。
○喉頭<こうとう>=前頸部中央の第3頸椎の間にあって三角漏斗状をした器官。
          空気を通し内部に発声器官がある。
○喉頭蓋<こうとうがい>=器官の最上部にある軟骨でできたもの。
○後頭窩(下)穿(窄)刺<こうとうかせんし>=小脳延髄槽穿刺法のひとつで頓死の
          疑いがある死体について脳内出血の有無を検査する方法。後頭
          部の上端から脳の小脳延髄槽に注射針を刺して、髄液を採取す
          ること(血液混入の有無により脳出血の存在を判定する)。
○喉頭筋<こうとうきん>=腱膜を後ろに引く。
○喉頭結節<こうとうけっせつ>=のどぼとけ。
○後頭孔<こうとうこう>=脊髄の通る頭蓋骨下面の孔。
○後頭骨<こうとうこつ>=頭蓋骨のうち後頭部後下方の人字(ラムダ)縫合に囲まれ
          た部分の骨。
○喉頭軟骨<こうとうなんこつ>=喉頭蓋(会厭軟骨)、甲状軟骨、披裂軟骨、輪状軟骨
          など喉頭の諸軟骨をいう。
○喉頭粘膜<こうとうねんまく>=気管の上端にあり、咽頭に連続する部分。
○後頭葉<こうとうよう>=脳のうち大脳の項参照
○喉頭隆起<こうとうりゅうき>=前頸部中央に突出する部分。=のどぼとけ
○硬脳膜<こうのうまく>=頭蓋骨に接して脳を取り巻いている硬質の膜。
○広背筋<こうはいきん>=胸、腰椎の後方および仙骨、腸骨に始まり上腕骨へ
          到る上腕を動かすための筋肉。=骨格筋、背
○後肺底区<こうはいていく>=左右肺の下葉部の区域。
○紅斑形成<こうはんけいせい>=熱や低温により皮膚の一部が赤くなった状態。
○広汎<こうはん>=広い範囲のこと。
○後鼻孔<こうびこう>=咽頭への出口にある一対の孔。
○項部<こうぶ>=うなじと同じ。
○後腹膜<こうふくまく>=腹膜の後の部。
○コーマ<coma>=完全な意識喪失の状態。一見熟睡と似ているが、熟睡の場合は
          刺激を加えれば覚醒するのに対し、コーマではいかに強い刺激を
          加えようとも、原因が取り除かれない限り覚醒することが無い。
○硬膜<こうまく>=頭蓋骨と脳蜘蛛膜の間にあって脳を包んでいる硬い膜。
○硬膜外出血<こうまくがいしゅっけつ>=硬膜動脈または静脈洞の破裂によって起
          こる。血管の損傷は局所打撃のほか、他の部位に作用した外力
          による振動波、あるいは頭蓋骨骨折によって動脈を切断すること
          によって起こる。動脈血圧が頭蓋骨と硬膜の強い癒着にうち勝って
          その間に血液が溜まり、血腫形成し脳を圧迫する。
          約100ccの血腫で死亡する。
○硬膜下出血<こうまくかしゅっけつ>=硬膜と蜘蛛膜との間の出血。大部分は頭部
          外傷によるが、稀には硬膜下腔にある脳動脈瘤の自然破裂によっ
          て起こる。出血を起こす血管は硬膜血管と脳表面の硬膜との間の
          硬膜下腔を走っている静脈や動脈であって血腫を形成し脳を圧迫
          する。約100ccの血腫で死亡に至る。
○咬耗度<こうもうど>=歯をかみ合わせることにより歯の上面が磨り減った度合い。
          死体の年齢推定ができる。
    #磨耗度  #磨耗状況                        #推定年齢
      0度    磨耗の無い状況                                          20 歳以下               
      1度    琺瑯質のみ磨耗している状況                         20~30歳
             2度    象牙質の一部が露出している状況                   30~40歳
             3度    全面的に象牙質が露出している状況                50歳前後
             4度    磨耗が歯頸部の近くまで及んでいる状況     70歳前後
○肛門<こうもん>=大腸の項参照
○口輪筋<こうりんきん>=口裂を輪状に取り巻く筋肉で、唇の開閉作用をする。
○股関節<こかんせつ>=大腿骨上端部と腸骨が接するところの関節でいわゆる
          「また」関節。
○呼吸緩除<こきゅうかんじょ>=呼吸が徐々に失われてゆく様子。
○呼吸麻痺<こきゅうまひ>=筋肉または神経の障害により呼吸が出来なくなること。
○午後<ごご>=慣用語として使う場合には、13時から日没1時間前までを言う。
○鼓室<こしつ>=中耳の腔空。
○弧状<こじょう>=弓状に曲がった状態。
○午前<ごぜん>=慣用語として使う場合には、9時から11時の間。
○五臓六腑<ごぞうろっぷ>
     ※五臓=肺、心臓、脾臓、腎臓、肝臓。
     ※六腑=胃、胆嚢、小腸、大腸、三焦、膀胱。
○骨性外耳道<こつせいがいじどう>=外耳道のうち、側頭骨により壁をなす部分。
○骨折<こっせつ>=骨が折れることでその状態により色々な種類がある。
     ※複雑骨折=骨が何片にも折れているもの。
     ※単純骨折=骨の一箇所がきれいに折れているもの。
     ※線状骨折=線状にひびが入って骨折しているもの。
     ※亀裂骨折=骨に裂け目の入った骨折。
     ※穿孔骨折=穴が開いたように骨の一部が落ち込んでいるもの。
     ※陥没骨折=骨の一部が引っ込んでいるもの
      #穿孔骨折、陥没骨折とも医学書によると約4cm内外以下の打撃面の
       鈍器によるものとされる。 
     ※陥凹骨折=骨折部の外辺骨が正常骨と接した状態で引っ込んでいる
       もの。
     ※粉砕骨折=骨がばらばらの状態に砕かれている骨折。
○骨粗鬆症<こつそしょうしょう>=骨中のカルシウム分が血液中に溶け出すなどし
          て骨がもろくなり軽石のようになってしまう病気。
          背骨がつぶれて変形したり、身長が短くなったり骨折しやすく(とく
          に脊椎)なったりする。女性に多くカルシウムの摂取不足やホル
          モンのバランスの乱れなどが原因。
○骨頭<こっとう>=大腿骨、上腕骨などの上端。
○骨の形状<こつのけいじょう>
     ※長骨=例・・大腿骨・上腕骨
     ※短骨=例・・手根骨・足根骨
     ※扁平骨=例・・頭頂骨・前頭骨
○骨の連結法<こつのれんけつほう>
     ※縫合=例・・頭蓋の諸骨
     ※軟骨結合=例・・脊椎
     ※関節=例・・上腕骨と前腕骨
○骨盤<こつばん>=寛骨、仙骨、尾骨からなる骨で、腹の臓器を支えているところ。
          恥骨下角によって男女を区別できる。
          男性は鋭角(75度前後)、女性は鈍角(90から94度)である。
○骨半規管<こつはんきかん>=内耳の一部。
○骨盤腔内腹膜<こつばんくうないふくまく>=骨盤腔内の臓器を包む腹膜。
○骨片<こっぺん>=骨のかけら。
○骨膜<こつまく>=骨を覆い包んでいる膜。頭頂骨の外側の膜。
○股動脈<こどうみゃく>=大腿動脈
○ゴノコッケン<gonokokken>=性病である淋病の病原菌。
○鼓膜<こまく>=外耳道と中耳腔を区画する薄い膜で空気の振動に伴って振動して
          音を伝える。
○鼓膜張筋半管<こまくちょうきんはんかん>=鼓膜張筋が納まっている骨の管。
○固有肝動脈<こゆうかんどうみゃく>=後肝動脈の枝。
○コラーゲン<kollagen>=動物の体皮、軟骨、腱等を構成する繊維状の硬蛋白質。
          にかわの原料、膠原質。
○コリン<choline>=シロップ状で魚臭のある化合物。脳、肝臓、卵黄、種子などに
          含まれ、細胞膜の浸透圧の調整、脂肪肝予防因子としての作用
          をもつ。
○コルサコフ症候群<korsakovしょうこうぐん>=物忘れがひどく、時間や場所の観念
          がなくなり、口から出まかせの話をするようになる一群の症状。
○ゴルジ体<golgiたい>=生物の細胞質内に見られる粒状または網状の小体。
          脊椎動物の神経細胞や腸などの分泌細胞に見られ、分泌物や
          排泄物の形成に関係すると考えられている。
○ゴルドン氏反応<ゴルドンしはんのう>=泥酔か脳内出血による患者かの判別法。
          排腹筋(ふくらはぎ)を手に力を入れてつかむと脳内出血がある
          ときは足の趾先を開き、泥酔のときは足の趾先を内側に曲げる。
○コレステロール<cholesterol>=高等脊椎動物の脳、神経組織、副腎血液中などに
          多く含まれるステリンの一種。脂肪のような感じのする白色光沢の
          ある鱗片状の結晶。生体に不可欠な役割を果たすが、血中の濃度
          が高まると動脈硬化症の原因になる。
○コレラ<cholera>=コレラ菌の感染による感染症。半日~2日間ぐらいの潜伏期の
          のちに、突然に腹痛、下痢が始まり、激しい吐き気と米のとぎ汁の
          ような大量の下痢便をみる。熱はあまり高くならない。身体から水分
          が失われるため皮膚は乾燥し、眼はくぼみ、口の渇きがはなはだし
          い。コレラ菌は吐いた物と大便の中に出され、これが更に感染のも
          ととなる。発病後1~2日で死亡することもある。
○コン症候群<connしょうこうぐん>=副腎皮質に生じた腫瘍により、アルドステロン
          (ステロイドホルモンの一種)が過剰に分泌される病態。
          高血圧、多飲、多尿、筋力低下や知覚異常をきたす。
○昏睡<こんすい>=意識を失ってさめない状態。
○混(涸)濁<こんだく>=にごること。(角膜混濁)
○コントルクー<contusion・衝撃側損傷>=対側打撃のこと。たとえば左側頭部を
          強打すると右側頭葉の脳に損傷が出ること。 
  

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法医学リーズン《87》・さ~と

・・・常時編纂更新中・・・

○サーファーズイヤ<surfer's ear>=耳の骨の異常増殖により、外耳道が狭くなる
          症候。潜水時に水が耳の奥まで入らないようにする生態防御反
          応。軽いうちは耳から水が抜けにくい程度だが、次第に外耳炎を
          起こしやすくなり、穴が更に小さくなると水で膨れた耳垢が穴を
          ふさぎ、耳が聞こえなくなる。サーファーに多く見られる。
○サーモグラフィー<thermography>=体表面温度測定装置。体表面より放射され
          る赤外線を測定して、体表面の温度分布を測定する装置。温度
          分布の異常から病気を診断する。
○サーロインステーキ症候群<sirloin steak しょうこうぐん>=歩くことが不足した結
          果、足腰を支える大腿四頭筋や背筋が霜降りになってサーロイン
          化してしまうこと。頭痛、肥満、ポックリ病など多くの病気を誘因す
          る。医学用語としては大腿四頭筋症候群が用いられる。
○臍<さい>=へそ。
○臍窩<さいか>=へそのくぼみ。
○細気管支<さいきかんし>=気管支の項参照
○細隙状<さいげきじょう>=眼を細く開けている状態。
○再硬直<さいこうちょく>=死後、硬直したが、他為的に動かされていったん緩解
          したものが、その後、再び硬直すること。
○截痕<さいこん>=創口の縁に存する小さな切り痕。
○臍静脈<さいじょうみゃく>=胎生期に臍帯を通して胎内に入っていた静脈。
○臍帯<さいたい>=へその緒。胎児と胎盤を結ぶ索状物で胎児の臍輪から出て
          胎盤に付着する。成熟児で長さ50cm前後、太さ直径1.5cmである。
          墜落分娩のときは約70%の割合で児側の1/3位の所の臍帯が
          断裂するといわれている。
○サイドエフェクト<side effect>=副作用。薬物の投与により生体に生ずる作用の
          うち、治療上不必要なもの、あるいは治療の障害となるような
          作用をさす。
○左外頸動脈<さがいけいどうみゃく>=左側の頸部を流れる頸動脈のうち顔面、
          頭皮へ行く動脈。
○左下肺静脈<さかはいじょうみゃく>=左肺下葉から左心房へ至る静脈。
○左冠状動脈の前室間枝<さかんじょうどうみゃくのぜんしつかんし>=左冠状動脈
          の太い枝のうち、左室と右室を分ける中隔の前面を通っている物。
○索溝<さくこう>=絞頸又は縊死等において索条によってできた凹んでいる溝状
          の部分。
○索条<さくじょう>=紐のことで検視などでは絞頸や首つり等に使用されたものを
          いう。
○桜実大<さくらんぼだい>=サクランボの大きさ。変色部等の大きさを表す。
○酒酔<さけよい>=血液中にアルコールが浸入し、これが体内に循環して脳の働
          き、とくに中枢の働きを麻痺させることによって起こる状態をいう。
          酒酔いの症状は、酒の種類、酒暦、飲酒時の雰囲気、健康状態、
          生活環境、食事の前後等の諸条件によって個人差があり、飲酒
          量と酩酊度は一致しない。
○鎖骨<さこつ>=前胸部上方の水平に走るS字に屈曲した長い骨で胸骨と肩峰を
          連結している骨。
○坐骨<ざこつ>=骨盤を構成する臀部の骨で長骨の下に結合して寛骨の一部を
          なす。
○鎖骨下静脈<さこつかじょうみゃく>=上肢から上大静脈に通ずる鎖骨の下を通る
          静脈。
○鎖骨下動脈<さこつかどうみゃく>=上行大動脈から上肢に通ずる鎖骨の下を通る
          動脈。
○左室<さしつ>=左心室のこと。
○左腎<さじん>=左側の腎臓のこと。
○左心耳<さしんじ>=左心房に袋状に付属しているもの。
○左心不全<さしんふぜん>=左心室の収縮能の低下や拡張期抵抗の増大に
          よって、心送血量が低下し右心送血量を十分に処理できなく
          なることによって生じる肺鬱血である。
          左心室の拡張末期圧が上昇し、これが左心房圧の上昇、更に
          肺毛細管圧の上昇を招き、肺コンプライアンスの低下やガス交
          換障害が発生する。したがって左心不全の症状は呼吸困難、
          咳嗽、起座呼吸、血痰などどある。
          呼吸困難は最も重要な症状で、労作時の軽い息切れから夜間の
          呼吸困難まで多彩であるが、なかでも夜間臥床中に起こることが
          特徴である。          
○挫創<ざそう>=創傷の項参照
○擦過傷<さっかしょう>=創傷の項参照
○サディズム<sadism>=相手に苦痛を与えることで性的満足を感ずる異常性欲。
          この症状を作品に取り上げたフランスのマルキ=ド=サドの名にちな
          んで命名。また、一般に、他人を極端に攻撃したりいじめたりして
          喜ぶような性質、傾向。
○サドンデス<sudden death>=急死。突然の死。
○蛹<さなぎ>=完全変態を行なう昆虫類の幼虫が成虫になる途中で食物の摂取を
          やめ、脱皮して静止しているもの。蛆の項参照
○サナトリウム<sanatorium>=療養所、特に結核療養所。
○挫滅輪<ざめつりん>=銃創の射入口に見られる痕跡。創傷の項銃創部参照
○サリドマイド<thalidomide>=非バルビツール酸系の緩和な催眠作用を持つ睡眠剤。
          1958年つわり防止薬として発売されたが、出生児にアザラシ肢症を
          主とする子供が生まれて、使用が禁止された。
○サルコイドーシス<sarcoidosis>=原因不明の全身疾患。青年層に多く発病し、肺、
          リンパ節、眼、唾液腺、心臓、神経などに小結節ができる。
○サルファ剤<sulfa ざい>=病原菌の増殖を食い止め、正常細胞の防御機能を発揮
          させる作用を持つ合成化学療法剤。ブドウ球菌、連鎖球菌、淋菌、
          大腸菌、赤痢菌などに対して強い効力を持つが副作用も強い。
○サルモネラ菌<salmonella きん>=細菌類、桿菌科の好気性細菌の一属。飲食物や
          手指等に付着して経口感染し、全身性の病気や、食中毒や急性腸
          炎を起こす。
○挫裂創<ざれつそう>=創傷の項参照
○三角筋<さんかくきん>=肩の筋肉。上腕を側方に水平に上げる。
○残根状<ざんこんじょう>=虫歯の根等が残っている状態。
○残渣<ざんさ>=消化又は消化しないで残っているもの。(食物残渣)
○三叉神経<さんさしんけい>=眼神経、上顎神経、下顎神経の総称。
○蚕食<さんしょく>=蚕が桑の葉を食べるように、次第に侵略していくこと。
○酸性フォスターゼ反応<さんせいふぉすたーぜはんのう>=膣内容液に精子が
          発見されない場合に性交の有無を証明する方法。
          酸性フォスターゼは精液中の前立腺分泌液に多量に含まれる
          物質リンサンエステルを分解検出する酸素で陽性を示せば精液
          の存在を証明する。
○三尖弁<さんせんべん>=右房心弁
○酸素欠乏症<さんそけつぼうしょう>=一定量以下の酸素含有空気を呼吸した
          ために起きた体組織の酸素不足状態をいう。=低酸素症
     ※酸素含有量=普通空気中の酸素含有量は21%である。
          15%以下・・・呼吸数増加
          14%以下・・・要注意限界
          11%以下・・・呼吸困難
          7%以下・・・窒息死の危険性   
○散大<さんだい>=死後、瞳孔が広がること。
○サンプラチナ<sanplatinum>=クロムを含むニッケルの合金で歯科材料のひとつ。
          銀白色で、歯にかぶせて用いる。=サンプラ
○産瘤<さんりゅう>=出産直後の嬰児の頭頂部に出来る鶏卵大以下の血腫。
          難産ほど大きく生後1日から2日で著しく小さくなり、やがて吸収さ
          れる。墜落産の場合はほとんど見られない。


○指圧<しあつ>=皮膚を指頭で圧迫押すこと。死体の死斑を指圧し転移するかし
          ないかによって死後時間の推定ができる。
○シアノコバラミン<cyanocobalamine>=コバルトを含むビタミンB₁₂の化学名。
          肝臓、乳、海藻などに多く含まれる水溶性の暗赤色結晶。欠乏す
          ると悪性貧血を引き起こす。
○シアン化カリウム<potassium cyanide>=カリウムのシアン化物。青酸カリ。猛毒。
          銀、銅の電気メッキ、湿板写真の定着、分析試薬等に用いる。
○シアン化ナトリウム<sodium cyanide>=ナトリウムのシアン化物。無色の結晶で
          鋼の焼き入れ、金、銀の冶金、農薬などに広く用いられる。
          青酸ナトリウム、青酸ソーダ。
○シーハン病<sheehan's びょう>=分娩後に起こる脳下垂体前葉のホルモン分泌
          機能がほぼ全面的に低下する致死的疾患。無月経で初発し、全
          身の脱毛、極度の痩せ等をきたし、数ヶ月から一年で死亡する。
○死因<しいん>=死亡した原因。
○シェーグレン症候群<sjogren's しょうこうぐん>=慢性関節リューマチなどの膠原病
          に涙と唾液の分泌低下を伴った原因不明の慢性疾患。中年以降
          の女性に多い。
○ジェネティックコード<genetic code>=遺伝暗号。遺伝子の本態であるDNAの塩基
          配列。
○歯牙<しが>=歯のこと。琺瑯質(エナメル質)、象牙質、歯髄、白亜質(セメント質)
          からなり、人は生涯で総計52本が生える。
     ※乳 歯=生後2~3年で歯の形ができあがり、小児の頃に使われる歯で
           上下20本である。
     ※永久歯=乳歯と交代して6歳ごろから25歳ごろまでに生える歯で上下32本
           である。しかし、第3大臼歯(智歯、親知らず歯)は人によって生え
           たり生えなかったりするので32本よりも少ないこともある。
     ※歯 冠=歯のエナメル質の部分。
     ※歯 齦=(しぎん)歯ぐきのこと。
     ※歯 列=歯並び。
     ※歯 根=歯ぐきに包まれた部分。
     ※歯 髄=歯の象牙質内方の中心にある。俗にいう神経。
○哆開<しかい>=創傷の創口がぱっくり開いている状態。
          生体では組織に弾力性があるので破綻(はたん)を生じた部位
          の組織が収縮して口を開けることから、生活反応といわれる。
○耳介<じかい>=顔の左右に突出する軟骨組織の周音装置。=耳翼、耳輪
○歯牙痕<しがこん>=歯牙によってできた痕跡。(個人識別に使用できる)
○耳下腺<じかせん>=外耳の前から下方にかけて広がる唾液腺。
○歯冠<しかん>=歯の一部、口の中に現れているエナメル質の部分。
○弛緩<しかん>=ゆるむこと。(筋肉弛緩)=ちかん
○子癇<しかん>=妊娠もしくは分娩時に起こる全身痙攣で口から泡を吹き人事不省
          に陥る。一種の妊娠中毒症で蛋白尿、腎炎などのある女性に起こ
          ることが多い。
○耳管<じかん>=鼓室から咽頭に到る30~40mmの長円錐形の管。
○色素<しきそ>=物体に色を与える成分。
○ジキタリス<digitalis>=コマノハグサ科の2年草または多年草。高さ約1m。夏、茎頂
          に紅紫色の長鐘形の唇形花が多数つく。有毒植物で、葉の粉末か
          ら強心剤などを精製する。
○子宮<しきゅう>=生殖器の項参照
○子宮外妊娠<しきゅうがいにんしん>=受精卵が卵管など子宮以外の場所に着床し
          発育すること。妊娠2~3ヶ月で突然卵管など着床した部が破裂する
          もので激しい下腹痛とともに内出血する。
○指極<しきょく>=嬰児の上肢、両手を左右に伸ばした時の左指先から右指先
          までの長さ。
○歯齦<しぎん>=歯ぐき。=歯肉
○軸椎<じくつい>=第二頸椎のこと。
○自絞<じこう>=自殺の手段として紐等を用いて自分で首を絞めること。
○指骨<しこつ>=基節骨、中節骨、末節骨の総称。
○趾骨<しこつ>=足の指骨ともいう。
○歯根<しこん>=歯肉に埋まった歯の部分。
○死産児<しさんじ>=出産時において既に死亡して出産された胎児。死体といい得る
          死胎とは死体解剖保存法第1条および墓地、埋葬等に関する法律
          第2条所定の「死体(妊娠4ヶ月以上の死胎を含む)」と同様に、妊娠
          4ヶ月以上の死胎をいうと解されている。
○指趾<しし>=手足の指、指は手の指、趾は足のゆび。
○四肢骨<ししこつ>=手足の骨。
○示指頭面大<じしとうめんだい>=人差し指の末節部から先の大きさ。
          変色部の大きさを表す。
○耳珠<じしゅ>=耳の外耳道入口にある珠様の突起部。
○視床<ししょう>=第三脳室の両側。
○指掌骨<ししょうこつ>=指骨と中手骨、手根骨からなる。
○耳小骨<じしょうこつ>=槌骨(つちこつ、ついこつ)、砧骨(きぬたこつ、ちんこつ)、
         鐙骨(あぶみこつ、とうこつ)の総称。
○矢状断面<しじょうだんめん>=矢状方向に体を切った場合の断面。
○矢状方向<しじょうほうこう>=体の前後方向。
○矢状縫合<しじょうほうごう>=縫合の項参照
○指伸筋<ししんきん>=指を伸展する筋肉。
○視神経<ししんけい>=眼の神経。
○歯髄<しずい>=発生期の歯乳頭の残存したもので一種の結合織より成り、
          血管、神経が豊富に分布する。
○耳垂<じすい>=耳たぶ。=耳朶、耳翼。
○ジストマ<distoma>=「吸虫類」の旧称。人や家畜の肝臓、肺臓に寄生し害を与
          える。
○ジストロフィー<dystrophy>=細胞ないし組織の物質代謝障害の中で、形態に
          変化を伴うもの。筋肉の遺伝性代謝障害で筋萎縮を示すものを
          筋ジストロフィー症という。
○シスプラチン<cisplatin>=強力な制癌作用を有する白金製剤。副作用も強い。
○ジスルフィラム<disulfiram>=慢性中毒治療薬。嫌酒薬。ジルスフィラムを投与し
          たのちアルコールを摂取すると、少量でも頭痛、悪心、顔面紅潮
          などの著名な副作用を示すため、アルコールを嫌悪するようにな
          る。=アンタブス
○脂腺<しせん>=通常、毛に付属している脂を分泌する腺。
○死戦期<しせんき>=死にぎわ。死に至る直前の状態で顔貌は死相を呈し鼾息を
          行い意識は消失し、脈搏が漸時消失するなどの症状。
          死戦期の手足の痙攣、運動によって損傷が生じ、他殺をうたがわ
          せる場合があるので、死体の周囲の建具、調度品等との関係を
          検討する必要がある。
○刺創<しそう>=創傷の項参照
○刺創管<しそうかん>=刺創によってできた創洞をいう。
○地蔵背負<じぞうせおい>=被害者の首に紐を回し後頭部で合わせ、犯人が紐を
          肩にかけて背負う。つまり、背の高い犯人の背中で、被害者が背
          中を合わせて首吊りをするような形で殺害する方法。
          昔、石の地蔵さんを運ぶとき、このようにして背負ったというので
          地蔵背負いの名がついている。
          この方法は首に縊死の索溝が形成される。首吊りはほとんどが
          自殺の手段であるから、自殺を装った殺人である。
          こんなことを知っているのは法医学に精通した背の高い大男か、
          片手の不自由な者が相手を絞め殺す場合に用いる方法である。
○耳朶<じだ>=耳たぶ。
○死体検案書<したいけんあんしょ>=医者が死体を検案して一定の書式に基づいて
          人の死を証明したもの。
○死体現象<したいげんしょう>=湿潤部の乾燥。死斑の発現などの死体の変化。
          早期死体現象として
          1 皮膚の蒼白   2 湿潤部の乾燥   3 死体の冷却
          4 死斑の発現   5 硬直の発現     6 角膜の混濁
           7 被圧迫部の扁平化
          があり、後期死体現象として腐敗がある。
○指端<したん>=手の指の先。
○趾端<したん>=足の指の先。
○膝蓋骨<しつがいこつ>=膝の関節前側にある平たい皿状の骨。
○膝蓋靱帯<しつがいじんたい>=膝蓋骨より下方の大腿四頭筋腱。
○膝窩動脈<しっかどうみゃく>=大腿動脈の続きで、膝関節の後面を下り、ヒラメ筋
          の起始部で脛骨動脈に分かれる。
○膝窩部<しっかぶ>=膝の後側のくぼんだ部。
○膝関節<しつかんせつ>=膝部にある関節で、大腿骨と脛骨及び腓骨をつなぐ。
○失禁<しっきん>=自分の意思によらないで排尿すること。広義には脱糞も含む。
          死戦期に自律神経の刺激によって膀胱が収縮し放尿することをい
          う。
          死体の体位と失禁の位置が符合しないときは、死後死体を移動した
          ことを示す。なお筋肉が弛緩したのち死体の体位を移動すると尿を
          出すことがあるので注意を要す。
○失血<しっけつ>=創傷によって出血し血管内等の血液を失うこと。
          人の血液量は体重の1/13(成人で約4.5ℓ)といわれ、全血量の約1/3
                 を失うと危険状態となり、約1/2を失うと死亡する。
     ※失血死=失血によって死亡することをいう。
○湿潤<しつじゅん>=しめり、うるおうこと。
○疾病<しっぺい>=やまい。病気。疾患。
○シナプス<synapse>=神経細胞の神経突起が他の神経細胞に接合する部位。
          脳や脊髄の灰白質や神経節に集中して見られる。
○歯肉<しにく>=歯ぐき。=歯齦
○刺入口<しにゅうこう>=刺創によって出来たきずで、刃器の入口。
○死の定義<しのていぎ>=人の死の定義は、従来からの心臓死をもって判定し
          ている(いわゆる三徴候説)。
     ※一般的認定=心臓死(脈搏終止説)
       ①心拍の停止
       ②自発呼吸の停止
       ③瞳孔拡大と対光反射の消失      
○死斑<しはん>=死後血液循環がとまると血管内の血液は重力の作用によって
          下方に沈降し死体の下方外表に血液の就下が現れ、変色する
          ものをいう。
          一般に暗赤色であるが、アルコール中毒死、一酸化炭素中毒死、
          凍死等では紅調が強く、塩素酸カリ中毒死では汚穢灰褐色である。
     ※死斑と死後経過時間
       経過推定時間   発現状況         褪色・転位
             30分  急死では下位に死斑  指圧により褪色し体位の
                  が出始める。       移動により転位する。

                  弱く発現する。ただし
            1時間  失血死、衰弱死では     同 上
                  発現しない。 

          2~3時間  やや著名に発現する。    同 上

           4~5時間  相当著明に発現する。    同 上

                                  指圧によりいくぶん褪色し
          7~8時間  著明に発現する。      転位するが古い死斑も
                                  残る。

