法医学リーズン《88》・な~わ
・・・常時編纂更新中・・・
な
○内踝<ないか>=足関節内側の突出部。内くるぶし。→「外踝」
○内眼角<ないがんかく>=目がしら。
○内景検査<ないけいけんさ>=解剖して内部の状態を検査すること。
○内頸静脈<ないけいじょうみゃく>=頸静脈の項参照
○内頸動脈<ないけいどうみゃく>=頸動脈の項参照
○内耳<ないじ>=平衡覚および聴覚器の錘体中に収まった部分。
○内耳神経<ないじしんけい>=橋下端より出て内耳道を通り、平衡覚および聴覚
器へ分布。
○内側踝<ないそくか>=大腿骨遠位部、脛骨近位部にある。
○内側臍襞<ないそくさいひだ>=前腹壁にある閉鎖した臍動脈に相当したヒダ。
○内側肺底区<ないそくはいていく>=肺下葉の肺区域。
○内腸骨静脈<ないちょうこつじょうみゃく>=総腸骨静脈の項参照
○内腸骨動脈<ないちょうこつどうみゃく>=総腸骨動脈の項参照
○内腹斜筋<ないふくしゃきん>=腹筋群の一部。脊柱を同側に曲げ、同側に回転
する。
○内分泌腺<ないぶんぴつせん>
※脳下垂体=前葉・後葉・中葉の三部からなり、別々なホルモンを出す。
※松果体=脳梁後端の内側にある。青春期以降はしおれる。
※甲状腺=喉頭前面に左右一対ある。
※上皮小体=甲状腺の後上面に二対ある。
※胸腺=心臓の上方で気管に沿って左右一対ある。青春期以後しおれる。
※膵臓=膵尾の膵島からホルモンを分泌する。
※腎上体=髄質と皮質とから別々のホルモンを出す。
※性腺=卵巣の卵胞と黄体及び睾丸(精巣)から別々なホルモンを出す。
※胎盤=性関係のホルモンを出す。
○内包<ないほう>=大脳基底核の尾状核とレンズ核との間の投射線維。
○内肋間筋<ないろっかんきん>=胸部における肋骨の下に外肋間筋があり、外
肋間筋の下についている筋肉。
○梨状陥凹<なしじょうかんおう>=喉頭部で、喉頭蓋から気管に至る声帯ひだの
左右にある陥凹部。=喉頭梨状陥凹
○ナルコレプシー<narkolepsie>=間脳の障害により、睡眠発作(時、場所、状況に
かかわらず突然眠ってしまう発作)や、覚醒発作(目が覚めるが体
を動かせない状態、いわゆる金縛り)を起こす疾患。
○軟化<なんか>=硬いものがやわらかくなること。
○軟骨<なんこつ>=軟らかで弾力に富む骨。
○軟骨性外耳道<なんこつせいがいじどう>=外耳道の外側三分の一。
○軟凝血<なんぎょうけつ>=どろっとかたまった血液。急性でない亜急性ないし
遷延性以下の死因に基づく死亡の場合に心臓血の中に含ま
れる。
流動性血液→軟凝性血液→豚脂様血塊
○軟泥状<なんでいじょう>=水で練り混ぜた泥のようにどろどろした状態。
○軟部組織<なんぶそしき>=皮膚、皮下組織、筋組織などの総称。
○軟膜<なんまく>=蜘蛛膜と軟膜を合わせたものを広義の軟膜という。
○軟網膜<なんもうまく>=脳実質と蜘蛛膜の間にある膜。
に
○ニーマンピック病<niemann pick びょう>=遺伝性の脂質代謝障害。肝臓や
脾臓への脂質蓄積による腫大、発育障害、知能障害を生ずる。
○ニコチン<nicotine>=タバコの葉に含まれるアルカロイド。無色または淡黄色の
油状液体。光や空気で容易に酸化され褐色に変色する。
有毒で農薬用殺虫剤に用いられる。
○ニコチン酸<nicotinic さん>=水溶性ビタミンのビタミンB複合体。肝臓、肉、
胚芽、ぬか、豆類、酵母などに含まれ広く存在する。
鈴木梅太郎が発見、医薬品。
○二重条痕<にじゅうじょうこん>=皮膚に棍棒等が当たった場合に、棍棒等が
当たったところの皮膚は蒼白であるが、その左右の縁に二条
の変色(皮下出血)を生じている痕跡をいう。
=二重線状・二条条痕
○二尖弁<にせんべん>=心臓の項参照
○ニトログリセリン<nitroglycerin>=グリセリンの硝酸エステル。水を含まない
グリセリンを硫酸と硝酸との混酸で処理して作る。
敏感で爆発しやすく、ダイナマイト、ロケット推進材のほか、
血管拡張薬として医薬品などに用いられる。
○ニトロソアミド<nitrosamide>=ニトロソ基(-NO)をもつアミド。食品より検出される
発癌物質で、胃や食道の発癌に関係する。
○ニトロソアミン<nitrosamine>=ニトロソ基(-NO)をもつアミン。N-ニトロソアミンは
環境性発癌因子であり、燻製食品やビールから検出される。
肝臓、腎臓、肺の癌に関係する。
○ニトロソ化合物<nitroso かごうぶつ>=ニトロソ基(-NO)のついた化合物。
不安定で発癌性が強い。食品添加物の亜硝酸塩とアミノ酸から
腸内細菌が作るアミンの反応により体内で生ずる。
○日本脳炎<にほんのうえん>=急に発熱して頭痛、不眠を訴え、熱は1~3日のう
ちに40度に達し、ぼんやりした状態から意識混濁の状態に移る。
死亡率は高く、小児では吐き気や引付で始まることがある。
病原体は蚊によって媒介される。
○乳暈<にゅううん>=乳首の周りの淡褐色の笠状の部分。
○入管洞<にゅうかんどう>=乳管の周りを取り囲む紡鐘形の膨大部。
○乳歯<にゅうし>=歯牙の項参照
○乳嘴<にゅうし>=動物の皮膚、乳腺、舌などにある乳頭状の小突起部をいう。
○乳児<にゅうじ>=1歳に満たない者をいう。(母子保健法)
○乳腺<にゅうせん>=乳房内の乳を分泌する腺。
○乳頭<にゅうとう>=乳房先端の乳の出る突出した部分。
○乳頭体<にゅうとうたい>=視床下部の一対の半球状のもの。
○乳房<にゅうぼう>=胸部左右にあるふくらんだ部分で、乳腺を入れる半球状の
かたまり。いわゆる「ちち」。
○乳幼児突然死症候群<にゅうようじとつぜんししょうこうぐん>=原因不明の突然
死(SIDS)といわれ、生後2年までの乳幼児の突然死のうち、最後
まで原因が不明のものをまとめた総称。
発生と年齢の関係では生後2ヶ月から4ヶ月の間が多く、ピーク
は2・5ヶ月。時間は、死亡の90%~95%が深夜から午前8時ま
での間。季節的には、死亡の40%が冬3ヶ月に集中している。
かかりやすい危険児の特性は、
①原因不明の呼吸停止・中断を起こした子。
②呼吸器の弱い子(死亡児の75%までが急性の呼吸器系の病
気にかかっていた)。
③人口栄養児。
④母親が20歳以下のときに生まれた子(父親も20歳以下なら危険
は増加する)。
⑤妊娠中に喫煙したり、麻薬を使ったりした母親から生まれた子。
⑥上の子と間をおかずに生まれた子(未熟児の危険)。
などである。
発作は、深い睡眠(レム睡眠)中の乳幼児に「無呼吸発作」が起こ
り、酸素欠乏→心停止という発病メカニズムが推定されている。
なぜ無呼吸発作が起こるのかはまだ不明だが乳幼児の体質に
よって睡眠中に呼吸神経系統の障害が起きるらしいといわれて
いる。発作を起こしたときには子供の背中を叩いてやる、人工呼
吸をする等の応急手当をして、医者や救急車を待つ。
○乳様突起<にゅうようとっき>=外耳孔後下方の骨の突出部。
○尿管<にょうかん>=腎臓と膀胱を結ぶ管。
○尿失禁<にょうしっきん>=尿が無意識に排出される状態。
○尿道<にょうどう>=膀胱から尿を排出する管。先端は陰茎亀頭に通ずる。
○尿毒症<にょうどくしょう>=腎機能低下のために尿で排泄されるべき物質(尿素
などの窒素化合物)が血液中に増した状態で極めて危険な状態。
○妊産婦<にんさんぷ>=妊娠中、又は出産後1年以内の女子をいう。(母子保健法)
○妊娠線<にんしんせん>=妊娠の後半期(多くは30週後)に腹壁皮膚に青赤色の
紡錘状の線が生ずる、これをいう。大腿や乳房に生ずることも
ある。また、妊娠以外にも腹部が急に膨大するような場合にも
見られるが、これは外皮が過度に緊張し皮下組織が断裂する
ために生ずるものである。
○妊娠瘢痕<にんしんはんこん>=妊娠線が分娩後退色し、その部の皮膚に白色
の光沢ある状態で残っている痕跡をいう。
ね
