法医学リーズン《86》・あ~こ
◎検視、死体見分などで使われる、一般的・基礎的な法医検案用語(50音順)
(間違いの無い検視・検案をするためには、最低でもここにあげた用語は理解していなければなりません。)
・・・常時編纂更新中・・・
あ
○仰向<あおむけ>=腹部を上にした状態。=げいこう
○垢<あか>=油や汗などが、ほこりや脱落した表皮片と一緒に皮膚についてできた
汚れ。
○赤鬼状<あかおにじょう>=腐敗が進行して溶血するため、血色素が出て赤く
見える状態。
○亜急性<あきゅうせい>=急性に次ぐという意味で、急性より若干時間の経過が
ある場合に用いる。例えば、亜急性窒息死などという。
さらに時間が経過したものを遷延性(せんえんせい)という。
(急性→亜急性→遷延性)。
○握傷<あくしょう>=刃物などを握ってできた傷。
○握雪音<あくせつおん>=雪を握りしめたときに出る音のことでギシギシした音。
○アクチノマイシン<actinomycin>=抗生物質。制癌剤などに用いられる。
○アクチン<actin>=筋繊維を構成する主要な蛋白質。筋肉運動に重要な働きを
する。筋細胞のほか、細胞の分裂装置やアメーバの仮足などに
みられる。
○アクリノール<acrinol>=殺菌消毒薬。1000倍液にして消毒、洗浄に用いるほか、
軟膏や散布剤にもする。
○顎<あご>=口の下にある口を動かす役割をする部位。
○アコニチン<aconitine>=キンポウゲ科トリカブトに含まれる猛毒で毒矢に用いた。
血液に混じると、呼吸、知覚、運動などの神経を興奮させたり
麻痺させたりする。
○朝<あさ>=慣用語として使う場合は、日の出から9時迄をいう。
○痣<あざ>=皮膚に生じる青色、赤色の斑紋。
○アザチオプリン<azathioprine>=免疫反応抑制剤として、現在広く使用されている
薬剤。抗腫瘍薬である6メルカトプリンの誘導体で、臓器移植時に
用いられる。
○麻の実大<あさのみだい>=麻の実の大きさ、まじつだい。
○足首<あしくび>=くるぶし上の関節部。
○アジソン病<addison disease>=トーマス・アジソンが発見した慢性の疾患で、副腎
の結核、悪性腫瘍、梅毒、腰部の損傷などのために副腎皮質の
機能が著しくそこなわれて起こるもの。皮膚の色が黒くなる。
○アシドーシス<acidosis>=血液中の酸とアルカリの釣り合いが破れて酸性に傾く
こと。また、その症状。糖尿病やその他の病気に伴って起こる。
酸毒症。酸性中毒症。=アチドーゼ、アルカローシス
○頭<あたま>=首から上の部位。
○圧痕<あっこん>=圧迫されていた部分に生ずる痕跡。
○圧搾<あっさく>=押して締め付けること(気道圧搾)。
○圧死<あっし>=押しつぶされて死ぬこと。
○圧迫<あっぱく>=押しつけること。
○圧平<あっぺい>=押しつぶされて扁平になっていること。
○アテトーゼ<athetose>=脳の随意運動をつかさどる神経線維群(錐体外路)の障
害によって生じる不随意運動。自分の意思とは無関係に手足が
ゆっくりとねじれるような形で動いてしまう。
○アデノイド<adenoide vegetwton>=腺様増殖症。鼻の奥にある咽頭扁桃の肥大
した状態をいう。鼻づまり、言語不明瞭、難聴などの症状を示す。
小児、特に学童に多い。
○アテロスクレローシス<atherosclerosis>=粥状動脈硬化症の項参照
○アトニー<atonie>=収縮性器官の弛緩をいう。無力性体質に多く、胃壁の緊張
が低下している状態を呼ぶ「胃アトニー」が代表的。
○アトピー<atopy>=免疫学的に刺激に対して敏感に反応する遺伝的体質。
アトピー性疾患には、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、蕁麻疹、
結膜炎、アトピー性皮膚炎などがある。
○アドレナリン<adrenalin>=動物の交感神経や副腎髄質から分泌されるホルモン。
交感神経を刺激して心臓や血管の収縮力を高める。
1901年、高峰譲吉が初めて副腎髄質から抽出、止血剤、強心剤
として使われる。
○アトロピン<atropine>=ナス科植物に含まれるアルカロイドの一種。中枢神経や
副交感神経に作用し、瞳孔の散大、平滑筋の弛緩などを起こす。
鎮痙剤、止汗剤、散瞳剤などとして用いる。
○アナフィラキシー<anaphylaxie>=異種の蛋白質などに対する生体の異常な、
また、過大なアレルギー反応のことで、たとえば、抗原性をもつ
物質を動物に注射し、一定の期間をおいて再び同じ物質を注射
すると激しいショック状態を起こす場合やハチに刺されて毒素に
対して抗体ができ、二度目には抗原抗体反応でヒスタミンが放出
され、全身に蕁麻疹や血管性浮腫が生ずる場合などがある。
=アナフィラキシーショック
○アニサキス<anisakis>=クジラ、アザラシ等の海獣に寄生する線虫の一種。
幼虫はオキアミ等のプランクトンや魚類にも寄生し、鯖やイカを
生食いすることで人体へ感染する。
胃や腸の粘膜に刺入するため激しい痛みが起こり、またアレル
ギー性反応を伴う。
○アノレキシア<anorexia>=食欲不振。若い女性に多い神経性食欲不振では
拒食症となり、生命に危険な体重減少をもたらす。
○アフタ<aphtha>=口内炎の一種。粟粒大の斑点で、中央に白または白黄色の
部分があり、周囲が赤く縁取られる。痛みが激しく、呼気が臭く
なる。
○鐙骨<あぶみこつ>=耳の中にある軟骨(耳小骨)の一部。
○アポクリン汗腺<apocrine汗腺>=汗を分泌する腺。腋窩部に最も多く、乳首、
外耳道、肛門の周囲、下腹部など皮膚の特定の部位にある。
○アミロイドーシス<amyloidosis>=生理的には存在しないアミロイドと呼ばれる
一種の蛋白質が種々の臓器に沈着することによって起こる
疾患。特に慢性感性症の結果生ずる全身性アミロイドーシス
は脾臓、肝臓、腎臓に顕著な変性を生じる。
○アメーバ赤痢<amoebicせきり>=赤痢アメーバを病原体とする赤痢で、法定
感染症。一日数十回にも及ぶ下痢を起こし、慢性で再発しや
すい。
○アルカロイド<alkaloid>=植物体中に存在する窒素を含む塩基性有機化合物
の総称。ニコチン、カフェイン、キシン、コルヒチン、ムスカリン、
ベルベリン等約500種に及ぶ。
○アルカローシス<alcalosis>=血液の液状成分が、正常な範囲を超えてアルカリ
性に傾いた状態。アルカリ血症。アシドーシスの項参照
○アルキル水銀<alkylすいぎん>=メチル、エチルなどアルキル基を持つ水銀化
合物。脂溶性のため人体組織に蓄積され神経に作用する。
極めて有毒。
○アルコール中毒<アルコールちゅうどく>=アルコール飲料によって起こる生体
の機能障害。
※急性中毒=アルコール飲料を一時的に多量に摂取したために起こる。
軽度のものは酩酊状態であるが、高度のものは人事不省、尿
の不随意排出、鼻干声呼吸、瞳孔散大および皮膚血管弛緩を
きたし、心臓および呼吸機能の衰弱により突然卒中様死をき
たす。
※慢性中毒=長年にわたり習慣的なアルコール飲料の摂取の結果、量
が次第に増し、アルコールに対する身体的、精神的依存が生
じこれが断たれると禁断症状、つまり手が震えたり不眠や不安
焦燥等をきたす。
ひどくなるとアルコール精神病(振戦誇妄、アルコール幻覚症、
アルコール癲癇など)となる。
○アルツハイマー病<alzheimer'sびょう>=50歳前後に始まる初老期痴呆の一型。
いわゆる老人のボケとよく似ているが、比較的若年から始まる
ことと、脳の神経繊維に独特な変化を生じることが特徴。
ドイツの精神科医の名に由来。
○アルドステロン症<aldosteronismしょう>=副腎皮質ホルモンであるアルドステ
ロンの過剰分泌による疾患。副腎皮質自体の病変によるもの
と、心不全、ネフローゼ症候群、肝硬変など副腎外の障害によ
り惹起されるものとに分けられる。高血圧、頭痛、筋力低下、
多飲多尿等の症状が見られる。
○アレルギー<allergie>=色々な物質の摂取、接触などの結果起こる。
その物質に対する過敏性、特異体質。
○暗赤紫色<あんせきししょく>=死斑色で暗い紫がかった赤色。=暗紫赤色
○暗緑色<あんりょくしょく>=腐敗時等にみられる黒味がかった緑色。
い
○胃<い>=内臓のひとつで消化器官の主要なもの。食道の先端部が大きく膨らん
で右方に湾曲を描き肝臓下方で十二指腸に続くすうへき(皺襞)
に富んだ袋状の器官。
※噴門(ふんもん)=食道と胃の接続部。
※小湾部(しょうわんぶ)=胃本体の湾曲を描いた上面部。
※大湾部(だいわんぶ)=胃本体の湾曲を描いた下面部。
※幽門(ゆうもん)=胃と十二指腸の接続部。
○縊頸<いけい>=外表から頸部を圧迫し、気道閉塞を起こすこと。
○縊溝<いこう>=首吊り死体の頸部の索条の痕が溝状に凹んだ部を言う。
○移行部<いこうぶ>=相互に異なる組織が接する部分。
○縊痕<いこん>=首つりをした場合に頸部に存する索状の痕跡をいう。
○頤三角筋<いさんかくきん>=口角を引き下げる骨格筋。顔面。
○縊死<いし>=首吊り死。索条を頸部に巻きつけ又はかけて、その末端を高所に
固定して吊り下がり、自分の体重で頸部を圧迫して死亡する
方法。定型的縊死と否定型的縊死がある。
※定型的縊死=縊死のうち足や身体の一部が地上又は物から完全に離
れ全体重が索条にかかり、かつ索条が前頸部から左右対称的
に側頸部を後上方に向かって走っているもの。
一般的には顔面蒼白で溢血点はない。
※否定形的縊死=縊死のうち足や身体の一部が地上又は物についてい
て全体重が頸部にかかっていないか、あるいは索条のかかり
方が左右対称でないもの。
顔面が若干鬱血したり、溢血点が出ることもある。
○萎縮<いしゅく>=しなびてちぢむこと。
○囲繞<いじょう>=かこみめぐること。(頸部を囲繞する索条)
○異常死体<いじょうしたい>=発見時において不自然な死亡を遂げたと認められる
死体のうち、その死亡が犯罪に基づかないことが明らかな死体を
いう。
犯罪に基づかないことが明らかとの認定は、当該死体の見分を待
つまでもなく、現場および死体の状況、目撃者等からごく概括的な
事情聴取等によって一見して明らかに犯罪によるものでないことが
判断できる場合でなければならないものであって、死体の眼瞼や
索条の状況を見分するなどして、はじめて自殺など非犯罪である
ことが判明するような状況の場合は、当然変死体として検視の対
象となる。
○遺精<いせい>=死に瀕して精液を漏出すること。
○胃穿孔<いせんこう>=胃潰瘍や強度の胃酸等によって胃壁に穴があくこと。
腹膜炎を併発して致命的になることがある。