                   10時間以上  著明に発現する。     指圧で褪色せず、体位の
                                  移動で転位しない。

○ジフィリス<syphilis>=梅毒。
○ジフテリア<diphtheria>=患者の咳の飛沫によって感染する。潜伏期は2~5日で
          のどの痛みがだんだん強くなり、体温も39度くらいに上昇する。
          扁桃腺は腫れて赤くなり、付着した白色のまだらの点々がだんだ
          ん膜状に拡がってくる。のどの奥が侵された場合は、犬の吠えるよ
          うな咳が起こり、更に進むと窒息がくる。
          病後神経の痺れが起こって、飲み下すことが困難となったり、手足
          に痺れがきたりする。心臓が毒素に侵されて急死することがある。
          子供がかかりやすい。
○死亡<しぼう>=人が死ぬというのは呼吸と心臓の活動が永久に停止してしまうこ
          と。
          しかし呼吸と心臓の活動が同時に停止するとは限らず、時には呼吸
          していなくても心臓が動いていたり、心臓が止まっていても呼吸して
          いるということもある。したがって警察官が死亡の判断をしなければ
          ならない場合には、呼吸や心臓の活動の停止だけでなく人の死によ
          って起きる筋肉のゆるみ、体温の低下、皮膚の蒼白、乾燥、角膜の
          混濁、死斑、死体硬直などを併せて判断する必要がある。
○脂肪沈着<しぼうちんちゃく>=体の軟部組織に対して脂肪が着くこと。
○シモンズ病<simmonds びょう>=脳下垂体の血行障害、結核、梅毒、腫瘍などが
          原因で起こる病気。体毛が減少し、目立って痩せ、女性では月経
          閉止、男性では睾丸萎縮が起こる。女性に多く、男性ではまれ。
○尺骨<しゃくこつ>=上端は上腕骨、下端は手根骨に接している前腕小指側の骨。
○尺骨静脈<しゃくこつじょうみゃく>=前腕小指側(後側)を流れる静脈。
○尺骨動脈<しゃくこつどうみゃく>=前腕小指側(後側)を流れる動脈。
○ジャクソン型癲癇<jacksonian がたてんかん>=後天的に起こる症候性癲癇。
          身体の一部から始まった痙攣が、徐々に全身に広がる。
○雀卵大<じゃくらんだい>=雀の卵の大きさ。変色部の大きさを表す。
○斜走<しゃそう>=傷などが斜め方向に走ること。
○シャム双生児<siamese そうせいじ>=対称的体部で結合した連身奇形の双生児。
          1811年シャム(タイ)で生まれた胸部結合のエング・チャング兄弟が
          有名で、一般的な名称となった。
○充盈<じゅうえい>=血液が血管にいっぱいになり、ふくらむ状態。
○縦隔<じゅうかく>=左右の胸腔の間にあって前方は胸骨、後方は胸椎体によって
          境される部分。これを肺根の前線を通る面によって前縦隔と後縦隔
          に分ける。
     ※前縦隔=前縦隔には、心臓、心臓に出入りする大きな血管、胸腺、横隔神
            経等がある。
     ※後縦隔=後縦隔には、気管、食道、迷走神経、胸大動脈とその周囲の神
            経叢、奇静脈等がある。
○充血<じゅうけつ>=動脈内を流れる血液の量が異常に増加している状態。
○獣咬痕<じゅうこうこん>=死体の顔や手足を猫や鼠等の獣が咬食した痕をいう。
          戸外にある死体等はよく野犬や猛禽類が食べたり、その一部を持ち
          去ることがある。
○重積性<じゅうせきせい>=病気が極めて重い状態。(重積性てんかん)
○銃創<じゅうそう>=創傷の項参照
○縦走<じゅうそう>=創傷等が縦に走っている状態。
○集簇<しゅうぞく>=同じようなものが集まっている状態。(溢血点集簇)
○充塞<じゅうそく>=みちてふさがること。
○充填<じゅうてん>=みたしつめること。虫歯や決歯部につめること。前歯にはセメン
          ト、レジン(プラスチック)、奥歯にはアマルガム、インレイが使われ、
          一般にレジン、インレイは永久歯に使われる。
○重篤<じゅうとく>=病状などが重いこと。(危篤)
○十二指腸<じゅうにしちょう>=小腸の項参照
○ジューリング皮膚炎<duhring's ひふえん>=慢性の皮膚疾患。全身の皮膚に小水疱
          ないし水疱が発生する。中年男子に多く、掻痒がはなはだしいため
          睡眠障害や体重減少をきたすことがある。
○粥状硬化<じゅくじょうこうか>=大動脈、冠状動脈、脳の動脈などに発生し、血管内
          部にところどころ脂肪が付着したり、変性した組織の一部が血管の
          内部に突出したりする。
○縮瞳<しゅくどう>=瞳孔が小さく縮むこと。
○手拳<しゅけん>=にぎりこぶし。
○手拳大<しゅけんだい>=にぎりこぶし大。変色部、腫脹部等の大きさを表す。
○手骨<しゅこつ>=手の骨。
○手根骨<しゅこんこつ>=月状骨、三角骨、豆状骨、有鉤(こう)骨、有頭骨、小菱形
          骨、大菱形骨、舟状骨の総称。
○樹枝状<じゅしじょう>=表皮の血管が木の枝のように現出する状態。死体の腐敗が
          進むと表皮に暗紫青色の血管がうきぼりに現れる。
○手掌<しゅしょう>=手のひら。
○手掌腱膜<しゅしょうけんまく>=表層腱膜、深層腱膜のふたつからなり、手掌の各
          部を取り巻いている。
○手掌面大<しゅしょうめんだい>=一般的に指を含んだ手のひらの大きさ。
          変色部等の大きさを表す。
○腫脹<しゅちょう>=筋肉内出血等のため皮膚がはれ、ふくらんでいる状態。
○出血<しゅっけつ>=血管が破れ、その部から血液が流れ出ること。血液が体の外
          に出るのを外出血、筋肉内や胸、腹腔内等に出たものを内出血と
          いう。
○出血斑<しゅっけつはん>=斑点状に見える出血部。
○手背<しゅはい>=手の甲。
○循環器<じゅんかんき>=血管・心臓・リンパ管など、血液やリンパ液を循環させる
          器官。
○逡巡創<しゅんじゅんそう>=いわゆるためらい創のこと。
          刃物を使用した自殺体の致命傷の近くにある浅い創及び手首や
          頸部の皮膚の浅い創、または薬物や首吊り等の自殺死体で手首
          や頸部にある浅い創をいう。
○小陰唇<しょういんしん>=女性性器外陰部の膣入口左右の突き出した器官。
○焼暈<しょううん>=銃を接射した場合における射入口「くまどり」状変色部をいう。
          近、接射した射入口は比較的小さく正円状で、創縁は挫滅し、その
          周囲は爆発熱で褐色に焼けて硬化する。この状態が「くまどり」され
          ているように見えるところからいう。=焼輪
○漿液<しょうえき>=漿膜から分泌される透明な液体。傷口などにも出る。
○上縁部<じょうえんぶ>=上方の「ふち」。
○上顎<じょうがく>=上あごのこと。
○松果体<しょうかたい>=視床脳背面正中中脳蓋に接したエンドウ豆大の内分泌腺
          で成長を抑制する働きをする。
○焼燬<しょうき>=やけこわれること。
○小臼歯<しょうきゅうし>=歯牙の項参照
○少許<しょうきょ>=少量のこと。(胃内容少許)
○小胸筋<しょうきょうきん>=大胸筋の内側の筋。肩を内方および前方に引く。
○小頬骨筋<しょうきょうこつきん>=頬骨から上口唇に及ぶ筋肉。
○笑筋<しょうきん>=口角を側方に引き、笑くぼを作る。
○上行結腸<じょうこうけっちょう>=大腸の一部。
○上行枝<じょうこうし>=大脳外側溝にある動脈、内外側大腿回旋動脈の枝、
          深腸骨回旋動脈の枝、上腸間膜動脈の枝などが上行枝の例と
          してあげられる。
○上行大動脈<じょうこうだいどうみゃく>=大動脈の項参照
○猩紅熱<しょうこうねつ>=潜伏期は5~7日で急にさむけがあって発熱し、のどの
          痛みを訴え、舌はイチゴのようになる。発疹は病初から現れ、身体
          に赤インクを塗ったようになるが、口の周囲に限り青白い。
          5~6日ののちに発疹が消えてぬかのように、また膜を剥がすように
          落屑が始まる。小児に多いが成人もまれにかかることがある。
○踵骨<しょうこつ>=かかとの隆起を構成する足根骨。
○踵骨腱<しょうこつけん>=アキレス腱。下腿三頭筋腱。
○小骨盤腔<しょうこつばんくう>=恥骨、坐骨、腸骨体、仙骨および尾骨の骨壁に囲
          まれた内腔。
○焼死<しょうし>=火災等が原因で火災現場または火の燃焼場所で急死すること。
          死因は、一酸化炭素、シアン、ホスゲン等の有毒ガス中毒などが
          競合するが、大部分は一酸化炭素中毒が直接の死因と考えられる。
          気道の火傷や、一酸化炭素ヘモグロビン量(40~90%)、第1度~
          第2度の火傷(生活反応)が焼死の判断となる。
○上肢<じょうし>=両上腕、前腕、手を総称した名称。
○小指球<しょうしきゅう>=手掌外側(小指側)の盛り上がっている部分。
○上矢状静脈洞<じょうしじょうじょうみゃくどう>=大脳鎌の上縁に沿って矢状溝を
          走る静脈洞。
○硝子体<しょうしたい>=眼球容積の4/5を占める寒天のような透明体。
○上肢帯<じょうしたい>=肩甲骨と鎖骨のこと。
○小指頭面大<しょうしとうめんだい>=小指の末節部から先の大きさ。変色部の大
          きさを表す。
○上唇挙筋<じょうしんきょきん>=眼窩下孔より口輪筋に及ぶ筋。
○上唇鼻翼挙筋<じょうしんびよくきょきん>=内眼角近くの上顎骨から上唇の皮膚に
          至る筋で、鼻翼および上唇を引き上げる。
○上唇方形筋<じょうしんほうけいきん>=上くちびるを引き上げる筋肉。
○上舌枝<じょうぜつし>=肺静脈、肺動脈、気管支の枝に用いられる。
○上前腸骨棘<じょうぜんちょうこつきょく>=腸骨の前方に少し突き出したところ。
○上前頭回<じょうぜんとうかい>=大脳の前頭上部にある脳回。
○上前頭溝<じょうぜんとうこう>=大脳の上外側面に見られる脳回の溝。
○小泉門<しょうせんもん>=泉門の項参照
○消息子<しょうそくし>=ゾンデの項参照
○上側頭回<じょうそくとうかい>=大脳の脳回の名称。
○上側頭溝<じょうそくとうこう>=大脳の脳溝の名称。
○消褪<しょうたい>=死斑などが指圧すると消える状態。
○上大静脈<じょうだいじょうみゃく>=大静脈の項参照
○小腸<しょうちょう>=胃幽門部先から大腸(盲腸)に到る長さ約6mの消化器官で
          十二指腸、空腸、回腸からなる。
     ※十二指腸=胃幽門部から空腸までの長さ約25cmの小腸、指を横に12本
             並べた長さ。
     ※空   腸=十二指腸から回腸までの長さ約3.5mの小腸。 
     ※回   腸=空腸から大腸(盲腸)に到るまでの長さ約2mの小腸
○上直筋<じょうちょくきん>=外眼筋のひとつで、眼球を動かす筋。
○小転子<しょうてんし>=大腿骨の上端にある隆起で内側方に突出し、大腰筋、
          腸骨筋の付着部。
○小児頭大<しょうにとうだい>=子供の頭の大きさ。変色部の大きさ等を表す。
○小脳<しょうのう>=脳の項参照
○上腹壁静脈<じょうふくへきじょうみゃく>=内胸静脈の初部。
○漿膜<しょうまく>=体内の大きな腔所、すなわち腹腔、胸腔、心膜腔の内面を覆って
          いる薄い膜でそれぞれ腹膜、胸膜、心膜と呼ばれるもの。
○小網<しょうもう>=肝臓と胃小弯及び十二指腸の間に張る脂肪組織とリンパ節に
          富んだ膜。
○睫毛<しょうもう>=まつげ。
○小網隆起<しょうもうりゅうき>=膵臓、肝臓にある。
○上葉<じょうよう>=一般に肺の上葉をさす。右肺が上葉、中葉、下葉、左肺が上葉、
          下葉からなる。
○焼輪<しょうりん>=焼暈(しょううん)の項参照
○上腕<じょうわん>=肩の付け根から肘部の間。
○上腕筋<じょうわんきん>=上腕骨に始まり大骨におわる広い扁平な筋で、肘関節
          を曲げる。
○上腕骨<じょうわんこつ>=上方は肩甲骨、下方は前腕骨と関節によって結合する
          長管骨。
○上腕骨滑車<じょうわんこつかっしゃ>=上腕骨下端の内側に偏した球形部。
○上腕骨小頭<じょうわんこつしょうとう>=上腕骨滑車の外側に偏した部で、橈骨
          頭窩と連接する。
○上腕骨頭<じょうわんこつとう>=肩甲骨の関節窩と連結して肩関節をつくる。
○上腕三頭筋<じょうわんさんとうきん>=上腕骨の後面にある唯一の太い紡錘状筋。
          上腕を内転氏、前腕を伸ばす。
○上腕深動脈<じょうわんしんどうみゃく>=上腕動脈の後内側から出て後側に至り
          外方に走った後二枝に分かれる。
○上腕二頭筋<じょうわんにとうきん>=上腕前面の表層にある。上腕を前方に上げ、
          前腕を曲げる。
○小弯部<しょうわんぶ>=胃の項参照
○耳翼<じよく>=耳介(じかい)の項参照
○触診<しょくしん>=手で触って行なう診察。
○褥瘡<じょくそう>=床ずれのこと。病気で長い間寝ていた場合に出来、仙骨部や
          大転子部などに生ずる。
○蝕知・触知<しょくち>=直接手で触れること。(骨折を触知)
○食道<しょくどう>=咽頭と胃をつなぐ消化管。
○食物残渣<しょくもつざんさ>=消化管内に残る識別可能な食物。
○処女膜<しょじょまく>=膣孔入口にある薄い膜。
     ※処女膜裂傷部位の特定=膣入口を時計の短針に仮定して「何時の方向」
          という。
○ショック<shock>=
○ショック死<しょっくし>=ショックの発現が強烈のため死亡すること。ショック死には
          次のような原因の異なるものがある。
     ※一時性ショック(原発性ショックともいう)=軽い外力でみぞおち、睾丸など
            を蹴られたりしたときに起きる。
            体質的に特別の素因を持っている者(精神的に煩悶している者
            肝臓の脂肪変性者、心臓病を持っている者、胸腺リンパに異常
            あるもの、アルコール中毒者、疲労の著しい者)等に起こりやす
            いとされる。
            このほか手術時の麻酔によるショック死もこの部類に入る。
     ※二次性ショック(続発性ショック、外傷性ショック、吸収性ショックともいう)=
            広い範囲の打撲、大手術後などに起こるもので30分から1時間
            位経過してから現れる。また長時間緊縛した場合に起こる緊縛
            性ショックもこの部類に入る。
     ※精神性ショック=びっくりした時のように精神的興奮などの時に起こるも
            の。 死亡することはめったにない。
○自律神経<じりつしんけい>=交感神経と副交感神経を合わせて自律神経という。
          このふたつは、いずれも内蔵を支配し、かつ多くは互いに反対に
          働く。
○耳輪<じりん>=弓状にまくれた耳介(外耳の一部)の周縁部のこと。
○歯列<しれつ>=ふたつの顎に置かれる歯の集まり。
○屍蝋<しろう>=水中、または水分の多い土中でかつ空気の供給が不十分なとき
          にできるもので皮下体内の脂肪が変化して蝋のようになる死体現
          象。通常、2~3ヶ月を要するといわれるが、死体の置かれた場所
          の条件によって異なる。
○皺<しわ>=もんだりたるんだりしたときに表面に出る細かい筋目。
○腎盂<じんう>=腎臓内中心部の樹枝状に別れている腔所。尿を集めて膀胱に送
          る作用をする。=腎盤
○心外膜<しんがいまく>=心臓の外壁の膜。
○心窩部<しんかぶ>=いわゆる「みぞおち」部。胸の真ん中の凹んだところ。
○刃器<じんき>=刃の付いた凶器。
○心筋梗塞<しんきんこうそく>=冠状動脈硬化がもとになって、血液の塊、血栓が血
          管を閉塞、狭窄し、心臓の循環障害が起こり心筋が壊死になった
          状態。発作は狭心症と比べて長く続き20分以上のことが多く、また
          その程度も激烈であるが、高齢者では胸痛が軽かったり痛みのな
          い場合もある。
○心室中隔<しんしつちゅうかく>=左心室と右心室を隔てる心筋壁。
○人字縫合<じんじほうごう>=縫合の項参照(ラムダ縫合の旧名)
○滲出液<しんしゅつえき>=にじみ出た液。内部から表面にしみ出る液。
○浸潤<しんじゅん>=濡れてうるおうこと。しみ込むこと。(血液浸潤)
○尋常<じゅんじょう>=普通のこと。(肝臓組織の性状は尋常)
○腎上体<じんじょうたい>=副腎のこと。腎臓の上端に接してある内分泌器官。
○深掌動脈弓<しんしょうどうみゃくきゅう>=橈骨動脈の二終枝のひとつで中手骨底
          の掌側に深く位する。
○腎静脈<じんじょうみゃく>=左右の腎臓から上大動脈に通じる静脈。
○振水音<しんすいおん>=水を容器に入れて振ったときに出る音。
○腎錐体<じんすいたい>=腎臓の髄質のこと。
○新生児<しんせいじ>=出生後28日を経過しない乳児をいう(母子保健法)。
○振戦<しんせん>=ふるえること。手、足、首、身体等が震える病気。
○針尖大<しんせんだい>=針先で突いた大きさ。変色部の大きさ等を表す。
○心臓<しんぞう>=全身血液循環系統の中央動力器官。前胸、縦隔腔の両肺に挟
          まれ、正中線より左側に偏している。大きさは本人の手拳大で桃実
          状の筋質である。心膜に包まれ、内部には心室中隔、心房中隔、
          房室弁があって右心房、右心室、左心房、左心室の四腔部に分か
          れる。右心室と右心房との間の三弁に分かれる弁を三尖弁、左心
          室と左心房とのあいだの二弁に分かれる弁を二尖弁または僧帽弁
          という。
     ※心室=心臓の大部分を構成し血液を体圧に抗して大動脈、肺動脈に駆出
           する部分。
     ※心房=体の各組織を循環し、老廃物を含んだ血液を大動脈、下大静脈を
           経て入れ、また酸素を含んだ血液を肺静脈を経て入れる部分。
○腎臓<じんぞう>=泌尿器の項参照
○靱帯<じんたい>=関節部を強固にし、かつその運動を抑制する作用をする結節
          繊維。
○人体の区分<じんたいのくぶん>=人体は次の大きな区分からなる。
     ※頭部=頭蓋(とうがい)・ 顔面
     ※体幹=頸(くび)・胴、胸・腹
     ※四肢=①上肢・前腕・手  ➁下肢=大腿・下肢・足
○人体の大腔<じんたいのたいこう>
     ※頭蓋腔(とうがいこう)=脳髄を入れる。
     ※脊髄腔=脊髄を包み頭蓋腔とつづく。
     ※胸腔=心臓、肺臓などを入れる。腹腔との間に横隔膜がある。
     ※腹腔=胃、腸、肝臓、膵臓、腎臓、膀胱などを入れる。
○人中<じんちゅう>=人体の中心。鼻下溝のこと。
○伸展創<しんてんそう>=交通事故による損傷のひとつ。車輪の礫過に伴い、
          その通過方向に皮膚が引き伸ばされる結果できる。。一般の創
          傷はその部に外力が加わったために生じるものであるが、この創
          は他の部、例えば下腿の方に大きな力が作用したことによって鼠
          径部の皮膚や筋肉が強く伸ばされるために生じたもの。
          力が大きければ筋肉も損傷する裂創となり、力が小さければ皮膚
          のみの創傷となる。
○針頭大<しんとうだい>=針の頭位の大きさ。変色部の大きさ等を表す。
○腎静脈<じんじょうみゃく>=下行大動脈から左右の腎臓に通ずる動脈。
○シンドローム<syndrome>=症候群。いくつかの症候が、常に相伴って認められる
          が、その原因が不明のときに、病名に準じたものとして用いる医学
          用語。
○心嚢<しんのう>=心臓および大動脈の基始部を包む袋。
○心嚢液<しんのうえき>=心嚢膜内に入っている液。
○心嚢タンポナーデ<しんのうたんぽなーで>=心臓をおおっている膜(心嚢)内に心臓
          の創傷口から出血した血液が充満し、心臓が急激に圧迫されて収
          縮及び拡張の正常機能が傷害されたもの。=心嚢栓塞死
          急激な出血によると200ccから250cc、徐々に出血すると約450ccで
          起こる。
○腎杯<じんはい>=腎乳頭を鞘状に取り巻いている。
○真皮<しんぴ>=皮膚の項参照
○深部<しんぶ>=深い部分。
○心不全<しんふぜん>=心臓収縮力の減退によって身体が必要とする血液を搏出
          できなくなった状態をいう。
          そのため、諸臓器に鬱血をきたして全身にむくみを生ずる。
          心不全の原因を循環力学的立場から見ると次のように分けられる。
     ①心筋自体の障害によって心収縮力が低下するもの(心筋梗塞、心筋炎、
          心筋症、高血圧、代謝異常、アミロイドーシス等の異物の浸潤等)。
     ②心室からの駆出障害、あるいは充満障害によるもの(弁膜症、高血圧、
          心タンポナーデ、収縮性心膜炎等)。
     ③不整脈によるもの(心停止、心室細動、心房細動、極端な頻拍や徐脈、
          刺激伝導障害)。
          臨床経過から、心不全は急性と慢性型に分類できる。急性型では
          急性心筋梗塞などで短時間内に発生し、代償機転が十分に働く
          余裕がなく、ポンプ機能障害が前面に出てくる。
          慢性型では代償機転が十分作動する時間があるにもかかわらず
          心臓の反応が不十分で、ポンプ失調が徐々に進行し、身体各部の
          鬱血が主体となり、鬱血性心不全とも呼ばれる。また、障害部位別
          から左心不全、右心不全、両室不全に分類される。
○心弁膜<しんべんまく>=ポンプの働きをする心臓の中にある弁。
○心房<しんぼう>=心臓内部の上半分に左右ある。
○心膜<しんまく>=心臓の内外壁を被う膜。
○深夜<しんや>=23時~3時(4月から9月)、22時~4時(10月~3月)。


○膵炎<すいえん>=心窩部や左季肋部の激痛により、エビのように前方に屈曲する
          ものから単に腹部の重圧感程度のものまである。痛みは持続的で、
          約半数に背部や胸部への放散痛が見られる。発熱、悪心、嘔吐は
          頻度が高い症状である。膵機能が約20%になると脂肪性下痢や線
          維性下痢を伴い、痩せが目立ってくる。重症化するとショック症状を
          きたし、時に意識障害を伴う。慢性化した場合には糖尿病を合併す
          る。
○衰弱<すいじゃく>=衰え弱ること。
○水腫<すいしゅ>=身体の組織間隙間、または体腔内に琳派液、漿液等が多量に
          たまっている状態。=肺水腫
          特に皮下組織でおこりやすく局部は腫れふくれる。病理学的には、
          急性のものを浮腫、慢性のものを水腫といっている。
○水晶体<すいしょうたい>=眼球の虹彩の後にある凸レンズ形の透明体。
○垂涎<すいぜん>=口からよだれを垂らすこと。
○膵臓<すいぞう>=胃の後方にあって膵液を分泌する帯灰黄色の消化腺。
          長さ約15cmの細長い器官で右端は十二指腸の湾に入り込み、左
          端は脾臓に達する。右端側を膵頭部、中央を膵体部、左端側を膵
          尾部といい、いずれも多数の小葉からなり各小葉は多くの腺細胞
          からできている。
          また膵尾近くには小葉の間に島細胞群(膵島又はランゲルハンス
          島とも言う)があってホルモンを分泌する。
○錐体筋<すいたいきん>=下腹部の筋肉。
○錐体交叉<すいたいこうさ>=延髄の一部。
○錐体内出血<すいたいないしゅっけつ>=側頭骨錐体部の出血で溺死の一所見と
          いわれる。
○水疱<すいほう>=粟粒大ないし鶏卵大などに表皮が隆起し、内部に漿液がたまっ
          た状態、第2度の火傷の状態でできる。(水疱性火傷)
                      焼死体の死体現象で水疱のある場合は生活反応と認められる。
○水泡<すいほう>=水のあわ。溺死体の鼻、口から出る白色細小泡沫はこの水泡
          である。
○水浴死<すいよくし>=溺死の項参照
○スーパーインポーズ法<super in pose ほう>=スーパーインポーズとはあるひとつ
          の物の像の上に他の像を重ね合わせるという意味で二重合わせ、
          または二重焼付けともいう。
          頭蓋骨が発見された場合にそれが何某と推定されるとき、その者
          の生前の写真と発見された頭蓋骨の写真とを重ね合わせて生前
          の写真に頭蓋骨の写真がすっぽり納まれば、その頭蓋骨は何某
          と推定される頭蓋骨鑑別法。何某と推定されるものと違う場合は
          全体の形、目、鼻、口等の位置が合わない。
○皺襞<すうへき>=しわ、又はひだのこと。(胃壁は趨壁に富む)=しゅうへき
○頭蓋腔<ずがいくう>=頭蓋骨内の脳を入れる広い部分。
○頭蓋骨<ずがいこつ>=頭の骨を総称。=とうがいこつ
          15種類23個の骨からなり人字(ラムダ)縫合、矢状縫合、冠状縫合
          等によって結合している。
○頭蓋底<ずがいてい>=頭蓋底のうち内頭蓋底は、前・中・後頭蓋窩を構成。
○スカルプ<scalp>=人間の頭皮。
○スケルトン<skeleton>=骨組みをいい、ガスストーブの燃焼筒、放熱用の陶器を
          指す。不完全燃焼による一酸化炭素中毒の場合にはスケルトン
          が煤で黒くなっていることが多い。
○スコポラミン<scopolamine>=瞳孔散大、鎮痙、分泌抑制などの作用のある物質。
          舞踏病などの鎮静、不眠症などの催眠用に用いられる。
○ステロイド剤<steroidal ざい>=副腎皮質が分泌する糖質コルチコイドの合成類
          似薬。強い抗炎症作用を有する。
○ストリキニーネ<strychnine>=ホミカに含まれるアルカロイド。血管、呼吸中枢を
          興奮させ、脊髄の反射機能を亢進する。興奮剤、強心剤などに
          使用。
○ストレプトマイシン<streptomycin>=抗生物質。細菌類、特に結核菌に対して著
          しい効果がある。副作用があって、耳鳴り、難聴などが起こること
          がある。
○スピロヘータ<spirochaeta>=スピロヘータ科に属する微生物の総称。体長は普
          通数ミクロンから数十ミクロンの糸状でらせん形をなす。梅毒、
          回帰熱、ワイル病などの病原体になるものを含むが非病原性の
          種類もある。狭義には梅毒の病原体をいう。
○スポーツドクター<sports doctor>=日本体育協会のスポーツ科学研究所が公認
          したスポーツ専門医。医師免許をとってから5年以上の経験者で、
          講習、審査を受けて認定される。
○スモン病<SMONびょう>=キノホルム剤の服用による中毒性神経障害。下痢、
          腹痛が3日から1週間続き、その後、足先に痺れを感じ、次第に
          下半身まで麻痺が及び、歩行困難となる病気。
          SMONは、Subacute(亜急性)、Myelo(脊髄)、Optico(視神経)、
          Neuropathy(神経症)の頭文字から。
○スリム病<slim びょう>=原因不明の体が痩せ細っていく病気。決め手となる治療法
          は見いだされていない。
○スルファダイアジン<sulfadiazine>=サルファ剤の一種。ブドウ球菌、大腸菌などに
          抗菌力を持ち、皮膚の細菌感染症や肺炎、赤痢、淋病に用いられ
          る。
○スルファミン<sulfamine>=尿路感染症やトラコーマ、トキソプラズマ症などの細菌
          感染症に用いる薬物。するフォンアミド。
○スローウイルス感染症<siow virus かんせんしょう>=遅発ウイルス感染症。長い
          年月にわたる潜伏期の後に発症し、症状が漸時悪化して最終的
          には死亡するウイルス感染症の総称。マシンウイルスによる亜急
          性硬化性汎脳炎など


○整(正)鋭<せいえい>=すっきり整っている状態。切創などの創縁、創壁等がすっき
          りと切れていることをいう。
○生活反応<せいかつはんのう>=生体でなければ起こりえない人体の変化、現象。
          外部所見としては出血、皮下出血(変色)、溢血点、創口の哆開、
          発赤、腫脹、水疱性火傷、細小泡汁、脂肪栓塞、焼死の場合の気
          道末端までみられる炭粉(煤)、溺死の場合の骨髄、腎などのプラン
          クトンの存在などがある。
○精管<せいかん>=生殖器の項参照
○精査<せいさ>=くわしく調べること。(精密検査の意)
○精索<せいさく>=精管を被包する小指ほどの索状体。
○青酸<せいさん>=毒物の項参照
○青酸化合物<せいさんかごうぶつ>=青酸イオンを含む化合物。
○青酸化合物検査<せいさんかごうぶつけんさ>=青酸化合物であるかを検査する方
          法でPH(ペーハー)試験紙検査法とグァイヤック・チンキ検査法(警視
          庁科学捜査研究所)がある。
     ※PH(ペーハー)試験紙検査法=PH試験紙は青酸化合物のうち液性(液体)を
         検査する方法である。(青酸そのものを検査するものではない)方法は
         試験紙を液体のなかに浸し、試験紙に付いている薬を検体に作用さ
         せ、試験紙の色の変化で判定する。
  測定値
         1     2     3     4         5     6     7     8         9      10      11      12
           → 酸 性  ←    →  中 性 ←    →  アルカリ性  ←
     (硫酸・塩酸・硝酸)                                        (青酸化合物)
  試験紙の変化
     赤色←  --黄色←          →緑色--                    →紫色