○熱凝固<ねつぎょうこ>=熱の作用により物が固まること。
○熱傷<ねっしょう>=湯溌傷の項参照
○ネフローゼ症候群<nephrose しょうこうぐん>=腎臓疾患のひとつ。糸球体の病
変により、高度の蛋白尿と低蛋白血症、また、それによる浮腫を
ともなう症候群。治療は困難でステロイド剤投与などによる。
○ネフロン<nephron>=腎臓の個々の腎小体とそれに連なる細尿管とを合わせて
いう。腎単位。
○粘液<ねんえき>=ねばねばした液。
○燃焼血腫<ねんしょうけっしゅ>=頭部に高熱が作用した場合、頭蓋骨の内側に
血液が熱凝固したもので、チョコレート様でもろく、頭部外傷に
基づく硬膜外血腫と区別されるべきもの。
○粘稠液<ねんちょうえき>=ねばねばした濃い液体のこと。
○捻髪音<ねんぱつおん>=髪を手で捻ったとき発する音という意味で、皮下気腫が
ある場合や、肺を剔出して手で圧すると「ズクズク」というような音
を発することをいう。病的な呼吸音のひとつ。
○粘膜<ねんまく>=口腔、消化腺、気道、泌尿生殖器等の内面をおおっている
柔らかい湿った膜。
の
○ノイローゼ<neurose>=人の心の病気のうち精神病以外の精神的なものが原因と
なっている神経機能の疾患を一般的にノイローゼという。
医学的には不安神経症、強迫神経症、離人神経症、運動性神経
症、ヒステリー、分裂症反応症、抑鬱反応症等をいう。
○脳<のう>=外胚葉から発生する神経管の前端が発達したものでその続きの脊髄
と共に中枢神経系を構成する。
重さは新生児で400g、成人で1300gから1400gであり大脳、脳幹
(上から中脳、脳橋、延髄)、小脳に区分される。
脳は頭蓋骨腔にあって、周囲は脳膜(軟膜、蜘蛛膜、硬膜)に包ま
れ、その間隙および脳室には髄液がある。種々の中枢(知覚、運
動、視覚、聴覚、臭覚、味覚、呼吸、心臓中枢)等があり、12対の
脳神経を出す。
※大脳=脳の大部分を占める。表面の灰白色の部を大脳皮質、内部の白質
部を大脳髄質と呼ぶ。大脳は前端から後方にかけて中央部に溝が
あり溝の右側を右半球、溝の左側を左半球と呼び更に脳の上面を
頭頂葉、脳の前部を前頭葉、脳の右側面を右側頭葉、脳の左側面
を左側頭葉、脳の後部を後頭葉と呼称する。
※脳幹=脳の幹をなす部分で大脳および小脳を除く部分の総称で上から中
脳、脳橋、延髄等からなる。
#中脳=間脳の後方に続き、小脳および脳橋のある部分で視覚や聴覚等
に関係する。
#脳橋=中脳と延髄との間にあって、第4脳室の底の一部をなし、左右小
脳半球を腹方で連ねる橋状に見える部。
#延髄=脳の最下部に位置し、脳橋の直下で脊髄の上にすぐ続く部分。
※小脳=大脳の後下方にあって腹方は延髄、脳橋に連なる。左右の半球に
区分され、生理作用は運動の調整に当たる。
※脳梁=左右の大脳半球の互いに相接する皮質の間を結ぶいわゆる交連
繊維の集まりで半球間裂の底部をなす白色の厚い板。
※脳下垂体=脳下面にある内分泌器官。
○脳溢血<のういっけつ>=脳動脈が硬化し、脳組織内に出血する疾患で卒倒して死
に至り、また回復しても半身不随となったりする。
○脳回<のうかい>=大脳のシワ。
○脳弓<のうきゅう>=脳内の神経線維の束。
○脳弓脚<のうきゅうきゃく>=脳弓の一部。
○脳弓柱<のうきゅうちゅう>=脳弓の一部。
○脳血栓<のうけっせん>=脳動脈の内腔が狭くなり、そこを流れる血液量が減少す
るため、その流域の脳組織が局所的に虚血に陥って、変性壊死を
起こし、その部分の機能が消失した状態。原因としては脳動脈硬
化症、嚢状動脈瘤破裂、髄膜血管性梅毒、外傷等がある。
症状は、めまい、記憶力低下、痴呆などが前駆症としてあり、多くは
一過性脳虚血発作である。
○脳梗塞<のうこうそく>=心臓病などと関係が深く、心臓内に生じた血栓が脳に
流れてきて脳の血流を止めてしまう状態で、突発的に痙攣を
起こしたり意識を失ってしまう。
○脳硬膜<のうこうまく>=脳膜のひとつで、頭蓋と脳の間にある最外層の膜。
○脳挫傷<のうざしょう>=頭部打撲等によって生ずる脳実質の損傷をいう。頭部
に損傷がなくてできるものと、頭部の損傷に伴ってできるものと
がある。
○脳死<のうし>=定義「脳死とは、大脳及び脳幹を含めた脳全体の不可逆的な
喪失をいう」とされている。(日本医師会生命倫理懇談会の最終
報告)。
脳死状態に陥るとそのまま放置すれば、生命維持装置をつかさ
どる脳幹の死によって呼吸中枢が停止し、早晩心臓死に至る。
しかし、人工呼吸器等の発達により人工的に呼吸及び循環機能
が維持され、一定期間体温や脈搏を保ち得る状態が出現するこ
ととなった。これがいわゆる脳死状態である。
○脳実質<のうじっしつ>=脳そのもの。俗称「脳みそ」。
○膿汁<のうじゅう>=膿瘍内の「ウミ」。
○脳出血<のうしゅっけつ>=脳内の血管が破綻して、脳実質が圧迫、浸潤、破壊さ
れることによって発症する。
原因としては脳動脈の破綻によるもの(高血圧症を伴う動脈硬化
症)、動脈瘤、または血管腫等の血管形成異常、白血病あるいは
血小板減少性紫斑病、中毒、急性脳炎等がある。
症状は、前駆症状を伴わず、突然発作が始まり、激しい頭痛、悪
心、嘔吐、痙攣を持って始まる。
○脳神経<のうしんけい>=12対あって脳底から出ている。
①嗅神経=嗅覚-嗅覚部の粘膜
②視神経=視覚-眼の網膜
③動眼神経=運動-上斜筋・外直筋以外の眼球筋
④滑車神経=運動-上斜筋
⑤三叉神経=知覚・味覚-運動-鼻・舌・口腔などの粘膜。虹彩、歯・
側頭・上顎・下顎の皮膚
⑥外転神経=運動-外直筋
⑦顔面神経=運動-顔面筋と舌
⑧内耳神経=聴覚-蝸牛管(かぎゅうかん)と前庭
⑨舌咽神経=味覚-運動-舌根と咽頭の粘膜
⑩迷走神経=知覚-運動-咽頭・食道の粘膜。喉頭筋。胸腹の内臓
⑪副神経=運動-胸鎖乳頭筋・僧帽筋
⑫舌下神経=舌筋と前頸筋
○脳震盪<のうしんとう>=頭部に対する外力の作用(頭部打撲、外傷、衝突、墜落
等)直後意識を失う等、脳組織に一定の影響の及ぶときに突発す
る一時性の脳障害。
失神、めまい、耳鳴り、頭痛、逆行性健忘などの症状が起きるが
数分後から数時間以内に回復して、なんら異常を残さないもの。
○脳髄<のうずい>=脳の正式名称。
○脳脊髄液<のうせきずいえき>=蜘蛛膜下腔に存在する液体で脳や脊髄を
浸している。
○脳塞栓<のうそくせん>=動脈硬化症ないしリウマチ性心疾患に続発する心房細動
の結果、心臓内にできた血栓が剥離し血流を介して脳に至り、脳血
管を閉塞して起こすことが最も多いが、心筋梗塞を起こした際にで
きた左心室内膜上の凝血なども原因する。
○脳卒中<のうそっちゅう>=主に脳梗塞、脳出血、蜘蛛膜下出血などがあり、脳動脈
硬化による脳血管障害によるもの全般をいう。
○脳底<のうてい>=脳の底を頭蓋骨に接した部分。
○脳軟膜<のうなんまく>=脳膜のひとつ。
○脳の外側溝<のうのがいそくこう>=外側大脳裂(シルビウス溝)。
○ノーパニック症候群<no panic しょうこうぐん>=潜水(素潜り)時の事故の原因のひと
つ。血液が高度の酸素不足なのに息苦しさを感じることなく意識を
失ってしまう状態。潜水前に深呼吸を必要以上に繰り返すことによ
り、血液中の二酸化炭素が減少し過ぎて起こる。
○脳皮質<のうひしつ>=脳の表面を被う層。
○脳表面<のうひょうめん>=脳の表面。
○脳浮腫<のうふしゅ>=脳が腫れること。
○脳膜炎<のうまくえん>=細菌などが入ったため脳膜に炎症を起こすこと。
○脳梁<のうりょう>=大脳縦裂の底部で、左右の大脳皮質の対称部間を連結
する線維。
○ノボカイン<novocaine>=塩酸プロカインの商標名。最もよく使用される局所麻酔剤
のひとつ。
○ノルアドレナリン<noradrenaline>=副腎髄質から分泌されるホルモン。血管収縮や
血糖量増大などの作用を持つ。交感神経では化学伝達物質として