○一塊<いっかい>=ひとつのかたまり。
○一過性<いっかせい>=ある病状が一時的に現れ短時日のうちに全く元通りに
戻ってしまうものをいう。(一過性脳卒中)
○溢血<いっけつ>=身体の組織間に起こる出血。
○溢血点<いっけつてん>=静脈に鬱積した血液が毛細血管を破って点状に出血
したものをいう。
眼瞼結膜、眼球結膜、口腔粘膜、内臓の漿膜などに生ずることが
多く、皮膚に見られることもある。扼、絞頸、非定型的縊死など
頸部圧迫による窒息死の場合、筋肉の比較的上層部を通る静脈
は容易に停止してしまうが、深層部の動脈まではなかなかその力
が及ばず、血液は流れて脈内は鬱血状になり、死戦期の痙攣に
よって毛細血管が破れ、粘膜や皮膚に発現する。
本来は急死の所見であるが、心臓疾患など内因性の急死にも
多少は発現する。
○溢血斑<いっけつはん>=溢血点が集合し、米粒大以上の大きさで斑(まだら)状
になったもの。頸部圧迫が急激でなく徐々に行なわれた場合など
多い。
○一酸化炭素<いっさんかたんそ>=製造ガス(6B)の中に含まれるほか、物が不完
全燃焼したときに発生する猛毒ガス。無色無味、無臭の比重が
0.967の気体で、人体内に入った場合、ヘモグロビン(Hb)との結合
力は酸素のおよそ250倍である。一般に換気の悪いところでガスを
燃やした場合、空気中の酸素濃度(通常は21%)は低下し、その値
がおおむね18~19%以下に低下すると、ガス器具は酸素不足に
よって不完全燃焼を起こし、一酸化炭素(CO)が発生する。
また排煙筒の取り付けが不適切の場合は排気が風で逆行し、酸
素濃度の低い空気でガスを燃焼することになり、ガス器具に異常
をきたし一酸化炭素が発生することがある。
○一酸化炭素中毒<いっさんかたんそちゅうどく>=一酸化炭素(CO)を含んだ空気を
吸い込んだために起きる中毒。
一酸化炭素が人体に入った場合、酸素のおよそ250倍の力で血
液中のヘモグロビンと結合し酸素がヘモグロビンと結合するのを
妨害する。
○胃底部<いていぶ>=胃体のうち噴門の左方に膨出して横隔膜の直下に入って
いる部分。
○頤部<いぶ>=下顎・おとがいのこと。
○色の表現<いろのひょうげん>
※暗褐色=あんかっしょく。暗い褐色のことで暗い感じのある色には
暗○○色と表現する。
※黄緑色=おうりょくしょく。黄色味の緑色。
※汚穢褐色=おわいかっしょく。きたない褐色で、きたない感じのある色
には汚穢○○色と表現する。
※灰白色=はいはくしょく、かいはくしょく、かいぱくしょく。灰色の感じの
白色。
※青藍色=せいらんしょく。赤味を帯びた青色。
※赤褐色=せきかっしょく。赤味のかかった皮膚の色。
※鮮紅色=鮮やかな赤色。
※蒼白=そうはく。青白い色で普通死体の皮膚の色。
※帯黄褐色=たいおうかっしょく。黄色を帯びた褐色のことで、本来の色に
他の色が混ざっているときには帯○○色と表現する。
※淡紅色=たんこうしょく。薄赤色のことで、薄い色には淡○○色と表現す
る。
※桃紅色=とうこうしょく。赤味かかった桃色。
※橙色=とうしょく。だいだい色。
※黄橙色=おうとうしょく。黄色かかっただいだい色。
※乳白色=にゅうはくしょく。乳色。
※緑褐色=りょくかっしょく。緑色をした褐色。
○陰核<いんかく>=女性性器。外陰部の左右小陰唇の交する上端部にある
器官=クリトリス。
○インキュベーター<incubator>=(未熟児のための)保育器。
○陰茎<いんけい>=男性の外性器。生殖器の項参照
○インシュリン<insulin>=膵臓から分泌されるホルモン。血液中のブドウ糖を
グリコーゲンに変えることなどにより血糖を低下させる。
主に糖尿病の治療剤となる。
○咽頭<いんとう>=上は鼻腔、前は口腔、下は食道と喉にはさまれた部分。
○陰嚢<いんのう>=男性の外性器。生殖器の項参照
○陰部<いんぶ>=男女性器の部分を総称する呼び名。
○陰阜<いんぷ>=恥骨上部の脂肪の多い盛り上がったところで陰毛が生える
部分=恥丘。
○隠蔽<いんぺい>=覆い隠すこと。(死体隠蔽)
○インレー<inlay>=歯の治療法で、歯の腐食部分の鋳型をとり、金属インレーを
作りセメントで歯牙に充填する方法。
う
○ウイルス<virus>=濾過性病原体。細菌濾過器を通過し、電子顕微鏡でないと
見られない微粒子で核酸としてDNAかRNAのいずれか一方を
持ち、遺伝物質のみから複製される。寄生する宿主によって動
物ウイルス、昆虫ウイルス、植物ウイルス、細菌ウイルスに大
別される。(ビールス)
○右冠状動脈<うかんじょうどうみゃく>=主に右心の筋の栄養をつかさどる心臓
の動脈。
○右肝静脈<うかんじょうみゃく>=肝右葉からの静脈。
○烏口突起<うこうとっき>=肩甲骨の上部にある突起のこと。
○右鎖骨下静脈<うさこつかじょうみゃく>=第1肋骨側縁から内頸静脈合流部ま
での静脈
○齲歯<うし>=虫歯。虫食い歯のこと。
○蛆<うじ>=蝿の幼虫。蝿→卵→蛆→蛹→蝿
卵は1日位で蛆になり、約1週間で蛹になる。更に2~3週間で
脱穀して蝿になる。
○右腎<うじん>=右の腎臓。
○右心耳<うしんじ>=右心房に袋状に付属しているもの。
○右心室<うしんしつ>=2心房2心室あるうちのひとつ、肺動脈が出る。
○右心不全<うしんふぜん>=右心不全は肺および肺血管障害や左心不全など
により右心室への圧負荷が増加し、大動脈や右心房からの血
液を還流させる能力が低下するため発生する。
右心室拡張末期圧上昇→右心房圧上昇→中心静脈圧上昇が
生じ、体静脈系の鬱血が発生する。したがって、右心不全の症
状は、浮腫、肝腫大、腹水や胸水の貯溜などである。
浮腫は重力の影響を受けやすい下半身、特に脛骨の下部や
背足にみられるが、高度になると全身に及ぶ。
○右心房<うしんぼう>=心臓の右にあり、大静脈が出る。
○臼状関節<うすじょうかんせつ>=股関節など臼状に陥凹した関節。
○内肋間筋<うちろっかんきん>=肋骨を引き下げる筋=骨格筋、胸。
○鬱血<うっけつ>=身体の一部の組織や血管に静脈血が異常にうっ積してたまっ
ている状態をいう。皮膚からは暗紫赤色や暗青色に見える。
○鬱病<うつびょう>=精神病のひとつ。躁鬱病の項参照
○俯伏<うつぶせ>=身体の前面を下方にして倒れた状態。
○項<うなじ>=後頸部正中の髪際部付近をいう。
○右房室弁<うぼうしつべん>=三尖弁のこと。
○運動根<うんどうこん>=三叉神経の運動性の部分。
○運動中枢<うんどうちゅうすう>=大脳にあり、運動を司令する部位。
え
○鋭<えい>=切創の創角などの鋭い状態。
○鋭角<えいかく>=直角より小さい角。
○鋭器<えいき>=鋭利な部分を有するもの。鋭器が人体に作用すると、切創、
割創、刺創、刺切創が生ずる。
○永久歯<えいきゅうし>=乳歯が脱落したあとに出てくる歯。
○嬰児<えいじ>=生まれて間もない子供、生後1年以内くらいまで。=あかご
法医学上では、狭義で生後1日以内、広義で生後7日以内の
新生児という意味で使われている。
一方、産婦人科においては生後14日以内の新生児、小児科に
おいては、生後28日以内の新生児という意味で使われている。
○エイズ<AIDS>=後天性免疫不全症候群。1980年代になって発見されたエイズ
ウイルスの感染によって起こる疾患。男性の同性愛者や静脈注射
による薬物常習者や、これらの人々と性的接触のあった人などに
感染者が多い。
種々の病原体(病原性の弱いカビや細菌、ウイルス)に対する抵抗
が失われ、ほとんどの患者が感染症などの原因で2~3年以内に
死亡する。
AIDS=Acquired Immune Deficiency Syndrome の略
○エイズウイルス<AIDS virus>=1983年に発見されたRNA(リボ核酸)タイプの
遺伝子を持つレトロウイルスの仲間。エイズの原因となる。
一般のウイルスと異なり、交代による攻撃を受けにくい。
HIVともいう。
○エーラスダンロス症候群<ehlers danlosしょうこうぐん>=小児慢性特定疾患のひ
とつ。先天的な結合組織の異常で、皮膚の過弾力性、関節の過
伸展、血管の脆弱性が特徴。
○鋭利<えいり>=鋭いこと。
○会陰部<えいんぶ>=狭義には肛門と外陰部(男性では陰茎根、女性では膣前庭)
との間の小部分を指し、広義には骨盤出口の全体をいう。
○会厭軟骨<ええんなんこつ>=舌の付根。喉頭の入口にある杓子状の軟骨。
物を飲み込む際、喉頭を閉ざし物が器官に入るのを防ぐ役目を
する。(喉頭蓋)
○腋窩<えきか>=わきの下のくぼんだところ(窩とは、穴又はくぼみのこと)。
○腋窩線<えきかせん>=創傷などを測定する必要上人体表面の腋窩の中央を中
心に体側を縦に引いた仮想の基準線をいう。左右腋窩線がある。
○剔出<えきしゅつ>=えぐり出すこと。(心臓剔出)
○エクリン腺<eccrineせん>=ヒトの体の大部分に分布する汗線。毛とは独立して
皮膚に分布する。
○壊死<えし>=組織が打ち砕かれるか、又は血液の供給が部分的に途絶する
血行障害や高熱の作用などにより、生態の組織の局所的死滅。
第3度の火傷による痂皮はその例。
○S状結腸<えすじょうけっちょう>=下行結腸と直腸の間にある大腸の一部。
○壊疽<えそ>=壊死の一種。壊死組織が限界と接触して血色素の変化によって
褐色ないし黒色を呈したもの。
○エチルアルコール<athylalkohol>=脂肪族飽和アルコールのひとつ。酒精。
無色透明で芳香のある液体。アルコール飲料、溶剤、不凍液、
燃料、医薬品、分析用試薬等に使用。
○胞衣<えな>=胎盤の名称で、分娩後、後産として排出する。
○エナメル質<えなめるしつ>=歯の歯冠外側を包む光沢のあるカルシウム質の
部分。
○エフェドリン<ephedrine>=白色の結晶。アルカロイドの一種で、漢方薬の麻黄に
含まれる。喘息発作、低血圧症に用いる。
○エラスチン<elastin>=血管壁や靱帯など、弾性組織の一部をなすゴム状蛋白質。
○エルトールコレラ菌<ELtor colereきん>=コレラ菌の一種。かつてのアジア型
コレラ菌に変わり、原因菌の主流である。東南アジア、アフリカ
で毎年流行が見られる。
○嚥下<えんか>=呑むこと。飲み込むこと。
○遠射<えんしゃ>=離れたところから銃器で撃つこと。
○炎症<えんしょう>=腫れ、熱などを起こす症状。
○縁上回<えんじょうかい>=思考認識のある大脳の部位。
○延髄<えんずい>=脳の最下部に位置し、脳橋の直下で脊髄の上に続く部分。
○厭世<えんせい>=世をはかなんで人生が厭になること。自殺の原因のひとつ。
○豌豆大<えんどうだい>=えんどうまめの大きさ。変色、創傷の大きさを表す。
お