     ※グァイヤック・チンキ検査法=青酸そのものを検査する方法である。
         青酸カリ=青酸カリウム(KCN)、青酸ソーダ=青酸ナトリウム(NACN)を
         飲下するとこれらは胃の中で胃液と反応して、カリ(K)と青酸(CN)、
         ソーダ(Na)と青酸(CN)に分離し気化する。この気化(ガス)した青酸そ
         のものを検査する。
         方法は濾紙にグァイヤック・チンキをスポイトで滴下しその部が生乾き
         になったとき硫酸銅液を同部に数滴たらし薬液側を死体の口部にあて
         胸腹部を圧迫して胃内のガスを押し出し、またはコップ等にある液体
         の場合は薬液側を内側にして置き、両手でコップ等を温めてガスを発
         生させて薬に反応させる。グァイヤック・チンキと硫酸銅液が重複した
         部分が紫色に変化する。
○青酸中毒<せいさんちゅうどく>=青酸中毒には青酸ガスそのもののほか青酸塩を
          嚥下してのものがある。青酸塩には青酸カリ(青酸カリウム)とか青酸
          ソーダ(青酸ナトリウム、シアン化ナトリウム)がある。
○生死中間期<せいしちゅうかんき>=固体の死と同じくして器官または組織が死ぬ
          わけではない。器官、組織間相互の連絡を失っても、その各自は
          ある器官それ独自の反応能力を有している。この固体死と組織、
          器官の終局的な死との間にはある一定の期間がある。
○成熟児<せいじゅくじ>=妊娠満期で分娩された嬰児を言い、成熟児ならば通常次
          のような発育徴候を示している。
          1.身長48~50cm、体重2800~3000g。
          2.頭囲33cm、胸囲32cm、腹囲30cm、肩幅12cm、腰幅8cm。
          3.胎盤重量500g、臍帯の長さ50cm、頭毛2cm。
          4.つめ先は、手では指端を超え、足では趾端に達している。
          5.鼻軟骨、耳軟骨を触知できる。
          6.睾丸は陰嚢内に下降し、大陰唇は小陰唇及び陰挺を全く覆って
           いる。
          7.大腿骨下端化骨核の直径は0.5cm、踵骨化骨核の直径は1.0cm
           になっている。
          8.臍は身体のほぼ中央に位置する(未熟児ではやや下方にある)。
         身長、体重の概算法
           ①身長
             妊娠第1~4ヶ月 妊娠月数の二乗(3ヶ月なら3x3の9cm)
             妊娠第5~10ヶ月 妊娠月数x5(8ヶ月なら8x5の40cm)
           ②体重
             妊娠第1~4ヶ月 妊娠月数の三乗x2
                                                              (3ヶ月なら 3x3x3x2の54g)
             妊娠第5~10ヶ月 妊娠月数の三乗x3
                               (8ヶ月なら8x8x8x3の1,536g)
○性状<せいじょう>=性質、状態。
○成傷器<せいしょうき>=身体に傷を生じさせた凶器類。
○生殖器<せいしょくき>=生物が有性生殖を営む器官性器。
          男女とも外性器と内性器に分けられる。
     ※外性器=男は陰茎、陰嚢、女は外陰部など。
     ※内性器=男は精巣(睾丸)、精巣上体(副睾丸、睾丸上体)、女は卵巣、
       卵管、子宮、膣。
○声帯<せいたい>=喉頭腔の左右両壁から突出した筋性の皺襞。
○正中臍襞<せいちゅうさいひだ>=臍と膀胱項とを結合する正中臍索を被って生じ
          たもの。
○正中神経<せいちゅうしんけい>=上腕から手掌に至る神経。手指の屈筋、1,2,3指
          知覚を支配する。
○正中線<せいちゅうせん>=創傷などを測定するために人体の表背面の中央に引
          いた仮想の基準線で前正中線、後正中線がある。
     ※前正中線=左右の眼の中央から臍を経て陰部に至る仮想線。
     ※後正中線=後頸部、外後頭隆起中央から臀裂に至る仮想線。
○清澄<せいちょう>=澄んできれいなこと。髄液清澄等と使う。
○セービンワクチン<sabin vaccine>=急性灰白髄炎(小児麻痺)に対する予防接種
          ワクチン。生ワクチンであり、シロップ状にして内服することができる。
○性別推定<せいべつすいてい>=着衣、毛髪、装飾品等によって一応推定しうること
          もある。外陰部が著しく腐敗あるいは焼損して性別不明の死体も、
          子宮は比較的腐敗し難いものであり、解剖によって判定できること
          が多い。
          白骨死体の場合は、骨格の各部分の特徴によって判定できる。
          特に骨盤は男女の差が比較的明瞭である。女性の骨盤は広く短く
          骨盤腔も広く浅い円筒状であり、男性の場合は狭くて長く骨盤腔も
          深く漏斗状である。
          また、骨盤の恥骨下角の角度が女性は鈍角(90~94度)であり、男
          性は鋭角(75度前後)である。
○毳毛<ぜいもう>=むくげ。にこげ。けだものの柔らかい毛。
○声門下腔<せいもんかくう>=声帯ヒダより下の喉頭腔。
○青藍色<せいらんしょく>=色の表現の項参照
○赤血球<せきけっきゅう>=血液の項参照
○脊髄<せきずい>=中枢神経系のうち脊柱管の中にあって、上は延髄に、下は尾骨
          に達する円柱状の器官。上から頸髄、胸髄、腰髄、仙髄と呼称。
          脳の働きを身体の各部に連絡し、知覚運動、刺激の伝達、反射機
          能をつかさどる。
○脊髄性小児麻痺<せきずいせいしょうにまひ>=
○脊柱<せきちゅう>=脊椎動物の躯幹をなす骨格。32~34個の脊椎骨が連続した
          状態。
○脊椎<せきつい>=脊椎骨の略称。椎間関節及び靱帯によって連絡され中に脊髄を
          入れる。頸椎、胸椎、腰椎、仙椎、尾椎の合計32~34個の椎骨から
          なる。
     ※頸椎=頭蓋骨を置く首の部分の骨、第1から第7頚椎がある。
     ※胸椎=胸部、腹部の部分の骨、第1から第12胸椎がある。
     ※腰椎=腰の部分の骨、第1から第5腰椎がある。
     ※仙椎=腰椎から尾椎までの部分の骨、5個ある。
     ※尾椎=仙椎から先の骨、3~5個がある。
○赤痢<せきり>=井戸水、飲食物等により、赤痢菌が口から腸内に入り感染する。
          2~7日の潜伏期ののち、腹痛、下痢が始まり、便に粘液、うみ、
          血液が混じるが、この血液が混じることが特徴である。
          熱はあまりなく、38度にも達しないことが多い。また、排便後は
          「渋り腹」をきたすことが多い。
          赤痢菌は病初から大便の中に出されるから、発病と共に速やか
          に消毒、隔離などの予防措置をとらなければならない。
          成人では死亡することは極めて少ない。
○セクレチン<secretin>=胃腸ホルモンの一種。食物が胃から十二指腸へ入ると
          十二指腸粘膜より分泌され、膵液の分泌を促す。
○舌<ぜつ>=した。
○舌咽神経<ぜついんしんけい>=延髄オリーブの後から起こり、主として舌と咽頭に
          分布。
○切検<せっけん>=切り開いて検査すること。(皮膚変色部を切検する)
○舌口蓋弓<ぜっこうがいきゅう>=口腔上部の左右扁桃前方の弓状の部。
○舌骨<ぜっこつ>=舌の付け根にあるV字型の小骨で靱帯によって喉頭等に連結
          する。頸部圧迫による窒息死の場合に骨折する場合もある。
○舌根部<ぜっこんぶ>=舌のねもと。舌は舌尖、舌体、舌根部に区別される。
○切截<せっさい>=断ち切ること。(頸動脈切截)
○切歯<せっし>=歯牙の項参照
○舌尖<ぜっせん>=舌の先。
○切創<せっそう>=創傷の項参照
○切断端<せつだんたん>=切断した端の部分。
○セメント質<cement しつ>=歯のエナメル質境界から下側を被うもの。
○セロトニン<serotonin>=5-ヒドロキシトリプタミン。脳、松果体、腸のクロマフィン細
          胞でトリプトファンから合成、分泌される。
          神経伝達物質の候補。血小板にも含まれ、血小板凝集時に放出さ
          れ血管を収縮する。
○線維付属<せんいふぞく>=肝臓の左葉側の後部にあるもの。
○尖鋭<せんえい>=するどくとがっている状態。(創角は尖鋭)
○遷延性<せんえんせい>=ながびくこと。のびのびになること。
          亜急性より更に時間的経過の長い場合に使う。(遷延性窒息死)
     ※遷延性窒息死=頸部圧迫による窒息死のうち、その場で窒息死すること
       なく時間的経過によって窒息死することをいう。その理由については定
       説はないが一説では気道を圧迫すると瞬間的ではあるが脳その他が
       無酸素状態になり無酸素症を起こす。脳幹部にも無酸素症ができると
       これは致命的となってショック症状を起こして死亡する。
       また、一説では一度頸部を絞めると酸素の供給が悪くなり、それが元通
       りに戻らないから次第に酸欠の状態になって死亡するという。
       他の原因で窒息が起こっても同じことである。(定説)
○前額部<ぜんがくぶ>=前頭部と鼻部の間。
○前眼房<ぜんがんぼう>=角膜と虹彩との間の空間。
○前鋸筋<ぜんきょきん>=胸部の側面を被う筋。
○前脛骨筋<ぜんけいこつきん>=足を上方に曲げる。
○穿孔<せんこう>=穴があくこと。穴をあけること。(胃穿孔)
○尖孔<せんこう>=尖器によって生じた孔。
○鮮紅色<せんこうしょく>=鮮やかな赤色のこと。CO中毒や凍死の死体血や死斑の
          色に見られる。
○仙骨<せんこつ>=第5腰椎の下に接している骨で左右4個、計8個の前仙骨孔とい
          う穴がある。
○前室間枝<ぜんしつかんし>=左冠動脈の枝で、左右の心室間を走る。
○前縦隔<ぜんじゅうかく>=縦隔の項参照
○線状<せんじょう>=直線状のこと。
○前障<ぜんしょう>=大脳核のひとつで島とレンズ核との間にある。
○線状骨折<せんじょうこっせつ>=骨折の項参照
○浅掌動脈弓<せんしょうどうみゃくきゅう>=尺骨動脈の2終枝のひとつ。
○前上葉区<ぜんじょうようく>=左右肺の上葉の区域。
○仙髄<せんずい>=脊髄の項参照
○栓塞<せんそく>=血管がつまること。
○蝉脱<ぜんだつ>=蝉の抜け殻。殻から抜け出すこと。
          腐敗等によって指の皮が蝉の抜け殻のように抜ける状態。
○仙椎<せんつい>=脊椎の項参照
○穿通<せんつう>=貫き通すこと。(凶器が心臓を穿通)
○前頭筋<ぜんとうきん>=前頭部にある無対性の薄い筋。額に横じわを作り、眉を
          引き上げる。
○前頭骨<ぜんとうこつ>=頭蓋骨のうち前頭部の骨。
○前頭骨眼窩部<ぜんとうこつがんかぶ>=眼窩の上壁。
○前頭断面<ぜんとうだんめん>=頭部を前頭面に平行する方向に切った断面。
○前頭洞<ぜんとうどう>=眉間及び眉弓部にある一対の空洞。
○前頭葉<ぜんとうよう>=脳の項参照
○前肺底区<ぜんはいていく>=肺下葉の下部の一区域。
○繊毛<せんもう>=細胞の表面に生えている毛のような突起。
○譫妄<せんもう>=意識障害のひとつ。幻覚・うわごと、何らかの動作の繰り返し
          を伴い、自己の世界に没入すること。
○泉門<せんもん>=新生児や乳児の頭蓋冠を構成する各頭蓋骨の接合部が骨化
          せずに結合組織のまま残存するために生じる骨質欠如部。
          ぴくぴくと脈打っている部で大泉門、小泉門、前側頭泉門、後側頭
          泉門がある。
     ※大泉門=冠状縫合と矢状縫合の会合部、新生児で1.5cmから2cm前後、
          日時の経過により増し生後10ヶ月で最大(2.5から3cm前後)となり、
          その後漸減する。
     ※小泉門=矢状縫合とラムダ縫合の会合部にあり、三角形を呈す。
          生後6ヶ月から1年前後で閉鎖する。
○前立腺<ぜんりつせん>=生殖器の項参照
○前腕<ぜんわん>=肘部から手首部までをいう。
○前腕骨<ぜんわんこつ>=肘部から手首部までの長管骨を言い、橈骨と尺骨があ
          る。
     ※橈骨=拇指側(前側)の骨。
     ※尺骨=小指側(後側)の骨。
○前腕正中静脈<ぜんわんせいちゅうじょうみゃく>=前腕の前面の静脈叢に発し、
          掌側のほぼ正中部を上がる。


○疎<そ>=まばらなこと。
○躁鬱病<そううつびょう>=分裂病に次いで多い精神病のひとつで、躁状態と鬱状
          態が交互に現れる。
     ※躁状態=酒に酔って愉快に騒いでいるようなにぎやかな状態。
     ※鬱状態=深刻な悲しみに陥りあらゆるものを悲観的に受け取り、何をする
          のも物憂く無口で病気と思わず取り立てる程の原因が無いのに自
          分を責めるのが特徴。
○創縁<そうえん>=創傷を形成する縁の部。
○創角<そうかく>=創傷を形成する角の部で、例えば刃器の刃部および峰部によっ
          て出来た角部。
○総肝動脈<そうかんどうみゃく>=肝臓下面にあって総胆管と門脈との中間にある
          動脈。
○臓器<ぞうき>=内臓の器官。
○総頸動脈<そうけいどうみゃく>=頸動脈の項参照
○象牙質<ぞうげしつ>=歯の成分のことで、主要部分は象牙質であるが、表面は
          エナメル質で被われている。
○総骨間動脈<そうこつかんどうみゃく>=尺骨動脈から分かれ、前後骨動脈の
          二枝に分かれる。
○爪痕<そうこん>=つめあと。
○総指伸筋<そうししんきん>=前腕後面の橈骨側に偏在する紡錘状筋。
○蚤刺大<そうしだい>=蚤喰い後あるいは針の先で突いた位の大きさ。=針先大
          溢血点等の大きさを表す。
○創傷<そうしょう>=創傷とは身体の表面を覆う皮膚及び粘膜面、あるいは臓器
          の表面が外力によってその連絡を絶たれたり、その機能が障
          害されることを総称し、このうち創とは皮膚組織の連続性の離
          脱を伴う開放性の「きず」で、切創、刺創、割創、挫創、裂創、
          銃創等がある。
          傷とは皮膚組織の連続性の離断を伴わない「きず」で、皮下出
          血、表皮剥脱、打撲傷、擦過傷、火傷等がある。
     ※切創=鋭利な刃器の刃部をもって皮膚組織を引き、または押すように
       して出来た創。
     ※刺創=先の尖った刃器または尖器(錐等)をもって皮膚組織を刺すこと
       によって出来た創。
     ※刺切創=先の尖った刃器で皮膚組織をさすと共に刃部を使って引きま
       たは押すことによって出来た創口が大きく開いた創。
     ※割創=日本刀や鉈等の重量のある刃器で打ち下ろすように叩き斬った
       ことによって出来る創。
     ※挫創=鈍体が強く作用して皮膚組織を押しつぶすようにして出来る創口
       のある創。
     ※裂創=鈍体が皮膚組織にけん引的に当たり、その部位の弾力性の限界
       を超えて皮膚の分裂線の方向に一致して創口の出来た創。
     ※挫裂創=挫創と裂創が競合している創。
       創口は不規則な形状を示し、創縁は挫砕されその辺縁は表皮剥脱や
       皮下出血を伴う。創壁も不規則で創洞は震状に広がり、創底には架橋
       状組織が見られる。
     ※銃創=銃器から発射された弾丸によって生じた創。
      #反射銃創=弾丸の速力が衰えて皮膚に衝突しても皮下出血などの損傷
       程度で内部に侵入しないもの。 
      #擦過銃創=弾丸が体表を擦過し、その部に表皮剥脱または溝状の組織
       欠損を生じたもの。
      #貫通銃創=弾丸が身体を貫通して出来たもの。
      #盲貫銃創=弾丸が体内にとどまっている創。
      #回旋銃創=弾丸が骨面に至り骨に突入することなく骨面と軟部組織との
       間を迂回して出来た創。
       創傷の性状は射撃距離の遠近によって異なり、普通、射出口は射入口
       より大きいが近距離からの射撃では射入口の方が大きいことがある。
      #射入口=銃口が皮膚に完全に接着している場合は射入口の周囲には銃
       口痕だけが見られ、その皮下に空洞が生じ、そこに煤や未燃焼火薬が
       見られる。
       射入口そのものの直径は弾丸の直径より1mmないし3mm小さいのが普
       通。挫滅輪の巾が正円形であれば弾丸の進入方向は皮膚に直角であ
       る。
      #射出口=射出口は非常に不規則を呈し、辺縁に小裂創が見られる。
      #挫滅輪=弾丸の侵入時に、皮膚が伸展擦過されて生じる皮膚の輪状
       挫滅創。
      #汚物輪=弾丸に付着している錆や油などの汚物の輪。       
      #煤暈=煤および未燃焼火薬粉が付着したもの。
      #焼暈=火焔のために焦げたあと。
     ※表皮剥脱=鈍体が皮膚に擦過状に作用して表面の皮膚が剥ぎ取られ、
       真否を露下「傷」をいう。(すり傷、擦過傷)
     ※皮下出血=鈍体が皮膚に作用して皮下の最小血管が破れて皮下組織
       に出血したもの。皮膚変色を伴うことが多い。
     ※打撲傷=鈍体が皮膚に打撲的に作用するか、逆に身体を鈍体に打ち
       当てることによって生ずる創傷で、表皮剥脱、皮下出血、腫脹等をふ
       くんだもの。
     ※擦過傷=いわゆる「すりむき傷」。医学的には表皮剥脱。
     ※火傷=火焔または熱湯が皮膚に作用して出来たもの。(火傷の項参照)
○爪床<そうしょう>=手足の指の爪床。チアノーゼの好発部位。
○叢生<そうせい>=むらがり生えること。(陰毛叢生)
○総胆管<そうたんかん>=胆嚢が開口しているところから十二指腸に至る部分。
○総腸骨静脈<そうちょうこつじょうみゃく>=下大静脈が腰部で左右に分岐した分岐
          部から更にその下方で内外の腸骨静脈に分岐するまでの間の静
          脈をいう。
○総腸骨動脈<そうちょうこつどうみゃく>=下行大動脈が腰部で左右に分岐した分岐
          部から更にその下方で内外腸骨動脈に分岐するまでの間の動脈を
          いう。
○創底<そうてい>=創傷の深い底の部分。
○創洞<そうどう>=創傷の体内に形成された孔。
○掻爬<そうは>=子宮の内膜や内容物をかきとること。
○蒼白<そうはく>=青白いこと。(顔面蒼白)
○総腓骨神経<そうひこつしんけい>=坐骨神経から出て両腓骨神経に分かれる。
○創壁<そうへき>=きずのへりから底までの面。
○僧帽筋<そうぼうきん>=肩から頸部付着部の筋。肩を後上方に引く。
○側位<そくい>=横側の位置。
○側鋸筋<そくきょきん>=肩を前方に引き、また肋骨を引き上げる。
○足骨<そくこつ>=足の骨の総称。
○足根<そくこん>=足の後部。
○足跡<そくせき>=素足(靴下)および履物によって印象された跡をいう。
○側切歯<そくせっし>=第2歯。
○側頭骨<そくとうこつ>=頭蓋骨のうち左右の耳介付近の骨。
○側頭筋<そくとうきん>=頭部のうち左右耳介上前部付近にあるやや扁平な大き
          な筋。下顎骨を上げ、やや後方に引く。噛む時に働く。
○側頭葉<そくとうよう>=脳の項参照
○側脳室後角<そくのうしつこうかく>=後頭歯内に延びる側脳室の一部。
○足背<そくはい>=足の背面。
○粟粒大<ぞくりゅうだい>=粟つぶ位の大きさ。溢血点等の大きさを表す。
○鼠蹊(径)部<そけいぶ>=大腿部の付け根内側。
○咀嚼<そしゃく>=食物を咬断磨砕し唾液と混和して嚥下し易い食塊を形成すること
          をいう。
○蛆蝕<そしょく>=蛆虫に食い荒らされた状態。
○疎生<そせい>=まばらに生えていること。(陰毛疎生)
○蘇生<そせい>=生き返ること。よみがえること。
○粗糙面<そぞうめん>=表面(皮膚)が荒れてざらざらしている状態。
○卒倒<そっとう>=激しい運動、その他生理的原因によって突然倒れて人事不省に
          おちいることをいう。やがて死亡するときと回復するものとがある。
○蚕豆大<そらまめだい>=そらまめの大きさ。変色部等の大きさを表す。
○損傷<そんしょう>=創傷を含み、広く身体組織、器官が外力によってその連絡を
          たたれたりその機能を障害されたことを総称する。着衣等の傷に
          ついても損傷という。
○ゾンデ<sonde>=尿道、膀胱の拡張操作に使用する金属の棒。創傷の深さ、創洞
          の方向を調べるのに使う。


○ターナー症候群<turner's しょうこうぐん>=染色体異常の一種。性染色体のX染色
          体が1本欠失することに起因する。第2次性徴が欠如し、原発性無
          月経の約15%は本症が原因である。
○ターミナルケア<terminal care>=末期医療。末期症状の患者は死に対する恐怖や
          家族問題など、肉体的苦痛以外の苦痛に直面する。これらの苦痛
          を和らげる医療で、宗教家やソーシャルワーカーの参加も必要とさ
          れる。
○ダイアジン<diazine>=肺炎、淋疾、敗血症および化膿性疾患に用いる内服薬。
○第一胸椎<だいいちきょうつい>=胸椎の1番目、最上部の胸椎。
○第一大臼歯<だいいちだいきゅうし>=第6歯。
○第一腰椎<だいいちようつい>=腰椎の1番目、最上部の腰椎。
○第一肋骨<だいいちろっこつ>=肋骨の1番目、最上部の肋骨。
○大陰唇<だいいんしん>=女性性器外陰部を左右から囲むように突出した器官。
○帯黄色<たいおうしょく>=皮膚の変色部の色が黄色を帯びた状態。
          皮下出血した血液が徐々に組織に吸収され、概ね2週間位で
          黄色を帯びた色に変わり、また消えてゆく過程の状態。
○帯黄蒼白<たいおうそうはく>=黄色味を帯びた青白い色。
○ダイオキシン<dioxin>=ポリ塩化ジベンゾダイオキシンの略。75種の異性体があ
          り、特に2・3・7.・8-4塩化ジベンゾダイオキシンは発癌性、催奇形
          性からもっとも有毒な化合物。枯葉剤として用いられた。
○他為介在<たいかいざい>=本人以外の者の行為が間に入っていること。
○大臼歯<だいきゅうし>=歯牙の項参照
○大胸筋<だいきょうきん>=胸部の上部で胸骨の両側にある扇状の大きな筋。
          上腕を前内方に引き、また内転させる。
○大頬骨筋<だいきょうこつきん>=頬骨外側から口角に至る筋。
○大後頭隆起<だいこうとうりゅうき>=後頭の外側正中に突出する隆起。
○大坐骨切痕<だいざこつせっこん>=寛骨後下部の弯入部。
○第三大臼歯<だいさんだいきゅうし>=智歯ともいう。第8歯(親知らず)。
○胎脂<たいし>=新生児の身体に付着しているいわゆる「あぶら」。
○胎児<たいじ>=胎内にいる子。死産児の項参照
○帯状溝<たいじょうこう>=大脳半球内側面にある大脳溝のひとつ。
○大静脈<だいじょうみゃく>=体の組織器官から老廃物等を心臓(右心房)に運ぶ
          太い血管で上大静脈と下大静脈に分かれる。
     ※上大静脈=上肢、頭部方向からのもの。
     ※下大静脈=心臓より下方向からのもの。
○大静脈孔<だいじょうみゃくこう>=横隔膜にある下大静脈および横隔神経の枝が
          通る穴。
○褪色<たいしょく>=色があせること。(死斑が褪色)
○大豆大<だいずだい>=大豆の大きさ。変色部等の大きさを表す。
○大泉門<だいせんもん>=俗にいう「おどりこ」。生後6ヶ月で径2.5cm、生後9ヶ月で
          径2.7cm。その後、頭蓋骨の癒合に伴って縮小、1年で径2.2cm、
          1年半でほとんど閉鎖し、満2歳で完全に閉鎖する。泉門の項参照
○対側打撃<たいそくだげき>=頭部の損傷で衝撃の加わった部の反対側の脳に
          脳挫傷や脳皮質出血を生ずる場合をいう。=コントルクー
          衝撃の加わった側の脳に生ずる損傷を「衝撃側損傷」という。
○大腿筋膜張筋<だいたいきんまくちょうきん>=大腿筋膜を張る扁平な筋。
○大腿屈筋群<だいたいくっきんぐん>=大腿の後部にあり、大腿を屈曲する筋群。
○大腿後面<だいたいこうめん>=大腿の後側。
○大腿骨<だいたいこつ>=膝部から股関節の大転子までの長管骨。
○大腿四頭筋<だいたいしとうきん>=大腿部に存する。大腿直筋、膨側広筋、脛側
          広筋、中間広筋の4筋を総称したもの。大腿を曲げ、膝から下を伸
          ばす。
○大腿静脈<だいたいじょうみゃく>=足先方向から外腸骨静脈に向かう大腿部の
          静脈。
○大腿深動脈<だいたいしんどうみゃく>=大腿動脈の太い枝。
○大腿動脈<だいたいどうみゃく>=外腸骨動脈から足先方向に向かう大腿部の
          動脈。
○大腿二頭筋<だいたいにとうきん>=膝を曲げ、かつ外転する。
○大腿部<だいたいぶ>=ふとももの部分。
○大腿方形筋<だいたいほうけいきん>=坐骨結節から大転子に至る方形の筋。
○大腸<だいちょう>=小腸に接続し、腹腔の外周に沿って蹄鉄状に走り、盲腸、結
         腸、直腸に区分される全長1.5mないし1.7mの最終消化器。
     ※盲腸=大腸の初部で全長約5cmないし6cm、右腸骨窩にあって嚢状を呈
          し、内側下壁から円柱状の虫垂が出ている。
     ※結腸=盲腸に続き腹腔の右壁に沿って上行する上行結腸と胃の下方を左
          方に走る横行結腸、更に腹腔の左壁に沿って下行する下行結腸、
          左腸骨窩からS字状に腹腔正中部に向かうS状結腸に分かれ、全長
          は約1.2mないし1.5mである。
     ※直腸=S字結腸に続いて仙骨前方で正中線下行し、下端は肛門として外に
          開き、全長は約10cmである。
     ※虫垂=盲腸の内側下壁から出ている円柱状の器官。通常盲腸炎といわれ
          るのはこの虫垂に異物が入り、腐敗したために起きる炎症で正しく
          は虫垂炎という。
○大臀筋<だいでんきん>=臀部の筋肉。大腿を後方に伸ばす。
○大転子<だいてんし>=大腿骨上端の外方へ突出した円形の部。
          骨盤に接して股関節を形成する。
○大動脈<だいどうみゃく>=きれいな血液を体内各組織に送るため心臓左心室から
          起こり、わずかに上方に上がったところで左後方に曲がり、第4胸椎
          の左方に達し、次いで脊柱に沿って下方に向かう太い血管。
          上行大動脈と下行大動脈に分けられる。
     ※上行大動脈=左心室から僅かに上方に上がり、大動脈弓に到る間をいう。
     ※下行大動脈=第4胸椎から脊柱に沿って下方に向かう胸大動脈、腹大動
          脈、正中仙骨動脈をいう。
○大動脈弓<だいどうみゃくきゅう>=左心室から上方に向かった大動脈が大きく弧を
          描いて下方に転ずる曲がった部分をいう。
○大動脈球<だいどうみゃくきゅう>=左右一対の冠状動脈(心臓自体を養うための血
          液を運ぶ血管)が大動脈の基部から分かれる部分が球状にふくらん
          だ部。
○大動脈瘤破裂<だいどうみゃくりゅうはれつ>=大動脈の壁が脆弱であるため動脈
          径が太くなり、瘤状に見えるものを大動脈瘤という。この脆弱な部分
          が破裂することをいい、失血死の原因となりうる。
○第二小臼歯<だいにしょうきゅうし>=第5歯。
○大脳<だいのう>=脳の項参照
○大脳鎌<だいのうかま>=頭蓋正中線に沿って前後に走り、刃を下に向けた鎌状の
          膜。
○大脳脚<だいのうきゃく>=大脳と小脳間に走る神経線維の束。
○大脳縦裂<だいのうじゅうれつ>=左右大脳半球の間を分ける深い裂溝。
○胎盤<たいばん>=子宮内面に接着して臍帯で胎児と連絡し、栄養供給、呼吸、排
          泄を営む円形状の肉塊。
○体表<たいひょう>=からだの表面。
○大伏在静脈<だいふくざいじょうみゃく>=足の内側面から始まり、種々の動脈を受
          け入れながら上行し、大腿静脈に合する。
○胎便<たいべん>=胎児の腸管内容物で、生後2~4日以内に排泄される。
○大網<たいもう>=小腸の全面に前掛けのように垂れ下がっている網状物。
○大約<だいやく>=おおよそ。物の大きさ、長さを表すときに使う。(大約○○cm)
○対輪<たいりん>=耳輪に囲まれ、これと平行に走る隆起。
○大弯<たいわん>=胃の下縁をなす曲線部。
○ダウン症候群<down's しょうこうぐん>=通称蒙古症といい、細胞分裂の過程で
          染色体の数が普通の人より一本多い先天的異常。頭部、耳、指
          等が小さく、顔面が平らで、目が釣り上がるなどの外的特徴を持
          つ。心臓病や精神薄弱を伴うことが多い。
○唾液<だえき>=口腔の耳下腺、舌下線、顎下腺から出る液体。血液型の判定が
          出来る。
○濁音界<だくおんかい>=人体を指でたたいたとき、濁った音が他の性質の音に変
          わる部位のことで、液体貯留の境界を意味する。
○脱臼<だっきゅう>=骨が関節から外れること。
○脱落現象<だつらくげんしょう>=死体の腐敗が進行し、毛髪などが抜け落ちる現象。
○タブレット<tablet>=錠剤。
○タブン<tabun>=神経ガスの一種。アーモンドのような匂いのする液体。猛毒で、吸
          入すると呼吸筋の麻痺により窒息死する。
○打撲傷<だぼくしょう>=創傷の項参照
○淡黄色<たんおうしょく>=淡い黄色。
○炭化<たんか>=炭素化合物が分解して炭素が残ること。
○短径<たんけい>=短い方の長さ。長短2本の創傷等がある場合に短い方の長さ
          を現すときに使う。(短径○○cm)
○淡紅色<たんこうしょく>=淡い紅色。
○短骨<たんこつ>=手根骨や足根骨のように短い骨。
○短截<たんさい>=短く切ってあること。「手指の爪は短截され・・・」等と使う。
○胆汁<たんじゅう>=肝細胞で作られ胆管を経て総胆管から十二指腸に排泄され
          る消化液。
○短掌筋<たんしょうきん>=小指球最表の皮下を横に走る薄い筋。
○胆石症<たんせきしょう>=いわゆる胃痙攣と診断されていた急激に発症する腹痛
          の多くは、現在の進歩した診断技術により胆石症と診断されている。
          40歳代より多くなり、男女比は1:1.5~2で女性に多い。
          胆石は主成分によりコレステロール系石とビリルビン系石に大別さ
          れ、コレステロール系石は胆嚢内に存在する。多くの場合、数個か
          ら数十個のことが多く、色もビリルビンの含有量によって違っている。
          ビリルビン系石は胆石中にビリルビンカルシウム塩として存在し、
          胆管内にあることが多い。暗褐色、黒色で割面は層状構造を示す
          が、無構造のものもある。
             病態像は、特徴的な疝痛発作は夜間、突然に激しい刺すような
          痛みが右季肋部に出現し、右肩に放散する。間歇期には右季肋部
          の重圧感や背部痛など明らかな症状を呈さない。発作時の理学的
          所見では、右季肋部を圧迫した状態で深呼気をさせた時に、痛みの
          ために途中で止めてしまう。この状態をMurphy胆嚢症状という。
          十二指腸への排泄障害を合併すると、褐色尿や皮膚の黄染を呈す。
          また感染症を合併するときには発熱を伴い、胆汁性腹膜炎へと進
          展する可能性がある。
○断端<だんたん>=断ち切られた先端。
○胆嚢<たんのう>=肝臓右葉の下部に付着し、胆汁を貯蔵する茄子の実状の器官。
          胆嚢炎の病態像は、発熱が悪寒戦慄を伴い突然発症する。
          上腹部痛ないし右季肋部の激痛が右上方に放散し、時に黄疸を伴
          う。これをCharcotの三徴と呼び代表的な症状である。さらに重症例
          では冷汗を伴うショック症状や意識障害などの全身症状を呈し、この
          場合は胆汁性腹膜炎、肝膿瘍や菌血症の合併を意味し、予後不良
          のことがある。
○ダンピング症候群<dumping しょうこうぐん>=胃切除患者の10~20%に見られる症
          候群。食後30分以内に全身倦怠感、冷汗、動悸、吐き気、嘔吐など
          の症状があらわれる。
○炭粉<たんぷん>=炭の粉。
○短拇指外転筋<たんぼしがいてんきん>=拇指を他の指から遠ざける筋。
○短拇指伸筋<たんぼししんきん>=拇指基節を延ばす筋。
○タンポナーデ<tamponade>=心嚢内に出血し、血液がたまると心臓機能がおかされ
          て死亡原因となるが、これを心タンポナーデという。
○タンポン<tampon>=鼻腔、膣、傷口に挿入して止血、分泌物の吸収などの目的で
          使用されるガーゼやスポンジ、紙綿を棒状にしたもの。