働いている。
は
○パーキンソン病<parkinson びょう>=錐体外路系脳疾患のひとつ。イギリスの病
理学者パーキンソンが1817年に記載した。筋硬直とふるえ、運動
緩徐を主徴とし、中年以降に多い原因不明の変性疾患。
○バージャー病<buerger びょう>=四肢主幹動脈に起こる慢性閉塞性血栓血管炎。
局所の疼痛、間欠跛行、局所の壊死などが見られる。青壮年男
性に多い。
○肺<はい>=胸の両側にある呼吸器官。=肺臓
○肺炎<はいえん>=気管支先の肺胞組織が細菌等に侵されて酸素の供給が不足
する病気で、発熱して食欲がなくなり、呼吸、脈搏が多く顔色が悪
くなる。顔面、爪、唇にチアノーゼがあることが多い。
○バイオセラミックス<bioceramics>=人工骨。人工歯根などに用いるセラミックス。
異物反応がなく、丈夫で加工しやすいことが必要である。
○バイオテクノロジー<biotechnology>=生物の行なう化学反応を、工業的に利用し
ようとする技術。アミノ酸の合成、発酵産業、また農業では新品種
の育成などにも利用されている。生命工学ともいう。
○バイオプシー<biopsy>=病気を確定するために生体から組織の一部を切り取って
検査する方法。リンパ節、肝臓、腎臓、癌組織などについて行なう。
生検。
○バイオリズム<biorhythm>=生命の活動を通して、肉体・感動・知性などにあらわれ
る一定の周期を持った律動。
○灰褐色<はいかっしょく>=灰色を帯びた褐色。
○肺下葉<かいかよう>=肺の下部。
○肺気腫<はいきしゅ>=呼吸細気管支または肺胞壁の拡張あるいは破壊によって
終末気管支より抹消の容積が異常に増大した状態。
成因は明らかでないが呼吸細気管支の慢性の炎症による浮腫、
腫脹、分泌液の貯留、次いで呼吸性の気道閉塞により二次的に
肺胞壁が破壊融合して、抹消容積の増大をきたすといわれる。
○肺静脈<はいじょうみゃく>=左右の肺から2本ずつ出る静脈で、酸素を含んだ血液
を心臓左心房に運ぶ血管。
○肺水腫<はいすいしゅ>=肺胞中に多量に漿液がたまって膨張するもので、泡沫
を含む喀痰を出し呼吸困難等をきたす。慢性心栓患者に多い。
○排泄<はいせつ>=不要物や老廃物を体外に出すこと。
○肺尖区<はいせんく>=肺の最上部で鎖骨の下部にある。
○肺尖後枝<はいせんこうし>=左上葉気管支の枝。
○肺臓<はいぞう>=ほぼ円錐形の器官で左右一対あり、縦間を挟んで相対し、胸腔
の大部分を満たす。左肺は上下2葉に右肺は上中下3葉に分かれ、
右肺は左肺より容積が約10%大きい。
○肺底<はいてい>=肺の下部で横隔膜に接する面。
○肺動脈<はいどうみゃく>=右心室を出て左右の肺に入る血管。
○ハイヒール病<hibhheeled shoes びょう>=足に合わない靴を履き続けることで生
ずる足の痛みや変形。ハイヒールをはく女性に多く、親指が外側
へ変形する外反拇趾などがある。
○パイプカット<pipe cut>=男性の避妊手術のひとつ。輸精管の結紮・切除により、
妊娠させる能力を失わせる手術。
○肺浮遊試験<はいふゆうしけん>=嬰児死体の生、死産を決定する試験法。
生産児は呼吸を行なっているため肺細胞の中に空気が入って
降り、肺を剔出して水中に入れると浮く。
○肺胞<はいほう>=気管の項参照
○肺門<はいもん>=肺の内側で、気管支枝の入るところ。この部分に肺門リンパ節
がある。
○肺葉<はいよう>=右肺は上・中・下の三葉、左肺は上・下の二葉。
○ハイリスクグループ<high risk group>=エイズに感染する危険性が高い群。
○肺肋膜<はいろくまく>=肺の表面を覆っている薄い膜。=胸膜・肋膜
○薄筋<はくきん>=大腿内側の筋。
○白血球<はくけっきゅう>=血液の項参照
○縛傷<ばくしょう>=縛りつけられた傷痕。
○白色血栓<はくしょくけっせん>=豚脂様凝塊の項参照
○薄層<はくそう>=うすい層。薄層→中等層→厚層 (薄層の出血)
○剥脱<はくだつ>=はがれ取れている状態。(表皮剥脱)
○剥離<はくり>=はがれ離れている状態。(筋肉剥離)
○破砕<はさい>=組織が破れくだけること。
○麻疹<はしか>=潜伏期は10日あまりで、発熱、咳、結膜炎、口腔粘膜の白斑等
の症状の後、3~4日すると一度下がって熱が再び上がり、同時
に皮膚に発疹が出る。発疹は暗紅色斑状丘疹で2日ぐらいで最
高となり、次第に褪色する。時に意識混濁や痙攣を起こす。
ウイルスの飛沫感染によって起こる。
○破傷風<はしょうふう>=細菌が傷口から入って起こる病気。テタヌスの項参照
○バセドー病<basedow びょう>=甲状腺機能亢進症の代表的疾患。特に眼球突出
と甲状腺腫を伴う場合をいう。基礎代謝が亢進し、食欲の異常亢
進を示すが、体は痩せてくる。心悸亢進、発汗、手の震え、眼球突
出などを伴う。
例えていうと、体の中の燃料が勢いを増して燃えていく状態である
から熱が過剰に発生する。このため患者は暑がりで、冬は比較的
楽であるが夏は堪え難い。
○破綻<はたん>=やぶれほころびること。
○バチルス<bazillus>=桿菌の総称。また、細菌の通称。
○バッカル<buccal>=飲み込まないで口に含んだままで粘膜から吸収させる錠剤。
○髪際<はっさい>=髪のはえぎわ。
○発疹チフス<はっしん typhus>=潜伏期は10~20日で突然発熱し、頭痛を訴え、
眼に充血がくる。4日目頃から赤褐色の発疹が、顔面を除きほと
んど全身に出てくる。
顔つきはぼんやりとし、時に狂躁状になる。病原菌はしらみによっ
て媒介される。
○バッドキャリー症候群<budd chiari しょうこうぐん>=肝静脈または下大静脈の肝
臓近傍部分の閉塞に起因する疾患。腹痛、嘔吐、肝腫大などの
症状をきたし、肝不全により死亡する。原因は不明のことが多い
が腫瘍による圧迫炎症や外傷によって起こる場合もある。
○巾広軟性索状物<はばひろなんせいさくじょうぶつ>=絞めるのに使われた物が、
巾の広い柔らかい布様の物の場合の表現。
○バビンスキー現象<buvinsky げんしょう>=泥酔者が脳内出血患者かを一応判別
する方法。足の裏の外側の方を万年筆の頭のような固くなめらか
なもので踵の方からこすり上げると脳内出血者はゆび先が開き反
対側にそる。
○パラコート剤<paraquat ざい>=除草剤の一種。植物の茎や葉に薬物がかかると、
そこのできる過酸化物によって細胞が急に破壊され枯れる。
わが国では、畑や水田の雑草用に広く使用されていた。元来は商
品名。人体に対しても強い毒性を持ち、誤飲、自殺による死亡事故
や、犯罪目的にこれを用いた事件などが、数多く起きている。
○パラチフス<paratyphus>=パラチフス菌によって起こる感染症。症状は腸チフス
に似るが、より軽傷である。潜伏期は5~6日で腸チフスより発病が
急である。
○パラノイア<paranoia>=精神病のひとつ。論理的には一貫した妄想を抱く。行動、
思考は秩序が保たれている。偏執病。
○パラメディカル<paramedical>=医師の仕事を補助する職種。また、その職種の人。
看護士、放射線技師、臨床検査技師、理学療法士など。
○バリウム<barium>=アルカリ土類元素のひとつ。元素記号Ba原子番号56.銀白色
の延性に富む柔らかい金属。水と激しく作用して水素を発生し、空
気中で熱すると緑色の炎を上げて燃え酸化バリウムとなる。
合金材料として用いられる。硫酸バリウムは胃腸管のX線診断に際
して造影剤に用いられる。
○バルトリン腺<bartholin's せん>=大前庭腺。膣前庭部にあり、性交時に粘液を分
泌する。発見者のデンマークの解剖学者の名から。
○バルビツール酸<barbituric さん>=マロン酸と尿素の結合した化合物。睡眠剤、
鎮静剤として使用される。
商品名、パルビタール、ベロナール、アドルムなど。
