法医学リーズン《86》
◎検視、死体見分などで使われる、一般的・基礎的な法医検案用語(50音順)
○赤鬼状<あかおにじょう>=腐敗が進行して溶血するため、血色素が出て赤く
見える状態。
○亜急性<あきゅうせい>=急性に次ぐという意味で、急性より若干時間の経過が
ある場合に用いる。例えば、亜急性窒息死などという。
さらに時間が経過したものを遷延性(せんえんせい)という。
(急性→亜急性→遷延性)。
○握傷<あくしょう>=刃物などを握ってできた傷。
○圧痕<あっこん>=圧迫されていた部分に生ずる痕跡。
○圧搾<あっさく>=押して締め付けること(気道圧搾)。
○圧平<あっぺい>=圧迫されて平たい形状になること。
○縊頸<いけい>=外表から頸部を圧迫し、気道閉塞を起こすこと。
○縊溝<いこう>=首吊り死体の頸部の索条の痕が溝状に凹んだ部を言う。
○頤部<いぶ>=下顎・おとがいのこと。
○烏口突起<うこうとっき>=肩甲骨の上部にある突起のこと。
○齲歯<うし>=虫歯。虫食い歯のこと。
○腋窩<えきか>=わきの下のくぼんだところ(窩とは、穴又はくぼみのこと)。
○壊死<えし>=血行障害や高熱の作用などにより、生態の組織の一部が死滅
すること。
○嚥下<えんか>=呑むこと。飲み込むこと。
○温和<おんわ>=顔貌温和等と使う。苦痛の表情がなく穏やかなこと。
○外踝<がいか>=外側のくるぶしのこと(内側のくるぶしは内踝という)。
○外眼角<がいがんかく>=目じり部のこと。
○外後頭隆起<がいこうとうりゅうき>=後頭部の頭蓋骨が最も突き出ているところ。
○外耳道<がいじどう>=耳たぶから鼓膜までの穴の部分。
○痂皮<かひ>=創傷やできものが治るに従って形成されるカサブタ。
○眼窩<がんか>=眼球が入る頭蓋骨の穴のところ。
○胸腔<きょうくう>=胸部の肺臓・心臓などが入っているところ。
○狭窄<きょうさく>=気管・血管などがせばまって狭隘になっているところ。
○躯幹<くかん>=哺乳類などの身体のうち、頭、手足以外の胴体の部分のこと。
○血痂<けっか>=出血した血液が固まってカサブタ状を呈しているもの。
○血腫<けっしゅ>=体内に出血した血液が一箇所に溜まった状態。
○肩峰<けんぽう>=肩の上端、腕の付着部。
○後頭窩(下)穿(窄)刺<こうとうかせんし>=後頭部の上端から脳の小脳延髄槽
に注射針を刺して、髄液を採取すること(血液混入の有無により
脳出血の存在を判定する)。
○硬脳膜<こうのうまく>=頭蓋骨に接して脳を取り巻いている硬質の膜。
○口腔粘膜<こうくうねんまく>=口の中の粘膜、唇の内側の粘膜。
○項窩部<こうかぶ>=後頸部髪際のくぼんだ部。ぼんのくぼ。
○喉頭結節<こうとうけっせつ>=のどぼとけのこと。
○臍窩<さいか>=へそのくぼみ(へその緒を臍帯という)。
○細隙状<さいげきじょう>=眼を細く開けている状態。細い隙間。
○截痕<さいこん>=創口の縁に存する小さな切り痕。
○索条<さくじょう>=紐のことで、検視などでは絞頸や首吊り等に使用されたもの
を言う。
○哆開<しかい>=創口などが開き拡がっている状態。
○耳介<じかい>=顔の左右に突出する軟骨組織の集音装置。耳翼、耳輪、耳朶。
○刺創管<しそうかん>=刺創によってできた創洞を言う。
○集簇<しゅうぞく>=同じようなものが集まっている状態(溢血点集簇)。
○樹枝状<じゅしじょう>=表皮の血管が木の枝のように現出する状態。死体の
腐敗が進むと表皮に暗紫青色の血管が浮き彫りに現れる。
○腫脹<しゅちょう>=はれること。
○逡巡創<しゅんじゅんそう>=いわゆるためらい創のこと。
○消褪<しょうたい>=死斑などが指圧すると消える状態。
○褥瘡<じょくそう>=床ずれによってできた創傷。
○水疱<すいほう>=粟粒大ないし鶏卵大などに表皮が隆起し、内部に漿液がた
まった状態。第2度のヤケドの状態でできる。