○チアノーゼ<zyanose>=呼吸困難などによって体内の酸素が減少し、鮮紅色を
          失った血液が毛細血管静脈を循環するため、可視粘膜や皮膚
          が青色もしくは赤紫色を呈する現象を言う。顔面、口唇、爪床等
          に出る。
○弛緩<ちかん>=“士官”の慣用読み、ゆるむこと、たるむこと。
○恥丘<ちきゅう>=女性の性器で上部の盛り上がった部。=陰阜・恥丘部。
○恥垢<ちこう>=不清潔な男女の性器周辺に見られる乳白色の物。
○恥骨<ちこつ>=骨盤を形成する骨のひとつで陰部上部にある。
○智歯<ちし>=歯牙の項参照
○膣<ちつ>=女性性器でシワの多い伸縮性に富んだ中空の筋質器官、子宮に通
          ずる。生殖器の項参照
○チック症<tic しょう>=顔面、頸部、肩などの一部の筋肉が、急速かつ不随意的に
          突然動く病気。神経性のもので、しばしば反復される。
○膣前庭<ちつぜんてい>=女性性器の膣入口部と尿道間の部分。
○窒息死<ちっそくし>=何らかの作用によって呼吸機能を障害し、酸素欠乏に
          よって死亡することをいう。外呼吸(肺呼吸)の障害によるものと
          内呼吸(組織呼吸)の障害によるものとがある。
          普通窒息死というのは外呼吸の障害を指称する。
     ※窒息死の形態
      #縊頸、絞頸、扼頸等外表よりの気道圧迫による気道閉塞。
      #手や衣類等により鼻口部圧迫による外呼吸口の閉塞。
      #固形物吸引による気道閉塞。
      #液体吸引による気道閉塞。
      #埋没、気胸など胸腹壁圧迫による呼吸運動の障害。
     ※窒息死の症状(法医学書によるとこれを4期に区分する。)
      #第1期(前期)
       3秒から1分の間で無症状。
      #第2期(呼吸困難期)
       酸素が欠乏し炭酸ガスが体内に増加する。この結果、呼吸中枢が刺激
       され呼吸を促進する作用が起こる。最初は吸いを動作、次は吐く動作と
       なり、それが動作だけで呼吸が出来ないので意識が混濁し、同時に痙攣
       を起こす。この痙攣によって尿失禁、射精、陰茎の勃起が起こる。
      #第3期(仮死期)
       呼吸作用が停止する。
         #第4期(終末呼吸期)
       口を大きく開き鼻翼を開いて大きく呼吸をしようとする動作をするが、
       次第に弱くなり、その間隔も長くなって7分から10分位で死亡する。
○膣内<ちつない>=子宮にいたる穴のなか。
○チフス<typhus>=チフス菌によって起こる感染症。高熱、発疹、腫脹を示す。
          菌により腸チフス・パラチフスがあり、また、リケッチアによる
          発疹チフスもある。
○痴呆<ちほう>=低脳状態となる精神病のひとつ。(老人性痴呆症)
○治癒<ちゆ>=病気、負傷などが治ること。
○肘窩<ちゅうか>=肘の内側のくぼみの部分。
○中核<ちゅうかく>=中心。
○中間広筋<ちゅうかんこうきん>=大腿四頭菌のひとつ。
○肘関節<ちゅうかんせつ>=上腕と前腕の間の関節。
○虫咬痕<ちゅうこうこん>=死体の一部を昆虫等の虫が咬食いした痕の状態をいう。
          歯形が残っていたり、傷口は小さいが深く穴があいていたりする。
○中耳<ちゅうじ>=鼓膜と3個の耳小骨と耳管がある。=鼓室
○注射針痕<ちゅうしゃしんこん>=注射によって出来た皮膚等の注射針の痕跡。
○中心管<ちゅうしんかん>=脊髄中心部の細い管。
○中心溝<ちゅうしんこう>=前頭葉と頭頂葉を分界する脳溝。
○中心前回<ちゅうしんぜんかい>=随意運動領。
○中心前溝<ちゅうしんぜんこう>=中心溝の前方を平行して走る脳溝。
○虫垂<ちゅうすい>=大腸の項参照
○中節骨<ちゅうせつこつ>=手の指骨の中央部。
○中切歯<ちゅうせっし>=第1歯。
○中前頭回<ちゅうぜんとうかい>=前頭様にある脳回(しわのこと)。
○中足骨<ちゅうそくこつ>=足根骨と趾骨との間の骨。
○中臀筋<ちゅうでんきん>=臀部の筋肉。
○肘頭<ちゅうとう>=肘関節の後側部。(曲げると突する部)
○抽筒子痕<ちゅうとうしこん>=銃から弾丸が発射された後薬室から薬莢を銃外に
          つまみ出す時、薬莢に出来る鉤(かぎ)の痕跡。
○中等度<ちゅうとうど>=中くらい程度。高度→中等度→軽度  (中等度の出血)
○中等量<ちゅうとうりょう>=中位の量。多量→中等量→少量 (中等量の出血)
○中毒<ちゅうどく>=飲食物、薬物、劇毒物などの毒性によって機能障害を起こす
          こと。
○中脳水道<ちゅうのうすいどう>=中脳にある第3及び第4脳室間の狭い層。
○中鼻甲介<ちゅうびこうかい>=鼻腔内に突出する骨。
○中夜<ちゅうや>=日没1時間後から23時まで(4月~9月)
              日没1時間後から22時まで(10月~3月)
○中葉<ちゅうよう>=右肺は三つに仕切られているが、上から上葉、中葉、下葉とい
          う。
○腸管<ちょうかん>=腸そのものをいい、腸が管状になっているところからいう。
          胃の下部から連なり、腹腔の大部分を占めて屈曲する管で、
          小腸と大腸に区別される。
○長管骨<ちょうかんこつ>=上腕骨、前腕骨(尺骨、橈骨)、大腿骨、下腿骨(脛骨、
          腓骨)、肋骨、胸骨等長い骨をいう。=長骨
○腸管漿膜<ちょうかんしょうまく>=腸管を包む膜。
○腸管粘膜<ちょうかんねんまく>=腸管腔を包む膜。
○腸間膜<ちょうかんまく>=腹腔内に扇状に広がっている大きな膜で、腹膜が2枚
          合った膜の縁に沿って腸管を包み、他の縁は後腹膜に付着して
          いるもの。
○腸間膜根部<ちょうかんまくこんぶ>=血管と神経を導く腹膜のヒダで、腹膜内の
          小腸を固定する。
○腸間膜動脈<ちょうかんまくどうみゃく>=腸間膜に走る動脈。
○蝶形骨<ちょうけいこつ>=眼窩の奥にある骨。
○蝶形骨洞<ちょうけいこつどう>=蝶形骨内にある洞。
○腸骨<ちょうこつ>=骨盤を形成する骨のひとつ。
○腸骨翼<ちょうこつよく>=腸骨の一部。
○腸骨稜<ちょうこつりょう>=両側下腹部に触れる骨。
○長指伸筋<ちょうししんきん>=下腿外側から足骨にある筋。
○長掌筋<ちょうしょうきん>=前腕にある筋で、手間接を屈曲する。
○長足底靱帯<ちょうそくていじんたい>=足底面にある靱帯。
○腸チフス<ちょう typhus>=井戸水、飲食物などの中にある腸チフス菌が口から
          入り感染する。1~2週間の潜伏期の後、頭痛やだるさなど感冒
          に似た症状で始まるが、症状は次第に強くなって4~5日もたつと
          1週間目頃には40度に達する。このころ皮膚に少数の小さな発
          疹が出来る。脈は熱の高いのに係わらず少なく、舌は厚い褐色
          のコケをつけるが、熱は次第に降下することが多い。
          腸チフス菌は初めのうちは便の中に出されず発病10日目ごろか
          ら排出されるようになる。                 
○長内転筋<ちょうないてんきん>=大腿内側にある筋。 
○長腓骨筋<ちょうひこつきん>=大腿外側にある筋。
○超壁<ちょうへき>=腸管の粘膜、粘膜下層、筋、臓側腹膜の別称。
○長拇指屈筋<ちょうぼしくっきん>=手掌、足底にある筋。
○長拇指伸筋<ちょうぼししんきん>=手掌、足底にある筋。
○腸腰筋<ちょうようきん>=腰椎椎体と小転子(足部)にかかる筋。ももを曲げ、かつ
          少し外転する。
○直腸<ちょくちょう>=大腸の項参照
○直腸子宮窩<ちょくちょうしきゅうか>=直腸と子宮の間。
○直静脈洞<ちょくじょうみゃくどう>=脳の後半部にある静脈。
○著変<ちょへん>=著しく変化していること。
○著明<ちょめい>=著しく明らかなこと。
○貯溜<ちょりゅう>=血液などが腹腔等にたまっている状態。
○縮緬皺<ちりめんじわ>=縮緬織の布のような皺のこと。
○チロキシン<thyroxin>=甲状腺から分泌されるホルモンの一種。
          ヨードを含み、物質代謝を盛んにし、発育を促す作用がある。
          過剰の場合はバセドー病、欠乏の場合は甲状腺腫などを
          引き起こす。
○沈下<ちんか>=沈み下がること。
○陳旧<ちんきゅう>=ふるいこと。(陳旧瘢痕)


○椎間関節<ついかんかんせつ>=脊柱の関節突起間の関節性連続。
○椎間板<ついかんばん>=椎骨と椎骨の間にある軟骨上組織。(椎間板ヘルニヤ)
○椎骨<ついこつ>=脊柱を構成する個々の骨。その間に椎間板があり、外力が
          異常に作用すると椎間板ヘルニヤを起こす。=脊柱骨
○墜落分娩<ついらくぶんべん>=胎児を、立った状態あるいは便所等に落とす
          ように生むこと。
          墜落分娩は経産婦に多く初産婦には少ないのが定説である。
          そのほとんどは過失であるが、他の場所で分娩した嬰児を便所
          に捨てるなどがあり、注意を要する。
          墜落分娩した嬰児の臍帯は、嬰児の重みで途中でちぎれ、その
          断端は断裂状を呈し、断裂からは児側3分の1位のところまであ
          るのが70%といわれている。産湯を使っていないので特に耳の
          後方、首まわり、脇の下、股の間などに灰白色の脂肪様の粘稠
          物すなわち胎脂の付着が見られ、また、肛門付近に胎便が排出
          されている。 
          生後、死産の別は、眼瞼の溢血点や、皮下出血の有無、腹囲と
          胸囲との比較あるいは解剖による肺の浮遊試験や糞便吸引の
          有無などによって判断する。
○ツェツェ蠅<tsetse ばえ>=イエバエ科の昆虫。人間や各種の動物から吸血し、
          眠り病やナガラ病を起こすトリパノソーマを媒介する。
          多くはアフリカの熱帯地方の湿地に分布。
○槌骨<つちこつ>=耳小骨の一部。
○恙虫病<つつがむしびょう>=河川流域に流行し、夏に多く、罹患した恙虫に刺さ
          れて感染する。潜伏期は約1週間、頭痛や高熱で急に発病し、
          38度以上の熱が続く。6~7日目に斑点状丘疹が全身に広がる。
          2週間後に下熱し刺口部に膿疱を作り、淋巴腺が腫れる。
○ツベルクリン<tuberkuln>=結核菌のグリセリンブイヨン培養を濃縮・濾過した
          透明褐色の注射液。コッホが創製。結核の診断に用いる。


○定型的縊死<ていけいてきいし>=縊死の項参照
     ※定型的縊死と溢血点=索条が前頸部から下顎角付近を経て左右の耳
        の後方を均等に上方に走るため下顎角を走っている頸動脈と椎骨
        動脈(椎骨の中を走っていた動脈はこの付近で外に出て頭骨内に
        至る)を全体重がかかった索条で圧迫するので脳にまったく血液が
        いかなくなり、顔面は蒼白になっているし溢血点も出ないことが多い
        とされている。
        一説によると定型的縊死は単なる窒息死ではなく頸動脈及び椎骨
        動脈が完全に同時に閉塞されるための脳貧血が主因であり、他の
        説は迷走神経を圧迫することによって刺激を急に心臓に与えるため
        心臓の機能が停止させられるのもひとつの原因とされる。
○挺出<ていしゅつ>=舌を歯列の間から差し出している状態。=挺舌
○泥状物<でいじょうぶつ>=泥のような流動性を欠くもの。
○剃髪<ていはつ>=頭髪等を剃り落すこと。
○剃毛<ていもう>=毛を剃ること。
○デオキシリボ核酸<deoxyribonucleic かくさん>=デオキシリボースを糖の成分とし
          ている核酸。細胞の遺伝情報を持ち、それを伝達する。
          遺伝子を構成し、自己を複製し、リボ核酸や蛋白質の合成の役を
          はたす。略してDNAという。
○溺死<できし>=気道に液体(普通は水)を吸引したため気道閉塞を起こした酸素欠
          乏による窒息死である。全身が水中に沈み溺れることが普通であ
          るが小さな水溜りやバケツ等に顔だけ入れた溺死もある。
          死体の特徴としては
           *口から白く細かい粘稠性の泡沫を出していること。
           *水およびプランクトン、その他の異物を胃内に飲み込んでいる
            こと。
          等があるので解剖等によって確認する。
○摘出<てきしゅつ>=つまみ出すこと。
○溺没液<できぼつえき>=溺れ死んだものが肺に吸い込んだ液体。
○デコルマン創<decoruman そう>=自動車事故による創傷のひとつ。
          自動車のタイヤが身体を轢過する際に皮膚のみを強く引っ張る
          ために筋肉と皮膚が剥がれた状態になっている創。
          皮膚が断裂してその上さらに筋肉から離れているものや、単に
          裂創が伴わずに皮膚が筋肉から剥がれているものがある。
          =皮下剥離創
○テストステロン<testosterone>=代表的な男性ホルモンで、精巣から分泌される
          もの。副腎や卵巣からも少量分泌される。男性の性徴の発現、
          性器の発育をもたらす。蛋白同化作用があり、筋肉の増強効果
          がある。
○テタニー<tetany>=全身の筋肉の興奮性が増加し、反復痙攣を起こす状態。
          上皮小体ホルモンの欠乏により血液中のカルシウムが低下する
          ために起こる。甲状腺手術の後に発症することが多い。
○テタヌス<tetanus>=破傷風。破傷風菌が創傷より侵入し、菌が分泌する毒素が
          中枢神経組織と結合して中毒症状を呈する。潜伏期は1日~2ヶ月
          間と幅がある。破傷風菌は嫌気性菌で、挫滅の強い、深い創の場
          合に発病することが多い。咀嚼筋の痙攣、口が開かないなどの症
          状で始まり、次第に全身の筋の硬直や痙攣を起こしてくる。
          特に、呼吸筋の痙攣によって呼吸困難を起こして死亡することが
          多い。
○テトラサイクリン<tetracycline>=抗生物質の一種。抗菌剤、抗リケッチア剤として
          用いる。
○テトロドトキシン<tetrodotoxin>=ふぐ毒の主要成分。
○転移<てんい>=(死斑の出ている)位置が移り変わること。
○癲癇<てんかん>=発作的に意識を失って卒倒し、口から泡をふいて痙攣を起こ
          す脳障害。呼吸マヒや倒れたときの受傷によって死亡することが
          ある。
○デング熱<denguefieber ねつ>=デング熱ウイルスが、蚊によって媒介されて起こ
          る感染症。熱帯、亜熱帯地方で流行する。高熱、結膜充血、関節
          および筋肉痛、赤い発疹などの症状を呈する。
○電撃死<でんげきし>=雷や高圧電流により死亡すること。
○臀溝<でんこう>=左右臀部間の溝。=臀裂
○転子部<てんしぶ>=大腿上部の骨盤に近いところ。
○点状<てんじょう>=多くの点が存在すること。
○臀部<でんぶ>=おしりのこと。
○纏絡<てんらく>=まつわりからみつくこと。=纏綿  (索条が纏絡)
○電流痕<でんりゅうこん>=人体に電気が導通したときその部位の皮膚に見られる
          瘢痕。流入痕と流出痕があり、多く頭部、頸部、手足等に見られる。
          普通電流では、形は円形または楕円形が多く、色は黄色、褐色ま
          たは灰白色で乾燥して革皮状を呈し、多くは中央部がやや凹んで
          いる。
          落雷等の強い電流ではジュール熱のため第1度の火傷が起こり、
          樹枝状の紅斑を生じることがあり、これを電紋という。
          屋外の電線に感電した死体について検視をする場合、特に通電の
          有無を確かめてから手を触れないと危険である。
○臀裂<でんれつ>=臀部中央において縦に走る左右臀部境界線。創傷などの位置
          測定の際の基準になる。


○島回<とうかい>=大脳のシルビウス溝に面する脳回。
○頭蓋腔<とうがいこう>=ずがい腔の項参照
○頭蓋骨<とうがいこつ>=ずがい骨の項参照
○東京都監察医務院<とうきょうとかんさついむいん>=死体解剖保存法第8条に基づ
          いて東京都23区内で発生したすべての不自然死(死因不明の急性
          死や事故死など)について、死体の検案及び解剖を行ないその死因
          を明らかにする。
          そしてこのことは死者の人権を擁護するとともに、死因究明の過程
          で得られた貴重な情報は、医学教育、臨床医学、予防医学などに還
          元され、医学の進歩に貢献している。
○同衾<どうきん>=一緒に寝ること。
○頭筋部<とうきんぶ>=頭部の筋肉。
○透見<とうけん>=すかし見ること。(瞳孔透見)
○糖原病<とうげんびょう>=糖原、すなわちグリコーゲンは肝臓や筋肉などに多量に
          含まれている物質である。糖原病はこれらのグリコーゲンに異常が
          起こったために発病する。
           糖原病Ⅰ型は、全体の半分を占める最もポピュラーなものであり、
          患児は一般に身長が低く、頬や四肢の皮下脂肪が多いため人形の
          ような顔をしている。四肢は皮下脂肪が多いが筋肉はむしろ萎縮性
          であり、筋力はなく、活発な運動ができない。肝臓が大きくなるため
          に腹部は膨満して見えることが多い。知能は普通であるが、低血糖
          が起こり痙攣や意識障害などを発症し、繰り返すと知能が低下する。
           糖原病Ⅱ型は2歳までには死亡する重症の糖原病として知られて
          きた。しかし、30年前に進行性筋ジストロフィーや多発性筋炎に症状
          のよく似た小児型及び成人型が発見され、糖原病Ⅱ型の見かたが
          多少変化した。従来の糖原病Ⅱ型はポンペ病といわれ、乳児型であ
          り、遅くとも生後6ヶ月以内に心筋へのグリコーゲン蓄積による心不
          全症状があらわれる。
          また、骨格筋にもグリコーゲンが沈着するので、筋緊張の低下、自
          発運動の減少が見られる。これに対して小児型及び成人型では筋
          力低下が主な症状であり、心臓の症状はほとんど認められない。
           糖原病Ⅴ型は骨格筋のフォスフォリラーゼ活性の低下があるため
          に、骨格筋にグリコーゲンの蓄積が起こり、筋萎縮や筋力低下をき
          たす疾患である。小児期より発症し、20歳頃から筋力低下が著名に
          なる。40歳頃から筋萎縮も認められる。症状は運動時に限り認めら
          れ、易疲労性、脱力、次いで有痛性の硬直が起こる。そのため運動
          を続けることができない。また、激しい運動のあと、暗赤色のミオグ
          ロビン尿が排泄されることがある。このようなミオグロビン尿によって
          急性腎不全に陥ることがあるし、てんかんを合併することもある。
○瞳孔<どうこう>=ひとみのこと。虹彩に囲まれた眼球の小孔。
○橈骨<とうこつ>=前腕骨の項参照
○橈骨神経<とうこつしんけい>=上腕にある神経。
○凍死<とうし>=低温によって凍え死ぬこと。
          寒冷作用によって血液の粘稠性が増し、抹消血管の収縮による
          酸素不足のために運動能力の低下をきたして暖かい場所への移
          動が出来なくなり、ついに心臓負担が大きくなって心臓が停止する。
          疲労、衰弱、酩酊、重症(病)が介在した場合は4℃~6℃で死ぬこ
          ともある。
          凍死体の皮膚は一般に蒼白で、鳥肌を呈し、死斑は鮮紅色を帯び、
          体温が異常降下する。ただし、普通死体でも寒冷な所に長く放置さ
          れると死斑は鮮紅色を示しやすい。左心と右心の血液の色の違い
          で診断する。左心の血液は鮮紅色。
○凍傷<とうしょう>=異常な低温が人体に作用して生ずる障害。
     ※第1度(紅斑性凍傷)=皮膚血管が麻痺して鬱血状になり、軽い腫脹が
          あって紅斑性を呈するもの。
     ※第2度(水疱性凍傷)=局所の炎症と浮腫のため浸出液がたまって水泡
          が生ずる。
     ※第3度(壊疽性凍傷)=血液の流れが部分的に停滞するため壊疽におち
          いった状態。
○凍瘡<とうそう>=いわゆる「しもやけ」で一定の素質を有する者のみにできる。
          比較的低い温度で湿った状態に長く置かれたために、鬱血、浮腫、
          多形紅斑様皮疹、水疱などを生ずるもの。
○橈側手根屈筋<とうそくしゅこんくっきん>=前腕にある筋。
○頭頂間溝<とうちょうかんこう>=上及び下頭頂小葉間にある不定の溝。
○頭頂間骨<とうちょうかんこつ>=後頭骨の上側にできる骨。
○頭頂骨<とうちょうこつ>=頭蓋骨の項参照
○頭頂葉<とうちょうよう>=脳の項参照
○疼痛<とうつう>=ずきずきとうずくような痛み。
○糖尿病<とうにょうびょう>=糖尿病とは、膵臓の内分泌腺のランゲルハンス島(膵
          島)から分泌されるインスリンの絶対的または相対的不足によりひ
          き起こされる代謝異常である。インスリンの不足でその作用が不十
          分になると、筋肉や脂肪組織などにおけるブドウ糖利用障害が起こ
          る。また肝臓においては、糖新生が高まり、その結果、高血糖状態
          となり尿中にも糖が排出される。
          原因が遺伝的に既定された異常、即ち、糖尿病にかかりやすい体
          質を遺伝しているものに、何らかの誘因となるものが加わって発病
          するものをⅡ型糖尿病という。これに対し、ウイルス感染により膵島
          炎を併発し糖尿病となるもの、これによって自己免疫異常をもって
          発病するタイプのものをⅠ型糖尿病という。
          インスリン依存型糖尿病即ちⅠ型糖尿病は、主として小児期に急激
          に発病し、インスリン分泌が欠損しているためにケトアシドーシス昏
          睡に陥りやすい。インスリン非依存型即ちⅡ型糖尿病は、主として
          成人になってから徐々に発病し、しばしば肥満を伴っている。
          口渇、多飲、多尿、るいそうなどの症状のほか、血管障害をはじめ、
          種々の合併症が起こりやすい。特に網膜症、腎症、神経症は糖尿
          病に特有なもので、三大合併症といわれている。
○ドーパ<dopa>=3、4-ジヒドロオキシフェニルアラニンの別名。アミノ酸の一種。
          ヒトの尿、副腎などに検出される。また、このアミン誘導体はドーパ
          ミンと呼ばれる。
○頭髪<とうはつ>=かみのけ。
○湯溌傷<とうはつしょう>=高温蒸気、高温液体の接触によって起こる皮膚などの身
          体組織の損傷をいう。第1度から第3度の程度は火傷の項参照。
○ドーパミン<dopamine>=カテコールアミンの一種。ドーパミン作動性ニューロン(黒
          質線状体など)で生成され、神経伝達物質として働くと推定される。
          ノルアドレナリンやアドレナリンの前駆物質。難病のパーキンソン病
          はドーパミンの欠乏によるとされ、治療にはドーパが使用される。
○頭板状筋<とうばんじょうきん>=背部にある筋。
○頭皮<とうひ>=頭の皮。
○動脈管<どうみゃくかん>=肺動脈幹分岐部と大動脈弓の間の出世時まで開いて
          いる短経路。
○動脈硬化<どうみゃくこうか>=動脈の壁にコレステロールや血の固まりが付着し、
          動脈の壁が厚く硬くなり、血液の流れる部分が狭くなると臓器その
          ものに必要かつ十分な血液を送ることができなくなる状態をいう。
○動脈瘤<どうみゃくりゅう>=動脈内の周囲が梅毒などの原因によって部分的に拡
          張し突出している状態をいう。(衝撃、極度の緊張により破裂して
          急死することがある。)
○透明中隔<とうめいちゅうかく>=左右の側脳室の間の隔壁。
○桃葉状<とうようじょう>=哆開した創や変色部が桃の葉の形をしている状態をいう。
○トキソイド<toxoid>=病原体が作る毒素を処理して毒性を除き、免疫を作る力だけ
          を残したもの。ジフテリアや破傷風の予防接種に利用。変性毒素。
○トキソカラ症<toxocariasis しょう>=犬やネコに寄生する回虫トキソカラ属の幼虫に
          よる内臓移行症。小児が犬やネコが糞をする砂場で遊んだ後良く
          手を洗わなかったり、餌を口移しで与えたりすることによって感染
          する。肝臓や眼に障害を起こす。
○トキソプラズマ<toxoplasma>=原虫の一種。ヒトや犬・猫などを含む哺乳類、鳥類に
          広く寄生する。ヒトが感染しても通常は無症状であるが、まれに脳炎
          や肺炎を起こす。胎児感染では奇形の原因となる。
○トキソプラズマ症<toxoplasma しょう>=トキソプラズマが寄生して起こる病気。病人
          の大部分は乳幼児。多くは先天性で、重い脳障害を起こし、しばし
          ば生後数週間で死亡する。
○ドクター<doctor>=博士。医師。
○ドクターレター<doctor letter>=専門医が各種の治療薬の副作用の危険性を厳重
          に検査し、服用基準値などを詳述した緊急安全性情報のこと。
○禿頭<とくとう>=はげあたま。
○毒物<どくぶつ>=毒物とは一言で定義付けることは困難であるが、比較的少量で
          普通の健康状態にある人、又は動物の生活機能に障害を与えるよ
          うな性質のものをいい、その強弱の程度によって毒物と劇物の差が
          出てくる。
          毒物の種類は極めて多いが、その作用によって腐蝕毒、実質毒、
          血液毒、神経毒に大別される。
     ※腐食毒
        (1)腐蝕性酸類
          ①強鉱酸~硫酸、硝酸、塩酸
            腐蝕力は硫酸、硝酸、塩酸の順で、作用局部に炎症、潰瘍が見
            られる。致死量は濃厚なもので4gから15gである。
            ②弱鉱酸~強鉱酸以外の無機酸、クロム酸、弗化水素等、致死量
            は一定できない。
          ③醋酸(酢酸)~家庭で用いられる「酢の素」に約10%、「酢」に4%を
            含む、致死量は氷醋酸で12gである。
          ④蓚酸~工業上、真鍮、銅、石を磨くのに使用される。致死量は
            10gから30gである。
          ⑤碳酸およびその誘導体~消毒に使用される碳酸クレゾール。
            致死量は7gから8gである。
        (2)腐蝕性アルカリ類
          ①苛性カリ、苛性ソーダ~工業用に広く使用される。致死量は濃度
            によって違うが10gから20gである。
          ②アンモニア~揮発性で特異な刺激臭がある。空気中の含有量が
            1.5%以上で中毒を起こし、2%から3%になると呼吸困難、痙攣
            性窒息を起こして死亡する。
            致死量は10%液で10ccから30ccである。
        (3)腐蝕性塩類
          ①昇汞~蛋白質と結合して水銀アルブミナートを作る。
            致死量は子供で0.2gから0.6g、成人で約0.68gである。
          ②硝酸銀~蛋白質と結合して水銀アルブミナートを作る。
            致死量は10g内外である。
          ③銅塩~硫酸銅、醋酸銅。
            銅食器に生じた緑青の中毒もある。
            致死量は硫酸銅で10gから15g、緑青で15gから20gである。
        (4)有機性腐蝕毒 
          ①カンタリジン~豆斑猫と称される昆虫の体内に含まれ、催淫剤、
            堕胎剤に用いる。致死量は0.07gから0.15gである。
     ※実質毒=主として血液中に吸収された後、諸臓器の細胞原形質を傷害し
        て、組織実質の変性をきたすと共に血液および血管壁を傷害する。
        (1)燐~赤燐と黄燐があり、赤燐はマッチの燐成分で無毒、黄燐は猛
          毒で特異のにんにく臭があり、空気中で酸化されて燐酸となる。
          猫いらずの黄燐の含有量は8%である。
          黄燐の致死量は0.2gから0.5g、猫いらずの致死量は2gから5gであ
          る。
        (2)亜砒酸~無色、無臭、無味の結晶または粉末で亜砒酸、亜砒鉛が
          ある。脳脊髄型中毒と胃腸型中毒に分けられる。
          致死量は亜砒酸で0.1gから0.3g、亜砒鉛で約0.75gである。
     ※血液毒=血液中のヘモグロビンと結合して呼吸障害等を引き起こす。
        (1)青酸および青酸塩
          ①シアン化水素~沸点は摂氏26.5度、致死量は空気中1ℓ中0.2mg
            から0.3mg、0.1mgでも長期間吸入すると死亡する。
          ②青酸~無色で酸性の液体、揮発しやすく青酸ガスを発生する。
            致死量は内服する場合は体重1kg当たり0.5mgから1mgで、服薬
            してほとんど即死の状態である。
            死体所見は、死斑は鮮紅色を呈し、瞳孔散大、胃臭に特有の臭
            いがある。
          ③青酸塩~電気メッキ、冶金、写真化学工業、果実類の殺虫に用い
            られる。                   
            青酸カリは白色針状の結晶物で水に溶けやすい。致死量は青酸
            カリで0.15gから0.25gであるが薬物の純度によって若干の時間が
            かかる場合がある。
            死体所見は、胃の粘膜は鮮紅色又は赤褐色で著しく収縮し、口
            腔、咽頭等も鮮紅色を呈することもある。
            青酸の毒作用は甚だ複雑で、血液、心臓、新陳代謝及び神経系
            に作用する。即ち血液中のヘモグロビンと結合して、シアンヘモ
            グロビンを形成して呼吸を障害し、心臓に対しては刺激神経系を
            麻痺して、その収縮作用を失わしめ、臓器の組織細胞の酸化酵
            素の作用を妨げて窒息を起こし、神経系に対しては呼吸中枢、
            血管運動神経を麻痺させる。                
        (2)一酸化炭素~炭火や豆炭、煉炭等の不完全燃焼に際して、必ず炭
          酸に伴って発生する。また製造ガスにも含まれている。無色、無臭で
          比重は0.967である。
          致死量は条件によって違うが、大体50%から60%の赤血球が一酸
          化炭素で飽和されると死亡する。ただし、麻酔時や昏睡時のように
          酸素必要量が少なくてよい時は80%でも死亡しないこともある。
          死斑は鮮紅色で、血液、筋肉、内臓も鮮紅色である。
        (3)硫化水素~下水溝などに発生することもある。
          致死量は空気中の濃度が0.02%から0.06%で中毒を起こし、0.1%
          から0.2%になると短時間で死亡する。
        (4)塩素酸カリ~含嗽剤として用いられる。
          致死量は成人で15gから30g、小児で10gである。死体所見は死斑が             灰白色を呈する。
     ※神経毒=神経系統が侵され神経が麻痺してその働きが奪われて行くもの。
        (1)エチルアルコール(エタノール)~致死量は成人で体重1kg当たり6gか
          ら8g、小児では1kgあたり5g内外である。
        (2)メチルアルコール(メタノール)~酒精、飲料に混入される。体内で分
          解され、ホルムアルデヒドとなる。
          致死量は30gから100gで時には10gで死亡することもある。
        (3)クロロフォルム~麻酔薬。
          致死量は個人差が大きく10gを吸入して死亡するときもあり、100g吸
          入しても障害のないものもある。内服では40g内外である。
        (4)エーテル~全身麻酔薬として使用される。
          致死量は吸入の場合は一定しない。内服では25cc前後である。
        (5)阿片及びモルヒネ~モルヒネは阿片の最も重要な成分でその
          約10%を占める。
          致死量はモルヒネで0.2gから0.3gであるが皮下注射では内服の場合
          の半量、小児は非常に敏感である。習慣性が強く極めて大量のモル
          ヒネ、阿片に耐えるようになり、毎日20gの内服、1.1gの皮下注射を
          行なった例もある。
        (6)アトロヒン~ベラドンナ(別名きちがい茄子)の葉及び根、又は朝鮮朝
          顔の葉及び種子に含まれるアルカロイドである。
          致死量は0.07gから0.1gである。
        (7)ストリキニーネ~無色、無臭の板状結晶で強い苦味があり、医薬品
          としては硝酸ストリキニーネがある。
          致死量は個人差が大きく一定しない。硝酸塩では0.1gから0.3gとさ
          れるが0.03gで死亡した例もある。
        (8)コカイン~コカ葉の中に含まれるアルカロイドである。局所麻酔薬とし
          て使用される。塩酸コカインは無色の板状結晶、又は白色の結晶粉
          末で味は苦く、舌を麻痺させる。
          致死量は内服で約1g、皮下注射で約0.5gである。アドレナリンと併用
          するとその毒性は著しく大きくなる。
        (9)ニコチン~タバコの葉に含まれるアルカロイドである。
          致死量は0.16gから0.6gである。
        (10)催眠剤~中毒死するには大量に服用する必要があり、死亡するま
          でに数時間から数日かかる。
          ①就眠薬~催眠効果が速やかに起こり短時間に消えるもの。
          ②持続性催眠薬~催眠効果が遅れて起こり作用時間の長いもの。
          ③熟睡薬~就眠薬と持続性催眠薬の中間的性質を持つもの。
        (11)農薬有機燐剤~現在わが国では、ホリドール、パラチオンが用いら
          れ、その主成分はいずれも硫黄を含む有機の燐酸エステルである。
          致死量は経口で0.1gから0.3g、経皮で1gである。
        (12)覚醒アミン~プロパミン(ベンゼドリン・ゼドリン)ならびにメチルプロ
          パミン(ヒロポン・ホスピタン・ペルウイチン)等がある。致死量は不明。
○吐血<とけつ>=喀血の項参照
○吐瀉物<としゃぶつ>=吐いたり、下したりしたもの。
○兎唇<としん>=上唇が縦に裂け、兎の唇の形をなすもの。
○怒張<どちょう>=はち切れんとばかりに膨らんだ状態。(血管怒張)
○突出<とっしゅつ>=突き出ること。
○突然死<とつぜんし>=瞬間的な死亡、あるいは症状があらわれてから24時間
          以内に死亡するものをいう。
○ドップラー法<dopper ほう>=超音波検査法の一種。体内で移動している対象物に
          超音波を当て、その移動速度を測定するのに用いられる。
          流血速度の計測、胎児心音や胎動の検出などに汎用されている。
○ドナー<donor>=供給者の意。心臓や腎臓などの臓器を、死後それを必要とする
          人に提供する人。
○吐乳<とにゅう>=嬰児や乳児が飲んだ乳を吐き出すこと。
○トラコーマ<trachoma>=結膜の慢性伝染性疾患。結膜や涙道や黒目の表面に瘢
          痕、引きつれを生じ、まつ毛が黒目を刺すようになったり、黒目が
          濁って視力が下がったりし、失明することもある。=トラホーム
○トランキライザー<tranquilizer>=ノイローゼなどの神経興奮や精神病に有効な
          精神、神経の安定剤。
○トランスアミナーゼ検査<transaminase けんさ>=血清中のトランスアミナーゼ量を
          測定して、病気の原因を明らかにする診断法の一種。
          トランスアミナーゼは細胞内に存在する酵素で、その細胞が障害
          されると、血清中に遊出してくる。GTO、GTPが代表的で、肝疾患の
          診断などに利用される。
○鳥兜<とりかぶと>=アコナイト。金鳳花科の多年草。庭に植える花兜、山に生え
          る山鳥兜などがある。塊根は猛毒で、興奮剤、強心剤に用いる。
○トリコマイシン<trichomycin>=抗カビ性抗生物質。トリコモナス(原虫)、カンジダ
          (真菌類)をはじめ酵母類、白癬菌類などの発育を阻止する。   
○トリコモナス<trichomonas>=鞭毛虫類に属する原生動物の一種。体は洋梨形で、
          体長0.01から0.04mm。多く、人体の腸、口腔、膣などに寄生する。
○トリッペル<tripper>=淋病。
○ドレーズテスト<draize test>=医薬品、化粧品、洗剤などに使われる化学物質の、
          皮膚や粘膜に対する局所刺激性を調べる試験法のひとつ。
○ドレーン<drain>(ドレナージ)=廃液管。創傷部に貯留する液の排出や、胆汁、尿の
          排出に使用される。
○トロンビン<thrombin>=蛋白質分解酵素のひとつ。糖蛋白質よりなる。血液中に含
          まれる水溶性のフィブリノーゲンを不溶性フィブリンに変化させる働
          きがあり、血液凝固に関係が深い。
○トロンボキサンA₂<thromboxanA2>=血小板から放出される生理活性物質。血小板
          凝集促進、血管収縮作用がある。
○トロンボプラスチン<thromboplastin>=血液凝固に関与する物質。プロトロンビンを
          トロンビンに変える作用を持つ。
○鈍<どん>=にぶいこと。
○鈍器<どんき>=刃のついていない物体。
○頓死<とんし>=頓死とは、にわかに死ぬことをいい、外観上まったく健康に見え、
          日常生活を営んでいた者が急死した場合と、医者が注射すると
          か、小手術をした後等の急死などを総称する。
○豚脂様凝塊血<とんしようぎょうかいけつ>=豚脂とは、豚の脂肪から精製する
          ラードを意味し、血液の赤血球が沈下して上層部に血漿だけが
          残り、これが凝固してラード状になったもの。
○豚脂様血塊<とんしようけっかい>=急死でない死亡の場合に、心臓血の中に
          含まれる豚の脂(ラード)状をした血液の塊。
          遷延性窒息の死体の心臓内またはその周囲の大血管内に見ら
          れる。=白色血栓・豚脂様凝塊