○オイタナジー<euthanasic>=安楽死。
○横臥<おうが>=横たわること。寝ること。横になること。
○横隔神経<おうかくしんけい>=横隔膜の運動を支配する神経。
○横隔膜<おうかくまく>=胸腔と腹腔との境をなす弓状をした筋肉の膜で、伸縮し
て呼吸を助ける。
○横隔膜胸骨部<おうかくまくきょうこつぶ>=横隔膜が胸骨に付着している部分。
○黄褐色<おうかっしょく>=色の表現の項参照
○桜花弁状創<おうかべんじょうそう>=創口を真上から見たときに、桜の花弁のよ
うな形をした創をいう。刺した刃物を引き抜くときに、刃部が刺入
口と違った創壁に当たったためにできる創。
(刃物の峯部の稜が鋭角をなしている場合には、峯部の創角が
桜の花弁のように切れ込んでいることもある。表皮剥脱が伴って
いるかどうかを見分すること)
○黄菌毛<おうきんもう>=カビの一種である放線菌(コハネバクリウム・テュウス)
が毛髪に寄生し、皮膚から剥離した脂質を栄養分として、毛幹
の外側に繁殖付着した黄色の毛。腋毛が多く、時には陰毛もあ
る。発生しやすい者は成人で性ホルモンなどの新陳代謝が旺
盛な10代後半から三十代前後の男女。
○横径<おうけい>=横のさし渡し、長さ。創傷・器官の大きさ、長さを測定する時
に用いる。
○横行結腸<おうこうけっちょう>=大腸の一部。
○横指<おうし>=指を横に並べた巾(長さ)のことで、膣口の大きさ、創傷の位置
を測定するのに用いる。(二横指、三横指)
○欧氏管<おうしかん>=中耳と鼻腔を結ぶ管。耳管の旧名。
○桜実大<おうじつだい>=サクランボの大きさ。変色や創傷等の大きさを表す。
○横走<おうそう>=創傷などが横に長い状態をいう。
○黄体<おうたい>=卵巣において卵子の脱落したあとにできる。
○黄疸<おうだん>=血中にビリルビンという物質が増加し、皮膚の色が黄色くなる
こと。
○嘔吐<おうと>=吐き出すこと。
○横突起<おうとっき>=脊椎骨のうち、左右横側に突き出している部分。
○大きさの表現<おおきさのひょうげん>=直感的な通常の大きさを表し、数学的
に厳密な基準はない。半米粒大、1倍半鶏卵大、2倍手掌面大
等の表現も使う。
※針尖大=しんせんだい。針の先で突いた位の大きさ。
※蚤刺大=そうしだい。蚤に刺された位の大きさ。
※ケシの実大=けしのみだい。ケシの実の大きさ。
※粟粒大=ぞくりゅうだい。粟粒の大きさ。
※麻実大=まじつだい。麻の実の大きさ。
※米粒大=べいりゅうだい。米粒の大きさ。
※小豆大=あずきだい。小豆の大きさ。
※大豆大=だいずだい。大豆の大きさ。
※豌豆大=えんどうだい。豌豆の大きさ。
※蚕豆大=とんずだい。そらまめの大きさ。
※桜桃大=さくらんぼだい。さくらんぼの大きさ。
※胡桃大=くるみだい。くるみの大きさ。
※蜜柑大=みかんだい。みかんの大きさ。
※林檎大=りんごだい。りんごの大きさ。
※雀卵大=じゃくらんだい。雀の卵の大きさ。
※鳩卵大=きゅうらんだい。鳩の卵の大きさ。
※鶏卵大=けいらんだい。にわとりの卵の大きさ。
※鵞卵大=がらんだい。ガチョウの卵の大きさ。
※小指頭面大=しょうしとうめんだい。小指の末節から先の大きさ。
※示指頭面大=ししとうめんだい、じしとうめんだい。示指の末節から先の
大きさ。
※拇指頭面大=ぼしとうめんだい。拇指の末節から先の大きさ。
※手拳大=しゅけんだい。手拳のおおきさ。
※手掌面大=しゅしょうめんだい。指を含んだ手掌面の大きさ。
※小児頭大=しょうにとうだい。小児の頭の大きさ。
※大人頭大=だいにんとうだい。大人の頭の大きさ。
○汚染<おせん>=けがれ染まっていること。
○頤部<おとがいぶ>=頤部(いぶ)の項参照
○汚物輪<おぶつりん>=銃創の射入口外側に見られる輪状のもの。弾丸に付着し
ている錆や脂などの汚物が創口の周囲に輪状に付着する。
○親知らず歯<おやしらずば>=上下最も奥に生える歯。智歯、第三大臼歯。
○オレアンドマイシン<oleandomycin>=マクロライド系抗生物質。放線菌の一種から
発見された。小児の呼吸器感染症や異型肺炎に効果があり副作
用も少ない。
○汚穢色<おわいしょく>=きたならしい色。(汚穢青藍色、汚穢○○色)
○オンコジーン<oncogene>=癌遺伝子。発がん性ウイルスのガン遺伝子は宿主
DNAに組み込まれて発癌を起こす。健常な人細胞にもある。
○オンコセルカ症<oncocercia症>=細長い糸状の線虫オンコセルカによって起こる
風土病。皮下に大きなこぶ上の腫瘤を作る。幼虫が血液から眼に
入り失明する。ブユにより媒介される。
○温和<おんわ>=顔貌温和等と使う。苦痛の表情がなく穏やかなこと。
か
○外陰部<がいいんぶ>=女性性器のうち大陰唇、小陰唇、膣前庭などの部分。
○外踝<がいか>=下腿下端外側の突出部。外側のくるぶしのこと(内側のくるぶし
は内踝という)。
○回外筋<かいがいきん>=肘を外側に回して手のひらを前に向ける=骨格筋
○外眼角<がいがんかく>=目じり部のこと。
○壊機法<かいきほう>=溺死、中毒死の場合、臓器を壊して体内のプランクトンや
毒物を調べる方法。
○外頸動脈<がいけいどうみやく>=左右あり、総頸動脈から分かれている。
○開検<かいけん>=切開して検査検分すること。=剖検
○外後頭隆起<がいこうとうりゅうき>=後頭部で頭蓋骨が外側に最も突き出して
いる部分。=外後頭結節
○外耳道<がいじどう>=耳たぶから鼓膜までの穴の部分。
○外側溝<がいそくこう>=大脳左右半球の上外側面にある溝。
○外側広筋<がいそくこうきん>=大腿の外側にある筋。
○外側中葉区<がいそくちゅうようく>=右肺中葉の外側の区域。
○外側肺底枝<がいそくはいていし>=肺動脈のうち、肺底部外側へ向かう枝。
○外側皮質脊髄路<がいそくひしつせきずいろ>=運動系の神経伝達路。
○懐胎<かいたい>=子をはらむこと。妊娠すること。=懐妊
○回腸<かいちょう>=小腸の項参照
○外腸骨動脈<がいちょうこつどうみゃく>=総腸骨動脈から分岐する2本のうち外
側を走る動脈
○外聴道<がいちょうどう>=耳の穴。
○外転神経<がいてんしんけい>=脳神経の第6番目、眼の外側直筋を支配する
神経。
○回内筋<かいないきん>=肘を内方に回して手の甲を前に向ける。=骨格筋
○外皮<がいひ>=外表の皮膚。
○外鼻孔<がいびこう>=鼻尖の下方にある一対の穴。
○外腹斜筋<がいふくしゃきん>=外側腹壁の筋。脊柱を同側に曲げ、同側に回転
する。=骨格筋、腹。
○解剖<かいぼう>=生物体を解き開いて内部を調べること。系統解剖、病理解剖、
法医解剖がある。
※系統解剖=人体の構造を系統的に探求するための解剖。
※病理解剖=人が死亡するに至った病気の原因を追究して明らかにする
ための解剖。
※法医解剖=殺人など法律問題になっていることを医学によって解明する
ための解剖。司法解剖、行政解剖がある。
#司法解剖=犯罪に起因すると認められる死体について解剖によってそ
の死因、凶器の種類、用法などを明確にする。
#行政解剖=公衆衛生の向上に資するため、又は公共の福祉、たとえば
工場の火災で死亡した者の労働災害保証に資するため、さら
には医学教育に貢献するなど、行政目的のために行なう。
死体解剖保存法8条、食品衛生法、検疫法に基づく解剖が
ある。
○外膜<がいまく>=血管壁の最小層、気管の外側を被う膜。
○海綿状<かいめんじょう>=海面動物の骨格質のような物で、細かな穴が開き、
やわらかいもの。=海綿様
○回盲部<かいもうぶ>=かいちょうと盲腸が接続する部。
○潰瘍<かいよう>=皮膚、粘膜などにでき深層部までに及ぶ組織のただれ、くず
れ。浅い場合をびらんという。(胃潰瘍)
○解離性大動脈瘤<かいりせいだいどうみゃくりゅう>=大動脈の動脈硬化のため
に、血管の壁の内側に小さな裂け目ができ、そこから血液がしみ
込み血管壁が縦の方向に剥がれるような状態をいい、血管の外
側が破れると大量の出血を起こす。このような状態を解離性大動
脈の破裂といい、胸部で破裂した場合、心臓と心嚢との間に血液
が流れ出た状態を心嚢血腫という。
○外肋間筋<がいろくかんきん>=肋骨間にある筋肉=骨格筋、胸。
○蛙腹<かえるばら>=蛙のように膨らんだ腹。
○火焔<かえん>=ほのお。
○下顎骨<かがくこつ>=下あごの骨。
○加割<かかつ>=メス等の刃物で皮膚や筋肉などの組織を切り開くこと。
○顆間窩<かかんか>=大腿骨下骨端の内側顆と外側顆の間にある陥凹。
○蝸牛<かぎゅう>=内耳にあるカタツムリ様の形をした器官。
○架橋状組織<かきょうじょうそしき>=挫創、裂創の創底付近において、創壁間
に橋をかけたように残存する筋肉のすじ、血管、神経などの組
織をいう。
○角回<かくかい>=大脳の部位。
○顎関節<がくかんせつ>=あごを動かすための関節。
○革皮状(様)<かくひじょう>=表皮がなめしした皮のように硬くなっている状態。
=革皮化
○角膜<かくまく>=眼球の一番外側前面にある無色透明な膜で、死後12時間位で
濁りが著名となり、約48時間で白濁し、瞳孔が透見できなくなる。
○下結膜円蓋<かけつまくえんがい>=眼球結膜が下眼瞼結膜へ折りかえる部分。
○下行結腸<かこうけっちょう>=大腸の一部。
○下行膝動脈<かこうしつどうみゃく>=大腿部から膝部へかけて走る動脈のひと
つ。
○下甲状腺動脈<かこうじょうせんどうみゃく>=甲状腺へ走る動脈のひとつ。
○下行大動脈<かこうだいどうみゃく>=大動脈の項参照
○化骨核<かこつかく>=胎児の成長度を見るもので、大腿骨下端部や踵骨等の骨
を切ると、赤く丸く見える核。
○仮死<かし>=意識を失って一見死亡したように見えるが、人工呼吸等で生き返る
可能性のある状態。診断前の真死の状態。
○下肢<かし>=大腿部、下腿部、足部を総称した呼び名。
○下矢状静脈洞<かしじょうじょうみゃくどう>=脳硬膜にある静脈洞のひとつ。
○下斜筋<かしゃきん>=眼を動かす筋のひとつ。
○火傷<かしょう>=灼熱物体の火焔に接触し、あるいはそれらの輻射熱によって
起こる皮膚などの身体組織の損傷をいう。火傷の局所的変化は
その程度により第1度火傷、第2度火傷、第3度火傷、第4度火傷
に分類される。
※第1度火傷(紅斑)=比較的軽度の熱による局所的充血で皮膚が赤くな
る。生活反応であるから生体が熱作用を受けた場合にのみ見られる。
※第2度火傷(水疱)=第1度火傷よりさらに高い熱によって、炎症性の滲出
作用が生じていわゆる「火ぶくれ」が生じる。生体の自衛反応(生活反応)
として生じるので水疱内容液には白血球を多く含み、水疱が破れると底
面の真皮は発赤充血している。体表の約1/2に達すると生命危険。