○破裂<はれつ>=やぶれ、さけること。
○ハロセン<halothane>=全身麻酔薬の一種。揮発性で吸入麻酔薬として用いられ
る。単独で使用されることは少なく笑気ガスと併用されることが多
い。ハロタン。
○パロチン<parotin>=唾液腺ホルモン。薬剤として、唾液腺機能の低下によるとさ
れる諸症状(筋無力症、胃下垂、歯槽膿漏、更年期障害)に適用
される。
○反回神経<はんかいしんけい>=右は鎖骨下動脈を、左は動脈弓を回る迷走神経
の枝。
○半月神経節<はんげつしんけいせつ>=
○半腱様筋<はんけんようきん>=大腿後面にある筋。膝を曲げ、かつ内転する。
○瘢痕<はんこん>=皮膚面の腫瘍や傷などが治癒したあとに残った痕跡。
○犯罪死体<はんざいしたい>=死因が犯罪に起因している死体。
○ハンセン病<hansen びょう>=ライ菌の感染によって皮膚や神経が侵される慢性感
染症。かつては不治の病とされたが現在では治療法が発達し、発
病はほとんど見られない。
癩菌を発見したノルウェーの医学者G.H.A.ハンセンの名から。
○ハンターラッセル症候群<hunter russel しょうこうぐん>=慢性の有機水銀中毒。
種々の神経症状が出現する。水俣病にみられる基本症状。
○バンチ症候群<banti's しょうこうぐん>=鬱血性脾腫を主症状とする症候群。
原因は肝静脈または門脈の狭窄による門脈圧亢進であり、
貧血症状や出血傾向で初発することが多い。
○反跳弾<はんちょうだん>=他に当たってから跳ね返ってきた弾。
○ハンチントン舞踏病<huntington's ぶとうびょう>=優性遺伝する進行性の脳萎縮。
舞い踊るように手足がくねるように動いてしまう不随意運動と、
性格変化・知能低下をきたす。
アメリカの医師G.S.ハンチントンが、祖父・父・子と三代にわたっ
て観察し、記述したところからの名称。
○バンパー創<bumper そう>=自動車がヒトと接触したときに、バンパーがヒトの下腿
等に当たってできる表皮剥脱、皮下出血、筋肉内出血、骨折あるい
は裂創等の損傷。バンパーの高さに一致し、成人では下腿、子供
では大腿等に見られる。
○半膜様筋<はんまくようきん>=大腿後面にある筋。膝を曲げる。
ひ
○ヒーメン<hymen>=処女膜。ギリシャ神話の結婚の神ヒュメーンに由来。
○皮下気腫<ひかきしゅ>=空気が皮下の組織内に侵入したもので、押すと「グズグ
ズ」というような音がする。外表に創傷がない場合でも、肋骨骨折
によって骨折端が肺に刺さり、または胸部刺創で肺や気管を損傷
した場合に見られる。
○被殻<ひかく>=大脳基底核のひとつ。
○皮下脂肪組織<ひかしぼうそしき>=皮膚の最下層と筋肉との境に層状に貯えられ
ている脂肪組織で栄養分の貯蔵と同時に体温の発散を防いでいる。
○皮下出血<ひかしゅっけつ>=鈍体が人体に作用した場合、皮膚が破れずにそこの
皮下組織が挫砕し、小血管が断裂し皮下に出血したもの。
鈍体による損傷としては最も軽いもので普通あざと呼ばれ、出血量
が多いとこぶのように腫れあがって皮下血腫となる。しばしば表皮
剥脱や血痂を伴い、あるいは皮膚が挫砕されるが、これを打撲傷と
通称し生活反応のひとつとされている。
皮下出血は一見死斑と似ているが、死体の下表以外の処にも認め
られ指圧を加えても褪色せず、また、メスで切ると凝血があり死斑と
区別できる。創傷の項参照
○皮下組織<ひかそしき>=皮膚の項参照
○皮下剥離創<ひかはくりそう>=デコルマン創参照
○眉弓<びきゅう>=眉毛の生えている高い部分。
○髭・髯・鬚<ひげ>=くちひげ・あごひげ・ほおひげ
○肥厚<ひこう>=肥えて厚くなっている状態。
○鼻腔<びこう>=鼻孔、鼻中隔によって左右に分かれ、各腔に上鼻道・中鼻道・下鼻
道があって、最上部の粘膜に嗅覚神経が分布している。びくう。
○腓骨<ひこつ>=下腿部後側の骨。
○鼻骨<びこつ>=頭蓋骨のひとつで鼻根部の支えとなる。
○尾骨<びこつ>=脊椎の項参照
○腓骨筋<ひこつきん>=下腿部ふくらはぎの筋肉。足を下方に曲げる。=朧腹筋
○腓骨体<ひこつたい>=下腿外側にある骨。
○鼻根筋<びこんきん>=鼻根部にある筋。
○鼻根部<びこんぶ>=鼻のつけ根。両眼の間の狭いところ。
○膝関節<ひざかんせつ>=しつかんせつの項参照
○肘<ひじ>=ちゅうとうのこと。
○皮質<ひしつ>=臓器の外側に近いところの組織。
○ピシバニール<picibanil>=薬品名。抗悪性腫瘍溶連菌製剤。溶血清連鎖球菌を
ペニシリンで処理して作る。消化器癌や甲状腺癌、肺癌に適用さ
れる。
○微小<びしょう>=極めてわずかである状態。
○尾状核<びじょうかく>=大脳基底核のひとつ。
○尾状葉<びじょうよう>=肝臓下面に属する肝臓の一部分。
○皮色<ひしょく>=皮膚の色。
○鼻唇溝<びしんこう>=上口唇の中央、鼻の下にある溝。=人中・鼻下溝
○ヒスタミン<histamine>=アミノ酸のヒスチジンから精製する物質。平滑筋臓器の
収縮、血圧の降下、胃液などの腺分泌の亢進を起こす。
○ヒスチジン血症<histidinemia けっしょう>=アミノ酸の一種、ヒスチジンの血中濃度
が上昇する遺伝性疾患。言語障害、軽度の遅鈍、成長障害が問題
とされる。
○ヒステリー<hysterie>=身体的に異常はまったくないのに精神的な原因で現れる病
的症状。心理的葛藤を病気になることによって逃避したいという気
持ちが、肉体的症状を無意識に現すもの。また、感情を抑えること
ができず、病的に泣きわめいたり、怒ったりすること。
○皮切<ひせつ>=皮膚に切創を加えること。
○鼻尖<びせん>=鼻の先端、鼻先。
○脾臓<ひぞう>=胃の左後方にある暗赤色球形の内臓器。主として白血球の一部を
作り、古くなった赤血球、白血球を破壊するなどの機能を持ってい
る。
○肥大<ひだい>=太り大きくなること。
○ビタミン<vitamin>=食物中に微量に存在する生理的に重要な要素で、動物の体内
では性合成されず、栄養として摂取しなければならない有機物の総
称。生理作用や発見順にA,B,Cなどと名ずけ、更にB1,B2などと
細かく分ける。
Vita(生命)に必要なamine(アミン)の意。
※A =脂溶性ビタミンのひとつ。動物の肝油・卵黄・バターに多く含まれる。
欠乏症は、乾燥性眼疾(角膜乾燥症・角膜乾化症)と幼動物の成長
停止、夜盲症など。
※B =かつて神経炎と成長不良に効くビタミンをさした語。
※B1 =水溶性でビタミンB複合体のひとつ。米糠などから抽出。抗神経炎、
抗脚気性因子。オリザニン
※B2 =水溶性でビタミンB複合体のひとつ。成長促進因子の効果がある。
牛乳・肝臓などに多く含まれ、妊娠、授乳時には多量に必要。
※B6 =水溶性でビタミンB複合体のひとつ。酵母・米糠などに多く含まれ
る。抗皮膚炎因子のひとつ。アレルギー、放射線障害などに投与さ
れる。
※B12 =水溶性でビタミンB複合体のひとつ。欠乏症は悪性貧血。
※B複合体=かつてビタミンBと呼ばれていたが、多くの成分の混合物である
ことがわかり、B複合体と呼ばれるようになったもの。
B1,B2,B6,B12,B13,ニコチン酸、パントテン酸、ビオチンなどの
混合物。
※C =水溶性ビタミンのひとつ。欠乏症は壊血病。レモン・唐辛子・大根・
野菜類・果物・緑茶に存在。食品、また分析用試薬にも用いられる。
アスコルビン酸。
※D =脂溶性ビタミンのひとつ。魚肝油・動物内臓・卵黄・バターなどに多く
含まれる。腸でのカルシウム、燐の吸収を促進し、骨格、歯牙のカル
シウム沈着を促すため、欠乏するとクル病になる。
※E =脂溶性ビタミンのひとつ。植物性の油脂・野菜に多く含まれる。
欠乏すると睾丸の発育不良、不妊、流産、受胎後の発育不良などが
おこる。
※K =脂溶性ビタミンのひとつ。抗出血性ビタミン。血中プロトロンビン値を