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法医学リーズン《88》・な~わ

・・・常時編纂更新中・・・

○内踝<ないか>=足関節内側の突出部。内くるぶし。→「外踝」
○内眼角<ないがんかく>=目がしら。
○内景検査<ないけいけんさ>=解剖して内部の状態を検査すること。
○内頸静脈<ないけいじょうみゃく>=頸静脈の項参照
○内頸動脈<ないけいどうみゃく>=頸動脈の項参照
○内耳<ないじ>=平衡覚および聴覚器の錘体中に収まった部分。
○内耳神経<ないじしんけい>=橋下端より出て内耳道を通り、平衡覚および聴覚
          器へ分布。
○内側踝<ないそくか>=大腿骨遠位部、脛骨近位部にある。
○内側臍襞<ないそくさいひだ>=前腹壁にある閉鎖した臍動脈に相当したヒダ。
○内側肺底区<ないそくはいていく>=肺下葉の肺区域。
○内腸骨静脈<ないちょうこつじょうみゃく>=総腸骨静脈の項参照
○内腸骨動脈<ないちょうこつどうみゃく>=総腸骨動脈の項参照
○内腹斜筋<ないふくしゃきん>=腹筋群の一部。脊柱を同側に曲げ、同側に回転
          する。
○内分泌腺<ないぶんぴつせん>
     ※脳下垂体=前葉・後葉・中葉の三部からなり、別々なホルモンを出す。
     ※松果体=脳梁後端の内側にある。青春期以降はしおれる。
     ※甲状腺=喉頭前面に左右一対ある。
     ※上皮小体=甲状腺の後上面に二対ある。
     ※胸腺=心臓の上方で気管に沿って左右一対ある。青春期以後しおれる。
     ※膵臓=膵尾の膵島からホルモンを分泌する。
     ※腎上体=髄質と皮質とから別々のホルモンを出す。
     ※性腺=卵巣の卵胞と黄体及び睾丸(精巣)から別々なホルモンを出す。
     ※胎盤=性関係のホルモンを出す。
○内包<ないほう>=大脳基底核の尾状核とレンズ核との間の投射線維。
○内肋間筋<ないろっかんきん>=胸部における肋骨の下に外肋間筋があり、外
          肋間筋の下についている筋肉。
○梨状陥凹<なしじょうかんおう>=喉頭部で、喉頭蓋から気管に至る声帯ひだの
          左右にある陥凹部。=喉頭梨状陥凹
○ナルコレプシー<narkolepsie>=間脳の障害により、睡眠発作(時、場所、状況に
          かかわらず突然眠ってしまう発作)や、覚醒発作(目が覚めるが体
          を動かせない状態、いわゆる金縛り)を起こす疾患。
○軟化<なんか>=硬いものがやわらかくなること。
○軟骨<なんこつ>=軟らかで弾力に富む骨。
○軟骨性外耳道<なんこつせいがいじどう>=外耳道の外側三分の一。
○軟凝血<なんぎょうけつ>=どろっとかたまった血液。急性でない亜急性ないし
          遷延性以下の死因に基づく死亡の場合に心臓血の中に含ま
          れる。
          流動性血液→軟凝性血液→豚脂様血塊
○軟泥状<なんでいじょう>=水で練り混ぜた泥のようにどろどろした状態。
○軟部組織<なんぶそしき>=皮膚、皮下組織、筋組織などの総称。
○軟膜<なんまく>=蜘蛛膜と軟膜を合わせたものを広義の軟膜という。
○軟網膜<なんもうまく>=脳実質と蜘蛛膜の間にある膜。


○ニーマンピック病<niemann pick びょう>=遺伝性の脂質代謝障害。肝臓や
          脾臓への脂質蓄積による腫大、発育障害、知能障害を生ずる。
○ニコチン<nicotine>=タバコの葉に含まれるアルカロイド。無色または淡黄色の
          油状液体。光や空気で容易に酸化され褐色に変色する。
          有毒で農薬用殺虫剤に用いられる。
○ニコチン酸<nicotinic さん>=水溶性ビタミンのビタミンB複合体。肝臓、肉、
          胚芽、ぬか、豆類、酵母などに含まれ広く存在する。
          鈴木梅太郎が発見、医薬品。
○二重条痕<にじゅうじょうこん>=皮膚に棍棒等が当たった場合に、棍棒等が
          当たったところの皮膚は蒼白であるが、その左右の縁に二条
          の変色(皮下出血)を生じている痕跡をいう。
          =二重線状・二条条痕
○二尖弁<にせんべん>=心臓の項参照
○ニトログリセリン<nitroglycerin>=グリセリンの硝酸エステル。水を含まない
          グリセリンを硫酸と硝酸との混酸で処理して作る。
          敏感で爆発しやすく、ダイナマイト、ロケット推進材のほか、
          血管拡張薬として医薬品などに用いられる。
○ニトロソアミド<nitrosamide>=ニトロソ基(-NO)をもつアミド。食品より検出される
          発癌物質で、胃や食道の発癌に関係する。
○ニトロソアミン<nitrosamine>=ニトロソ基(-NO)をもつアミン。N-ニトロソアミンは
          環境性発癌因子であり、燻製食品やビールから検出される。
          肝臓、腎臓、肺の癌に関係する。
○ニトロソ化合物<nitroso かごうぶつ>=ニトロソ基(-NO)のついた化合物。
          不安定で発癌性が強い。食品添加物の亜硝酸塩とアミノ酸から
          腸内細菌が作るアミンの反応により体内で生ずる。
○日本脳炎<にほんのうえん>=急に発熱して頭痛、不眠を訴え、熱は1~3日のう
          ちに40度に達し、ぼんやりした状態から意識混濁の状態に移る。
          死亡率は高く、小児では吐き気や引付で始まることがある。
          病原体は蚊によって媒介される。
○乳暈<にゅううん>=乳首の周りの淡褐色の笠状の部分。
○入管洞<にゅうかんどう>=乳管の周りを取り囲む紡鐘形の膨大部。
○乳歯<にゅうし>=歯牙の項参照
○乳嘴<にゅうし>=動物の皮膚、乳腺、舌などにある乳頭状の小突起部をいう。
○乳児<にゅうじ>=1歳に満たない者をいう。(母子保健法)
○乳腺<にゅうせん>=乳房内の乳を分泌する腺。
○乳頭<にゅうとう>=乳房先端の乳の出る突出した部分。
○乳頭体<にゅうとうたい>=視床下部の一対の半球状のもの。
○乳房<にゅうぼう>=胸部左右にあるふくらんだ部分で、乳腺を入れる半球状の
          かたまり。いわゆる「ちち」。
○乳幼児突然死症候群<にゅうようじとつぜんししょうこうぐん>=原因不明の突然
          死(SIDS)といわれ、生後2年までの乳幼児の突然死のうち、最後
          まで原因が不明のものをまとめた総称。
          発生と年齢の関係では生後2ヶ月から4ヶ月の間が多く、ピーク
          は2・5ヶ月。時間は、死亡の90%~95%が深夜から午前8時ま
          での間。季節的には、死亡の40%が冬3ヶ月に集中している。
          かかりやすい危険児の特性は、
          ①原因不明の呼吸停止・中断を起こした子。
          ②呼吸器の弱い子(死亡児の75%までが急性の呼吸器系の病
          気にかかっていた)。
          ③人口栄養児。
          ④母親が20歳以下のときに生まれた子(父親も20歳以下なら危険
          は増加する)。
          ⑤妊娠中に喫煙したり、麻薬を使ったりした母親から生まれた子。
          ⑥上の子と間をおかずに生まれた子(未熟児の危険)。
          などである。
          発作は、深い睡眠(レム睡眠)中の乳幼児に「無呼吸発作」が起こ
          り、酸素欠乏→心停止という発病メカニズムが推定されている。
          なぜ無呼吸発作が起こるのかはまだ不明だが乳幼児の体質に
          よって睡眠中に呼吸神経系統の障害が起きるらしいといわれて
          いる。発作を起こしたときには子供の背中を叩いてやる、人工呼
          吸をする等の応急手当をして、医者や救急車を待つ。
○乳様突起<にゅうようとっき>=外耳孔後下方の骨の突出部。
○尿管<にょうかん>=腎臓と膀胱を結ぶ管。
○尿失禁<にょうしっきん>=尿が無意識に排出される状態。
○尿道<にょうどう>=膀胱から尿を排出する管。先端は陰茎亀頭に通ずる。
○尿毒症<にょうどくしょう>=腎機能低下のために尿で排泄されるべき物質(尿素
          などの窒素化合物)が血液中に増した状態で極めて危険な状態。
○妊産婦<にんさんぷ>=妊娠中、又は出産後1年以内の女子をいう。(母子保健法)
○妊娠線<にんしんせん>=妊娠の後半期(多くは30週後)に腹壁皮膚に青赤色の
          紡錘状の線が生ずる、これをいう。大腿や乳房に生ずることも
          ある。また、妊娠以外にも腹部が急に膨大するような場合にも
          見られるが、これは外皮が過度に緊張し皮下組織が断裂する
          ために生ずるものである。
○妊娠瘢痕<にんしんはんこん>=妊娠線が分娩後退色し、その部の皮膚に白色
          の光沢ある状態で残っている痕跡をいう。


○熱凝固<ねつぎょうこ>=熱の作用により物が固まること。
○熱傷<ねっしょう>=湯溌傷の項参照
○ネフローゼ症候群<nephrose しょうこうぐん>=腎臓疾患のひとつ。糸球体の病
          変により、高度の蛋白尿と低蛋白血症、また、それによる浮腫を
          ともなう症候群。治療は困難でステロイド剤投与などによる。
○ネフロン<nephron>=腎臓の個々の腎小体とそれに連なる細尿管とを合わせて
          いう。腎単位。
○粘液<ねんえき>=ねばねばした液。
○燃焼血腫<ねんしょうけっしゅ>=頭部に高熱が作用した場合、頭蓋骨の内側に
          血液が熱凝固したもので、チョコレート様でもろく、頭部外傷に
          基づく硬膜外血腫と区別されるべきもの。
○粘稠液<ねんちょうえき>=ねばねばした濃い液体のこと。
○捻髪音<ねんぱつおん>=髪を手で捻ったとき発する音という意味で、皮下気腫が
          ある場合や、肺を剔出して手で圧すると「ズクズク」というような音
          を発することをいう。病的な呼吸音のひとつ。
○粘膜<ねんまく>=口腔、消化腺、気道、泌尿生殖器等の内面をおおっている
          柔らかい湿った膜。


○ノイローゼ<neurose>=人の心の病気のうち精神病以外の精神的なものが原因と
          なっている神経機能の疾患を一般的にノイローゼという。
          医学的には不安神経症、強迫神経症、離人神経症、運動性神経
          症、ヒステリー、分裂症反応症、抑鬱反応症等をいう。
○脳<のう>=外胚葉から発生する神経管の前端が発達したものでその続きの脊髄
          と共に中枢神経系を構成する。
          重さは新生児で400g、成人で1300gから1400gであり大脳、脳幹
          (上から中脳、脳橋、延髄)、小脳に区分される。
          脳は頭蓋骨腔にあって、周囲は脳膜(軟膜、蜘蛛膜、硬膜)に包ま
          れ、その間隙および脳室には髄液がある。種々の中枢(知覚、運
          動、視覚、聴覚、臭覚、味覚、呼吸、心臓中枢)等があり、12対の
          脳神経を出す。
     ※大脳=脳の大部分を占める。表面の灰白色の部を大脳皮質、内部の白質
          部を大脳髄質と呼ぶ。大脳は前端から後方にかけて中央部に溝が
          あり溝の右側を右半球、溝の左側を左半球と呼び更に脳の上面を
          頭頂葉、脳の前部を前頭葉、脳の右側面を右側頭葉、脳の左側面
          を左側頭葉、脳の後部を後頭葉と呼称する。
     ※脳幹=脳の幹をなす部分で大脳および小脳を除く部分の総称で上から中
          脳、脳橋、延髄等からなる。
       #中脳=間脳の後方に続き、小脳および脳橋のある部分で視覚や聴覚等
        に関係する。
       #脳橋=中脳と延髄との間にあって、第4脳室の底の一部をなし、左右小
        脳半球を腹方で連ねる橋状に見える部。
       #延髄=脳の最下部に位置し、脳橋の直下で脊髄の上にすぐ続く部分。    
     ※小脳=大脳の後下方にあって腹方は延髄、脳橋に連なる。左右の半球に
          区分され、生理作用は運動の調整に当たる。
     ※脳梁=左右の大脳半球の互いに相接する皮質の間を結ぶいわゆる交連
          繊維の集まりで半球間裂の底部をなす白色の厚い板。
     ※脳下垂体=脳下面にある内分泌器官。
○脳溢血<のういっけつ>=脳動脈が硬化し、脳組織内に出血する疾患で卒倒して死
          に至り、また回復しても半身不随となったりする。
○脳回<のうかい>=大脳のシワ。
○脳弓<のうきゅう>=脳内の神経線維の束。
○脳弓脚<のうきゅうきゃく>=脳弓の一部。
○脳弓柱<のうきゅうちゅう>=脳弓の一部。
○脳血栓<のうけっせん>=脳動脈の内腔が狭くなり、そこを流れる血液量が減少す
          るため、その流域の脳組織が局所的に虚血に陥って、変性壊死を
          起こし、その部分の機能が消失した状態。原因としては脳動脈硬
          化症、嚢状動脈瘤破裂、髄膜血管性梅毒、外傷等がある。
          症状は、めまい、記憶力低下、痴呆などが前駆症としてあり、多くは
          一過性脳虚血発作である。
○脳梗塞<のうこうそく>=心臓病などと関係が深く、心臓内に生じた血栓が脳に
          流れてきて脳の血流を止めてしまう状態で、突発的に痙攣を
          起こしたり意識を失ってしまう。
○脳硬膜<のうこうまく>=脳膜のひとつで、頭蓋と脳の間にある最外層の膜。
○脳挫傷<のうざしょう>=頭部打撲等によって生ずる脳実質の損傷をいう。頭部
          に損傷がなくてできるものと、頭部の損傷に伴ってできるものと
          がある。
○脳死<のうし>=定義「脳死とは、大脳及び脳幹を含めた脳全体の不可逆的な
          喪失をいう」とされている。(日本医師会生命倫理懇談会の最終
          報告)。
          脳死状態に陥るとそのまま放置すれば、生命維持装置をつかさ
          どる脳幹の死によって呼吸中枢が停止し、早晩心臓死に至る。
          しかし、人工呼吸器等の発達により人工的に呼吸及び循環機能
          が維持され、一定期間体温や脈搏を保ち得る状態が出現するこ
          ととなった。これがいわゆる脳死状態である。 
○脳実質<のうじっしつ>=脳そのもの。俗称「脳みそ」。
○膿汁<のうじゅう>=膿瘍内の「ウミ」。
○脳出血<のうしゅっけつ>=脳内の血管が破綻して、脳実質が圧迫、浸潤、破壊さ
          れることによって発症する。
          原因としては脳動脈の破綻によるもの(高血圧症を伴う動脈硬化
          症)、動脈瘤、または血管腫等の血管形成異常、白血病あるいは
          血小板減少性紫斑病、中毒、急性脳炎等がある。
          症状は、前駆症状を伴わず、突然発作が始まり、激しい頭痛、悪
                      心、嘔吐、痙攣を持って始まる。
○脳神経<のうしんけい>=12対あって脳底から出ている。
     ①嗅神経=嗅覚-嗅覚部の粘膜
     ②視神経=視覚-眼の網膜
     ③動眼神経=運動-上斜筋・外直筋以外の眼球筋
     ④滑車神経=運動-上斜筋
     ⑤三叉神経=知覚・味覚-運動-鼻・舌・口腔などの粘膜。虹彩、歯・
          側頭・上顎・下顎の皮膚
     ⑥外転神経=運動-外直筋
     ⑦顔面神経=運動-顔面筋と舌
     ⑧内耳神経=聴覚-蝸牛管(かぎゅうかん)と前庭
     ⑨舌咽神経=味覚-運動-舌根と咽頭の粘膜
     ⑩迷走神経=知覚-運動-咽頭・食道の粘膜。喉頭筋。胸腹の内臓
     ⑪副神経=運動-胸鎖乳頭筋・僧帽筋
     ⑫舌下神経=舌筋と前頸筋
○脳震盪<のうしんとう>=頭部に対する外力の作用(頭部打撲、外傷、衝突、墜落
          等)直後意識を失う等、脳組織に一定の影響の及ぶときに突発す
          る一時性の脳障害。
          失神、めまい、耳鳴り、頭痛、逆行性健忘などの症状が起きるが
          数分後から数時間以内に回復して、なんら異常を残さないもの。
○脳髄<のうずい>=脳の正式名称。
○脳脊髄液<のうせきずいえき>=蜘蛛膜下腔に存在する液体で脳や脊髄を
          浸している。
○脳塞栓<のうそくせん>=動脈硬化症ないしリウマチ性心疾患に続発する心房細動
          の結果、心臓内にできた血栓が剥離し血流を介して脳に至り、脳血
          管を閉塞して起こすことが最も多いが、心筋梗塞を起こした際にで
          きた左心室内膜上の凝血なども原因する。
○脳卒中<のうそっちゅう>=主に脳梗塞、脳出血、蜘蛛膜下出血などがあり、脳動脈
          硬化による脳血管障害によるもの全般をいう。
○脳底<のうてい>=脳の底を頭蓋骨に接した部分。
○脳軟膜<のうなんまく>=脳膜のひとつ。
○脳の外側溝<のうのがいそくこう>=外側大脳裂(シルビウス溝)。
○ノーパニック症候群<no panic しょうこうぐん>=潜水(素潜り)時の事故の原因のひと
          つ。血液が高度の酸素不足なのに息苦しさを感じることなく意識を
          失ってしまう状態。潜水前に深呼吸を必要以上に繰り返すことによ
          り、血液中の二酸化炭素が減少し過ぎて起こる。
○脳皮質<のうひしつ>=脳の表面を被う層。
○脳表面<のうひょうめん>=脳の表面。
○脳浮腫<のうふしゅ>=脳が腫れること。
○脳膜炎<のうまくえん>=細菌などが入ったため脳膜に炎症を起こすこと。
○脳梁<のうりょう>=大脳縦裂の底部で、左右の大脳皮質の対称部間を連結
          する線維。
○ノボカイン<novocaine>=塩酸プロカインの商標名。最もよく使用される局所麻酔剤
          のひとつ。
○ノルアドレナリン<noradrenaline>=副腎髄質から分泌されるホルモン。血管収縮や
          血糖量増大などの作用を持つ。交感神経では化学伝達物質として
          働いている。


○パーキンソン病<parkinson びょう>=錐体外路系脳疾患のひとつ。イギリスの病
          理学者パーキンソンが1817年に記載した。筋硬直とふるえ、運動
          緩徐を主徴とし、中年以降に多い原因不明の変性疾患。
○バージャー病<buerger びょう>=四肢主幹動脈に起こる慢性閉塞性血栓血管炎。
          局所の疼痛、間欠跛行、局所の壊死などが見られる。青壮年男
          性に多い。
○肺<はい>=胸の両側にある呼吸器官。=肺臓
○肺炎<はいえん>=気管支先の肺胞組織が細菌等に侵されて酸素の供給が不足
          する病気で、発熱して食欲がなくなり、呼吸、脈搏が多く顔色が悪
          くなる。顔面、爪、唇にチアノーゼがあることが多い。
○バイオセラミックス<bioceramics>=人工骨。人工歯根などに用いるセラミックス。
          異物反応がなく、丈夫で加工しやすいことが必要である。
○バイオテクノロジー<biotechnology>=生物の行なう化学反応を、工業的に利用し
          ようとする技術。アミノ酸の合成、発酵産業、また農業では新品種
          の育成などにも利用されている。生命工学ともいう。
○バイオプシー<biopsy>=病気を確定するために生体から組織の一部を切り取って
          検査する方法。リンパ節、肝臓、腎臓、癌組織などについて行なう。
          生検。
○バイオリズム<biorhythm>=生命の活動を通して、肉体・感動・知性などにあらわれ
          る一定の周期を持った律動。
○灰褐色<はいかっしょく>=灰色を帯びた褐色。
○肺下葉<かいかよう>=肺の下部。
○肺気腫<はいきしゅ>=呼吸細気管支または肺胞壁の拡張あるいは破壊によって
          終末気管支より抹消の容積が異常に増大した状態。
          成因は明らかでないが呼吸細気管支の慢性の炎症による浮腫、
          腫脹、分泌液の貯留、次いで呼吸性の気道閉塞により二次的に
          肺胞壁が破壊融合して、抹消容積の増大をきたすといわれる。
○肺静脈<はいじょうみゃく>=左右の肺から2本ずつ出る静脈で、酸素を含んだ血液
          を心臓左心房に運ぶ血管。
○肺水腫<はいすいしゅ>=肺胞中に多量に漿液がたまって膨張するもので、泡沫
          を含む喀痰を出し呼吸困難等をきたす。慢性心栓患者に多い。
○排泄<はいせつ>=不要物や老廃物を体外に出すこと。
○肺尖区<はいせんく>=肺の最上部で鎖骨の下部にある。
○肺尖後枝<はいせんこうし>=左上葉気管支の枝。
○肺臓<はいぞう>=ほぼ円錐形の器官で左右一対あり、縦間を挟んで相対し、胸腔
          の大部分を満たす。左肺は上下2葉に右肺は上中下3葉に分かれ、
          右肺は左肺より容積が約10%大きい。
○肺底<はいてい>=肺の下部で横隔膜に接する面。
○肺動脈<はいどうみゃく>=右心室を出て左右の肺に入る血管。
○ハイヒール病<hibhheeled shoes びょう>=足に合わない靴を履き続けることで生
          ずる足の痛みや変形。ハイヒールをはく女性に多く、親指が外側
          へ変形する外反拇趾などがある。
○パイプカット<pipe cut>=男性の避妊手術のひとつ。輸精管の結紮・切除により、
          妊娠させる能力を失わせる手術。
○肺浮遊試験<はいふゆうしけん>=嬰児死体の生、死産を決定する試験法。
          生産児は呼吸を行なっているため肺細胞の中に空気が入って
          降り、肺を剔出して水中に入れると浮く。
○肺胞<はいほう>=気管の項参照
○肺門<はいもん>=肺の内側で、気管支枝の入るところ。この部分に肺門リンパ節
          がある。
○肺葉<はいよう>=右肺は上・中・下の三葉、左肺は上・下の二葉。
○ハイリスクグループ<high risk group>=エイズに感染する危険性が高い群。
○肺肋膜<はいろくまく>=肺の表面を覆っている薄い膜。=胸膜・肋膜
○薄筋<はくきん>=大腿内側の筋。
○白血球<はくけっきゅう>=血液の項参照
○縛傷<ばくしょう>=縛りつけられた傷痕。
○白色血栓<はくしょくけっせん>=豚脂様凝塊の項参照
○薄層<はくそう>=うすい層。薄層→中等層→厚層  (薄層の出血)
○剥脱<はくだつ>=はがれ取れている状態。(表皮剥脱)
○剥離<はくり>=はがれ離れている状態。(筋肉剥離)
○破砕<はさい>=組織が破れくだけること。
○麻疹<はしか>=潜伏期は10日あまりで、発熱、咳、結膜炎、口腔粘膜の白斑等
          の症状の後、3~4日すると一度下がって熱が再び上がり、同時
          に皮膚に発疹が出る。発疹は暗紅色斑状丘疹で2日ぐらいで最
          高となり、次第に褪色する。時に意識混濁や痙攣を起こす。
          ウイルスの飛沫感染によって起こる。
○破傷風<はしょうふう>=細菌が傷口から入って起こる病気。テタヌスの項参照
○バセドー病<basedow びょう>=甲状腺機能亢進症の代表的疾患。特に眼球突出
          と甲状腺腫を伴う場合をいう。基礎代謝が亢進し、食欲の異常亢
          進を示すが、体は痩せてくる。心悸亢進、発汗、手の震え、眼球突
          出などを伴う。
          例えていうと、体の中の燃料が勢いを増して燃えていく状態である
          から熱が過剰に発生する。このため患者は暑がりで、冬は比較的
          楽であるが夏は堪え難い。
○破綻<はたん>=やぶれほころびること。
○バチルス<bazillus>=桿菌の総称。また、細菌の通称。
○バッカル<buccal>=飲み込まないで口に含んだままで粘膜から吸収させる錠剤。
○髪際<はっさい>=髪のはえぎわ。
○発疹チフス<はっしん typhus>=潜伏期は10~20日で突然発熱し、頭痛を訴え、
          眼に充血がくる。4日目頃から赤褐色の発疹が、顔面を除きほと
          んど全身に出てくる。
          顔つきはぼんやりとし、時に狂躁状になる。病原菌はしらみによっ
          て媒介される。
○バッドキャリー症候群<budd chiari しょうこうぐん>=肝静脈または下大静脈の肝
          臓近傍部分の閉塞に起因する疾患。腹痛、嘔吐、肝腫大などの
          症状をきたし、肝不全により死亡する。原因は不明のことが多い
          が腫瘍による圧迫炎症や外傷によって起こる場合もある。
○巾広軟性索状物<はばひろなんせいさくじょうぶつ>=絞めるのに使われた物が、
          巾の広い柔らかい布様の物の場合の表現。
○バビンスキー現象<buvinsky げんしょう>=泥酔者が脳内出血患者かを一応判別
          する方法。足の裏の外側の方を万年筆の頭のような固くなめらか
          なもので踵の方からこすり上げると脳内出血者はゆび先が開き反
          対側にそる。
○パラコート剤<paraquat ざい>=除草剤の一種。植物の茎や葉に薬物がかかると、
          そこのできる過酸化物によって細胞が急に破壊され枯れる。
          わが国では、畑や水田の雑草用に広く使用されていた。元来は商
          品名。人体に対しても強い毒性を持ち、誤飲、自殺による死亡事故
          や、犯罪目的にこれを用いた事件などが、数多く起きている。 
○パラチフス<paratyphus>=パラチフス菌によって起こる感染症。症状は腸チフス
          に似るが、より軽傷である。潜伏期は5~6日で腸チフスより発病が
          急である。
○パラノイア<paranoia>=精神病のひとつ。論理的には一貫した妄想を抱く。行動、
          思考は秩序が保たれている。偏執病。
○パラメディカル<paramedical>=医師の仕事を補助する職種。また、その職種の人。
          看護士、放射線技師、臨床検査技師、理学療法士など。
○バリウム<barium>=アルカリ土類元素のひとつ。元素記号Ba原子番号56.銀白色
          の延性に富む柔らかい金属。水と激しく作用して水素を発生し、空
          気中で熱すると緑色の炎を上げて燃え酸化バリウムとなる。
          合金材料として用いられる。硫酸バリウムは胃腸管のX線診断に際
          して造影剤に用いられる。
○バルトリン腺<bartholin's せん>=大前庭腺。膣前庭部にあり、性交時に粘液を分
          泌する。発見者のデンマークの解剖学者の名から。
○バルビツール酸<barbituric さん>=マロン酸と尿素の結合した化合物。睡眠剤、
          鎮静剤として使用される。
          商品名、パルビタール、ベロナール、アドルムなど。
○破裂<はれつ>=やぶれ、さけること。
○ハロセン<halothane>=全身麻酔薬の一種。揮発性で吸入麻酔薬として用いられ
          る。単独で使用されることは少なく笑気ガスと併用されることが多
          い。ハロタン。
○パロチン<parotin>=唾液腺ホルモン。薬剤として、唾液腺機能の低下によるとさ
          れる諸症状(筋無力症、胃下垂、歯槽膿漏、更年期障害)に適用
          される。
○反回神経<はんかいしんけい>=右は鎖骨下動脈を、左は動脈弓を回る迷走神経
          の枝。
○半月神経節<はんげつしんけいせつ>=
○半腱様筋<はんけんようきん>=大腿後面にある筋。膝を曲げ、かつ内転する。
○瘢痕<はんこん>=皮膚面の腫瘍や傷などが治癒したあとに残った痕跡。
○犯罪死体<はんざいしたい>=死因が犯罪に起因している死体。
○ハンセン病<hansen びょう>=ライ菌の感染によって皮膚や神経が侵される慢性感
          染症。かつては不治の病とされたが現在では治療法が発達し、発
          病はほとんど見られない。
          癩菌を発見したノルウェーの医学者G.H.A.ハンセンの名から。
○ハンターラッセル症候群<hunter russel しょうこうぐん>=慢性の有機水銀中毒。
          種々の神経症状が出現する。水俣病にみられる基本症状。
○バンチ症候群<banti's しょうこうぐん>=鬱血性脾腫を主症状とする症候群。
          原因は肝静脈または門脈の狭窄による門脈圧亢進であり、
          貧血症状や出血傾向で初発することが多い。
○反跳弾<はんちょうだん>=他に当たってから跳ね返ってきた弾。
○ハンチントン舞踏病<huntington's ぶとうびょう>=優性遺伝する進行性の脳萎縮。
          舞い踊るように手足がくねるように動いてしまう不随意運動と、
          性格変化・知能低下をきたす。
          アメリカの医師G.S.ハンチントンが、祖父・父・子と三代にわたっ
          て観察し、記述したところからの名称。
○バンパー創<bumper そう>=自動車がヒトと接触したときに、バンパーがヒトの下腿
          等に当たってできる表皮剥脱、皮下出血、筋肉内出血、骨折あるい
          は裂創等の損傷。バンパーの高さに一致し、成人では下腿、子供
          では大腿等に見られる。
○半膜様筋<はんまくようきん>=大腿後面にある筋。膝を曲げる。