死体を焼いても水疱ができる場合もあるが、この場合は液は少なく水疱
の中央部がしぼんでいる。
※第3度火傷(痂皮)=熱の直接作用によって真皮層まで壊死に陥り組織は
熱凝固を起こし、黄色ないし黄褐色に焦げる。体表の1/3に達すると生命
危険。
死体を焼いても痂皮形成はできるが生体の焼痂は血管内に血液が入っ
たまま熱凝固している。
※第4度火傷(炭化)=熱の直接が高く長く続いた結果焼けが著しくなり皮下
筋肉組織あるいは骨にまで達したもの。
生体、死体の区別は不可能である。
※火傷と生命危険度=成人の場合
火傷第2度では体表の約1/2の損傷
火傷第3度では体表の約1/3の損傷
子供の場合
4歳くらいまでの危険度は成人の約3倍
5歳から12歳くらいでは成人の約2倍
○火傷死<かしょうし>=火傷が広範囲にあり死亡すること。皮膚への刺激による
神経性ショックや循環血液量が減少するために起こる二次性
ショックで死亡する。
○下唇方形筋<かしんほうけいきん>=下唇を引き上げる。=骨格筋
○ガス<gas>=家庭用燃料として供給されている。
○下垂体<かすいたい>=頭蓋骨の真ん中にあるトルコ鞍の中に納まっているエン
ドウ豆状の器官で、成長ホルモン等種々のホルモンを出す。
○ガストロスコピー<gastroscopy>=胃鏡検査法。内視鏡により胃の内表面を観察、
撮影する胃潰瘍や胃癌の診断法。
○カスペルの法則<casperのほうそく>=後期死体現象としての死体腐敗の進行速
度を現す法則。 空気中→1 水中→2 土(地)中→8
○風邪<かぜ>=感冒。ふうじゃ。
○下腿三頭筋<かたいさんとうきん>=腓腹筋、外側頭、内側頭、ヒラメ筋の総称。
○下腿三頭筋腱<かたいさんとうきんけん>=アキレス腱、踵骨腱(しょうこつけん)。
○下大静脈<かだいじょうみゃく>=大静脈の項参照
○下腿部<かたいぶ>=下肢のうち膝蓋下部から内外踝までをいう。
○肩関節<かたかんせつ>=上肢の上腕骨と肩甲骨との関節。
○形の表現<かたちのひょうげん>=点状、線状、半月状、円状、楕円形、長方
形など通常の表現用語をもちいるほか、次のような表現をする。
※類円形=るいえんけい。輪郭が不鮮明な円形類似の形状。
※不正形=ふせいけい。輪郭が整然としておらず、特定の形状をなし
ていない形。
※桜花弁状創=おうかべんじょうそう。桜の花びらのような形。
※柳葉状=りゅうようじょう。柳の葉の形。
○カタトニー<katatonie>=精神分裂病の一病型。冷たく硬い表情をして、奇妙で
不自然な姿勢や態度をとったり意味不明の激しい運動興奮を
示したりする。
○下直筋<かちょくきん>=眼球を動かす筋のひとつ。
○滑液嚢<かつえきのう>=筋や腱と骨との間にある薄い膜の袋で、内部の滑液
は筋運動をなめらかにする。滑液嚢は主に手足にある=滑液包。
○喀血と吐血<かっけつととけつ>=口から吐く血液のうち、その出血部位で呼称
が異なる。
※喀血=肺その他呼吸器官から動脈血の出血。
#鮮紅色を呈し気泡を含むことが多い。
#呼吸器系統の既往症がある肺結核、急性肺炎、肺癌、代償性月経、
胸部大動脈瘤破裂(動脈硬化~梅毒性、剥離性、外傷性)。
※吐血=食道、胃、腸などの消化器器官の疾患あるいは鼻、口、咽喉
の出血を嚥下したもの。
#暗赤色、又は茶褐色を呈し、胃などの内容物を含むことがある。
#消化器系統、特に胃疾患、肝硬変症等の既往症ある胃潰瘍、胃癌、
十二指腸潰瘍、鬱血肝、肝硬変(食道静脈瘤破裂)。
○褐色<かっしょく>=色の表現の項参照
○カッシング病<cushingびょう>=脳下垂体の副腎皮質を刺激するホルモンが
異常に分泌されて起こる疾患で、顔面、頸部、躯幹に急速に
脂肪がつき、同時に多毛症、高血圧、無力症などが表れる。
○割創<かっそう>=創傷の項参照
○滑沢<かったく>=なめらかでつやがあること。
○滑膜<かつまく>=滑液膜、関節腔に接する周囲の膜で、滑液を分泌する。
○割面<かつめん>=メス等の刃物で切り開いた面。
○括約筋<かつやくきん>=肛門、陰部、尿道などの周囲を取り巻き、内容物を
排出させる輪状の筋肉。
○カテーテル<katheter>=体腔(胸腔、腹腔)からの液体の排出を図り、また管状
器官(気管、食道、胃、腸、膀胱、尿道)の内容物の排出、あるい
は注入を図るために用いられる管状の外科用具で、ゴム、金属、
プラスチックなど。
○カテコールアミン<catecholamine>=カテコールを分子内に持つ生体アミンの総称。
神経刺激の伝達に関与する化学物質で、神経細胞内で合成され、
刺激が神経細胞を興奮させると神経終末から放出され、次の神経
細胞へと興奮を伝達していく。アドレナリン、ノルアドレナリンなど。
○カドミウム<cadmium>=亜鉛族元素のひとつ。記号Cd。有毒でメッキ材料、可融合
金などに用いる。富山県神通川流域で発生したイタイイタイ病の
原因物質。
○カニューレ<kanule>=医療器具で、呼吸を助けたり、身体の中の液体を抜いたり、
薬を入れたりするため身体に差し込む管。挿管。
○化膿<かのう>=きずなどがウミをもつこと。
○痂皮<かひ>=はれもの、傷などが治るに従って、その上にできるカサブタ。
革皮様化とは異なり、生活反応のひとつと見られる。
火傷の際、第3度火傷を痂皮形成という。
○鵞皮<がひ>=皮膚がぼつぼつとし、鳥肌のこと。死体が寒冷なところにあると
立毛筋のような弱い筋肉が硬直し鳥肌のようになる。溺死体や
凍死体によく見られる。
○下鼻甲介<かびこうかい>=鼻腔内にある粘膜でおおわれた薄い骨。
○下鼻道<かびどう>=上、中、下三個の鼻甲介によって、鼻腔は上、中、下鼻道
に分かれる。
○下腹壁動脈<かふくへきどうみゃく>=鼠径靱帯の上方で起こり、腹直筋内面へ
と上行する動脈。
○カポジ肉腫<kapsi'sにくしゅ>=皮膚、リンパ節、内臓に見られる悪性の肉腫。
皮膚に紫色の腫脹を生ずる。エイズ患者の症状のひとつ。
○鎌状間膜<かまじょうかんまく>=肝臓の右葉と左葉を分ける膜。=肝鎌状間膜
○粥状<かゆじょう>=おかゆのようにドロドロしていること。
○ガラクトース血症<galactosemiaけっしょう>=ガラクトース(単糖類のひとつ)の代謝
異常により、血液や尿中のガラクトース濃度が異常に高まる感染
症。栄養障害や知能障害を起こす。
○鵞卵大<がらんだい>=ガチョウの卵の大きさ。変色部の大きさを表す。
○カリニ肺炎<pneumocystosisはいえん>=ニューモシスチスカリニという微小な原虫
が肺に寄生して起こる肺炎。エイズや白血病などで抵抗力が落ち
た時にかかる。
○顆粒<かりゅう>=小さい粒状。
○カルテ<karte>=医師の診察記録カード。診療簿。
○癌<がん>=悪性の腫瘍、現代医学では不治の病といわれている。
○肝円索<かんえんさく>=胎児循環時の肺動脈が分娩後閉鎖し、索状化したもの。
○陥凹<かんおう>=落ちくぼんでいる状態。(陥凹骨折)
○眼窩<がんか>=眼球が入る頭蓋骨の穴のところ。
○緩解<かんかい>=ゆるんで戻ること。(硬直緩解)
○肝下縁<かんかえん>=肝臓の下側の縁。
○眼角<がんかく>=目じり。(内眼角、外眼角)
○間隔の表現<かんかくのひょうげん>=センチメートルなど通常の表現用語を用い
るほか、次のような表現をする。
※横指=例えば3横指といえば指3本を接着させた横幅の長さをいい、2点間
の間隔や膣口の直径等の表現に使う。
○眼窩脂肪体<がんかしぼうたい>=眼神経を包んでいる脂肪織。
○肝癌<かんがん>=病態像は肝硬変の症状を一般的には呈す。それに加え肝癌症
状が認められる。右季肋部、背部に自発痛または圧痛を訴える。
肝腫の増大と硬い腫瘤は重要な所見である。血性腹水は肝癌に
多く見られる。
黄疸は腫瘍にて胆管を圧迫閉塞するので末期のことが多く、1~2
ヵ月以内に死の転帰をとる。肝腫や腹水が発現すると比較的急速
な経過をたどり、死亡までの平均生存期間は約3ヶ月で、悪液質、
消化管出血、腫瘍よりの出血、肝不全などが直接死因となる。
○眼球<がんきゅう>=眼の玉。
○眼球結膜<がんきゅうけつまく>=眼球自体を覆っている薄い膜。溢血点が出る。
○含気量<がんきりょう>=肺などに空気を含んでいる度合い。
○乾血<かんけつ>=乾燥した血液。
○眼瞼<がんけん>=まぶた。(上眼瞼、下眼瞼)
○眼瞼結膜<がんけんけつまく>=まぶた内面の膜。溢血点が出る。
○肝硬変<かんこうへん>=あらゆる原因によって生じた肝臓障害の終末像。
肝臓が硬く変化する疾患であり、肝が瘢痕化していることを表して
いる。すなわち、①びまん性の肝病変。②肝細胞の変性、壊死。
③結節性の再生結節を作ることが必要で、この結果、肝は硬化、
縮小する。
病態像はタンパク合成機能不全を示唆する低アルブミン血症では
腹水や浮腫の原因となり、凝固因子の低下は消化器出血を引き起
こす。
初期には手掌紅斑、クモ状血管腫、女性化乳房、睾丸萎縮などが
認められる。
○寛骨<かんこつ>=腸骨、坐骨、恥骨を総称した呼び名。
○寛骨臼月状面<かんこつきゅうげつじょうめん>=股関節のうち、寛骨臼内にある
軟骨で大腿骨との摩擦を減ずる。
○観察医務院<かんさついむいん>=東京都監察医務院の項参照
○鉗子<かんし>=外科手術に使う器具で筋肉や臓器などを挟むときに使う鋏状の
形をしたもの。
○眼脂<がんし>=めやにのこと。催眠剤中毒死に見られる特徴のひとつ。
○カンジタ症<candidiasisしょう>=真菌の一種、カンジダ菌によって起こる疾患。
口腔粘膜の感染による鵞口瘡や口角炎、膣炎、皮膚カンジダ症
などが多く、ときに気管支・肺・食道・脳などを侵す。抗生物質など
の乱用による菌交代症。
○冠状循環<かんじょうじゅんかん>=心臓を養うための血液循環。
大動脈の基部の大動脈球→左右一対の冠状動脈→毛細血管→
静脈→冠状静脈洞→右心房(ただし冠状動脈洞は、下大静脈の
入口の下部のところで独立に右心房に開口している)。
○冠状静脈<かんじょうじょうみゃく>=心臓自体の老廃物を運ぶ血管。
○冠状静脈洞弁<かんじょうじょうみゃくどうべん>=右心房にあり、冠状静脈洞の
逆流防止弁。
○冠状動脈<かんじょうどうみゃく>=心臓自体を養う酸素、栄養等をつかさどる動
脈。=冠動脈
○冠状縫合<かんじょうほうごう>=縫合の項参照
○肝静脈<かんじょうみゃく>=肝臓から出て下大静脈へ開く静脈。
○眼神経<がんしんけい>=三叉神経のひとつ。
○灌水試験<かんすいしけん>=水を注いで行なう試験。
○関節<かんせつ>=骨と骨のつなぎ目。
※関節の種類
#球関節-(例・肩の関節)
#楕円関節、顆状関節-(例・手根骨の関節)
#蝶番関節-(例・肘の関節)