正常に保ち、血液の凝固作用を促進する。キャベツ・ほうれん草・肝
油・肝臓に多く含まれる。
※M =水溶性ビタミンのひとつ。ビタミンB複合体の構成要素。ほうれん草
・酵母・肝臓などに含まれる。この欠乏症は貧血。
※P =水溶性ビタミンのひとつ。毛細血管の抵抗力を高め、その透過性が
高くなりすぎるのを防ぐ因子。
○鼻柱<びちゅう>=鼻ばしら。
○鼻底<びてい>=鼻の口蓋に対する面。
○非定型的縊死<ひていけいてきいし>=縊死の項参照
○ヒトインシュリン<ひと insulin>=遺伝子工学により大腸菌で合成されるヒトのイン
シュリン。動物のインシュリンと異なりアレルギーの恐れがなく糖尿
病の治療に使用する。
○ヒドラジッド<hydrazide>=結核の治療薬のひとつ。イソニコチン酸ヒドラジッドのこと。
○皮内<ひない>=皮膚の内部。
○泌尿器<ひにょうき>=尿を生成、排出する器官で腎臓、膀胱、尿管、尿道からなる。
※腎臓=第11胸椎から第2腰椎の高さで、後腹膜に接して左右一対ある。
機能は尿の生成が主要であるが、血圧の調節、骨髄赤血球産生調
節も行なっている。
○鼻背<びはい>=鼻翼が正中線で出会うところ。はなすじ、鼻稜。
○微白濁<びはくだく>=わずかに白く濁っている状態。
○菲薄透明<ひはくとうめい>=薄い膜などがすきとおっている状態。
○ビフィズス菌<bifidus きん>=ヒトの腸内菌叢を構成している細菌。腸内感染防御
作用、免疫機能の増強などの機能があり、人の健康と密接な関係
を持つ。
○皮膚<ひふ>=体の表面を覆う組織。
表皮(角質層、胚芽層)-真皮(繊維性結合組織)-皮下脂肪層から
なる。付属物として、皮膚腺(汗腺・皮脂腺・耳道腺・眼視線・乳腺)、
表皮変形物(毛・爪)がある。
○腓腹筋<ひふくきん>=下腿後面の筋。足を下方に曲げ、かかとを上げる。
○腓腹筋外側頭<ひふくきんがいそくとう>=大腿骨外側上顆からアキレス腱に至
る筋。
○ビブリオ<vibrio>=桿状の細菌の一種。コレラ菌、病原性好塩菌(腸炎ビブリオ)など
が代表的。
○ヒポコンデリー<hypochondrie>=心気症。憂鬱症。
○皮膜<ひまく>=臓器を包む膜。
○飛沫<ひまつ>=飛び散った細かなしぶき。
○眉毛<びもう>=まゆげのこと。
○百日咳<ひゃくにちぜき>=百日咳菌の飛沫感染によって起こる。
潜伏期は1~2週間。咳が主で熱はほとんど無い。2週を過ぎると
咳が夜間に強くなり、発作的で嘔吐を伴う。続いて咳をした後で強
く吸気をするので、ヒューという音を発する。ひどい咳のため、顔が
むくんだり、出血を起こすこともある。
○表皮<ひょうひ>=皮膚の項参照
○表皮剥脱<ひょうひはくだつ>=鈍器が身体に擦過状に作用したとき表皮が剥がれ
てできる創をいう。表面に黄色い液が染み出たり、血がにじみ出て
血痂状を呈する場合もあり、擦り傷、あるいは擦過傷と通称する。
表皮は、皮膚の表面を覆っている薄い透き通った皮で体内の水分
の蒸発を守る役目をしている。従って、表皮剥脱が起こるとその部
分は他の部分より乾燥が進み、真皮が革皮化する。創傷の項参照
○表皮剥離<ひょうひはくり>=体の表面の皮膚がはがれること。
○漂母皮状<ひょうぼひじょう>=長時間水や湯につけておくと、手掌や足蹠等が白く
なって皺がよったようになった状態。溺死体に良く見られるが、長湯
でもできるように、溺死の特徴所見ではなく、死体でも半日以上水中
に投入されているとできる。
○漂流死体<ひょうりゅうしたい>=海や川に流れている死体。
○鼻翼<びよく>=鼻柱先端の左右のふくらんだ部分。いわゆる小鼻のこと。
○ヒラメ筋<ひらめきん>=下腿後面にある筋。足を下方に曲げ、かかとを上げる。
○糜爛<びらん>=ただれること。(青酸を飲んだ場合に口唇が糜爛する)
○ビリルビン<bilirubin>=胆汁色素の主成分をなす物質。橙黄色ないし赤褐色の結
晶。肝臓から排出され、黄疸のときの皮膚の黄染はこの物質に
よる。
○ピリン系薬物<pyrine けいやくぶつ>=解熱剤として用いられるピラゾロン誘導体
の別称。アンチピリン、アミノピリン、スルピリンなど。
一般にアレルギー性発疹や、動物実験により認められる発癌性な
どの副作用があるため、現在はあまり用いられていない。
○昼<ひる>=慣用語として使う場合は、11時から13時の間をいう。
○ピル<pill>=丸薬のことをいうが、飲む避妊薬の俗称。排卵を抑制し、避妊効果が
あるほか、月経を調節するのにも使われる。経口避妊薬。
○鼻涙管<びるいかん>=涙嚢からきた涙液を下鼻道に排出する管。
○ピルビン酸<pyruvic さん>=生体内でブドウ糖が分解して生じる物質代謝の重要な
中間化合物。濃度が高くなりすぎると有害となる。
○披裂軟骨<ひれつなんこつ>=喉頭にある軟骨。
○ヒロポン<philopon>=覚醒剤。塩酸メタンフェタミンの日本での商標名。乱用すると、
不眠・興奮・幻覚などの中毒症状があらわれる。
○貧血<ひんけつ>=血液中の赤血球または血色素が全身的に減少すること。皮膚
蒼白、めまい等を伴う。
血液中のヘモグロビン濃度が12g/dℓ以下の状態。
○貧血性<ひんけつせい>=血色素量が減少した状態。
○瀕死<ひんし>=死にかかること。死に臨むこと。(瀕死の重傷)
○ビンブラスチン<vinblastine>=抗癌剤のひとつ。日々草より抽出されたアルカロイド
で、絨毛性腫瘍や悪性リンパ腫に有効。
ふ
○ファイバースコープ<fiberscope>=グラスファイバーの透光性と曲折自在な点を利用
して作られた医療用内視鏡。4万~15万本のグラスファイバーを束
ね、両端にレンズを取り付けてある。
○ファイブFU<5-fiuorouracil>=抗癌剤の一種。癌細胞の代謝拮抗物質で、固形癌、
特に胃癌の治療に有効とされる。
○ファロー四徴症<tetralogy of fallot しちょうしょう>=先天性心奇形の一種。顔色が
青く、放置すれば大部分が若年で死亡する。手術により治療する。
フランス人の医師ファローによって詳細に記述されたところからの
名称。
○フィブリン<fibrin>=血液凝固に重要な役を果たす蛋白質。血漿中に存在するフィブ
リノーゲンがトロンビンの作用によって固体になったもの。
これが傷口を覆うため出血が止まる。
○フィラリア<filaria>=象皮病を起こす寄生線虫類の総称。体は細長く糸状で雌は約
80mm、雄は約40mm。人体ではまれにリンパ管やリンパ腺に寄生
し、フィラリア症を起こす。蚊が中間宿主。
○プール熱<pool ねつ>=咽頭と眼にカタル症状を起こす病気でアデノウィルスが原
因。水泳プールを介して流行することが多いところからの名。咽頭
結膜熱。
○フェニルケトン尿症<phenylketonuria にょうしょう>=精神薄弱のひとつ。
フェニルアラニンの代謝異常により脳神経が侵されるもの。劣性遺
伝をする。尿臭(鼠の尿臭)や体臭が異常であるのは、フェニルピル
ビン酸やフェニル酢酸のためで、症状は、メラニンの欠乏から赤毛、
色白の皮膚になる。フェニルアラニンの蓄積から中枢神経系のアミ
ノ酸代謝の異常、ドーパミン及びノルアドレナリンの脳における欠乏
などから、てんかんや知能低下などの症状があらわれる。
○フェノバルビタール<phenobarbital>=バルビツール酸誘導体。中枢神経系を抑制
し、催眠作用や鎮静作用を有する。抗てんかん薬にも用いる。
○フェロモン<pheromone>=動物が体外に分泌し、同種の他個体に対して何らかの
情報を伝達する化学物質の総称。哺乳類、魚類、昆虫などで知ら
れている。異性を誘引する性ホルモン、危険を知らせる警戒物質、
同種の動物を呼び寄せる集合フェロモンなどがある。
○俯瞰<ふかん>=みおろすこと。(俯瞰撮影)
○腹横筋<ふくおうきん>=腹筋群のひとつ。