○ヒーメン<hymen>=処女膜。ギリシャ神話の結婚の神ヒュメーンに由来。
○皮下気腫<ひかきしゅ>=空気が皮下の組織内に侵入したもので、押すと「グズグ
          ズ」というような音がする。外表に創傷がない場合でも、肋骨骨折
          によって骨折端が肺に刺さり、または胸部刺創で肺や気管を損傷
          した場合に見られる。
○被殻<ひかく>=大脳基底核のひとつ。
○皮下脂肪組織<ひかしぼうそしき>=皮膚の最下層と筋肉との境に層状に貯えられ
          ている脂肪組織で栄養分の貯蔵と同時に体温の発散を防いでいる。
○皮下出血<ひかしゅっけつ>=鈍体が人体に作用した場合、皮膚が破れずにそこの
          皮下組織が挫砕し、小血管が断裂し皮下に出血したもの。
          鈍体による損傷としては最も軽いもので普通あざと呼ばれ、出血量
          が多いとこぶのように腫れあがって皮下血腫となる。しばしば表皮
          剥脱や血痂を伴い、あるいは皮膚が挫砕されるが、これを打撲傷と
          通称し生活反応のひとつとされている。
          皮下出血は一見死斑と似ているが、死体の下表以外の処にも認め
          られ指圧を加えても褪色せず、また、メスで切ると凝血があり死斑と
          区別できる。創傷の項参照
○皮下組織<ひかそしき>=皮膚の項参照
○皮下剥離創<ひかはくりそう>=デコルマン創参照
○眉弓<びきゅう>=眉毛の生えている高い部分。
○髭・髯・鬚<ひげ>=くちひげ・あごひげ・ほおひげ
○肥厚<ひこう>=肥えて厚くなっている状態。
○鼻腔<びこう>=鼻孔、鼻中隔によって左右に分かれ、各腔に上鼻道・中鼻道・下鼻
          道があって、最上部の粘膜に嗅覚神経が分布している。びくう。
○腓骨<ひこつ>=下腿部後側の骨。
○鼻骨<びこつ>=頭蓋骨のひとつで鼻根部の支えとなる。
○尾骨<びこつ>=脊椎の項参照
○腓骨筋<ひこつきん>=下腿部ふくらはぎの筋肉。足を下方に曲げる。=朧腹筋
○腓骨体<ひこつたい>=下腿外側にある骨。
○鼻根筋<びこんきん>=鼻根部にある筋。
○鼻根部<びこんぶ>=鼻のつけ根。両眼の間の狭いところ。
○膝関節<ひざかんせつ>=しつかんせつの項参照
○肘<ひじ>=ちゅうとうのこと。
○皮質<ひしつ>=臓器の外側に近いところの組織。
○ピシバニール<picibanil>=薬品名。抗悪性腫瘍溶連菌製剤。溶血清連鎖球菌を
          ペニシリンで処理して作る。消化器癌や甲状腺癌、肺癌に適用さ
          れる。
○微小<びしょう>=極めてわずかである状態。
○尾状核<びじょうかく>=大脳基底核のひとつ。
○尾状葉<びじょうよう>=肝臓下面に属する肝臓の一部分。
○皮色<ひしょく>=皮膚の色。
○鼻唇溝<びしんこう>=上口唇の中央、鼻の下にある溝。=人中・鼻下溝
○ヒスタミン<histamine>=アミノ酸のヒスチジンから精製する物質。平滑筋臓器の
          収縮、血圧の降下、胃液などの腺分泌の亢進を起こす。
○ヒスチジン血症<histidinemia けっしょう>=アミノ酸の一種、ヒスチジンの血中濃度
          が上昇する遺伝性疾患。言語障害、軽度の遅鈍、成長障害が問題
          とされる。
○ヒステリー<hysterie>=身体的に異常はまったくないのに精神的な原因で現れる病
          的症状。心理的葛藤を病気になることによって逃避したいという気
          持ちが、肉体的症状を無意識に現すもの。また、感情を抑えること
          ができず、病的に泣きわめいたり、怒ったりすること。
○皮切<ひせつ>=皮膚に切創を加えること。
○鼻尖<びせん>=鼻の先端、鼻先。
○脾臓<ひぞう>=胃の左後方にある暗赤色球形の内臓器。主として白血球の一部を
          作り、古くなった赤血球、白血球を破壊するなどの機能を持ってい
          る。
○肥大<ひだい>=太り大きくなること。
○ビタミン<vitamin>=食物中に微量に存在する生理的に重要な要素で、動物の体内
          では性合成されず、栄養として摂取しなければならない有機物の総
          称。生理作用や発見順にA,B,Cなどと名ずけ、更にB1,B2などと
          細かく分ける。
          Vita(生命)に必要なamine(アミン)の意。
     ※A  =脂溶性ビタミンのひとつ。動物の肝油・卵黄・バターに多く含まれる。
          欠乏症は、乾燥性眼疾(角膜乾燥症・角膜乾化症)と幼動物の成長
          停止、夜盲症など。
     ※B  =かつて神経炎と成長不良に効くビタミンをさした語。
     ※B1   =水溶性でビタミンB複合体のひとつ。米糠などから抽出。抗神経炎、
          抗脚気性因子。オリザニン
     ※B2   =水溶性でビタミンB複合体のひとつ。成長促進因子の効果がある。
          牛乳・肝臓などに多く含まれ、妊娠、授乳時には多量に必要。  
     ※B6   =水溶性でビタミンB複合体のひとつ。酵母・米糠などに多く含まれ
          る。抗皮膚炎因子のひとつ。アレルギー、放射線障害などに投与さ
          れる。
     ※B12  =水溶性でビタミンB複合体のひとつ。欠乏症は悪性貧血。
     ※B複合体=かつてビタミンBと呼ばれていたが、多くの成分の混合物である
          ことがわかり、B複合体と呼ばれるようになったもの。
          B1,B2,B6,B12,B13,ニコチン酸、パントテン酸、ビオチンなどの
          混合物。
     ※C    =水溶性ビタミンのひとつ。欠乏症は壊血病。レモン・唐辛子・大根・
          野菜類・果物・緑茶に存在。食品、また分析用試薬にも用いられる。
          アスコルビン酸。
     ※D    =脂溶性ビタミンのひとつ。魚肝油・動物内臓・卵黄・バターなどに多く
          含まれる。腸でのカルシウム、燐の吸収を促進し、骨格、歯牙のカル
          シウム沈着を促すため、欠乏するとクル病になる。
     ※E    =脂溶性ビタミンのひとつ。植物性の油脂・野菜に多く含まれる。
          欠乏すると睾丸の発育不良、不妊、流産、受胎後の発育不良などが
          おこる。
     ※K    =脂溶性ビタミンのひとつ。抗出血性ビタミン。血中プロトロンビン値を
          正常に保ち、血液の凝固作用を促進する。キャベツ・ほうれん草・肝
          油・肝臓に多く含まれる。
     ※M   =水溶性ビタミンのひとつ。ビタミンB複合体の構成要素。ほうれん草
          ・酵母・肝臓などに含まれる。この欠乏症は貧血。   
     ※P    =水溶性ビタミンのひとつ。毛細血管の抵抗力を高め、その透過性が
          高くなりすぎるのを防ぐ因子。
○鼻柱<びちゅう>=鼻ばしら。
○鼻底<びてい>=鼻の口蓋に対する面。
○非定型的縊死<ひていけいてきいし>=縊死の項参照
○ヒトインシュリン<ひと insulin>=遺伝子工学により大腸菌で合成されるヒトのイン
          シュリン。動物のインシュリンと異なりアレルギーの恐れがなく糖尿
          病の治療に使用する。
○ヒドラジッド<hydrazide>=結核の治療薬のひとつ。イソニコチン酸ヒドラジッドのこと。
○皮内<ひない>=皮膚の内部。
○泌尿器<ひにょうき>=尿を生成、排出する器官で腎臓、膀胱、尿管、尿道からなる。
     ※腎臓=第11胸椎から第2腰椎の高さで、後腹膜に接して左右一対ある。
          機能は尿の生成が主要であるが、血圧の調節、骨髄赤血球産生調
          節も行なっている。
○鼻背<びはい>=鼻翼が正中線で出会うところ。はなすじ、鼻稜。
○微白濁<びはくだく>=わずかに白く濁っている状態。
○菲薄透明<ひはくとうめい>=薄い膜などがすきとおっている状態。
○ビフィズス菌<bifidus きん>=ヒトの腸内菌叢を構成している細菌。腸内感染防御
          作用、免疫機能の増強などの機能があり、人の健康と密接な関係
          を持つ。
○皮膚<ひふ>=体の表面を覆う組織。
          表皮(角質層、胚芽層)-真皮(繊維性結合組織)-皮下脂肪層から
          なる。付属物として、皮膚腺(汗腺・皮脂腺・耳道腺・眼視線・乳腺)、
          表皮変形物(毛・爪)がある。
○腓腹筋<ひふくきん>=下腿後面の筋。足を下方に曲げ、かかとを上げる。
○腓腹筋外側頭<ひふくきんがいそくとう>=大腿骨外側上顆からアキレス腱に至
          る筋。
○ビブリオ<vibrio>=桿状の細菌の一種。コレラ菌、病原性好塩菌(腸炎ビブリオ)など
          が代表的。
○ヒポコンデリー<hypochondrie>=心気症。憂鬱症。
○皮膜<ひまく>=臓器を包む膜。
○飛沫<ひまつ>=飛び散った細かなしぶき。
○眉毛<びもう>=まゆげのこと。
○百日咳<ひゃくにちぜき>=百日咳菌の飛沫感染によって起こる。
          潜伏期は1~2週間。咳が主で熱はほとんど無い。2週を過ぎると
          咳が夜間に強くなり、発作的で嘔吐を伴う。続いて咳をした後で強
          く吸気をするので、ヒューという音を発する。ひどい咳のため、顔が
          むくんだり、出血を起こすこともある。
○表皮<ひょうひ>=皮膚の項参照
○表皮剥脱<ひょうひはくだつ>=鈍器が身体に擦過状に作用したとき表皮が剥がれ
          てできる創をいう。表面に黄色い液が染み出たり、血がにじみ出て
          血痂状を呈する場合もあり、擦り傷、あるいは擦過傷と通称する。
          表皮は、皮膚の表面を覆っている薄い透き通った皮で体内の水分
          の蒸発を守る役目をしている。従って、表皮剥脱が起こるとその部
          分は他の部分より乾燥が進み、真皮が革皮化する。創傷の項参照
○表皮剥離<ひょうひはくり>=体の表面の皮膚がはがれること。
○漂母皮状<ひょうぼひじょう>=長時間水や湯につけておくと、手掌や足蹠等が白く
          なって皺がよったようになった状態。溺死体に良く見られるが、長湯
          でもできるように、溺死の特徴所見ではなく、死体でも半日以上水中
          に投入されているとできる。
○漂流死体<ひょうりゅうしたい>=海や川に流れている死体。
○鼻翼<びよく>=鼻柱先端の左右のふくらんだ部分。いわゆる小鼻のこと。
○ヒラメ筋<ひらめきん>=下腿後面にある筋。足を下方に曲げ、かかとを上げる。
○糜爛<びらん>=ただれること。(青酸を飲んだ場合に口唇が糜爛する)
○ビリルビン<bilirubin>=胆汁色素の主成分をなす物質。橙黄色ないし赤褐色の結
          晶。肝臓から排出され、黄疸のときの皮膚の黄染はこの物質に
          よる。
○ピリン系薬物<pyrine けいやくぶつ>=解熱剤として用いられるピラゾロン誘導体
          の別称。アンチピリン、アミノピリン、スルピリンなど。
          一般にアレルギー性発疹や、動物実験により認められる発癌性な
          どの副作用があるため、現在はあまり用いられていない。
○昼<ひる>=慣用語として使う場合は、11時から13時の間をいう。
○ピル<pill>=丸薬のことをいうが、飲む避妊薬の俗称。排卵を抑制し、避妊効果が
          あるほか、月経を調節するのにも使われる。経口避妊薬。
○鼻涙管<びるいかん>=涙嚢からきた涙液を下鼻道に排出する管。
○ピルビン酸<pyruvic さん>=生体内でブドウ糖が分解して生じる物質代謝の重要な
          中間化合物。濃度が高くなりすぎると有害となる。
○披裂軟骨<ひれつなんこつ>=喉頭にある軟骨。
○ヒロポン<philopon>=覚醒剤。塩酸メタンフェタミンの日本での商標名。乱用すると、
          不眠・興奮・幻覚などの中毒症状があらわれる。
○貧血<ひんけつ>=血液中の赤血球または血色素が全身的に減少すること。皮膚
          蒼白、めまい等を伴う。
          血液中のヘモグロビン濃度が12g/dℓ以下の状態。
○貧血性<ひんけつせい>=血色素量が減少した状態。
○瀕死<ひんし>=死にかかること。死に臨むこと。(瀕死の重傷)
○ビンブラスチン<vinblastine>=抗癌剤のひとつ。日々草より抽出されたアルカロイド
          で、絨毛性腫瘍や悪性リンパ腫に有効。


○ファイバースコープ<fiberscope>=グラスファイバーの透光性と曲折自在な点を利用
          して作られた医療用内視鏡。4万~15万本のグラスファイバーを束
          ね、両端にレンズを取り付けてある。
○ファイブFU<5-fiuorouracil>=抗癌剤の一種。癌細胞の代謝拮抗物質で、固形癌、
          特に胃癌の治療に有効とされる。
○ファロー四徴症<tetralogy of fallot しちょうしょう>=先天性心奇形の一種。顔色が
          青く、放置すれば大部分が若年で死亡する。手術により治療する。
          フランス人の医師ファローによって詳細に記述されたところからの
          名称。
○フィブリン<fibrin>=血液凝固に重要な役を果たす蛋白質。血漿中に存在するフィブ
          リノーゲンがトロンビンの作用によって固体になったもの。
          これが傷口を覆うため出血が止まる。
○フィラリア<filaria>=象皮病を起こす寄生線虫類の総称。体は細長く糸状で雌は約
          80mm、雄は約40mm。人体ではまれにリンパ管やリンパ腺に寄生
          し、フィラリア症を起こす。蚊が中間宿主。
○プール熱<pool ねつ>=咽頭と眼にカタル症状を起こす病気でアデノウィルスが原
          因。水泳プールを介して流行することが多いところからの名。咽頭
          結膜熱。
○フェニルケトン尿症<phenylketonuria にょうしょう>=精神薄弱のひとつ。
          フェニルアラニンの代謝異常により脳神経が侵されるもの。劣性遺
          伝をする。尿臭(鼠の尿臭)や体臭が異常であるのは、フェニルピル
          ビン酸やフェニル酢酸のためで、症状は、メラニンの欠乏から赤毛、
          色白の皮膚になる。フェニルアラニンの蓄積から中枢神経系のアミ
          ノ酸代謝の異常、ドーパミン及びノルアドレナリンの脳における欠乏
          などから、てんかんや知能低下などの症状があらわれる。
○フェノバルビタール<phenobarbital>=バルビツール酸誘導体。中枢神経系を抑制
          し、催眠作用や鎮静作用を有する。抗てんかん薬にも用いる。
○フェロモン<pheromone>=動物が体外に分泌し、同種の他個体に対して何らかの
          情報を伝達する化学物質の総称。哺乳類、魚類、昆虫などで知ら
          れている。異性を誘引する性ホルモン、危険を知らせる警戒物質、
          同種の動物を呼び寄せる集合フェロモンなどがある。
○俯瞰<ふかん>=みおろすこと。(俯瞰撮影)
○腹横筋<ふくおうきん>=腹筋群のひとつ。
○復顔法<ふくがんほう>=白骨頭蓋骨に粘土で肉付けを行ない、その人の生前の
          顔貌を復元する方法。
○腹腔<ふくくう>=胸腔と横隔膜によって隔たれた、胃、腸、肝臓、脾臓、腎臓、その
          他生殖器官等を入れる部分。
○腹腔概観<ふくくうがいかん>=腹腔内のおおよその状態を見ること。
○伏在神経<ふくざいしんけい<=大腿神経の枝。大腿から下腿にかけて存在する。
○複雑骨折<ふくざつこっせつ>=骨折の項参照
○腹上死<ふくじょうし>=外観上まったく健康な者が性交中、急に「ウーン」と唸ったり
          して急死することで、頓死のひとつである。
○副腎<ふくじん>=腎臓の上端に接してある内分泌器官。アドレナリンとコルチコステ
          ロンを分泌する。
○副神経<ふくしんけい>=脳神経のひとつ。
○腹水<ふくすい>=腹腔に貯留する液体。
○腹大動脈<ふくだいどうみゃく>=大動脈の項参照
○腹直筋<ふくちょくきん>=腹筋群のひとつ。胸郭を引き下げ、脊柱を前屈させる。
○腹直筋鞘<ふくちょくきんしょう>=腹直筋を入れる鞘。
○副橈側皮静脈<ふくとうそくひじょうみゃく>=手背の静脈網から起こり、前腕神経
          を通り前方へ向かう。
○腹壁<ふくへき>=腹部の皮膚、皮下組織、腹筋、腹膜の総称
○腹膜<ふくまく>=腹腔内の臓器を包んでいて、腹壁に接する膜。
○腹膜炎<ふくまくえん>=腹の内側を覆っている膜が炎症を起こす病気。
○ブジー<bougie>=消息子(ゾンデ)に似た円筒形の器具。鼻涙管、尿道、直腸など
          人体の管状の部位に挿入し、狭窄の診断や治療に用いる。
○浮腫<ふしゅ>=主に、皮下組織に異常に多量のリンパ液、漿液がたまった病的
          状態。心不全、腎臓障害、脚気等から起こりむくむこと。
          心臓衰弱、鬱血腎臓障害などが起こる。病理的には急性のものを
          浮腫、慢性のものを水腫といっている。
○腐蝕<ふしょく>=金属が化学作用でおかされること。
○不整形<ふせいけい>=形が整っていない状態。特定の形を示さない形状。
○払拭<ふっしょく>=払いぬぐうこと。(汚れを払拭する)
○腐敗臭<ふはいしゅう>=死体が細菌によって分解され生じる悪臭。
○腐敗網<ふはいもう>=死体の腐敗現象。春秋で死後48時間位から現れてくる。
          血色素が静脈壁を透過して周囲の組織に浸透し、樹枝状の変色
          部が出現する常態。赤色から青緑色へと変化していく。
○ブフェキサマック<bufexamac>=非ステロイド系抗炎症剤。副作用が少なく湿疹、
          皮膚炎などに用いる。
○フマル酸ケトチフェン剤<fumarate さん ketotifen ざい>=アレルギー疾患治療剤。
          気管支喘息、アレルギー性鼻炎などの予防に用いられる。
○浮遊試験<ふゆうしけん>=嬰児死体が生産か死産かを判断するため、肺の一部
          を切り取り水に浮かす試験。肺浮遊試験の項参照
○プラシーボ<placebo>=偽薬。外観、味、匂いなどは同一で、主薬を含まない無効
          力の薬剤。薬物療法において、患者の心理的影響と真の薬効を区
          別するために与えられる。
○プラジオマイシン<fradiomycin>=アミノグリコシド系抗生物質。眼疾患や腸管感染
          症などに用いられる。副作用が強い。
○ブラジキニン<bradykinin>=血圧調節及び炎症発現に関与するペプチド。
          血清タンパクの一部の組織が障害された結果遊出してくる酵素(カリ
          クレイン)によって分解されて生じる。血管拡張、毛細血管の透過性
          亢進による浮腫等を起こすが強力な排痛物質としても知られている。
○フラストレーション<frustration>=心理的要求が外部の条件によって妨げられる状
          態。欲求不満。
○ブラックアウト<blackout>=記憶喪失、または意識を失うこと。一時的機能停止。
○フラッシュバック現象<flashback condition げんしょう>=シンナーや覚醒剤の中毒
          の後、薬物なしでもストレスなどで幻覚や妄想が起こる現象。
○プランクトン<plankton>=川、池、海を問わず、水面または水中にも浮遊して生活
          する生物全体をいうが死体観察上問題とするのは、「珪藻類」と呼
          ばれるいわゆる浮遊微生物である。顕微鏡でなければ判らないよ
          うな微小なもので、いかなる水中にも浮遊していること、種類が非常
          に多くて地域ごとの特徴があること、さらに骨格が無機質でできてい
          ることなどの特徴から捜査に利用されることとなる。
          溺死の疑いある死体においては、肺、肝、腎、骨髄などからプラン
          クトンを検出できれば確定診断になるので相当古い死体でも死因
          決定に役立つ。
○フリードライヒ病<friedreich びょう>=高度の運動失調を主症状とする遺伝性疾患。
          10~20代に多く、不治。遺伝性脊髄性運動失調症。
○ブリミア<bulimia>=過食症。自らの意思で摂食をやめることができないこと。
          思春期に多く見られる。
○フルンケル<frunkel>=せつ。一個の毛包及びその周囲にブドウ球菌が侵入して起
          こる皮膚の炎症。毛包に一致して赤く主張し、疼痛を伴う。
○プロゲステロン<progesterone>=女性ホルモン。卵巣の黄体から性周期後半や妊
          娠時に分泌され、子宮を分泌期にしたり、妊娠の維持に働いたり
          する。
○プロジェリア<progeria>=成長障害を示す遺伝性疾患。若年であるにもかかわらず、
          身体、特に顔貌が老人的なものに変化してしまう。
          若年死が多く死因は循環器障害。
○ブロック療法<block りょうほう>=神経痛、癌性の疼痛などに対する対処法の一種。
          疼痛部位から上行する知覚神経の神経節に局所麻酔薬やアルコ
          ールを注入して神経連絡を途絶させて痛みを除去する。
○プロトロンビン<prothrombin>=血漿中に存在し、血液凝固に関与する物質。トロン
          ボプラスチン等の働きにより、トロンビンになる。
○ブロバリン<brovalin>=ブロムワレリル尿素の商標名。中枢抑制作用を示し、鎮静
          及び催眠の目的で使用される。副作用として習慣性があり、知覚異
          常、精神機能の低下を招く。
○プロラクチン<prolactin>=下垂体前葉ホルモンのひとつ。作用は乳腺の発育促進、
          乳汁分泌の開始、卵巣の黄体刺激作用、前立腺と精嚢腺の発育
          促進など。分泌が多すぎると不妊症になる。黄体刺激ホルモン(LT
          H)ともいう。
○分界線<ぶんかいせん>=骨盤腔で岬角から寛骨の内面を通り、恥骨結合の
          上縁に引いた線。
○分岐部<ぶんきぶ>=わかれている部分。
○吻合<ふんごう>=ぴったりあうこと。
○粉砕骨折<ふんさいこっせつ>=骨折の項参照
○文身<ぶんしん>=入れ墨。刺青。皮膚の彫り物。
○分泌液<ぶんぴつえき>=分泌腺から分泌される液体。唾液、胃液などの消化液や
          乳汁、汗、精液等を言う。
○分泌型<ぶんぴつがた>=分泌液の中に血液型物質を有し、血液型検査が可能な
          もの。全人口の約75%が分泌型、不能なものを非分泌型という。
          血液型の項参照
○分娩<ぶんべん>=子供を生むこと。=出産
○噴門<ふんもん>=胃の項参照
○分離<ぶんり>=分かれ、離れること。
○粉瘤<ふんりゅう>=皮下に発生する一種の腫瘤。内容は角化した上皮細胞、脂肪
          類からなる。
○分裂病<ぶんれつびょう>=精神病の項参照