#車軸関節-(例・第一頸椎と第二頸椎との関節)
#平面関節-(例・椎間関節)
○関節腔<かんせつくう>=関節内の骨と骨との間隙で、滑液を満たす。
○関節唇<かんせつしん>=関節の深さを補うためにできている軟骨。
○関節軟骨<かんせつなんこつ>=関節のうち、凸面をなす部にある軟骨。
○関節包<かんせつほう>=関節嚢、最下部にあって関節を包んで保護する。
○汗腺<かんせん>=汗を分泌する腺。
○乾燥<かんそう>=うるおいがなく、かわくこと。
○肝臓<かんぞう>=消化腺に属し、人体最大の臓器である。腹腔の上右側部で
横隔膜の直下にある。上面は横隔膜に接する円蓋を示し、下面
は浅いくぼみを呈しその中央部に肝門がある。
大きく手厚い右葉と薄くて小さい左葉、さらに両葉の間に挟まれ
る方形葉、尾状葉の4部に区別される。
消化器系に属する大分泌腺で胆汁を作り、栄養の貯蔵所として
余分の含水炭素をグリコーゲンに変えて貯える。
○カンタリス<cantharis>=ツチハンミョウ科の昆虫を乾燥させて作った薬品。
毒性を持ち、皮膚刺激剤として、発泡、発毛などの目的で使用
する。
○貫通孔<かんつうこう>=銃弾が身体を抜けた孔。
○環椎<かんつい>=第1頸椎のこと。
○感電死<かんでんし>=人体に電気が流れたため、呼吸中枢または心臓血管の
中枢に障害を起こし死亡するもの。呼吸麻痺を起こすことが多い
が心臓や血管の中枢に作用すると血管の麻痺を起こし血圧が降
下し、強いショック症状を呈して急死する。一般に交流は直流より
危険度が高く、直流は500ボルト、交流は300ボルト以上になると
100ボルトでも死亡することがある。電流痕の項参照
○肝動脈<かんどうみゃく>=肝臓の動脈。
○嵌入<かんにゅう>=傷口や穿孔部に異物が入り込むこと。
○冠不全<かんふぜん>=心筋における酸素の需要と供給の不均衡に基づいて起
こる心筋酸素の欠乏状態を総称。原因としては
①冠状動脈硬化、大動脈起始部および弁の疾患、ショックによる
急性血圧降下、心不全。
②冠状動脈血酸素容量の低下(急性貧血、一酸化炭素中毒等)。
③心筋肥大、高血圧。
○肝不全<かんふぜん>=肝臓細胞の機能障害のうち比較的重篤な肝障害による
症状。原因としては
①ウイルス性肝炎のうち特に劇症肝炎、亜急性肝炎、中毒性肝
障害で起きる。
②慢性肝炎の経過中にも見られ、肝硬変、肝癌、閉塞性黄疸の
進行したときに起こる。
○カンフル<kampher>=医薬品として用いる、精製したの樟脳。重病人の心臓の働
きを強くするためカンフル液を注射する。強心剤。
○陥没骨折<かんぼつこっせつ>=骨折の項参照
○顔面骨<がんめんこつ>=次の三つの広場がある。
※眼窩=前頭骨・上顎骨・頬骨・口蓋骨・涙骨・蝶形骨・篩骨などからなる。
※鼻腔=鼻骨・上顎骨・口蓋骨・鋤骨(じょこつ)・蝶形骨・篩骨・涙骨・下甲
介骨などからなる。
※口腔=上顎骨・口蓋骨・下顎骨などからなる。
○眼輪筋<がんりんきん>=まぶたにある眼瞼の開閉を行なう筋=骨格筋、顔面。
○眼裂<がんれつ>=眼の割れ目のこと。
き
○キーンベック病<kienbockびょう>=手首の手根骨のひとつである月状骨が軟化
する疾患。大工、農夫のように手首に持続的、反復的外力が加
えられる職業に多い病気。
○飢餓死<きがし>=飢え死にすること。
○気管<きかん>=脊椎動物の喉頭の下に続く長さ10センチの管状の気管。
第7頸椎に始まり第5胸椎のところで気管支に分かれる。さらにそ
の先端は肺門に入り樹枝状に分枝して気管支枝となり、さらに分
枝して細気管支→呼吸細気管支→肺細管となって肺胞に達する。
※気管支=右肺は太くて短く、左肺は細長い。いずれも繊毛はあるが、軟
骨は少ない。
※気管支枝=気管支が肺門から入るとき、右肺は3本、左肺は2本の気管
支枝に分かれる。繊毛はあるが、軟骨はさらに少ない。
※肺胞=薄層でガス交換をするところ。周囲に肺毛細血管がある。
○器官系<きかんけい>
※骨格系・筋肉系=体の基礎となり、運動の働きを行なう系統。
※血管系・リンパ管系・呼吸器系・消化器系・泌尿器系・皮膚=栄養や排出
を行なう系統。
※神経系・内分泌系=体の統一や調和を行なう系統。
○気胸<ききょう>=気胸療法の略。肋膜腔に空気を送って肺結核を治療する方法。
○起始部<きしぶ>=おこりはじまる部分。(大動脈起始部)
○気腫<きしゅ>=体の異常のある部位に、空気またはガスがたまること。
○奇静脈<きじょうみゃく>=胸部脊柱の右側で縦走する吻合静脈。
○基節骨<きせつこつ>=上下肢のうち近心側にあるもの。
○気道<きどう>=呼吸器の通路となる器官。(鼻から肺まで)
○キニーネ<kinine>=キナの皮から精製した結晶性アルカロイドの一種。
白色の粉末で苦味がある。解熱・強壮薬として用いられる。また、
マラリヤの特効薬。
○砧骨<きぬたこつ>=耳小骨の一部。
○機能障害<きのうしょうがい>=器官、神経等の作用が妨げられること。
○茸状乳頭<きのこじょうにゅうとう>=舌の前面に多数ある味覚器。味蕾は成人に
はほとんどない。
○気泡<きほう>=空気を含んだ泡。
○キモグラフ<kymograph>=筋肉の運動や心臓の拍動などを記録する装置。
○逆行性健忘症<ぎゃくこうせいけんぼうしょう>=脳損傷の場合に受傷後時間の
経過によって意識が回復し正常になったが受傷前の状況も
受傷後の状況も全て忘れてしまうもの。
○キャリア<carrier>=ウイルスに感染しながら発病せず生活している保菌者。
○球間区<きゅうかんく>=歯の象牙質表面にあり、石灰化されていない部分。
○球関節<きゅうかんせつ>=球状をした関節。
○灸痕<きゅうこん>=灸のあと。
○嗅索<きゅうさく>=大脳にある嗅覚の神経伝達路。
○急死<きゅうし>=各種の病原により急に死亡すること。
※急死の三大特徴
①各種臓器に鬱血がある。
②各種臓器に溢血点があるほか、外表所見でも眼瞼、眼球結膜
や皮膚にも溢血点がある。
③血液が流動性である。
○急性肝炎<きゅうせいかんえん>=ウイルスの違いによりA型、B型と非A・非B型
に分類される。
A型急性肝炎の感染経路は主に経口感染であり、汚水、汚物
からの感染が多い。感染から発症までの潜伏期間は15~50日
である。他方、B型急性肝炎ではHBVが粘膜、創口、HBV陽性の
血液を輸血することによって感染する。潜伏期間は50~180日
であり、この潜伏期の長さはHBVの感染量によって決定される
といわれている。
病態像は、次の3期に分けられる。
※前駆期=この期間には無気力、倦怠感、食思不振、悪寒、発熱、頭痛、
関節痛など感冒と類似した症状を呈する。この期間が5~8日続いた
あと、尿量は減少し紅茶色の尿となる。
※黄疸期=前駆期に引き続いて急激に黄疸が出現する。その後も黄疸は
強くなり2~4週でピークに達し、大多数例では4~6週持続する。
糞便は灰白色を呈するが、極期を過ぎると次第に正常化する。
この頃より黄疸は軽快し始め、症状も消失し食欲も出てくる。
※回復期=約2~10週間で患者自身の症状は治癒した感じを持つが、
血液検査ではなお異常値を呈する。しかし、これとは逆に血液検査
が正常になっても、長期間の安静のために日常生活への不安が残
り、いつまでも倦怠感を訴える場合もある。
○急性心臓死<きゅうせいしんぞうし>=心臓麻痺、心不全、狭心症、心筋梗塞、
心臓弁膜症、心筋炎、ポックリ病等を原因とする急病死を総
称したもの。
※心筋梗塞=冠状動脈硬化が原因となって血液の固まりが血管を閉塞
して、心臓自体の循環障害が起こった状態。
※狭心症=冠状動脈硬化のために心臓の血行が悪くなり酸素不足
(心臓自体)をきたして起こる発作症状。心臓部から胸骨付近にかけ
て締め付けられるような痛みや窒息感がある。
※心臓弁膜症=心臓の血液逆流を防ぐための弁膜がリュウマチ、梅毒
を原因として痛み、血液の流れが悪くなったり(弁口狭窄症)、逆流を
防止するための機能障害(弁閉鎖不全)の症状。
※心臓麻痺=急性心機能不全の通称。心筋梗塞、心臓弁膜症などが
原因となって、心臓からの血液搏出が途絶えるために起こる。
※心不全=原因が何であれ、心臓収縮力の減退によって身体の維持に
必要とする血液を搏出できなくなった状態をいう。心臓を中心にして
心臓後方の血管が鬱血し前方の血管臓器は貧血が生じる。
○急性灰白髄炎<きゅうせいはいはくずいえん>=ウイルスによって起こる急性の
感染症で、保菌者の糞便等からのウイルスが食物を介して経口
的に感染する。罹患の時期は6~8月ころが最も多く、生後6ヶ月
から5~6歳までの小児が比較的かかりやすいが大人もかかるこ
とがある。潜伏期は1週間位で、初めは鼻汁、軽い咳、頭痛、下
痢その他夏風邪のような症状で、それを過ぎると急に発熱して
38~39度の熱が2~4日続き、その上知覚が過敏となり四肢に触
れたり背中を丸くすると痛がる。解熱後、下肢または上肢筋肉に
麻痺症状を呈する。ときには腹部、頸部または呼吸器の筋肉の
麻痺を起こすことがある。(脊髄性小児麻痺)
○鳩卵大<きゅうらんだい>=鳩の卵の大きさ。変色部の大きさなどを表す。
○弓隆<きゅうりゅう>=大脳内側にある側脳室を囲む弓状の繊維束。脳弓の旧名。
○穹窿部<きゅうりゅうぶ>=脳弓。(脳梁の下側にある一対の弓形の白質)
○キュウレット<curette>=尿道等の拡張や探査また掻爬等に使用する医療器具。
○胸横筋<きょうおうきん>=胸部前壁内面胸骨から斜上方へ至る筋。
○胸郭・胸廓<きょうかく>=胸部の外郭を形成する部分で、胸椎骨、肋骨、肋軟骨、
胸骨によって籠状になった胸部の骨格(骨組)のこと。
○仰臥<ぎょうが>=仰向けになって寝ること。
○凝塊<ぎょうかい>=一塊になって固まったもの。(血液凝塊)
○頬筋<きょうきん>=口角を側方に引いて口を閉じさせる。=骨格筋、顔面
○胸腔<きょうくう>=胸部の肺臓・心臓などが入っているところ。
○胸腔概観<きょうくうがいかん>=胸腔の内側(心臓、肺、肋膜等)を見ること。
○凝血<ぎょうけつ>=血液が凝固したもの。生体の血管が破れて出血した場合や
死後血液の循環が停止すると血液は凝固する。これは血漿中の
繊維素原が繊維素として析出することによって生じるもので細か
な繊維素の網の中に血球が一様に閉じ込められている。
死後の凝血は凝固が徐々に行なわれているため赤血球の多い
血餅と血球のない豚脂様凝血とに分かれる。
○凝固<ぎょうこ>=こり固まること。
○胸骨<きょうこつ>=胸郭を構成する骨で胸部の前壁において肋骨に連結してい
る上下に長い骨。
○頬骨<きょうこつ>=眼窩部下部のいわゆる頬の骨。
○頬骨筋<きょうこつきん>=口角を上方および後方に引く。