○復顔法<ふくがんほう>=白骨頭蓋骨に粘土で肉付けを行ない、その人の生前の
顔貌を復元する方法。
○腹腔<ふくくう>=胸腔と横隔膜によって隔たれた、胃、腸、肝臓、脾臓、腎臓、その
他生殖器官等を入れる部分。
○腹腔概観<ふくくうがいかん>=腹腔内のおおよその状態を見ること。
○伏在神経<ふくざいしんけい<=大腿神経の枝。大腿から下腿にかけて存在する。
○複雑骨折<ふくざつこっせつ>=骨折の項参照
○腹上死<ふくじょうし>=外観上まったく健康な者が性交中、急に「ウーン」と唸ったり
して急死することで、頓死のひとつである。
○副腎<ふくじん>=腎臓の上端に接してある内分泌器官。アドレナリンとコルチコステ
ロンを分泌する。
○副神経<ふくしんけい>=脳神経のひとつ。
○腹水<ふくすい>=腹腔に貯留する液体。
○腹大動脈<ふくだいどうみゃく>=大動脈の項参照
○腹直筋<ふくちょくきん>=腹筋群のひとつ。胸郭を引き下げ、脊柱を前屈させる。
○腹直筋鞘<ふくちょくきんしょう>=腹直筋を入れる鞘。
○副橈側皮静脈<ふくとうそくひじょうみゃく>=手背の静脈網から起こり、前腕神経
を通り前方へ向かう。
○腹壁<ふくへき>=腹部の皮膚、皮下組織、腹筋、腹膜の総称
○腹膜<ふくまく>=腹腔内の臓器を包んでいて、腹壁に接する膜。
○腹膜炎<ふくまくえん>=腹の内側を覆っている膜が炎症を起こす病気。
○ブジー<bougie>=消息子(ゾンデ)に似た円筒形の器具。鼻涙管、尿道、直腸など
人体の管状の部位に挿入し、狭窄の診断や治療に用いる。
○浮腫<ふしゅ>=主に、皮下組織に異常に多量のリンパ液、漿液がたまった病的
状態。心不全、腎臓障害、脚気等から起こりむくむこと。
心臓衰弱、鬱血腎臓障害などが起こる。病理的には急性のものを
浮腫、慢性のものを水腫といっている。
○腐蝕<ふしょく>=金属が化学作用でおかされること。
○不整形<ふせいけい>=形が整っていない状態。特定の形を示さない形状。
○払拭<ふっしょく>=払いぬぐうこと。(汚れを払拭する)
○腐敗臭<ふはいしゅう>=死体が細菌によって分解され生じる悪臭。
○腐敗網<ふはいもう>=死体の腐敗現象。春秋で死後48時間位から現れてくる。
血色素が静脈壁を透過して周囲の組織に浸透し、樹枝状の変色
部が出現する常態。赤色から青緑色へと変化していく。
○ブフェキサマック<bufexamac>=非ステロイド系抗炎症剤。副作用が少なく湿疹、
皮膚炎などに用いる。
○フマル酸ケトチフェン剤<fumarate さん ketotifen ざい>=アレルギー疾患治療剤。
気管支喘息、アレルギー性鼻炎などの予防に用いられる。
○浮遊試験<ふゆうしけん>=嬰児死体が生産か死産かを判断するため、肺の一部
を切り取り水に浮かす試験。肺浮遊試験の項参照
○プラシーボ<placebo>=偽薬。外観、味、匂いなどは同一で、主薬を含まない無効
力の薬剤。薬物療法において、患者の心理的影響と真の薬効を区
別するために与えられる。
○プラジオマイシン<fradiomycin>=アミノグリコシド系抗生物質。眼疾患や腸管感染
症などに用いられる。副作用が強い。
○ブラジキニン<bradykinin>=血圧調節及び炎症発現に関与するペプチド。
血清タンパクの一部の組織が障害された結果遊出してくる酵素(カリ
クレイン)によって分解されて生じる。血管拡張、毛細血管の透過性
亢進による浮腫等を起こすが強力な排痛物質としても知られている。
○フラストレーション<frustration>=心理的要求が外部の条件によって妨げられる状
態。欲求不満。
○ブラックアウト<blackout>=記憶喪失、または意識を失うこと。一時的機能停止。
○フラッシュバック現象<flashback condition げんしょう>=シンナーや覚醒剤の中毒
の後、薬物なしでもストレスなどで幻覚や妄想が起こる現象。
○プランクトン<plankton>=川、池、海を問わず、水面または水中にも浮遊して生活
する生物全体をいうが死体観察上問題とするのは、「珪藻類」と呼
ばれるいわゆる浮遊微生物である。顕微鏡でなければ判らないよ
うな微小なもので、いかなる水中にも浮遊していること、種類が非常
に多くて地域ごとの特徴があること、さらに骨格が無機質でできてい
ることなどの特徴から捜査に利用されることとなる。
溺死の疑いある死体においては、肺、肝、腎、骨髄などからプラン
クトンを検出できれば確定診断になるので相当古い死体でも死因
決定に役立つ。
○フリードライヒ病<friedreich びょう>=高度の運動失調を主症状とする遺伝性疾患。
10~20代に多く、不治。遺伝性脊髄性運動失調症。
○ブリミア<bulimia>=過食症。自らの意思で摂食をやめることができないこと。
思春期に多く見られる。
○フルンケル<frunkel>=せつ。一個の毛包及びその周囲にブドウ球菌が侵入して起
こる皮膚の炎症。毛包に一致して赤く主張し、疼痛を伴う。
○プロゲステロン<progesterone>=女性ホルモン。卵巣の黄体から性周期後半や妊
娠時に分泌され、子宮を分泌期にしたり、妊娠の維持に働いたり
する。
○プロジェリア<progeria>=成長障害を示す遺伝性疾患。若年であるにもかかわらず、
身体、特に顔貌が老人的なものに変化してしまう。
若年死が多く死因は循環器障害。
○ブロック療法<block りょうほう>=神経痛、癌性の疼痛などに対する対処法の一種。
疼痛部位から上行する知覚神経の神経節に局所麻酔薬やアルコ
ールを注入して神経連絡を途絶させて痛みを除去する。
○プロトロンビン<prothrombin>=血漿中に存在し、血液凝固に関与する物質。トロン
ボプラスチン等の働きにより、トロンビンになる。
○ブロバリン<brovalin>=ブロムワレリル尿素の商標名。中枢抑制作用を示し、鎮静
及び催眠の目的で使用される。副作用として習慣性があり、知覚異
常、精神機能の低下を招く。
○プロラクチン<prolactin>=下垂体前葉ホルモンのひとつ。作用は乳腺の発育促進、
乳汁分泌の開始、卵巣の黄体刺激作用、前立腺と精嚢腺の発育
促進など。分泌が多すぎると不妊症になる。黄体刺激ホルモン(LT
H)ともいう。
○分界線<ぶんかいせん>=骨盤腔で岬角から寛骨の内面を通り、恥骨結合の
上縁に引いた線。
○分岐部<ぶんきぶ>=わかれている部分。
○吻合<ふんごう>=ぴったりあうこと。
○粉砕骨折<ふんさいこっせつ>=骨折の項参照
○文身<ぶんしん>=入れ墨。刺青。皮膚の彫り物。
○分泌液<ぶんぴつえき>=分泌腺から分泌される液体。唾液、胃液などの消化液や
乳汁、汗、精液等を言う。
○分泌型<ぶんぴつがた>=分泌液の中に血液型物質を有し、血液型検査が可能な
もの。全人口の約75%が分泌型、不能なものを非分泌型という。
血液型の項参照
○分娩<ぶんべん>=子供を生むこと。=出産
○噴門<ふんもん>=胃の項参照
○分離<ぶんり>=分かれ、離れること。
○粉瘤<ふんりゅう>=皮下に発生する一種の腫瘤。内容は角化した上皮細胞、脂肪
類からなる。
○分裂病<ぶんれつびょう>=精神病の項参照
へ
○平滑<へいかつ>=平らでなめらかな状態。(表面平滑)
○閉鎖孔<へいさこう>=骨盤の恥骨と坐骨から作られた丸い孔で、中に閉鎖膜と
閉鎖管が見える。
○閉塞<へいそく>=閉じふさぐこと。(動脈閉塞)
○ベーチェット病<behcet's びょう>=膠原病の一種。皮膚に種々の発疹、口腔粘
膜や陰部粘膜にアフタ性潰瘍、目に葡萄膜炎や虹彩炎を起こす。
1937年にトルコの皮膚科医ベーチェットが報告した。
○米粒大<べいりゅうだい>=こめ一粒の大きさ。変色等の大きさを表す。
○壁側胸膜<へきそくきょうまく>=胸腔の壁を内張りとする胸膜。肋骨胸膜、縦隔
胸膜および横隔胸膜のこと。