○整鋭<せいえい>=すっきり整っている状態(切創等の創縁・創壁がすっきり切
れているときなどに使う)。
○正中線<せいちゅうせん>=人体の表面の中心を縦に想定した基準線(身体の
前面を前正中線、背面を後正中線という)。
○清澄<せいちょう>=澄んできれいなこと。髄液清澄等と使う。
○叢生<そうせい>=むらがり生えること。(陰毛叢生)
○蛆蝕<そしょく>=蛆虫に食い荒らされた状態。
○疎生<そせい>=まばらに生えていること。(陰毛疎生)
○他意介在<たいかいざい>=本人以外の者の行為が間に入っていること。
○褪色<たいしょく>=色があせること。(死斑が褪色)
○断端<だんたん>=断ち切れた末端(例えば、臍帯の断端などと使う)。
○肘窩<ちゅうか>=肘の内側のくぼみの部分。
○肘頭<ちゅうとう>=肘関節の後側部。
○陳旧性<ちんきゅうせい>=陳も旧も古いという意味で、古い状態のこと。
○挺出<ていしゅつ>=舌を歯列の間から差し出している状態=挺舌
○溺没液<できぼつえき>=溺れ死んだ者が肺に吸い込んだ液体。
○臀裂<でんれつ>=臀部中央において縦に走る左右臀部境界線。創傷などの
位置測定の際の基準となる。
○禿頭<とくとう>=はげあたま。
○豚脂様凝塊血<とんしようぎょうかいけつ>=豚脂とは、豚の脂肪から精製する
ラードを意味し、血液の赤血球が沈下して上層部に血漿だけが
残り、これが凝固してラード状になったもの。
○軟凝血<なんぎょうけつ>=ドロッと固まった血液。急性でない亜急性ないし遷延
性以下の死因に基づく死亡の場合に心臓血の中に含まれる。
○乳暈<にゅううん>=乳首の周りの淡褐色の笠状の部分。
○乳様突起<にゅうようとっき>=外耳孔後下方の骨の突出部。
○粘稠液<ねんちょうえき>=濃く粘りのある液のこと。
○捻髪音<ねんぱつおん>=毛髪二本を指で挟んでひねったときに発する音(皮
下気腫がある場合に、その部分を手掌面で押すと「ピチピチ」と
いう音がするがその音のこと)。
○脳実質<のうじっしつ>=脳そのもの。俗称「脳みそ」のこと。
○剥脱<はくだつ>=はがれ取れている状態。(表皮剥脱)
○剥離<はくり>=はがれ離れている状態。(筋肉剥離)
○髪際<はっさい>=髪の毛の生えぎわのこと。
○瘢痕<はんこん>=「きずあと」のこと。
○皮下気腫<ひかきしゅ>=胸部刺創などで肺や気管が破れ、肺の空気が皮下の
組織内に漏れること。
○眉弓<びきゅう>=眉毛の生えている高い部分のこと。
○鼻根部<びこんぶ>=鼻の付け根。両眼の間の狭いところ。
○糜爛<びらん>=ただれのこと。
○腹腔<ふくくう>=肝臓・胃・小腸・大腸などの臓器が入っているところ。
○浮腫<ふしゅ>=ふくらみのこと。
○文身<ぶんしん>=刺青。刺青。皮膚の彫り物。
○弁状創<べんじょうそう>=刃物が人体に斜めに作用すると鋭角に作用した側の
皮膚がペラペラにまくれるようになっている創。切創のひとつ、割
創でもある。
○防禦創<ぼうぎょそう>=犯人からの凶器等による攻撃を防ぐためにできた創傷。
○密生<みっせい>=すきまなく生えている状態。密生→叢生→疎生。
○面状創<めんじょうそう>=刃器が体表に浅く斜めに作用したため、体表の一部が
削ぎ取られたような面状の創。
○毛細血管<もうさいけっかん>=枝分かれした動脈に続くごく細い血管。全身の
いたるところ内組織中に網状に分布。
○融解<ゆうかい>=とけること。
○腰椎穿刺<ようついせんし>=脳内出血を起こしているかどうかを見分する方法。
第3腰椎と第4腰椎の間に穿刺針を刺し、少量の髄液を採取して
その中に血液が混入していれば脳内出血があると判定される。
○離開<りかい>=本来、接着しているべきものが開き、離れている状態。
○漏孔<ろうこう>=中から液体(血液など)が漏れ出てくる孔。
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