○狭窄<きょうさく>=気管・血管などがせばまって狭隘になっている状態。
○胸鎖乳突筋<きょうさにゅうとつきん>=鎖骨下の内方から上後方に伸びる頸部
最上層の筋肉。頸部圧迫による窒息死の場合に出血することが
ある。頭の左右回転と後屈、顔を斜め上方に向ける筋肉。
○狭心症<きょうしんしょう>=冠状動脈の血管が動脈硬化などによって細くなり、
心筋に十分な血液が流れなくなる病気。
一般的には激しい胸痛が数分から20分間位続くが安静にして
いればじきに痛みはなくなる。狭心症そのもので死ぬことは殆ど
ないが、たびたび発作を起こしていると心筋梗塞に移行すること
もある。急性心臓死の項参照
○胸水<きょうすい>=胸腔に貯留した液。
○胸腺<きょうせん>=胸骨の後側にある葉状の器官で皮質と髄質とからなり、
4~5歳から漸次退行して脂肪塊となる。カルシウム代謝の調節、
骨の成長の促進、性熟に関係あるとされ、バセドウ病、副腎障
害、白血病などの場合に肥大することがある。
○鋏弾<きょうだん>=鋏で肋軟骨等を切断すること。
○胸椎<きょうつい>=脊椎の項参照
○胸背部<きょうはいぶ>=背部のうち、胸に相当する部分をいう。
○頬部<きょうぶ>=顔のほほの部分。
○胸部<きょうぶ>=体の全面。おおむね肋骨の部分。
○胸腹部<きょうふくぶ>=胸や腹の部分。
○胸腹壁<きょうふくへき>=胸部、腹部臓器を囲む胸、腹膜及び筋肉からなる部分。
○強(鞏)膜<きょうまく>=眼球のいわゆる白目の部分。
○胸膜<きょうまく>=胸腔の内面と肺の外表面を連続して覆う膜。
○胸腰筋膜<きょうようきんまく>=背部浅在部を脊椎に沿い縦走する筋膜。
○棘下筋<きょくかきん>=肩峰下部にあり、肩甲骨から上腕骨へ至る筋肉。
○棘状突起<きょくじょうとっき>=「棘」とはとげのことで脊椎骨が棘のように後方
に突き出ている部分をいう。=棘突起
○虚血性心不全(虚血性心疾患)<きょけつせいしんふぜん>=心臓は血液を全身
に送り出す臓器であり筋肉でできている。この筋肉は心臓の周り
を取り巻いている冠状動脈から血液をもらって栄養や酸素を供
給し働いている。
冠状動脈の動脈硬化が起こって心臓の筋肉に一時的に血液が
往かなくなったり、あるいは行きにくくなる状態を心の虚血といい、
こうした病気で死亡した場合の診断名。
虚血性心疾患は狭心症と心筋梗塞に代表される。特に心筋梗
塞は心筋細胞が壊死にまで至り、激烈な胸痛と高い死亡率を示
す危険な病気である。病態像の代表的な症状は、まず胸痛であ
る。狭心症では急いでの歩行、走行、階段の登り、登坂、重い荷
物を持つなどの労作で誘発されることが多い。労作など誘因とな
る負荷を除くと数分間で発作は消失し10分以上続くことはない。
一方、心筋梗塞の胸痛は死の恐怖を伴うほどの激烈な胸痛、絞
扼感で、15分以上数時間に及ぶことが多い。胸痛は労作と必ずし
も関係なく、安静中や睡眠中でも起こり、狭心症と異なり安静で
寛解せずニトログリセリンも無効である。胸痛に伴い迷走神経緊
張や低拍出により発汗、嘔吐、嘔気、血圧低下、顔面蒼白、不整
脈とも関連して意識障害などが出現する。発熱は第一病日後半か
ら第二病日にかけて37~38度程度の出現を見、数日間持続する。
また、不整脈、心不全、ショック、血栓塞栓症、心外膜炎、心破裂な
どの合併症が加われば、さらに多彩な症状が出現する。
○距骨<きょこつ>=足根骨のひとつで脛骨に連なる部分。
○鋸歯状<きょしじょう>=創縁などが鋸の歯のようにギザギザになっている状態
をいう。
○巨人様化<きょじんようか>=死後死体現象、死体が腐敗ガスによって巨人のように
膨れ上がった状態をいう。
夏は3日目以後、春秋は5~7日目頃、冬は1~2ヵ月後に現れ、
溺死体に著しい。
○鋸断<きょだん>=鋸で切断すること。(頭蓋骨鋸断開検)
○ギランバレー症候群<guillain barreしょうこうぐん>=急性多発性神経炎。四肢の
運動性、知覚性麻痺として発症。免疫性の抹消神経障害で四肢
麻痺がそのまま治癒しない場合も多い。
○亀裂<きれつ>=ひびがはいってさけること。(亀裂骨折)
○季肋部<きろくぶ>=臍のやや上方の両側腹で肋骨下部の部分。
○近射<きんしゃ>=近い位置から銃で撃つこと。
○緊張<きんちょう>=臓器等がはっていること。
○筋膜<きんまく>=筋の表面を包む膜で、筋の過度の収縮を防ぐ。
○緊満性<きんまんせい>=臓器などがかたくしまって張り切っている状態。
く
○グアイヤックチンキ検査法<グアイヤックチンキけんさほう>=青酸化合物検査の
項参照
○空気栓塞死<くうきせんそくし>=外傷、手術、出産などの際、比較的太い静脈が
切断されると血管の中に空気が吸引され、重要な血行を塞ぐこと
によって起きる死。静脈が半裁されて接続しているほど可能性が
強い。気泡はおおむね肺循環に引っかかり肺は蒼白となり、左心
室は空になる。
法医書によれば空気が100cc以上でないと空気塞栓死にはいた
らないが、死ぬ前に激しい痙攣を伴い急死の症状を呈する。
○空虚<くうきょ>=から。中に何もない状態。(胃内容空虚)
○空腸<くうちょう>=小腸の項参照
○躯幹<くかん>=哺乳類などの身体のうち、頭、手足以外の胴体の部分のこと。
○瘡<くさ>=かさぶたの出来るはれもの。湿疹。胎毒。
○楔状<くさびじょう>=V字型の形をしたいわゆるくさび形。
○屈筋支帯<くっきんしたい>=上下肢の屈筋群の腱上にある強い靱帯で、手首、
足首にある。
○屈指筋<くっしきん>=指を屈曲させる筋。
○クッシング症候群<cushing'sしょうこうぐん>=副腎皮質より分泌されるステロイド
ホルモンの過剰による疾患。高血糖、高血圧、満月様顔貌、多
毛症、中心性肥満などを呈する。
○蜘蛛膜<くもまく>=脳、脊髄の皮膜である髄膜のひとつで、外層の硬膜と内層の
軟膜の間にある薄い透明な膜。=くもう膜 (蜘蛛膜下出血)
○蜘蛛膜下出血<くもまくかしゅっけつ>=脳底部の動脈瘤や脳の動・静脈の奇形
によって血管が破れ、蜘蛛膜と軟膜との間(蜘蛛膜下腔)へ出血
することで、蜘蛛膜下腔の血管の破裂による原発性と脳実質内
出血の脱出による続発性とがある。
前者が多く、その原因は頭部外傷、脳血管性障害、腫瘍、火症
など多彩である。
出血があると脳圧が上がり、激しい頭痛、嘔吐、痙攣などがあって
意識がなくなる。
○苦悶<くもん>=苦しみ悶えること。
○クライオサージェリー<cryosurgery>=冷凍手術。液体窒素などで冷凍したメスで
局所の冷温壊死を起こさせ、壊死部分を自然に除去する方法。
○クラミジア感染症<chlamydiaかんせんしょう>=クラミジアトラコマチスという細菌に
よる感染症、性行為により感染する。尿道炎、副睾丸炎、前立腺
炎、子宮頸管炎などを起こす。
感染症の母親からの新生児は結膜炎や肺炎になり、また、流産の
原因になる。
○クランケ<kranke>=患者のこと。
○クリプトコッカス症<cryptococcosisしょう>=クリプトコッカスという真菌による急性、
亜急性、慢性の感染症。肺や全身に真菌症を起こす。
○踝<くるぶし>=足関節の外、内突出部。(外踝、内踝)
○胡桃大<くるみだい>=くるみの実の大きさ。変色部の大きさなどを表す。
○クレアチン<creatine>=脊椎動物の筋肉に多く含まれるアミノ酸の一種。
多くはクレアチンリン酸の形で存在し、筋肉収縮のためのエネル
ギー貯蔵の役割をする。
○クレオソート<kreosot>=ブナ属植物の木タールを蒸留して得られる油液。無色
または淡黄色の透明液で、強い刺激性のにおいがある。
殺菌、消毒、防腐、去痰、鎮咳剤。
○クレゾール<kresol>=石炭タール、木タールから得られる無色または淡褐色の
液体。消毒、殺菌、防腐剤として利用。
○クレチン病<cretinismびょう>=胎生期あるいは出産後早期に起こる甲状腺機能
低下症。知能障害、発育障害を引き起こし、患者は小人症となり、
独特の顔貌を呈する。
ヨード摂取量の不足、甲状腺の先天的形成不全等が原因となる。
○クロールデン<chlordane>=有機塩素化合物の一種。無色、無臭の液体。
猛毒で、シロアリ駆除剤に用いられる。
○クロールピクリン<chlorpikrin>=気化して刺激性、催涙性のガスを発する、無色
油状の液体。穀物などの殺虫殺菌剤、殺人用の毒ガスなどに
使用する。
○クローン病<crohnびょう>=主として若い成人に見られる原因不明の疾患。
潰瘍形成を伴う肉芽腫性炎症からなり、消化管のあらゆる部位
を冒し、特に肛門部病変が高率に見られる。
け
○頸窩<けいか>=胸骨上窩。
○鶏姦<けいかん>=男娼と交接すること。おかまを相手に肛門性交すること。
○頸骨<けいこつ>=くびの骨。
○脛骨<けいこつ>=下腿前側。いわゆるすねの骨。
○経産婦<けいさんぷ>=分娩(お産)を経験した婦人。
○茎状突起<けいじょうとっき>=尺骨、橈骨の先端の突起した部。側頭骨の根部
にある突起物。
○頸静脈<けいじょうみゃく>=頸部をはしる静脈、内頸静脈、外頸静脈がある。
○頸神経叢<けいしんけいそう>=第1~第4頸神経からの枝の一部が絡み合って
できたもの、側頸部にある。
○頸切痕<けいせっこん>=胸骨上縁の切れ込み。
○ケーソン病<caissonびょう>=高圧空気中で呼吸していた人が、急に大気圧に戻る
時に起こる疾患。ケーソン(潜函)中での工事に従事する人や、潜
水夫に起こる。症状はしびれ、呼吸困難、麻痺など。潜函病。
○頸椎<けいつい>=脊椎の項参照
○頸動脈<けいどうみゃく>=頸部をはしる動脈。心臓から出て上方に向かう上
行動脈が左右の総頸動脈に分かれ、更にその先で内頸動脈、
外頸動脈に分かれる。
○頸部<けいぶ>=いわゆる首の部分。前頸部、側頸部、後頸部に区分する。
○頸部器官<けいぶきかん>=喉頭、咽頭、甲状腺、食道、気管など頸部に存する
諸器官の総称。
○鶏卵大<けいらんだい>=鶏の卵の大きさ。変色部の大きさなどを表す。
○痙攣<けいれん>=ふるえること。筋肉が病的に収縮すること。全身性と局所性の
ものがある。てんかん、脳内出血、脳梅毒、脳腫瘍などの病気で
おき、窒息死等の急死においても生ずる。
溢血点の発現や失禁などに関係する。
○芥子の実大<けしのみだい>=けしの実の大きさ。変色部の大きさなどを表す。
○血液<けつえき>=血管内を流動する赤色液状の一種の組織。血液の色は主とし
て赤血球中に含まれる血色素によって定まる。
┏ 赤血球 ┓
┏ 血球┫ 白血球 ┣ 血餅(血塊)
※成 分┫ ┗ 血小板 ┃
┃ ┏ 繊維素原 ┛
┗ 血漿┫
┗ 血 清
※機 能=各組織における新陳代謝(酸素、栄養、ホルモンなどの運搬と