○ペスト<pest>=ペスト菌に感染して起こる感染症。全身のだるさに始まって急に
寒気がし、高熱が出る。1週間程度で60~90%は死に至る。
野ネズミが主宿主でノミを介して人間に伝染する。黒死病。
○ペッサリー<pessary>=受胎防止用に膣内に挿入するゴム製品。子宮後屈症の
矯正にも用いられる。
○ペット感染症<pet かんせんしょう>=ペットからヒトに感染する疾患。鳥からの
オウム病、鳩の糞からクリプトコッカス症、猫の糞からトキソプラ
ズマ症等200種ぐらいが知られている。
○ペニシラミン<penicillamine>=慢性関節リュウマチに有効な抗炎症剤。
○ペニシリン<penicillin>=1929年イギリスのフレミングがアオカビから発見、命名
した抗生物質。特に肺炎、淋病に効果がある。
○ペニシリン・ショック<penicillin shock>=ペニシリンを使用したとき起こるショック。
薬を用いて5分以内にショック状態となって死亡することが多い。
○ペニス<penis>=陰茎。男根。
○ヘパリン<heparin>=肝臓、肺などにあり、血液凝固阻止作用を持つ物質。
○ヘマトクリット<hematocrit>=一定量の血液中に血球成分の占める割合を示す
比率。血液に抗凝固剤を加え、細長いガラス管に入れて沈殿させ
て調べる。貧血の検査に用いられる。
○ヘモグロビン<hemoglobin>=赤血球中に含まれている鉄を含有する赤色の色素
蛋白質。赤血球が酸素や炭酸ガスの運搬を行なうのは、この作用
による。血色素。
○ヘモフィリア<hemophilio>=血友病。出血傾向を特徴とする遺伝的疾患。血液凝固
因子が一部欠如する。
○ヘモロイド<hemorrhoid>=痔疾。肛門及びその周辺の病気の総称。
○ペラグラ<pellagra>=ビタミンB₂因子のうちニコチン酸が欠乏したために、皮膚
障害、消化器障害、精神神経障害を起こす病気。
○ベリベリ<beriberi>=脚気。全身倦怠感、動悸、息切れ、下肢のむくみ等が徐々
に進行する。ビタミンB₁の欠乏により起こる。
○ペルテス病<pertes びょう>=大腿骨骨頭の炎症により疼痛と跛行を起こす疾患。
男児に多く、治癒後もしばしば股関節の変形を残すことがある。
○ヘルニア<hernia>=体内の臓器が本来の部位から異常な位置に脱出した状態。
横隔膜ヘルニア、椎間板ヘルニアなどもいうが、狭義には鼠蹊部
または大腿部の腹壁の欠損部分から腹膜と共に腸管の一部が
脱出するものをいう。
○ヘルパンギーナ<herpangina>=ウイルスによって起こる咽頭炎の一種。高熱と
咽頭粘膜の発疹が特徴。乳幼児に多いが、特別な治療をしなくて
も一週間ほどで治癒する。
○ヘルペス<herpes>=疱疹。皮膚に小水疱がいくつか集まって群れをなして生ずる
もの。口唇や陰部にできる単純性疱疹と肋間神経や三叉神経の
走行に沿ってできる帯状疱疹とがある。
○ベル麻痺<bell's まひ>=顔面神経麻痺の一種。不完全な麻痺で、顔の片側が
突然ゆがむ。
○ヘロイン<heroin>=習慣性の強い麻薬。半合成のアヘンアルカロイド。薬用とし
て、鎮痛、鎮咳、呼吸鎮静などの目的に用いられる。
○ペントタール<pentothal>=チオペントタールナトリウムの別名。即効性の静脈麻酔
薬として用いられる。作用は強力だが、持続時間は極めて短い。
自白剤として利用されるといわれている。
○辺縁性変色<へんえんせいへんしょく>=中央部が蒼白で、縁や周囲が変色して
いること。墜落などで腕等を路面に強打した場合に路面に強打
した部分は蒼白でその縁が変色する。これをいう。
○辺縁性皮下出血<へんえんせいひかしゅっけつ>=損傷を受けた部分の周囲の
皮下に出血すること。
○変死体<へんしたい>=不自然死のうち異常死体を除き、死因が犯罪に起因す
る疑いのある死体をいう。
○弁状創<べんじょうそう>=刃物が人体に斜めに作用すると鋭角に作用した側の
皮膚がペラペラにまくれるようになっている創。
切創のひとつ、割創でもある。
○扁桃腺<へんとうせん>=一般に扁桃腺といわれるのは舌根の上外側方で下口
蓋弓の後方にある左右一対の楕円形の突出した器官。
淋巴腺のひとつ。
○弁膜<べんまく>=心臓の内部にある血の逆流を防ぐ役目をする膜。
○扁平骨<へんぺいこつ>=頭蓋骨のような内容物を保護する骨をいう。
ほ
○崩壊<ほうかい>=くずれること。
○防禦創<ぼうぎょそう>=犯人からの凶器等による攻撃を防ぐために出来た、腕
その他の創傷。
○包茎<ほうけい>=陰茎の包皮輪が狭くて亀頭を越えて反転することができないか、
又は困難なもの。
○方形葉<ほうけいよう>=肝円索と胆嚢の中間にある部分。
○剖検<ぼうけん>=解剖して検査すること。=開検
○縫合<ほうごう>=手術や外傷による組織の損傷を縫い合わせること。(縫合針痕)
頭蓋骨を構成する扁平骨の締結組織性連絡をいう。人字縫合、
矢状縫合、冠状縫合等がある。この縫合はおおむね15歳以下の
年齢では離開しており、歳をとるに従って縫合が閉じ塞がり、融合
していく。
※冠状縫合=頭頂骨と前頭骨間の冠状に走る骨縫合。
※矢状縫合=冠状縫合上部中央から後頭部方向に走る骨縫合。
※人字縫合=矢状縫合後端から左右に走る骨縫合。
○膀胱<ぼうこう>=泌尿器の項参照
○縫工筋<ほうこうきん>=大腿の全面を上外方から下内方に走行している細長い
筋肉。ももを内転し、かつ上方に上げる。
○縫合創<ほうごうそう>=創を縫い合わせた部分の傷。
○帽状腱筋<ぼうじょうけんきん>=頭頂部の皮膚と骨の間に張っている丈夫な
腱組織。
○紡錘状<ぼうすいじょう>=糸を紡ぐ錘状をした状態。円柱の両端を細くした形。
○抛物線状<ほうぶつせんじょう>=物を投げたときに描く線のような軌跡。
○泡沫<ほうまつ>=あわ。
○膨満<ぼうまん>=ふくれること。(腹部膨満)
○ボーマン嚢<capsule of bowman のう>=腎臓の皮質にあり糸球体を包む二重の嚢。
細尿管の末端が膨大したもの。糸球体と合わせて腎小体と呼ばれ、
尿生成のための濾過を行う。
○膨隆<ぼうりゅう>=ふくれあがること。
○琺瑯質<ほうろうしつ>=歯牙の項参照
○ポケット状空洞<pocket じょうくうどう>=打撃が皮膚面に加わることによって、その
部に裂傷が生ずると同時にその創底等にポケット状に皮膚が筋肉
骨から離れたもの。両創縁に均等にポケット状があるときは、打撃
は皮膚面に直角に作用し、片方の創縁にあれば、ポケット状の無い
方から力が作用したもの。
○拇指球<ぼしきゅう>=拇指の基節部のふくらんだところ。
○拇指頭面大<ぼしとうめんだい>=拇指の末節部から先端の面までの大きさ。
○ポックリ病<ぽっくりびょう>=東京都監察医務院で言い出されたもので、体格、栄養
ともに良好な、日常普通の生活をしていて一見健康そうな若い人
が、夜間、特に就寝中に「ウーン」と唸ったりしてポックリ死ぬものを
いう。
年齢幅はおよそ15歳から40歳にわたるが、20歳代が約60%を占
め、また男女の比率では男14に対して女は1の割合である。
解剖しても原因が発見できないが、死亡前、過労状態にあったこと
がこの死に共通している。「急性心機能不全」という診断名を用い
る。
○発赤<ほっせき>=外力の加わった部位の皮膚が赤色に発現すること。(生活反応
の一種)
○ボツリヌス菌<botulinus きん>=グラム陽性の芽胞を有する嫌気性桿菌。土の中や
海水中に住む。腸詰菌とも呼ばれ、毒素を産生し、缶詰や腸詰など
による食中毒の原因となる。死亡率が高く、毒素は青酸カリの30数
万倍。熱に対する抵抗力は弱い。
○ポリープ<poliep>=主として粘膜に発生する茸状の限局性隆起物。消化管に多い。
鼻茸、胃腸ポリープ、子宮粘膜ポリープはその典型。茸腫。