○平滑<へいかつ>=平らでなめらかな状態。(表面平滑)
○閉鎖孔<へいさこう>=骨盤の恥骨と坐骨から作られた丸い孔で、中に閉鎖膜と
          閉鎖管が見える。
○閉塞<へいそく>=閉じふさぐこと。(動脈閉塞)
○ベーチェット病<behcet's びょう>=膠原病の一種。皮膚に種々の発疹、口腔粘
          膜や陰部粘膜にアフタ性潰瘍、目に葡萄膜炎や虹彩炎を起こす。
          1937年にトルコの皮膚科医ベーチェットが報告した。
○米粒大<べいりゅうだい>=こめ一粒の大きさ。変色等の大きさを表す。
○壁側胸膜<へきそくきょうまく>=胸腔の壁を内張りとする胸膜。肋骨胸膜、縦隔
          胸膜および横隔胸膜のこと。
○ペスト<pest>=ペスト菌に感染して起こる感染症。全身のだるさに始まって急に
          寒気がし、高熱が出る。1週間程度で60~90%は死に至る。
          野ネズミが主宿主でノミを介して人間に伝染する。黒死病。
○ペッサリー<pessary>=受胎防止用に膣内に挿入するゴム製品。子宮後屈症の
          矯正にも用いられる。
○ペット感染症<pet かんせんしょう>=ペットからヒトに感染する疾患。鳥からの
          オウム病、鳩の糞からクリプトコッカス症、猫の糞からトキソプラ
          ズマ症等200種ぐらいが知られている。
○ペニシラミン<penicillamine>=慢性関節リュウマチに有効な抗炎症剤。
○ペニシリン<penicillin>=1929年イギリスのフレミングがアオカビから発見、命名
          した抗生物質。特に肺炎、淋病に効果がある。
○ペニシリン・ショック<penicillin shock>=ペニシリンを使用したとき起こるショック。
          薬を用いて5分以内にショック状態となって死亡することが多い。
○ペニス<penis>=陰茎。男根。
○ヘパリン<heparin>=肝臓、肺などにあり、血液凝固阻止作用を持つ物質。
○ヘマトクリット<hematocrit>=一定量の血液中に血球成分の占める割合を示す
          比率。血液に抗凝固剤を加え、細長いガラス管に入れて沈殿させ
          て調べる。貧血の検査に用いられる。
○ヘモグロビン<hemoglobin>=赤血球中に含まれている鉄を含有する赤色の色素
          蛋白質。赤血球が酸素や炭酸ガスの運搬を行なうのは、この作用
          による。血色素。
○ヘモフィリア<hemophilio>=血友病。出血傾向を特徴とする遺伝的疾患。血液凝固
          因子が一部欠如する。
○ヘモロイド<hemorrhoid>=痔疾。肛門及びその周辺の病気の総称。
○ペラグラ<pellagra>=ビタミンB₂因子のうちニコチン酸が欠乏したために、皮膚
          障害、消化器障害、精神神経障害を起こす病気。
○ベリベリ<beriberi>=脚気。全身倦怠感、動悸、息切れ、下肢のむくみ等が徐々
          に進行する。ビタミンB₁の欠乏により起こる。
○ペルテス病<pertes びょう>=大腿骨骨頭の炎症により疼痛と跛行を起こす疾患。
          男児に多く、治癒後もしばしば股関節の変形を残すことがある。
○ヘルニア<hernia>=体内の臓器が本来の部位から異常な位置に脱出した状態。
          横隔膜ヘルニア、椎間板ヘルニアなどもいうが、狭義には鼠蹊部
          または大腿部の腹壁の欠損部分から腹膜と共に腸管の一部が
          脱出するものをいう。
○ヘルパンギーナ<herpangina>=ウイルスによって起こる咽頭炎の一種。高熱と
          咽頭粘膜の発疹が特徴。乳幼児に多いが、特別な治療をしなくて
          も一週間ほどで治癒する。
○ヘルペス<herpes>=疱疹。皮膚に小水疱がいくつか集まって群れをなして生ずる
          もの。口唇や陰部にできる単純性疱疹と肋間神経や三叉神経の
          走行に沿ってできる帯状疱疹とがある。
○ベル麻痺<bell's まひ>=顔面神経麻痺の一種。不完全な麻痺で、顔の片側が
          突然ゆがむ。
○ヘロイン<heroin>=習慣性の強い麻薬。半合成のアヘンアルカロイド。薬用とし
          て、鎮痛、鎮咳、呼吸鎮静などの目的に用いられる。
○ペントタール<pentothal>=チオペントタールナトリウムの別名。即効性の静脈麻酔
          薬として用いられる。作用は強力だが、持続時間は極めて短い。
          自白剤として利用されるといわれている。
○辺縁性変色<へんえんせいへんしょく>=中央部が蒼白で、縁や周囲が変色して
          いること。墜落などで腕等を路面に強打した場合に路面に強打
          した部分は蒼白でその縁が変色する。これをいう。
○辺縁性皮下出血<へんえんせいひかしゅっけつ>=損傷を受けた部分の周囲の
          皮下に出血すること。
○変死体<へんしたい>=不自然死のうち異常死体を除き、死因が犯罪に起因す
          る疑いのある死体をいう。
○弁状創<べんじょうそう>=刃物が人体に斜めに作用すると鋭角に作用した側の
          皮膚がペラペラにまくれるようになっている創。
          切創のひとつ、割創でもある。
○扁桃腺<へんとうせん>=一般に扁桃腺といわれるのは舌根の上外側方で下口
          蓋弓の後方にある左右一対の楕円形の突出した器官。
          淋巴腺のひとつ。
○弁膜<べんまく>=心臓の内部にある血の逆流を防ぐ役目をする膜。
○扁平骨<へんぺいこつ>=頭蓋骨のような内容物を保護する骨をいう。




○崩壊<ほうかい>=くずれること。
○防禦創<ぼうぎょそう>=犯人からの凶器等による攻撃を防ぐために出来た、腕
          その他の創傷。
○包茎<ほうけい>=陰茎の包皮輪が狭くて亀頭を越えて反転することができないか、
          又は困難なもの。
○方形葉<ほうけいよう>=肝円索と胆嚢の中間にある部分。
○剖検<ぼうけん>=解剖して検査すること。=開検
○縫合<ほうごう>=手術や外傷による組織の損傷を縫い合わせること。(縫合針痕)
              頭蓋骨を構成する扁平骨の締結組織性連絡をいう。人字縫合、
          矢状縫合、冠状縫合等がある。この縫合はおおむね15歳以下の
          年齢では離開しており、歳をとるに従って縫合が閉じ塞がり、融合
          していく。
     ※冠状縫合=頭頂骨と前頭骨間の冠状に走る骨縫合。
     ※矢状縫合=冠状縫合上部中央から後頭部方向に走る骨縫合。
     ※人字縫合=矢状縫合後端から左右に走る骨縫合。
○膀胱<ぼうこう>=泌尿器の項参照
○縫工筋<ほうこうきん>=大腿の全面を上外方から下内方に走行している細長い
          筋肉。ももを内転し、かつ上方に上げる。
○縫合創<ほうごうそう>=創を縫い合わせた部分の傷。
○帽状腱筋<ぼうじょうけんきん>=頭頂部の皮膚と骨の間に張っている丈夫な
          腱組織。
○紡錘状<ぼうすいじょう>=糸を紡ぐ錘状をした状態。円柱の両端を細くした形。
○抛物線状<ほうぶつせんじょう>=物を投げたときに描く線のような軌跡。
○泡沫<ほうまつ>=あわ。
○膨満<ぼうまん>=ふくれること。(腹部膨満)
○ボーマン嚢<capsule of bowman のう>=腎臓の皮質にあり糸球体を包む二重の嚢。
          細尿管の末端が膨大したもの。糸球体と合わせて腎小体と呼ばれ、
          尿生成のための濾過を行う。
○膨隆<ぼうりゅう>=ふくれあがること。
○琺瑯質<ほうろうしつ>=歯牙の項参照
○ポケット状空洞<pocket じょうくうどう>=打撃が皮膚面に加わることによって、その
          部に裂傷が生ずると同時にその創底等にポケット状に皮膚が筋肉
          骨から離れたもの。両創縁に均等にポケット状があるときは、打撃
          は皮膚面に直角に作用し、片方の創縁にあれば、ポケット状の無い
          方から力が作用したもの。
○拇指球<ぼしきゅう>=拇指の基節部のふくらんだところ。
○拇指頭面大<ぼしとうめんだい>=拇指の末節部から先端の面までの大きさ。
○ポックリ病<ぽっくりびょう>=東京都監察医務院で言い出されたもので、体格、栄養
          ともに良好な、日常普通の生活をしていて一見健康そうな若い人
          が、夜間、特に就寝中に「ウーン」と唸ったりしてポックリ死ぬものを
          いう。
          年齢幅はおよそ15歳から40歳にわたるが、20歳代が約60%を占
          め、また男女の比率では男14に対して女は1の割合である。
          解剖しても原因が発見できないが、死亡前、過労状態にあったこと
          がこの死に共通している。「急性心機能不全」という診断名を用い
          る。
○発赤<ほっせき>=外力の加わった部位の皮膚が赤色に発現すること。(生活反応
          の一種)
○ボツリヌス菌<botulinus きん>=グラム陽性の芽胞を有する嫌気性桿菌。土の中や
          海水中に住む。腸詰菌とも呼ばれ、毒素を産生し、缶詰や腸詰など
          による食中毒の原因となる。死亡率が高く、毒素は青酸カリの30数
          万倍。熱に対する抵抗力は弱い。
○ポリープ<poliep>=主として粘膜に発生する茸状の限局性隆起物。消化管に多い。
          鼻茸、胃腸ポリープ、子宮粘膜ポリープはその典型。茸腫。
○ポリオ<polio>=ポリオウイルスによって脊髄の灰白質がおかされる感染症疾患。
          幼児に多い。Pollomyelitisの略。
○ポリクリ<polyklinik>=大学病院で医学生が行なう外来実習。さまざまな疾患の多く
          の患者を診察する。
○ポリペクトミー<polypectomy>=ポリープの切除術。胃や大腸などにできたポリープ
          を内視鏡を使って高周波電流で焼き切る。
○ポリポージス<polyposis>=粘膜面に無数のポリープがび漫性に発生する疾患。
          消化管、特に大腸粘膜に発生することが多く、血便や腹痛をきたし、
          癌化することも少なくない。
○ホルマリン<formalin>=ホルムアルデヒド40~60%の水溶液。溶解性を高め重合を
          防止するためにメチルアルコールも含まれている。
          防腐剤、消毒薬に用いる。
○ホルモン<hormon>=動物体内の内分泌腺から生産分泌され、直接血液中に入っ
          て他の器官に達し、その機能に作用を及ぼす物質の創傷。甲状腺、
          上皮小体、膵臓、副腎、性腺(睾丸、卵巣)、下垂体、胸腺などから
          それぞれ固有のホルモンが分泌される。
○本屍手拳大<ほんししゅけんだい>=死者の手拳と同じ大きさの意。心臓の大きさを
          表すのに使う。


○マイコプラズマ<mycoplasma>=細菌とウイルスの中間的な位置に分類される
          多形性の微生物。現在、ヒトから分離されるもので病原性を有す
          るものはマイコプラズマ-プネウモニエと呼ばれ、主として咽頭炎、
          上気道炎、気管支炎、肺炎等をひき起こす。
○マイシリン<mycillin>=ストレプトマイシンとペニシリンの複合材である抗生物質。
          肺炎や腹膜炎の治療に用いられる。
○マイトマイシン<mitomycin>=抗癌抗生物質のひとつ。東京都渋谷区の土壌の
          放線菌から発見された。A、B、Cがあり、強い抗菌作用と、広ス
          ペクトルの抗腫瘍活性がある。
○マウスユニット<mouse unit>=毒性を表す単位。体重19~21グラムのマウスを
          死亡させるのに必要な量を1マウスユニットと定める。
○マクロファージ<macrophage>=大食細胞。白血球の一種で単球として流血中に
          組織マクロファージとして全身の組織にある(網内系ともいう)。
          異物に対する食作用が強力で、その抗原情報を免疫に与える
          リンパ球に伝え、さらにインターロイキン1を分泌して免疫機能を
          促進する。
○麻実大<まじつだい>=麻の実の大きさ、変色等の大きさを表す。
○麻酔<ますい>=局所または全身の知覚を薬によって一時鈍麻・消失させること。
○マスト細胞<mast さいぼう>=肥満細胞。即時型アレルギー反応に関係する。
          気道や消化管など、体の中で外界と接している部分の粘膜や結
          合組織に散在。免疫グロブリンEを結合しており、抗原と結合して
          ヒスタミンやセロトニンを放出する。
○マゾヒズム<masochism>=肉体的・精神的な苦痛を与えられて性的満足を得る
          異常性欲。転じて、一般的に、自虐的な傾向・性質をいう。
○末節骨<まっせつこつ>=手、足の末節にある骨。
○眦・眥<まなじり>=めじり、眼角(がんかく)ともいう。
○麻痺<まひ>=しびれて感覚が無いこと。神経や筋肉の正常な機能が停止する
          状態、運動マヒと知覚マヒがある。
○麻薬<まやく>=鎮静、麻酔に使われる薬品。過度の使用により中毒症状や依存
          症を起こす。阿片、モルヒネ、コカインの類。
○マラカイトグリーン<malachite green>=塩基性染料の一種。木綿、絹、レーヨン、
          皮革などの染色のほか、ノリの消毒や魚の殺菌治療などにも用い
          られる。劇物。
          また、人血反応の判定に使用される。
○マラリア<malaria>=蚊により媒介され、マラリア病原虫に起因する感染症。
          熱帯・亜熱帯地方に多く、固有の周期性高熱を繰り返す。
○慢性<まんせい>=症状はあまり激しくないが、長期にわたってなかなか治らない
          ような病気の性質。(慢性肝炎)
○慢性肝炎<まんせいかんえん>=病態像は、ほとんど自覚症状のない例もあるが、
          全身倦怠感、易疲労感、違和感を訴える場合が多い。
          急性増悪時には急性肝炎と同様な食欲不振腹部不快感、嘔気、
          嘔吐、発熱、皮膚黄染を伴うことがある。
          肝腫大は約70%に認められ、硬度が増し、辺縁は鈍である。
          増悪期には圧痛が認められる。手掌紅斑、クモ状血管腫、皮膚
          メラニン色素の増加は肝硬変患者ほどではないが、時々見られ
          る所見である。
          腹腔鏡検査所見で肝は腫脹し、辺縁は鈍、表面は白色調で硬度
          が増している。線維化が進むと斑紋状に見える。時に門脈圧亢進
          所見の初期像を見る。組織検査ではグリシン鞘を中心とした炎症
          性細胞と線維化により増生したグリシン鞘を認める。


○木乃伊<みいら>=人間などの死体が乾燥した場所にあると、腐敗の速度より
          死体の乾燥化が早くなり、自然に乾固し死体が原形に近い形で
          保存されたもの。
○ミエリン蛋白<miellin たんぱく>=神経線維をとりかこむ膜を構成している蛋白質。
○ミエロパシー<myelopathy>=癌などの悪性腫瘍に伴って起こる急性の脊髄障害。
          両足の運動麻痺から始まり、運動、知覚の麻痺が急速に上行す
          る。多くは2ヶ月以内に死亡する。
○ミオグロビン<myoglobin>=筋肉中に含まれる鉄を含有する蛋白質。血液中の
          ヘモグロビンにより運ばれてきた酸素を受け取り、筋肉中に酸素
          を貯蔵する。
○ミオシン<myosin>=筋肉中にある蛋白質の一種。アクチンと共にアクトミオシンを
          構成し、ATPのエネルギーを用いて筋収縮をひき起こす。
○味覚の分布<みかくのぶんぷ>
     ※甘味=舌の先端に近い部分が最も強い。
     ※鹹味(からみ)=舌のねもとの両ふちと舌の先端が最も強い(塩味)。
     ※酸味=舌のねもとに近い部分の左右が最も強い。
     ※苦味=舌根が最も強い。
○ミカマイシン<mikamycin>=抗生物質。ミカマイシンAおよびBの混合物。外用により
          ブドウ球菌や連鎖球菌による感染症の治療に用いられる。   
○蜜柑大<みかんだい>=みかんの大きさ。変色等の大きさを表す。
○眉間<みけん>=眉と眉の間。
○ミサイル療法<missile りょうほう>=抗体に制癌剤を結合させ、目標の癌細胞だけを
          選択的に破壊する治療法。
○未熟児<みじゅくじ>=身体の発育が未熟のまま出生した乳児であって、正常児が出
          生時に有する諸機能を得るに至るまでの者をいう(母子保健法)。
○密生<みっせい>=すきまなく生えている状態。(頭毛密生) 密生→叢生→疎生
○ミトコンドリア<mitochondria>=生物の殆んど全ての細胞質中に存在する糸状に並
          んだ顆粒状構造の物質。蛋白質と脂肪が主成分。細胞内代謝に重
          要な役割を果たしている。
○ミニピル<minipill>=経口避妊薬の一種。排卵を抑える。人工合成の黄体ホルモンを
          主成分とし、卵胞ホルモンを含まない。
○未明<みめい>
          3時から日の出まで(4月~9月)
          4時から日の出まで(10月~3月)
○脈搏・脈拍<みゃくはく>=心臓が律動的に血液を圧し出すことによって起こる
          動脈中の圧力の変動のこと。その数は心臓拍動数に等しく、
          普通一分間に70程度。
○脈絡叢<みゃくらくそう>=脳の左右側脳室の内側壁から第3脳室の上壁まで
          続くもの、および第4脳室の天井の一部をなしている。
          脳脊髄液を生産する。
○脈絡膜<みゃくらくまく>=目の一部で血管に富んでいる。
○ミュータント<mutant>=突然変異体。遺伝の法則に外れて出てきた変異体。
○ミューテーション<mutation>=突然変異。生物の遺伝形質が親の形質と異なって
          現れること。
○ミュラー管<mullerian かん>=脊椎動物の中腎輸管に平行して生ずる中胚葉起
          源の管。雄では退化、雌では発達して輸卵管となる。
          ドイツの生理学者ミュラーが発見。



○ムーンフェース<moon face>=満月様顔貌。副腎皮質からのステロイドホルモン
          の過剰分泌や、ステロイド剤の過剰投与により起こる症状。
          クッシング症候群。
○ムッカハーベルマン病<mucha habermannびょう>=皮膚病の一種で、急性痘瘡
          状苔癬状ひこう疹。赤い丘疹や小水疱が散在性に生ずる。
          比較的軽傷で自然治癒がある。男の子に多い。
○ムンプス<mumps>=流行性耳下腺炎。ウイルスによる小児の伝染性疾患。
          発熱とほぼ同時に唾液腺のひとつである耳下腺が腫脹する。
          1~2週間で治癒する。おたふくかぜ。



○迷走神経<めいそうしんけい>=内臓の運動分泌をつかさどる脳神経。
○酩酊<めいてい>=酒酔いの項参照
○メープルシロップ尿症<メープルシロップにょうしょう>=バリン、ロイシン、イソ
          ロイシンといった側鎖アミノ酸の代謝障害で起こる病気で、尿
          の臭いが焦げた砂糖、あるいはメープルシロップに似ているこ
          とからこの病名が付けられた。代謝障害が起こるのは側鎖ケト
          酸脱炭酸酵素活性が先天的に低いためである。
          普通生後1~2週間から発病し、重症で乳児期早期に死亡する
          ものが多い。すなわち、哺乳困難、無呼吸発作、チアノーゼ、
          痙攣などで発症し、眼球運動の異常、筋緊張異常、後弓反張り
          がみられるようになり、易感染傾向があるため、感染を起こし
          不幸の転帰をとることが多い。
○メス<mes>=医師が切開や解剖に用いる小刀。
○メチールアルコール<methyl alkohol>=木材の乾留によって得られる最も簡単な
          1価のアルコール、無色の液体で有毒。摂取すると麻痺を起こし
          少量でも盲目となる危険がある。毒物の項参照
○メチオニン<methionin>=硫黄を含むアミノ酸の一種。人間にとって不可欠である。
          多くの蛋白質に存在するが、含有量は多くない。
          肝臓病あるいは中毒症に内服する。
○メチルアミン<methylamine>=アミンの一種。刺激臭をもつ無色の気体。
          動植物質が腐敗分解するときに生じる。
○メチル水銀<methyl すいぎん>=有機水銀の一種。農薬として用いられるが、強い
          毒性を有し、水俣病などの原因となる。
○メディカルチェック<medical check>=健康診断。身体検査。
○メニエール病<meniere's びょう>=耳鳴り、難聴、めまい、吐き気、平行障害が
          発作的に繰り返す病気。内耳の血管の異常によって起こるといわ
          れる。フランスの耳鼻科医メニエールの名前から。
○メラニン<melanin>=動物の体表にある黒または黒褐色の色素。紫外線を浴びる
          と活性化する。有害光線を阻止し、体色の変化にも関係する。
○メラノーマ<melanoma>=黒色腫。メラニン形成細胞から発生する皮膚癌。
          転移しやすく悪性である。
○面状創<めんじょうそう>=刃器が体表に浅く斜めに作用したため、体表の一部が
          はぎとられたような面状の創。          
○メンス<menstruation>=月経。
○面疔<めんちょう>=主として黄色ブドウ球菌の毛包(もうのう)および皮脂腺感染
          から起こり、後発部位は口の周辺、鼻、前額などで数日で膜栓を
          排出して治癒するが、爪で掻いたり指で圧迫したりすると悪化し、
          激痛とともに腫脹、静脈洞血栓を起こし、脳膜炎または敗血症で
          死亡することもある。
○面皰<めんぽう>=にきびのこと。



○毛幹<もうかん>=毛根の上方部。皮膚の毛嚢におさまる部分を毛根、外に現れ
          た部分を毛幹、先端を毛先という。
○盲管<もうかん>=開口しない一端(盲端)を持った管腔のこと、盲腸など。
○盲管銃創<もうかんじゅうそう>=弾丸が身体を貫通せず体内に止まっている傷。
○毛球<もうきゅう>=毛根の膨大している部分。
○蒙古症<もうこしょう>=精神薄弱のひとつ。染色体異常の最初のものとして発見
          された。高年の婦人から生まれる子供に頻度が高く、主な症状は
          精神薄弱のほか、特有な顔貌、手指の異常、筋緊張低下、耳介
          変形等がある。
○蒙古斑<もうこはん>=モンゴロイドに属する人種の乳幼児の腰、仙部、皮膚に
          見られる大きな青色斑のこと。モンゴロイド特有のものではなく
          東アフリカ住民にも約80%に見られる。
○毛根<もうこん>=毛が皮膚中に入っている部分。
○毛細血管<もうさいけっかん>=枝分かれした動脈に続くごく細い血管。全身の
          至るところ内組織中に網状に分布。=毛細管
○盲腸<もうちょう>=大腸の項参照
○毛乳頭<もうにゅうとう>=毛球の中にあり、血管に富み、盲球に栄養を与えて
          いる。
○網膜<もうまく>=目の一番奥にあって視神経の広がっている膜。
○毛様小帯<もうようしょうたい>=レンズと毛様帯をつないでいる微細な線維。
○毛様体<もうようたい>=目のレンズの周辺を囲む筋肉性の器官。レンズの厚さを
          変え、遠近を調節する働きがある。
○モルヒネ<morfine>=アヘン含有アルカロイドの一種。強い麻酔、鎮痛、鎮咳、
          呼吸抑制作用を持つ。習慣性のため中毒を起こしやすい。
○脆い<もろい>=外力に対する抵抗が弱いこと。壊れやすい、砕けやすい。
○モンゴロイド<mongoloid>=人種の区分のひとつ。黄色人種。
○門歯<もんし>=歯牙の項参照
○門脈<もんみゃく>=肝臓下面に入りこんでいる静脈。=門静脈


○扼頸<やくけい>=腕又は指で頸部を絞扼圧迫すること。
○扼溝<やくこう>=扼殺された死体の首に残る手の爪などの痕跡。
○薬剤性肝障害<やくざいせいかんしょうがい>=薬剤の毒性の出現は単に代謝
          中間体の作用によるものばかりではなく、併用薬剤により、単独
          で投与した場合よりも中毒症状が強く発現することがある。
          このように種々の要因が重なってくる場合が多く、病態像として
          は、肝炎型、胆汁うっ滞形、混合型の三形に分類される。
          肝炎型は一般に急性ウイルス性肝炎の臨床症状に似て、全身
          倦怠感、食思不振、黄疸をきたす。時に劇症化することがある。
          胆汁うっ滞型は閉塞性黄疸と鑑別がつかないことがしばしばあ
          る。黄疸が著名であるにもかかわらず比較的元気で全身倦怠
          感も食思不振も強くない。皮膚そう痒感は多くの場合出現する。
          肝炎型に比し経過が遅延することが多い。
○扼殺<やくさつ>=扼頸によって窒息させて殺害する方法。
          死亡の主因は頸動脈洞圧迫と気道閉圧とである。血管の圧迫
          は完全に起こり得ず、このため顔面の鬱血、溢血点(斑)が高度
          に見られ、舌骨、甲状軟骨の骨折が多い。「吉川線」に注意。



○ユーイング肉腫<ewing にくしゅ>=若年者(20歳未満)の骨に発生する、比較的ま
          れではあるが極めて悪性の肉腫。骨盤や大腿骨に発生すること
          が多く、早期に発見された場合は切断手術が行なわれるが、通常
          は2年以内に死亡する。
○融解<ゆうかい>=とけること。
○有郭乳頭<ゆうかくにゅうとう>=味覚器で、舌根に8~15個ある。味蕾が最も多い。
○有機燐剤<ゆうきりんざい>=燐を含む製剤の総称。猛毒のものが多い。
○融合<ゆうごう>=とけてひとつになっている状態。
○融痕<ゆうこん>=通電状態の電線等が火災時の高熱によって溶け、その部の先
          端が丸くなったもの。=溶痕
○疣贅<ゆうぜい>=いぼ(パポバウイルス)。ヒト乳頭腫(パポローマウィルス)。
○ユータナジー<euthanasie>=安楽死。
○遊底頭痕<ゆうていとうこん>=銃から弾丸が発射された直後、その反動で薬莢が
          遊底の頭部に衝突して生ずる圧痕。
○有髪部<ゆうはつぶ>=髪が生えている部分。
○幽門<ゆうもん>=胃の項参照
○幽門括約筋<ゆうもんかつやくきん>=幽門にある厚い筋層。
○幽門弁<ゆうもんべん>=幽門括約筋からなっている弁状のもの。
          胃内容物の逆流を防ぐ。
○遊離<ゆうり>=他と離れて存在している状態。
○癒着<ゆちゃく>=本来分離しているべき生体の組織面が、線維性の組織で連結
          融合していること。
○輸尿管<ゆにょうかん>=腎臓から膀胱に通ずる尿を運ぶ管。=尿管
○輸卵管<ゆらんかん>=卵巣から子宮に通ずる卵子を運ぶ管。=卵管


○宵<よい>=日没1時間前から日没1時間後迄くらいの間。
○容易<ようい>=簡単なこと。
○葉間部<ようかんぶ>=肺の上葉・中葉・下葉各間の部分。
○羊羹様<ようかんよう>=羊羹のような色、形のこと。
○溶血<ようけつ>=血液中の赤血球が壊れ、その成分が血漿の中にでる現象。
○溶痕<ようこん>=融痕の項参照
○幼児<ようじ>=満1歳から小学校就学の始期に達するまでの者をいう。(母子
          保健法)                      
○腰小窩<ようしょうか>=上後腸骨棘。
○葉状乳頭<ようじょうにゅうとう>=味覚器で、舌の後部の両側に少数ある。味蕾
          は少ない。
○腰神経叢<ようしんけいそう>=第1~第4腰神経から形成される神経が束状に
          なっている部分。
○羊水<ようすい>=羊膜腔を満たす液体で、初めは無色、無臭、透明で主として
          羊膜上皮の分泌産物で、これに母親、胎児両体の血管よりの
          浸透液が加わっているが、妊娠末期には胎児の繊毛、脱落上皮、
          皮脂または少量の胎児尿を混じ、混濁白色、または帯黄色を
          呈する。
○腰椎<ようつい>=脊椎の項参照
○腰椎穿刺<ようついせんし>=脳内出血を起こしているかどうかを見分する方法。
          腰椎(第3腰椎と第4腰椎間)に穿刺針を刺し、少量の髄液を採取
          してその中に血液が混入していれば脳内出血があると判定される。
○ヨード<jod>=微量ではあるけれど、人体成分として必要な無機質。生体内では
          大部分が甲状腺に取り込まれ、甲状腺ホルモンとなって発育や
          新陳代謝に関係する。ハロゲン元素のひとつであり、チリ硝石や
          海水・海藻中に含まれ、哺乳類の甲状腺にはチロキシンとして存
          在する。ヨードチンキ、ルゴール液などの医薬原料やヨウ素滴定
          の標準試薬として重要。
○ヨードチンキ<jodtinktur>=ヨウ素とヨウ化カリウムを70%程度のエチルアルコール
          に溶かしたもの。暗赤褐色液で、ヨウ素とエチルアルコールの殺菌・
          刺激作用により外用として薬効がある。
○腰部<ようぶ>=腰のこと。
○腰方形筋<ようほうけいきん>=腰を左右に曲げる筋肉。=骨格筋、腰。
○羊膜<ようまく>=子宮内で胎児及び羊水を入れる袋状の膜。
○吉川線<よしかわせん>=警視庁の元鑑識課長、吉川市が発表した殺人(絞扼殺)
          被害者の前頸に縦に走る引っ掻き傷をいう。
          絞扼殺の場合、被害者は頸部にかかっている索状や加害者の指
          又は腕をもぎ取ろうとして索状や加害者の腕等ばかりでなく自分の
          頸部にまで爪を立てるために表皮を剥脱し、縦に走る創傷を作る
          ことがある。この創傷を吉川線といい、吉川線があれば殺人とまで
          いわれる。
○ヨヒンビン<yohimbin>アカネ科に属するヨヒンベという高木の樹皮に含まれるアル
          カロイド。勃起中枢の興奮作用があり催淫剤として用いられる。


○ライ症候群<reye's しょうこうぐん>=インフルエンザや水疱瘡などのあと子供に
          表れる急性症状。嘔吐、意識障害、急性脳浮腫、肝臓の脂肪
          沈着などの起こる難病。ミトコンドリアが障害される。
          アスピリンが原因であるとされる。
○ライソゾーム<lysosome>=白血球などの細胞内にあって、細菌など細胞にとって
          好ましくない異物が入ってくると分解処理をする組織体。
○ラス遺伝子<ras いでんし>=腫瘍遺伝子の一群。ラットの肉腫ウイルス、ヒトの
          腫瘍細胞などで見つかっている。
○落下血痕<らっかけっこん>=点々と地上や床などに落ちている血のあとをいう。
○ラッサ熱<lassaねつ>=悪性の急性熱性感染症。1969年アフリカ西部に流行。
          病原はウイルスで、潜伏期は通常1~2週間。初発症状は頭痛、
          発熱、全身倦怠感、咽頭炎、咳、下痢、胸痛、腹痛などで徐々に
          始まり、腸チフスに似ている。次いで口腔咽頭の潰瘍、リンパ節
          腫脹、結膜炎、顔面頸部腫脹がみられる。皮膚には出血疹が出
          るが数は少ない。しかしときには紫斑病様になることもある。
          重症例では、 ショック、胸水貯溜、心不全、腎不全の徴候が現れ、
          脳症による種々の程度の意識混濁が起こる。
          死亡率は極めて高い。
○ラッセル<rasselgerausch>=肺を聴診するとき、通常の呼吸音に混じって聞こえる
          異常音。ラッセル音。
○ラムダ縫合<らむだほうごう>=人字縫合のこと。縫合の項参照
○卵円窩<らんえんか>=心房中隔で胎生時の卵円孔のあとの凹み。
○卵円孔<らんえんこう>=出生時まで働いている心房中隔にある孔。
○卵管<らんかん>=輸卵管の項参照
○ラング<lung>=肺。肺臓。
○ランゲルハンス島<langerhanssche とう>=膵臓にある内分泌腺。糖代謝調節ホル
          モンであるインシュリンが分泌される。ドイツの病理学者ランゲル
          ハンスに由来。
○卵巣<らんそう>=女性の骨盤腔にあって卵子を製造する拇指頭大の楕円形の
          組織で左右に一対がある。
○ランビエ絞輪<ranvier's こうりん>=有髄神経繊維において、一定間隔で存在す
          る髄鞘のとぎれた部分。神経興奮はこの部分でのみ生ずる。