炭酸ガスなどの老廃物の排泄)の媒介をする。
※血液の量=普通成人の場合、体重の1/12ないし1/13といわれる。
※失血と致死量=血液が急速に失われる場合の生命危険度は
全血液量の1/4以内は自然回復
1/3以上は危険
1/2以上は死亡
とされるが動脈出血の場合は1/4以内でも危険の場合があり、静脈
出血のみでは1/2くらい出血しても救命したこともある。
※赤血球=酸素を生体組織に供給する役目。骨髄で生産され肝臓、脾臓
で破壊される。血液1㎣中に平均450万個(♀)から500万個(♂)が含ま
れる.。
※白血球=病原体に対する抗体(免疫体)の役目。骨髄で生産される顆粒
白血体と、リンパ組織で生産されるリンパ球のほか単球がある。
血液1㎣中に5,000個から9,000個含まれる。
※血小板=粘着と凝集の役目で出血に際し血栓を形成する。
また血小板中のヒロトニンが血管を収縮する。骨髄中の巨核球から
細胞質の中の一部がちぎれるような形で生成される。寿命は2週
前後。血液1㎣中に20万個から50万個が存在する。
○血液型<けつえきがた>=血液中に存する抗原の差によって血液を何種類かに
分類することができる。これを血液型という。親と子の間には一定
の図式があり、血液型が決まる。
※分泌型・非分泌型=精液、膣液、唾液、糞尿等からも血液型が判定でき
るが、人によって体液の中に血液型物質を持っていない者もある。
これを非分泌型という。
○血液凝固<けつえきぎょうこ>=血液が自らの凝固作用により固まること。
○血液就下<けつえきしゅうか>=心臓が停止することにより身体の血液が重力の
作用で下方に下がること。外表からは死斑として見える。
○血液循環<けつえきじゅんかん>=血液が心臓から出て心臓に変える循環は、
次のように二大別される。
①小循環(肺循環)=右心室→肺動脈→肺胞毛細血管→肺静脈→左心房
なお、肺胞毛細血管通過前は静脈血で、通過後は動脈血である。
②大循環(体循環)=左心室→大動脈→体各部の動脈→各組織の毛細血
管→体各部の静脈→上大静脈と下大静脈→右心房
なお、心臓は冠状動脈により、また、肺臓は気管支動脈によって栄養
を受ける。これらの動脈は大循環の一部である。
○血痂<けっか>=出血した血液が固まってかさぶた(痂皮)状を呈しているもの。
○月経<げっけい>=子宮内膜から定期的に出血する生理現象。
○結合組織<けつごうそしき>=器官の間を結合あるいは充填する組織。
○血痕<けっこん>=血のあと。
○血腫<けっしゅ>=皮下、筋肉組織内に出血した血液の一部が多量に溜まったた
めこぶのように腫れあがったもの。
○血小板<けっしょうばん>=血液の項参照
○血清<けっせい>=血液から得られる黄色透明液。
○血性粘液<けっせいねんえき>=血液の混じった粘液。
○結石<けっせき>=腎臓や胆嚢等の身体の中にできる石のような固いもの。
○結腸<けっちょう>=大腸の項参照
○血餅<けっぺい>=固まって餅のようになった血液。
○血様液<けつようえき>=血液とは判定できないが血液のような赤い液体(鑑定が
なされる以前に使う)
○ゲルトナー菌<gartnerきん>=サルモネラ菌の一種。腸炎菌ともいい、食中毒の
原因菌のひとつ。
○ケルニッヒ反応<けるにっひはんのう>=泥酔者か脳内出血患者かを判定する
方法。脳内出血の場合は両足を伸ばしたまま、片足を約40cm
持ち上げると苦悶の表情を表し、泥酔者の場合は表情に変化が
ない。
○ケロイド<keloid>=表面のつやつやした淡紅色あるいは暗褐色の皮膚上の硬い
腫瘤。切創、やけど、潰瘍の治ったあとにできる。
○腱<けん>=筋肉が骨に付着するところにある強靭な結締組織のすじ。(アキレス腱)
○検案<けんあん>=医師が検死の立会いをして死体について死亡の事実を医学的
に確認すること。
○眩暈<げんうん>=目がくらむこと。めまいを起こすこと。
○限局性<げんきょくせい>=部分的にとどまる状態。(限局性出血)
○肩甲骨<けんこうこつ>=左、右肩の後ろにあって腕と胴体とを結合する扁平な
三角の骨。
○肩甲骨下角<けんこうこつかかく>=肩甲骨下端の部位名。
○腱索<けんさく>=心臓の房室弁と乳頭筋を結ぶ組織。
○犬歯<けんし>=歯牙の項参照
○検視<けんし>=検死には検視規則に基づく司法検視と死体取扱規則に基づく
行政検視がある。
※司法検視=刑事訴訟法第229条に基づき死因が犯罪に起因するもの
であるかどうか五官の作用によって死体の状況を調べる処分をいう。
※行政検視=一定の行政法規に基づき変死体および犯罪死体以外の
不自然死体につき、公共の福祉、公衆衛生等の立場から行なわれる
行政措置としての死体の見分をいう。
○犬歯筋<けんしきん>=口角を引き上げる筋肉。
○腱鞘<けんしょう>=手足の筋の長い腱の周囲を包む鞘状の薄い膜で、内部の滑
液は腱の運動をなめらかにする。
○剣状突起<けんじょうとっき>=胸骨下端の剣のようになった骨の部分。
○捲退<けんたい>=大網が上方にまき退いている状態。
○倦怠<けんたい>=疲労感や、飽きてだらけること。
○弦長<げんちょう>=創傷などが弧状をなす場合、創端を直線で結んだ長さ。
○幻聴<げんちょう>=外界に音を出すものが無いのに、あるいは話しかける者が
居ないのに音や声を聞こえたように感じること。
○減張切開<げんちょうせっかい>=火傷の際に皮膚などが引きつれて張ってしま
ったり、収縮を起こしてしまったりするのを和らげるために表皮に
切込みを入れて張りを弱めること。
○肩峰<けんぽう>=肩の上端、腕の付着部。
○腱様滑沢<けんようかったく>=内臓等がつやつやしてなめらかな状態。
腱のように白く輝いてなめらかなこと。
こ
○硬化<こうか>=正常より硬くなっている状態。
○口蓋<こうがい>=口の中の上側部分。
○口蓋扁桃<こうがいへんとう>=口蓋垂の後方両側にある。
○口蓋垂<こうがいすい>=のどちんこ。
○口角<こうかく>=口唇の外端。
○項窩部<こうかぶ>=後頸部髪際のくぼんだ部。=ぼんのくぼ。
○睾丸<こうがん>=生殖器の項参照
○口峡<こうきょう>=口腔(口の内部)と咽頭(鼻腔、口腔の後下部)との境。
○咬筋<こうきん>=下顎骨をあげ、噛むときに働く。
○口腔<こうくう>=口のなか全体をいう。
○口腔腺<こうくうせん>
※粘液腺=くちびる・ほお・舌・口蓋などの粘膜に分布。
※唾液腺=#耳下腺(一対)→頬の上部に開く。
#顎下腺(一対)→舌下の奥に開く。
#舌下線(一対)→舌下の奥に開く。
顎下腺、舌下線は排出管が合一する。
○口腔前庭<こうくうぜんてい>=歯列と歯槽との前方(外側)をいう。
○口腔粘膜<こうくうねんまく>=口の中の粘膜。
○絞頸<こうけい>=索状物で頸部を絞めること。
○広頸筋<こうけいきん>=口および下唇を引き下げる。
○後頸部<こうけいぶ>=首の背部。
○硬結<こうけつ>=硬く結ぶこと。
○高血圧<こうけつあつ>=160/95mmHg以上を高血圧というが(高血圧治療ガイド
ラインでは、収縮期血圧140mmHg、拡張期血圧90mmHg以上とさ
れているが、法医学的には若干低目と思われる)、原因の明らか
でない本態性高血圧と、原因が明らかな二次性高血圧に大別さ
れる。本態性高血圧は原因が不明であり、ある程度遺伝的素因
を持ち、30歳代の後半ないし40歳代から始まり、徐々に進行し、
心臓、腎臓、脳などの重要臓器に血管性病変を起こしてくる。
高血圧患者の8~9割はこの本体性高血圧であるが、ただ30歳代
以下のいわゆる若年性高血圧では、二次性高血圧の頻度は高く
なる。二次性高血圧は、①腎臓(腎実質性、腎血管性、腎周囲性、
腎腫瘍性、尿路閉塞性)、②内分泌性(原発性アルドスステロン症、
クッシング症候群、褐色細胞腫)、③心血管性(大動脈炎症候群、
大動脈縮窄、大動脈弁閉鎖不全)、④神経性(脳出血、脳腫瘍、
脳圧亢進)などに分類される。
本態性高血圧の発作は極めて緩徐で、大部分の例では無自覚
のまま経過し、健康診断などで初めて高血圧を指摘されることが
多い。自覚症状としては頭重感、のぼせ、めまい、肩こり、頭痛、
動悸等の不定愁訴が一般的で、また倦怠感、不眠、情緒不安定
などの症状が見られる。しかし、個人差があり、必ずしも高血圧
の程度、重症度とは一致をみない。
高血圧が長年にわたって持続すると諸臓器に特有な病変が生じ、
それに伴う症状が出現してくる。特に心臓、腎臓、脳などの重要
臓器に血管病変が生じ、狭心症、心筋梗塞、鬱血性心不全、
腎硬化症、腎不全、脳出血などを合併し、予後を左右する重大
な鍵となる。
二次性高血圧では患者によって、おのおの特有な臨床症状の
出現を見る。
腎性高血圧では、蛋白尿、腎機能障害、浮腫などが、原発性
アルドステロン症では、低K血症に伴う四肢脱力感や周期性四肢
麻痺症状などが出現する。クッシング症候群では肥満、満月様
顔貌、多毛、皮膚線状などが、褐色細胞腫では血圧の動揺が著
しく、高血圧の出現時に心悸亢進、瀕脈、発汗、頭痛、顔面蒼白
などの症状が発作的に出現することが特徴である。
大動脈炎症候群や大動脈縮窄症では、脈拍の左右差や上肢と
下肢、左右での血圧の差異が認められる。
○咬合<こうごう>=歯の咬み合わせのこと。年齢推定に活用できる。
○絞痕<こうこん>=索状の圧迫、擦過等によってできた頸部の表皮変色、陥凹部
をいう。
○虹彩<こうさい>=眼の瞳孔径を変化させる部位。
○絞死<こうし>=首に紐等の索状を巻きそれを引き締めて窒息死する死に方。
通常は他為であるが、自為によることもある。(自絞死、絞殺)
死体所見としては、
#索溝が水平輪状に頸部を一周以上囲繞し、交差部や結節部が明瞭で
ない場合もある。
#顔面は鬱血腫脹。
#眼球、眼瞼結膜に溢血点が著名。
#死斑が顕著。
#脱糞、失禁が多い。
○ゴーシェ病<gaucherびょう>=小児慢性特定疾患のひとつ。酵素の先天性欠損に
より大食細胞にグリコセレブロシドが蓄積する難病。肝脾腫、リン
パ腫症、骨変化を生じる。
○後耳介筋<こうじかいきん>=耳介後部から乳様突起に至る筋。
○後縦隔<こうじゅうかく>=前縦隔の項参照
○咬傷<こうしょう>=昆虫類によって咬まれた傷。=咬虫痕
○甲状腺<こうじょうせん>=甲状腺ホルモンを分泌する内分泌腺。
喉頭の前下部、気管の左右両側に位置する馬蹄鉄状に突出して
発育した甲状軟骨前部の内分泌気管。甲状腺ホルモンは身体の
発育および新陳代謝に関係があり、これが欠乏すると発育障害を
起こし、多すぎるとバセドウ病を起こす。
○甲状軟骨<こうじょうなんこつ>=後頭部の前部および左右側部の壁を構成する扁
平方形の軟骨(頸部圧迫による窒息の場合に骨折することがある)。