○リウマトイド因子<rheumatoid いんし>=ヒトや動物の1gG抗体にある抗原決定基
          に対する抗体で、自己抗体の一種。慢性関節リュウマチなどの
          膠原病を起こす。リューマチ因子。
○離開<りかい>=離れ開いていること。(縫合離開)
○リケッチア<rickettsia>=細菌とウイルスの中間的な微生物の一群。
          長さ0.3~0.5ミクロン、幅.3ミクロン程度。感染症として発疹チフス、
          ツツガムシ病などがある。
○梨状筋<りじょうきん>=仙骨全面と大腿骨の大転子を結んでいる筋で、股関節の
          運動に関与する筋のひとつ。
○リシン<ricin>=アルブミンのひとつ。分子量8万前後の蛋白質。ヒマ(トウゴマ)の
          種子に含まれ、毒性があり多量に摂取すると内臓器官に出血を
          起こす。
○リセプター<receptor>=生物体内にあって、刺激を受容する器官。生物体の細胞
          にあって、外界の物質や光を受容する物質。レセプターともいう。
○リソゾーム<lysosome>=細胞内消化に関与する細胞小器官。
          多数の加水分解酵素を含む膜小胞。
○リゾチーム<lysozyme>=細菌細胞壁のペプチドグリカンに作用して、細胞壁を溶
          解する酵素。
○リットル病<little びょう>=脳性小児麻痺の一種。主に両側下肢の強直性麻痺を
          示すもの。先天性のものおよび出産時障害によるものがある。
          進行性ではない。
○立毛筋<りつもうきん>=毛根部に付着した平滑筋。毛を立てる筋肉。
○リトコール酸<lithocholic さん>=胆汁酸のひとつ。胆汁中の胆汁酸(ケノデオキシ
          コール酸)が腸内細菌によって変換されたもの。発癌性がある。
○リトマス<litmus>=地衣類のリトマスゴケから採れる色素の混合物。紫色の粉末。
          水に溶け水素イオン濃度(pH)で色が変わる。リトマス試験紙にし
          て用いることが多い。
○リトマス試験紙<litmus しけんし>=リトマスの溶液に濾紙を浸して乾かしたもの。
          溶液や気体の酸性、塩基性の判断に用いる。酸で赤、アルカリ性
          で青を呈す。コップ等に残された液、あるいは服薬した死亡者の
          口中に試験紙を入れて青藍色に変色した場合は青酸があること
          が判定される。
○リバースブロック<reverse block>=ダイバーが浮上中に中耳腔内圧を大気圧に
          減少できないこと。耳痛、めまい、ひどければ嘔吐をひき起こし
          危険である。
○リハビリテーション<rehabilitation>=慢性疾患や後遺症の患者を対象に、できる
          かぎり最大の身体的・心理的我慢で負傷した箇所の機能回復訓
          練もさしていう。
○リピド<lipid>=脂質。炭水化物・蛋白質と共に生態を構成する重要な物質群で、
          脂肪、蝋、およびこれと性質、構造の似た物質の総称。リポイド。
○リボ核酸<ribonucleic かくさん>=リボースを糖成分とする核酸。細胞の核、細胞
          質中に核蛋白質として存在することが多い。
          蛋白質合成に主要な役を演じている。RNAと略称される。
○隆起<りゅうき>=高く盛り上がること、あるいはそのような部位。
○流行性脳脊髄膜炎<りゅうこうせいのうせきずいまくえん>=保菌者の咳の飛沫に
          よって感染する。潜伏期は4~5日で突然高熱を発し、激しい頭痛
          を訴え、吐き気を起こす。意識は混濁し、嗜眠状態あるいは狂躁
          状になる。うなじは木馬のように硬くなる。死亡率は極めて高かっ
          たが、最近は新薬により著しく低くなっている。
○流動性血液<りゅうどうせいけつえき>=窒息死の場合の内部所見。急死の場合、
          血液は凝固しない。
○リューマチ<rheumatism>=膠原病のうち、リューマチ熱、慢性関節リューマチの
          総称。昔はこれらを同一疾患と考えたためにリューマチと呼んだ。
          現在は自己免疫疾患と考えられている。関節痛を主訴とする。
○リューマチ熱<rheumatic ねつ>=溶血性連鎖状球菌の感染によって、ある特定の
          素質を持った子供に起こる細菌アレルギー性疾患。高熱、上気道
          炎、関節痛を主とし、約半数に心炎を伴い、またしばしば後に心弁
          膜症を起こす。
○柳葉状<りゅうようじょう>=柳の葉のような形状。
○リンゲル液<ringer's えき>=生理的食塩水をイギリスの医学者リンガーが改良した
          もの。塩化ナトリウム8.6g、塩化カリウム0.3g、塩化カルシウム0.33g
                      を注射用蒸留水に溶かし1リットルにしたもの。静脈注射に用いら
          れる。
○鱗状<りんじょう>=魚のうろこのような形状。
○臨床所見<りんしょうしょけん>=病床に臨んで実際に診察したときの病気の状況。
○輪状軟骨<りんじょうなんこつ>=甲状軟骨と気管の間にある軟骨。
○輪帯<りんたい>=大腿骨の頸部を輪状に取り囲んでいる靱帯。
○リンパ<lympha>=組織液がリンパ管に入ったもの。血液と同様に体内を循環し、栄
          養物の運搬、免疫抗体の輸送などを行なう。淋巴液。
○淋巴管<りんぱかん>=リンパを輸送する特有の脈管。血管と同様に体内に網状に
          広がり、その間にリンパ節がある。
○淋巴球<りんぱきゅう>=白血球のひとつで、全身のリンパ節、脾臓等のリンパ組織
          中にあるリンパ芽球によって作られ、その一部は血中に移行してい
          る細胞。免疫上重要な役割を果たしている。
○淋巴系<りんぱけい>=リンパ液を循環させる管系。リンパ管とリンパ節からなり、
          細胞外液の循環と病原体や異物に対する防御を行なう。
○淋巴節<りんぱせつ>=リンパ管の各所にある粟粒大から大豆大の結節。感染や
          癌などで、ここが腫れる。頸部、腋下部等の表在性のものと肺門、
          肝門等の深在性のものとがある。=淋巴腺



○類円形<るいえんけい>=円形に近い形。(類円形変色)
○涙腺<るいせん>=眼球の外上方にあって涙液を分泌する。
○涙小管<るいしょうかん>=眼球表面に分泌された涙液が鼻腔へ出る管で、
          目の内端にある。 
○涙嚢<るいのう>=涙小管が注ぐくだ。
○ルミノール<luminol>=白色の固体。アルカリ性で過酸化水素などの酸化剤が
          あると紫青色に発光する。過酸化水素、シアンイオンの定量、
          血痕の検出に用いられる。(アミノフタルサンヒドラジッド)
○ルミノール化学発光試験<luminolかがくはっこうしけん>=血液の存在を証明
          する検査。ルミノールにオキシドールを混合した液を検体に噴
          霧すると血液中のヘモグロビンのうちヘムにオキシドールが作
          用して分解し酸素を出す。この酸素にルミノールが作用して発
          光し、血液の存在を証明する。
          ただし、鉄錆、真鍮等もオキシドールに作用して分解し、酸素
          を出し、これにルミノールが作用して発光するので注意を要する。
          指紋検出のためニンヒドリン液を塗布したあとでも検査可能で
          ある。
○ルンゲ<lunge>=肺臓。肺結核の俗称。
○ルンバール針<lunvarlしん>=中空の針で中にマンドリン針が入っている注射針。
          後頭窩穿刺、頸椎穿刺、腰椎穿刺などに使い、内出血の有無
          などを検査する。


○レーザー内視鏡<laser ないしきょう>=血管内視鏡にレーザーを組み合わせた
          もの。心筋梗塞の原因となる冠状動脈狭窄部位の拡張治療に
          用いられる。カテーテル内視鏡により病変部を観察しながら
          レーザーを照射し、閉塞病変や血栓を蒸散させる。
○レーザーメス<laser mes>=レーザー光を利用したメス。レーザー光を絞って
          生体組織に照射すると、その部分が瞬間的に高温となり、組織
          に含まれている水分の急激な気化による爆発力で生体の切開
          を行なう。切開と同時に血液を熱的に凝固させるため、止血効
          果もある。
○レイノー病<raynaud's びょう>=寒いときに、手の指が冷たくなって真っ白にな
          り、次いで紫色になって痛み、暖めると回復するような症状(レイ
          ノー現象)が、原因不明のままに起こる病気。血管運動神経障
          害によるもの。振動工具使用による職業病としてもおこる。
          フランスの医師レイノーの名から。
○轢死<れきし>=自動車、汽車、電車等の車輪等にひかれて死ぬこと。
○轢過<れきか>=車輪等にひかれること。
○轢断<れきだん>=自動車、汽車、電車等の車輪等にひかれて腕や足等が断ち
          切られたことをいう。          
○レクチン<lectin>=細胞膜の糖鎖と結合して細胞凝集反応などを起こす物質。
          動植物及び細菌に広く分布する。
○レジオネラ菌<legionnaira きん>=細菌の一種。水分の多い土中や、ビルの冷却
          塔に侵入して繁殖。老人や衰弱した人が吸い込むと激しい肺炎を
          起こす。慢性の基礎疾患を有し免疫の低下した患者に発生する
          難治性呼吸器感染症。紫外線に弱い。
○レシピエント<recipient>=臓器移植手術で臓器の移植を受ける患者。
          ドナーから臓器を提供されること。
○レスピレーター<respirator>=人工呼吸器。呼吸が呈し又は呼吸不全状態に
          ある患者に対し、人為的に呼吸をさせるための機械。
          全身麻酔による手術時にも人為的呼吸と麻酔薬の吸入を兼
          ねて頻用される。
○レセプト<rezept>=処方箋の意。診療報酬請求明細書の通称。病院や診療所
          が医療費の保険負担分の支払いを公的機関に請求するため
          に発行する。
○レチノール<retinol>=ビタミンAの科学名。肝油、バターなどに多く含まれ、欠乏
          すると夜盲症、角膜乾燥症などをひき起こす。
○レックリングハウゼン病<von recklinghausen'sびょう>=母斑症の一種で、外胚
          葉系の発生異常。全身の皮膚及び末梢神経に多発する神経 
          線維腫と、淡褐色の母斑を特徴とする。
○裂創<れっそう>=創傷の項参照
○レトロウイルス<retrovirus>=RNAを遺伝子として持ち、細胞に感染後、DNA
          に読み替えられプロウイルスになるものの総称。
          肉腫ウイルス、乳癌ウイルス、エイズウイルスなど。
○レム睡眠<REM すいみん>=急激な眼球の動きを特徴とする睡眠。身体的には
          深い睡眠状態でありながら夢を見る時間でもある。逆説睡眠。
○レンズの淡蒼球<レンズのたんそうきゅう>=大脳基底核。淡蒼球と被殻を合わ
          せてレンズ核という。
○レンズ核の被殻<レンズかくのひかく>=レンズ核の淡蒼球に同じ。
○レントゲン<roentgen>=放射線の強さの単位。記号R。エックス線の発見者
          レントゲンの名にちなんで名付けられた。



○ロイコトリエン<leukotriene>=アラキドン酸から動物組織で合成される一群の生
          理活性物質。白血球遊走促進作用や気管支収縮作用がある。
          気管支喘息の原因物質。
○ロイコマイシン<leucomycin>=扁桃炎、肺炎などの感染症の治療に用いるマク
          ロライド系抗生物質。
○ロイコマラカイトグリーン試験<leakomalachitegreen しけん>=血液予備試験。
          検体少量をろ紙に拭き取り、試薬2~3滴にオキシドール2滴な
          いし3滴を加えると、血液であれば10秒以内に緑色に変色する。
○漏孔<ろうこう>=中から液体(血液など)が漏れ出てくる孔。
○瘻孔<ろうこう>=怪我や病気で身体にできる孔。
○漏出<漏出>=漏らし出ること。
○漏斗孔<ろうとこう>=爆発物の破裂によって、その中心点の下部がじょうご状に
          なった穴をいう。
○老耄<ろうもう>=老いぼれること。
○肋間筋<ろくかんきん>=肋骨の下にある筋肉のことで、外肋間筋、内肋間筋が
          ある。
○肋間神経<ろくかんしんけい>=肋間筋を支配する神経。
○肋骨<ろくこつ>=あばら骨のこと。第1肋骨から第12肋骨まである。
○肋骨弓<ろくこつきゅう>=肋骨下端で弓状をなした部分。第7~第10肋軟骨から
          作られる。
○肋骨弓部<ろくこつきゅうぶ>=肋骨の下端。
○肋軟骨<ろくなんこつ>=肋骨と肋骨とが接続する部の軟骨。
○肋膜<ろくまく>=胸腔の内面に沿って肺の外面を覆う膜。=胸膜
○露出<ろしゅつ>=むき出しになっている状態。
○濾胞<ろほう>=ホルモンを生産する内分泌腺の細胞が形成する組織学的構造。
          内部に分泌物(コロイド)を貯留している         


○ワイル病<weil びよう>=黄疸出血性レプトスピラによって起こる病気。高熱、筋痛、
          黄疸、出血傾向、腎不全などの症状を呈する。多くドブ鼠により伝
          染する。
○ワクチン<vakzin>=ある種の感染症に対して人工的に免疫を得させるために、そ
          の病原微生物またはその毒素液に適当な操作を加えて作った免
          疫原。
○ワッセルマン反応<wassermann はんのう>=ドイツのワッセルマンという人が発見
          した梅毒の血清診断法。
○腕尺関節<わんしゃくかんせつ>=肘関節の一部で、上腕骨と尺骨との間の関節。
○腕橈関節<わんとうかんせつ>=肘関節の一部で、上腕骨と橈骨との間の関節。
○腕頭静脈<わんとうじょうみゃく>=内頸静脈が鎖骨下静脈と合流して腕頭静脈と
          なり大静脈に入る。
○腕頭動脈<わんとうどうみゃく>=大動脈弓より右方に分岐して腕頭動脈となり、
          さらに右鎖骨下動脈に分岐する。

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2009年11月17日 (火)

法医学リーズン《85》

法医用語の解説
 
 検視や解剖の立会いをした際などに、検視官や解剖医が「ガンメンはイッパンにセイハクでソウショウトウはなく、リョウガンケンのガンレツはサイゲキジョウをティし・・・」というような表現をしますが、これだけを聞いたのでは、何を言っているのか分からない人もあると思います。
 実は、この意味は、「顔の色は全般に青白く、傷などもなく、左右の両目は上下のまぶたを少し開き・・・」と言うことで、お釈迦様のように温和で穏やかな顔をしていると言う意味になります。
このように、法医学関係者の間では、門外漢が一度聞いただけでは分からない言い回しや、独特な用語が用いられておりますから、法医用語を正しく理解していなければ、死体観察および解剖の立会いを行う上において大きな支障を来たします。
 そこで、日ごろ多く用いられている基本的な法医用語について、簡単に説明します。

◎ 色の表現
   色の表現は、褐色・鮮紅色・青緑色などと、それぞれの色に該当する表現を
  行っていますが、その濃淡などから次のような独特な表現をすることがあります。
 1) 暗<あん>○色-例えば、暗紫赤色といえば、暗い紫赤色のことである。
 2) 淡<たん>○色-例えば、淡紅色といえば、薄い紅色のことである。
 3) 帯<たい>○色-例えば、帯黄褐色といえば、黄色を帯びた褐色のことである。
 4) 汚穢<おわい>○色-例えば、汚穢赤色といえば、汚い赤褐色のことである。

◎ 形の表現
   線状・帯状・円形・楕円形・長方形・正方形などと、通常用いられている表現を
  しますが、次のような独特な表現もあります。
 1) 類円形-輪郭が不鮮明な円形類似の形状のこと。
 2) 不正形-輪郭が整然としてなく、しかも、特定の形状をなしていない形状。
 3) 柳葉状<りゅうようじょう>-柳の葉のような形状。

◎ 大きさの表現
   該当物を見て、直感的に植物の実や動物の卵、あるいは人体の部位などの
  大きさで表しますから、数字的に厳密な基準があるわけではありません。
 1) 蚤刺大<そうしだい>-針の先で突いたくらいの大きさ。
 2) ケシの実大-けしのみのおおきさ、直径0.1cmくらい。
 3) 粟粒大<ぞくりゅうだい>-粟つぶの大きさ。
  4) 麻実大<まじつだい>-麻の実の大きさ。
 5) 米粒大<べいりゅうだい>-米つぶの大きさ。
 6) 小豆大<あずきだい>-小豆の大きさ。
 7) 大豆大<だいずだい>-大豆の大きさ。
 8) 豌豆大<えんどうだい>-えんどう豆の大きさ。
 9) 蚕豆大<そらまめだい>-そら豆の大きさ。
 10) 桜実大<おうじつだい>-さくらんぼの大きさ。
 11) 胡桃大<くるみだい>-くるみの実の大きさ。
 12) 蜜柑大<みかんだい>-みかんの大きさ。
 13) 林檎大<りんごだい>-リンゴの大きさ。
 14) 雀卵大<じゃくらんだい>-雀の卵の大きさ。
 15) 鳩卵大<きゅうらんだい>-鳩の卵の大きさ。
 16) 鶏卵大<けいらんだい>-鶏の卵の大きさ。
 17) 鵞卵大<がらんだい>-鵞鳥の卵の大きさ。
 18) 小指頭面大<しょうしとうめんだい>-小指の末節部の大きさ。
 19) 示指頭面大<ししとうめんだい>-示指の末節部の大きさ。
  20) 拇指頭面大<ぼしとうめんだい>-拇指の末節部の大きさ。
 21) 手拳大<しゅけんだい>-手拳の大きさ、小児手拳大ということもある。
 22) 手掌面大<しゅしょうめんだい>-指を含んだ手掌面の大きさ。
 23) 小児頭大<しょうにとうだい>-小児の頭の大きさ。
 24) 大人頭大<だいにんとうだい・おとなあたまだい>-大人の頭の大きさ。

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2009年7月14日 (火)

法医学リーズン《84》

(4) 自他殺の判断
   墜落死体・転落死体に、ためらい創とか防禦創などのように自殺あるいは
  他殺を表す創傷とか、扼痕などが存在する場合は別として、墜落・転落時に
  負った創傷だけから、自他殺の判断を行うことは不可能です。
   したがって、墜落死及び転落死についての自他殺の判断は、死体所見以
  外のもの、例えば、落下場所の状況や自殺の原因・動機の有無などを総合
  的に検討して行う必要があります。ここでは、落下場所を観察する上での着
  眼点について説明します。
① 墜落場所の高低
 ○ 自 殺
  ・ 覚悟の自殺の場合には、即死できるような高い建物などから墜・転落して
   いることが多い。
 ● 他 殺
  ・ 即死するのは無理なような低い場所から墜・転落している場合は、他殺・
   事故死の疑いが強い。
② 墜・転落場所の鉄柵等の高低
 ○ 自 殺
  ・ 鉄柵や窓枠などが高い場合は、そこを乗越えて飛び降り自殺したことが考
   えられる。
 ● 他 殺
  ・ 突き落としたり、あるいは、投げ落としたりするためには、鉄柵、窓枠が低
   くなくては困難である。
③ 墜・転落場所の鉄柵等の付着物等の状況
 ○ 自 殺
  ・ 墜・転落場所の鉄柵・窓枠などに死者の指・掌紋が整然と付いている場合
   は、自殺と考えられる(死者の指・掌の付着物を必ず採取しておくことが大
   切である)。
  ・ 鉄柵などのほこりが取れている幅が狭いと、そこから飛び降りた疑いが強
   い。
 ● 他 殺
  ・ 墜・転落場所の鉄柵、窓枠などに死者の指・掌紋が付いていなかったり、
   逆に多くの指・掌紋が乱れて付いている場合は、他殺の疑いが強い。
  ・ 鉄柵などのほこりが幅広くとれていたり、着衣の繊維片が幅広く付着してい
   るときは、他人と争った疑いが強い。
④ 履物痕などの付着状況
 ○ 自 殺 
  ・ 墜・転落場所の最先端に履物痕が少数ある場合は、そこを踏み台にして
   飛び降り自殺している疑いが強い。
 ● 他 殺
  ・ 墜・転落場所に死者の履物痕がないとか、あるいは、離れている場所に
   ある場合は、他殺の疑いが強い。
⑤ 履物などの遺留状況等
 ○ 自 殺
  ・ 墜・転落場所に履物がそろえて置いてあったり、遺書がある場合は、自殺
   の疑いが強い(ただし、犯人が偽装していることもある)。
 ● 他 殺
  ・ 履物が不ぞろいで、しかも、離れていた場合は、他人と争った疑いが強い。
⑥ 落下地点
 ○ 自 殺
  ・ 墜・転落場所の直近に落下していることが多い。
 ● 他 殺
  ・ 墜・転落場所から著しく離れたところに落下している場合は、他殺の疑いが
   強い。 

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2009年7月11日 (土)

法医学リーズン《83》

(3) 墜落死・転落死と交通事故死との見分け方
   人体が動いて鈍体に衝突する(墜落死・転落死)のと、鈍体(自動車等)が
  動いて人体に衝突する(交通事故死)のとの違いはあっても、いずれも攻撃
  面の広い鈍器・鈍体による損傷ということで、墜落死・転落死と交通事故死
  の死体所見は著しく似ています。
   したがって、この両者を見分けるには、近くに飛び降りたり転落したりする
  高い場所がないかどうか、路上に自動車の塗料片やガラス片などが落ちて
  いないか、タイヤのスリップ痕がないか、死者の着衣等に塗料片等が付着し
  ていないかなどを十分に観察しなければなりませんが、一応、次のようなもの
  が両者を見分ける基準となります。
  ア 点状表皮剥脱・線状表皮剥脱
    墜落死の場合には、高所から落下し、人体が直角に落下面に打ち付けら
   れるのに対し、交通事故死の場合には、自動車等で跳ね飛ばされた後、落
   下面に一定の角度を持ち斜めに衝突します。つまり、墜落死の場合は、落
   下面にたたき付けられて止まるのに対し、交通事故死の場合には、落下し
   た後、人体が落下面から移動(ずれる)します。このため、落下面に存在す
   る砂利などによる表皮剥脱が、墜落死では点状になるのに対し、交通事故
   死では、線状の表皮剥脱ができやすいのです(写真参照)。

Dscn086351
※ 点状表皮剥脱

Dscn086452
※ 線状表皮剥脱

イ 轢圧創
  交通事故死の場合、自動車等に跳ね飛ばされて転倒した後、さらに自動車
 等に轢かれることがありますので、自動車等のタイヤの紋様を表す皮下出血
 ・表皮剥脱などの、いわゆる轢圧創が見受けられることがしばしばあります。
ウ デコルマン創
  皮下剥離創のこと。自動車事故を最も典型的に表す創傷のひとつで、自動
 車のタイヤが身体を轢過する際に皮膚のみを強く引っ張るために筋肉と皮膚
 が剥がれてしまい剥離創が出来ます。皮膚が断裂してその上さらに筋肉から
 剥がれているものや、単に裂創が伴わずに皮膚が筋肉から剥がれているだけ
 のものなどがあります。
エ 着衣の破損状況
  墜落死・転落死の場合と同様に、交通事故死の場合にも着衣が破損してい
 ることが多いのですが、表皮剥脱のところで説明したような理由から、交通事
 故死の場合は、落下面を移動した際のすり傷のような破損が見られるのが特
 徴です。

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2009年7月 5日 (日)

法医学リーズン《82》

エ 頭部損傷
  頭部損傷といっても、軟部蓋損傷(頭皮損傷・・・皮下出血・表皮剥脱・挫創・
 裂創・割創など)・頭蓋骨折(陥没・亀裂)・脳膜損傷(硬膜外血腫・硬膜下血
 腫・蜘蛛膜下出血)・脳損傷(脳震盪・脳圧迫・脳挫傷)と様々なものがあり、
 この中には、これといった所見を呈しないものがあります。
  そこで、ここでは、次のような所見があれば、一応、頭部に損傷を負っている
 可能性が大であるというものを挙げるだけに止めておきます。
 ○ 眼瞼部の皮膚変色・・・眼瞼部がくまどりされたように青藍色を呈している
  場合は、頭蓋骨折の疑いがある。
 ○ 耳・鼻からの出血・・・外耳道及び鼻腔部から出血している場合は、頭蓋骨
  折の疑いがある。
 ○ 瞳孔の差異・・・左右の瞳孔の大きさに差異が認められるときは、脳幹部
  に損傷(出血・挫傷)を負っている可能性が極めて強い。
 ○ 嘔吐・・・頭蓋内に損傷を負った場合には、吐き気を催し、嘔吐することが
  多い。
 ○ 高い体温・・・頭蓋内を損傷した場合には、脳幹部の温熱中枢の調節が侵
  されて体温が異常に上昇することがあり、そのような場合は、普通の死体に
  比較して体温が高くなっている。
オ 出血の状況
  超高層ビルのような非常に高い所から墜落した死体の場合には、大きな創
 傷が生じているのに出血量が予想外に少ないことがあります。
  しかし、解剖してみると、内部組織には相当量の内出血が認められます。
カ 滑液の洩出
  肘・膝間接部に当る部分の着衣に、車両の油と見誤るようなものが付着して
 いることがあります(写真参照)。
  これは、間接内の滑液が洩出して着衣に浸み込んだもので、墜落死特有の
 所見です。
キ 着衣の破損
  墜落死・転落死の場合には、衝突時の衝撃により、着衣が裂けたり、ほころ
 びていることが多く、時には、ズボンのベルトが切れていることがあります。

Dscn086250
      ※滑液の洩出(スカートに浸み込んだもの)


 
  

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2009年7月 1日 (水)

法医学リーズン《81》

(2)  墜落死・転落死の外部所見
  墜落死にしろ転落死にしろ、高所から落下して死亡した場合には、落下地点
 の物体と衝突する際に人体に相当な衝撃が加わっていますから、これらの死体
 の大部分は、頭蓋骨・脊椎・足根部などが骨折していたり、内臓が破裂するなど
 の大きな損傷を伴っています。
  なお、墜落死では、下肢の方から飛び降りることが多いため、損傷部位も四肢
 部が中心となっているのに対し、転落死の場合は、頭部に多くの損傷が認めら
 れます。
  墜落死・転落死の場合には、その損傷に特徴的なものがしばしば見受けられ
 ますので、簡単に説明します。
 ア 辺縁性出血
   墜落死体および転落死体の上肢や下肢には、その内部にある長骨の形状
  を形どる辺縁に、鉄パイプで殴られたような場合にできる二重条痕様の皮下
  出血(長骨の部分が白くなり、その辺縁に皮下出血が見られる)が認められる
  ことがあります。これを、一般に辺縁性皮下出血と呼んでいます。
   この辺縁性皮下出血は、高所から落下した場合に、上肢や下肢が路面など
  の落下面に平行にたたき付けられたときにできるもので、高所から落下した
  ことを如実に示す外部所見といえます。
   もっとも、これは、上肢及び下肢の長骨が落下面と平行して衝突しなければ
  できないものですから、辺縁性皮下出血がないからといって、高所から落下し
  たものではないということはできませんので、注意が必要です。
  イ 落下面に符合する創傷
   高所から落下した場合、その落下面に符合した創傷、例えば、マンホールの
  上に落下したのであれば、その蓋の模様の皮下出血が認められることがあり
  ます。なお、落下地点が路上の場合、路上面にある砂などの跡を現すような小
  さな点状の表皮剥脱や皮下出血が認められることがありますが、これも、やは
  り高所からの落下を物語る所見であり、交通事故死と区別するのに役立ちます。
 ウ 伸展創
   伸展創は、鉄棒や金槌などの鈍器で殴られたような場合、皮膚が伸び切るた
  めに、当該鈍器が作用した部分以外の皮膚が裂けてできるもので、皮膚の表
  層が浅く裂け、いわゆるちりめん状を呈しています。
   この伸展創は、交通事故による死体に多く見受けられますが、墜落死・転落死
  の死体でも、時々見られることがあります。


  

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2009年6月29日 (月)

法医学リーズン《80》

~墜落死・転落死~

1 概 説
  最近、高層ビルなどからの飛び降り自殺が話題となっています。
  このほかにも、工事現場の足場から作業員が足を滑らせて墜落死するという
 ようなことがよくあります。これらのように、高所からの落下が原因で死亡したも
 のの大部分は、自殺又は過失による事故死です。
  しかし、時には、崖やビルなどの高所から人を突き落として殺害するとか、階
 段の上でけんかをした挙げ句、階段から突き落として死亡させるなどの事件が
 発生することがあります。
  ところで、これらは、高所から落下した際の衝突に伴う損傷が原因で死亡する
 ものがほとんどですから、死因別に見れば、先に説明した損傷死に当たります。
  しかし、凶器を用いた損傷死とは若干趣が異なりますので、ここでは、あえて
 損傷死とは区別して説明することにします。
 (1)   墜落死・転落死の定義
    高所から落下して死亡した場合、その落下の態様を基準として、通常、
   墜落死と転落死の二通りに区別されています。すなわち、ビルの屋上や工事
   現場の足場などから、飛び降りたり、又は、滑り落ちたような場合、その地点
   から落下地点までの間に他の箇所に衝突することなく一直線に落下して死亡
   したものを墜落死といいます。
    しかし、このように定義付けて見ても、現実に高所から転落した場合に、こ
   の両者を明確に区別することは困難な場合が多く、また、区別する実益も
   それほどありませんから、両者をあわせて説明します。

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2009年6月28日 (日)

法医学リーズン《79》

(6) 焼死体自他殺の判断基準
  焼死体についての自他殺の一般的な判断基準を示すと、次のようなものが
 挙げられます。

 ① 生体か死体か
  ○ 自殺(事故死を含む)
   ・ 生体で焼かれた場合には、一応、自殺又は事故死と考えられる。
     生体であったことを示すものとして、
    ※ 死体に生活反応が見られる。
    ※ 出火点と逆の方向に向かって倒れているとか、床面にうずくまってい
     るなど出火時に行動した跡が見受けられる。
    ※ 死体の下に焼燬物がある。
     などがある。
  ● 他 殺
   ・ 死体で焼かれた場合には、他の方法により殺害された後、焼かれたこと
     が考えられる死体であったことを示すものとして、
    ※ 生活反応が見られない
    ※ 床面と密着した部分が焼けていない。
    ※ 焼燬物が死体の下にない。
     などがある。

 ② 生前の創傷の有無
  ○ 自殺(事故死を含む)
   ・ 焼死体に切創・刺創等の創傷が認められないのが通常である。
     (ただし、落下物による損傷が考えられるので注意が必要)
  ● 他 殺
   ・ 焼死体に切創・刺創・割創などが認められるときは、他殺の可能性が強い。

 ③ 頭部・顔面・頸部の損傷の有無
  ○ 自殺(事故死を含む)
   ・ 頭部・顔面・頸部に損傷が認められないのが通常である。
     (ただし、落下物による損傷があることがある)
  ● 他 殺
   ・ 頭部・顔面に生前の損傷がある場合は、他殺の疑いが強い。
   ・ 頸部に絞痕などがある場合は、他殺の疑いが極めて強い。
     (扼痕がある場合は他殺と考えてよい)

 ④ 戸締りの状況
  ○ 自殺(事故死を含む)
   ・ 戸締りが完全に行われているときは、事故死の疑いが強い。
  ● 他 殺
   ・ 戸締りが完全でなく開放箇所がある場合は、他殺の疑いがある。

 ⑤ 現場の状況
  ○ 自殺(事故死を含む)
   ・ 物色その他現場の乱れがないのが通常である。
  ● 他 殺
   ・ 物色等現場の乱れがある場合は、窃盗後の放火等が考えられる。

 ⑥ 出火点の検討
  ○ 自殺(事故死を含む)
   ・ 被害者及びその家族が通常火気を使用している場所から出火してい
    る場合は、事故死と考えられる。
  ● 他 殺
   ・ 被害者及びその家族が通常火気を使用していない場所から出火して
    いる場合は、放火殺人の疑いが極めて強い。

 ⑦ 点火物及び燃料容器の有無
  ○ 自殺(事故死を含む)
   ・ 焼身自殺の場合には、点火に用いた容器及びガソリンなどの燃料容器
    が死体の近くに存在する。
  ● 他 殺
   ・ 残存衣類及び現場に油類が付着しているような場合で、点火物及び燃
    料容器が死体の近くに存在しない場合は、焼殺の疑いが強い。

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