○甲状披裂筋<こうじょうひれつきん>=甲状軟骨から披裂軟骨へ至る発声に関与す
る筋肉。
○口唇<こうしん>=上下の唇のこと。
○口唇前庭<こうしんぜんてい>=口腔内歯齦から下口唇にかけての粘膜部。
○項靱帯<こうじんたい>=頸椎上部で後方へ張り出す靱帯。
○口唇粘膜<こうしんねんまく>=くちびるの口腔内粘膜部分。チアノーゼ、溢血点の
好発部。
○硬性索溝<こうせいさっこう>=比較的細くて固い索条によってできる索溝。革皮化、
表皮剥脱を伴う。
○後正中溝<こうせいちゅうこう>=脊髄、延髄の背面正中にある溝。
○咬舌<こうぜつ>=舌を咬むこと。縊死の場合に舌先を咬んでいる状態。
○厚層<こうそう>=層が厚いこと。多いこと。(厚層の出血)
○コーチゾン<cortisone>=副腎皮質ホルモンの一種。無色の柱状結晶。
抗炎症、抗アレルギー作用のため、リューマチ性関節炎、喘息、
皮膚疾患などに用いられるが、高血圧、糖尿、精神異常などの
副作用もある。
○後肘部<こうちゅうぶ>=ひじのうしろ。
○硬直<こうちょく>=筋肉が硬くなって動かなくなること。
死体硬直は死後の時間経過と共に筋肉等が硬くなり関節部が
動かなくなる死体現象。顎関節に始まり、だんだん下方に進み、
最後に指趾の小関節に至るのを下行性といい、これと反対に
下肢に始まってだんだん上方に進み顎に至るのを上行性という。
※死体硬直と死後経過時間(推定経過時間)
30分 一般的には発現しない。
1時間 下顎に軽く発現する。 再硬直する。
2~3時間 下顎、頸部に発現する。 同 上
4~5時間 上肢の関節にも発現する。 同 上
7~8時間 下肢の関節にも発現する。 再硬直は起きない
10~12時間 全身の諸関節に強く発現し24時間
位迄は最強状態を持続する。 同 上
24時間 夏季は下顎(下行性)が緩解し始め
冬季はなお硬直が強く残る。 同 上
30時間 上肢の緩解が始まる。 同 上
48時間 下肢の緩解が始まる。 同 上
3~4日 全身の硬直が消失する。 同 上
○硬度<こうど>=かたさ。
○喉頭<こうとう>=前頸部中央の第3頸椎の間にあって三角漏斗状をした器官。
空気を通し内部に発声器官がある。
○喉頭蓋<こうとうがい>=器官の最上部にある軟骨でできたもの。
○後頭窩(下)穿(窄)刺<こうとうかせんし>=小脳延髄槽穿刺法のひとつで頓死の
疑いがある死体について脳内出血の有無を検査する方法。後頭
部の上端から脳の小脳延髄槽に注射針を刺して、髄液を採取す
ること(血液混入の有無により脳出血の存在を判定する)。
○喉頭筋<こうとうきん>=腱膜を後ろに引く。
○喉頭結節<こうとうけっせつ>=のどぼとけ。
○後頭孔<こうとうこう>=脊髄の通る頭蓋骨下面の孔。
○後頭骨<こうとうこつ>=頭蓋骨のうち後頭部後下方の人字(ラムダ)縫合に囲まれ
た部分の骨。
○喉頭軟骨<こうとうなんこつ>=喉頭蓋(会厭軟骨)、甲状軟骨、披裂軟骨、輪状軟骨
など喉頭の諸軟骨をいう。
○喉頭粘膜<こうとうねんまく>=気管の上端にあり、咽頭に連続する部分。
○後頭葉<こうとうよう>=脳のうち大脳の項参照
○喉頭隆起<こうとうりゅうき>=前頸部中央に突出する部分。=のどぼとけ
○硬脳膜<こうのうまく>=頭蓋骨に接して脳を取り巻いている硬質の膜。
○広背筋<こうはいきん>=胸、腰椎の後方および仙骨、腸骨に始まり上腕骨へ
到る上腕を動かすための筋肉。=骨格筋、背
○後肺底区<こうはいていく>=左右肺の下葉部の区域。
○紅斑形成<こうはんけいせい>=熱や低温により皮膚の一部が赤くなった状態。
○広汎<こうはん>=広い範囲のこと。
○後鼻孔<こうびこう>=咽頭への出口にある一対の孔。
○項部<こうぶ>=うなじと同じ。
○後腹膜<こうふくまく>=腹膜の後の部。
○コーマ<coma>=完全な意識喪失の状態。一見熟睡と似ているが、熟睡の場合は
刺激を加えれば覚醒するのに対し、コーマではいかに強い刺激を
加えようとも、原因が取り除かれない限り覚醒することが無い。
○硬膜<こうまく>=頭蓋骨と脳蜘蛛膜の間にあって脳を包んでいる硬い膜。
○硬膜外出血<こうまくがいしゅっけつ>=硬膜動脈または静脈洞の破裂によって起
こる。血管の損傷は局所打撃のほか、他の部位に作用した外力
による振動波、あるいは頭蓋骨骨折によって動脈を切断すること
によって起こる。動脈血圧が頭蓋骨と硬膜の強い癒着にうち勝って
その間に血液が溜まり、血腫形成し脳を圧迫する。
約100ccの血腫で死亡する。
○硬膜下出血<こうまくかしゅっけつ>=硬膜と蜘蛛膜との間の出血。大部分は頭部
外傷によるが、稀には硬膜下腔にある脳動脈瘤の自然破裂によっ
て起こる。出血を起こす血管は硬膜血管と脳表面の硬膜との間の
硬膜下腔を走っている静脈や動脈であって血腫を形成し脳を圧迫
する。約100ccの血腫で死亡に至る。
○咬耗度<こうもうど>=歯をかみ合わせることにより歯の上面が磨り減った度合い。
死体の年齢推定ができる。
#磨耗度 #磨耗状況 #推定年齢
0度 磨耗の無い状況 20 歳以下
1度 琺瑯質のみ磨耗している状況 20~30歳
2度 象牙質の一部が露出している状況 30~40歳
3度 全面的に象牙質が露出している状況 50歳前後
4度 磨耗が歯頸部の近くまで及んでいる状況 70歳前後
○肛門<こうもん>=大腸の項参照
○口輪筋<こうりんきん>=口裂を輪状に取り巻く筋肉で、唇の開閉作用をする。
○股関節<こかんせつ>=大腿骨上端部と腸骨が接するところの関節でいわゆる
「また」関節。
○呼吸緩除<こきゅうかんじょ>=呼吸が徐々に失われてゆく様子。
○呼吸麻痺<こきゅうまひ>=筋肉または神経の障害により呼吸が出来なくなること。
○午後<ごご>=慣用語として使う場合には、13時から日没1時間前までを言う。
○鼓室<こしつ>=中耳の腔空。
○弧状<こじょう>=弓状に曲がった状態。
○午前<ごぜん>=慣用語として使う場合には、9時から11時の間。
○五臓六腑<ごぞうろっぷ>
※五臓=肺、心臓、脾臓、腎臓、肝臓。
※六腑=胃、胆嚢、小腸、大腸、三焦、膀胱。
○骨性外耳道<こつせいがいじどう>=外耳道のうち、側頭骨により壁をなす部分。
○骨折<こっせつ>=骨が折れることでその状態により色々な種類がある。
※複雑骨折=骨が何片にも折れているもの。
※単純骨折=骨の一箇所がきれいに折れているもの。
※線状骨折=線状にひびが入って骨折しているもの。
※亀裂骨折=骨に裂け目の入った骨折。
※穿孔骨折=穴が開いたように骨の一部が落ち込んでいるもの。
※陥没骨折=骨の一部が引っ込んでいるもの
#穿孔骨折、陥没骨折とも医学書によると約4cm内外以下の打撃面の
鈍器によるものとされる。
※陥凹骨折=骨折部の外辺骨が正常骨と接した状態で引っ込んでいる
もの。
※粉砕骨折=骨がばらばらの状態に砕かれている骨折。
○骨粗鬆症<こつそしょうしょう>=骨中のカルシウム分が血液中に溶け出すなどし
て骨がもろくなり軽石のようになってしまう病気。
背骨がつぶれて変形したり、身長が短くなったり骨折しやすく(とく
に脊椎)なったりする。女性に多くカルシウムの摂取不足やホル
モンのバランスの乱れなどが原因。
○骨頭<こっとう>=大腿骨、上腕骨などの上端。
○骨の形状<こつのけいじょう>
※長骨=例・・大腿骨・上腕骨
※短骨=例・・手根骨・足根骨
※扁平骨=例・・頭頂骨・前頭骨
○骨の連結法<こつのれんけつほう>
※縫合=例・・頭蓋の諸骨
※軟骨結合=例・・脊椎
※関節=例・・上腕骨と前腕骨
○骨盤<こつばん>=寛骨、仙骨、尾骨からなる骨で、腹の臓器を支えているところ。
恥骨下角によって男女を区別できる。
男性は鋭角(75度前後)、女性は鈍角(90から94度)である。
○骨半規管<こつはんきかん>=内耳の一部。
○骨盤腔内腹膜<こつばんくうないふくまく>=骨盤腔内の臓器を包む腹膜。
○骨片<こっぺん>=骨のかけら。
○骨膜<こつまく>=骨を覆い包んでいる膜。頭頂骨の外側の膜。
○股動脈<こどうみゃく>=大腿動脈
○ゴノコッケン<gonokokken>=性病である淋病の病原菌。
○鼓膜<こまく>=外耳道と中耳腔を区画する薄い膜で空気の振動に伴って振動して
音を伝える。
○鼓膜張筋半管<こまくちょうきんはんかん>=鼓膜張筋が納まっている骨の管。
○固有肝動脈<こゆうかんどうみゃく>=後肝動脈の枝。
○コラーゲン<kollagen>=動物の体皮、軟骨、腱等を構成する繊維状の硬蛋白質。
にかわの原料、膠原質。
○コリン<choline>=シロップ状で魚臭のある化合物。脳、肝臓、卵黄、種子などに
含まれ、細胞膜の浸透圧の調整、脂肪肝予防因子としての作用
をもつ。
○コルサコフ症候群<korsakovしょうこうぐん>=物忘れがひどく、時間や場所の観念
がなくなり、口から出まかせの話をするようになる一群の症状。
○ゴルジ体<golgiたい>=生物の細胞質内に見られる粒状または網状の小体。
脊椎動物の神経細胞や腸などの分泌細胞に見られ、分泌物や
排泄物の形成に関係すると考えられている。
○ゴルドン氏反応<ゴルドンしはんのう>=泥酔か脳内出血による患者かの判別法。
排腹筋(ふくらはぎ)を手に力を入れてつかむと脳内出血がある
ときは足の趾先を開き、泥酔のときは足の趾先を内側に曲げる。
○コレステロール<cholesterol>=高等脊椎動物の脳、神経組織、副腎血液中などに
多く含まれるステリンの一種。脂肪のような感じのする白色光沢の
ある鱗片状の結晶。生体に不可欠な役割を果たすが、血中の濃度
が高まると動脈硬化症の原因になる。
○コレラ<cholera>=コレラ菌の感染による感染症。半日~2日間ぐらいの潜伏期の
のちに、突然に腹痛、下痢が始まり、激しい吐き気と米のとぎ汁の
ような大量の下痢便をみる。熱はあまり高くならない。身体から水分
が失われるため皮膚は乾燥し、眼はくぼみ、口の渇きがはなはだし
い。コレラ菌は吐いた物と大便の中に出され、これが更に感染のも
ととなる。発病後1~2日で死亡することもある。
○コン症候群<connしょうこうぐん>=副腎皮質に生じた腫瘍により、アルドステロン
(ステロイドホルモンの一種)が過剰に分泌される病態。
高血圧、多飲、多尿、筋力低下や知覚異常をきたす。
○昏睡<こんすい>=意識を失ってさめない状態。
○混(涸)濁<こんだく>=にごること。(角膜混濁)
○コントルクー<contusion・衝撃側損傷>=対側打撃のこと。たとえば左側頭部を
強打すると右側頭葉の脳に損傷が出ること。
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