○ポリオ<polio>=ポリオウイルスによって脊髄の灰白質がおかされる感染症疾患。
幼児に多い。Pollomyelitisの略。
○ポリクリ<polyklinik>=大学病院で医学生が行なう外来実習。さまざまな疾患の多く
の患者を診察する。
○ポリペクトミー<polypectomy>=ポリープの切除術。胃や大腸などにできたポリープ
を内視鏡を使って高周波電流で焼き切る。
○ポリポージス<polyposis>=粘膜面に無数のポリープがび漫性に発生する疾患。
消化管、特に大腸粘膜に発生することが多く、血便や腹痛をきたし、
癌化することも少なくない。
○ホルマリン<formalin>=ホルムアルデヒド40~60%の水溶液。溶解性を高め重合を
防止するためにメチルアルコールも含まれている。
防腐剤、消毒薬に用いる。
○ホルモン<hormon>=動物体内の内分泌腺から生産分泌され、直接血液中に入っ
て他の器官に達し、その機能に作用を及ぼす物質の創傷。甲状腺、
上皮小体、膵臓、副腎、性腺(睾丸、卵巣)、下垂体、胸腺などから
それぞれ固有のホルモンが分泌される。
○本屍手拳大<ほんししゅけんだい>=死者の手拳と同じ大きさの意。心臓の大きさを
表すのに使う。
ま
○マイコプラズマ<mycoplasma>=細菌とウイルスの中間的な位置に分類される
多形性の微生物。現在、ヒトから分離されるもので病原性を有す
るものはマイコプラズマ-プネウモニエと呼ばれ、主として咽頭炎、
上気道炎、気管支炎、肺炎等をひき起こす。
○マイシリン<mycillin>=ストレプトマイシンとペニシリンの複合材である抗生物質。
肺炎や腹膜炎の治療に用いられる。
○マイトマイシン<mitomycin>=抗癌抗生物質のひとつ。東京都渋谷区の土壌の
放線菌から発見された。A、B、Cがあり、強い抗菌作用と、広ス
ペクトルの抗腫瘍活性がある。
○マウスユニット<mouse unit>=毒性を表す単位。体重19~21グラムのマウスを
死亡させるのに必要な量を1マウスユニットと定める。
○マクロファージ<macrophage>=大食細胞。白血球の一種で単球として流血中に
組織マクロファージとして全身の組織にある(網内系ともいう)。
異物に対する食作用が強力で、その抗原情報を免疫に与える
リンパ球に伝え、さらにインターロイキン1を分泌して免疫機能を
促進する。
○麻実大<まじつだい>=麻の実の大きさ、変色等の大きさを表す。
○麻酔<ますい>=局所または全身の知覚を薬によって一時鈍麻・消失させること。
○マスト細胞<mast さいぼう>=肥満細胞。即時型アレルギー反応に関係する。
気道や消化管など、体の中で外界と接している部分の粘膜や結
合組織に散在。免疫グロブリンEを結合しており、抗原と結合して
ヒスタミンやセロトニンを放出する。
○マゾヒズム<masochism>=肉体的・精神的な苦痛を与えられて性的満足を得る
異常性欲。転じて、一般的に、自虐的な傾向・性質をいう。
○末節骨<まっせつこつ>=手、足の末節にある骨。
○眦・眥<まなじり>=めじり、眼角(がんかく)ともいう。
○麻痺<まひ>=しびれて感覚が無いこと。神経や筋肉の正常な機能が停止する
状態、運動マヒと知覚マヒがある。
○麻薬<まやく>=鎮静、麻酔に使われる薬品。過度の使用により中毒症状や依存
症を起こす。阿片、モルヒネ、コカインの類。
○マラカイトグリーン<malachite green>=塩基性染料の一種。木綿、絹、レーヨン、
皮革などの染色のほか、ノリの消毒や魚の殺菌治療などにも用い
られる。劇物。
また、人血反応の判定に使用される。
○マラリア<malaria>=蚊により媒介され、マラリア病原虫に起因する感染症。
熱帯・亜熱帯地方に多く、固有の周期性高熱を繰り返す。
○慢性<まんせい>=症状はあまり激しくないが、長期にわたってなかなか治らない
ような病気の性質。(慢性肝炎)
○慢性肝炎<まんせいかんえん>=病態像は、ほとんど自覚症状のない例もあるが、
全身倦怠感、易疲労感、違和感を訴える場合が多い。
急性増悪時には急性肝炎と同様な食欲不振腹部不快感、嘔気、
嘔吐、発熱、皮膚黄染を伴うことがある。
肝腫大は約70%に認められ、硬度が増し、辺縁は鈍である。
増悪期には圧痛が認められる。手掌紅斑、クモ状血管腫、皮膚
メラニン色素の増加は肝硬変患者ほどではないが、時々見られ
る所見である。
腹腔鏡検査所見で肝は腫脹し、辺縁は鈍、表面は白色調で硬度
が増している。線維化が進むと斑紋状に見える。時に門脈圧亢進
所見の初期像を見る。組織検査ではグリシン鞘を中心とした炎症
性細胞と線維化により増生したグリシン鞘を認める。
み
○木乃伊<みいら>=人間などの死体が乾燥した場所にあると、腐敗の速度より
死体の乾燥化が早くなり、自然に乾固し死体が原形に近い形で
保存されたもの。
○ミエリン蛋白<miellin たんぱく>=神経線維をとりかこむ膜を構成している蛋白質。
○ミエロパシー<myelopathy>=癌などの悪性腫瘍に伴って起こる急性の脊髄障害。
両足の運動麻痺から始まり、運動、知覚の麻痺が急速に上行す
る。多くは2ヶ月以内に死亡する。
○ミオグロビン<myoglobin>=筋肉中に含まれる鉄を含有する蛋白質。血液中の
ヘモグロビンにより運ばれてきた酸素を受け取り、筋肉中に酸素
を貯蔵する。
○ミオシン<myosin>=筋肉中にある蛋白質の一種。アクチンと共にアクトミオシンを
構成し、ATPのエネルギーを用いて筋収縮をひき起こす。
○味覚の分布<みかくのぶんぷ>
※甘味=舌の先端に近い部分が最も強い。
※鹹味(からみ)=舌のねもとの両ふちと舌の先端が最も強い(塩味)。
※酸味=舌のねもとに近い部分の左右が最も強い。
※苦味=舌根が最も強い。
○ミカマイシン<mikamycin>=抗生物質。ミカマイシンAおよびBの混合物。外用により
ブドウ球菌や連鎖球菌による感染症の治療に用いられる。
○蜜柑大<みかんだい>=みかんの大きさ。変色等の大きさを表す。
○眉間<みけん>=眉と眉の間。
○ミサイル療法<missile りょうほう>=抗体に制癌剤を結合させ、目標の癌細胞だけを
選択的に破壊する治療法。
○未熟児<みじゅくじ>=身体の発育が未熟のまま出生した乳児であって、正常児が出
生時に有する諸機能を得るに至るまでの者をいう(母子保健法)。
○密生<みっせい>=すきまなく生えている状態。(頭毛密生) 密生→叢生→疎生
○ミトコンドリア<mitochondria>=生物の殆んど全ての細胞質中に存在する糸状に並
んだ顆粒状構造の物質。蛋白質と脂肪が主成分。細胞内代謝に重
要な役割を果たしている。
○ミニピル<minipill>=経口避妊薬の一種。排卵を抑える。人工合成の黄体ホルモンを
主成分とし、卵胞ホルモンを含まない。
○未明<みめい>
3時から日の出まで(4月~9月)
4時から日の出まで(10月~3月)
○脈搏・脈拍<みゃくはく>=心臓が律動的に血液を圧し出すことによって起こる
動脈中の圧力の変動のこと。その数は心臓拍動数に等しく、
普通一分間に70程度。
○脈絡叢<みゃくらくそう>=脳の左右側脳室の内側壁から第3脳室の上壁まで
続くもの、および第4脳室の天井の一部をなしている。
脳脊髄液を生産する。
○脈絡膜<みゃくらくまく>=目の一部で血管に富んでいる。
○ミュータント<mutant>=突然変異体。遺伝の法則に外れて出てきた変異体。
○ミューテーション<mutation>=突然変異。生物の遺伝形質が親の形質と異なって
現れること。
○ミュラー管<mullerian かん>=脊椎動物の中腎輸管に平行して生ずる中胚葉起
源の管。雄では退化、雌では発達して輸卵管となる。
ドイツの生理学者ミュラーが発見。
む
○ムーンフェース<moon face>=満月様顔貌。副腎皮質からのステロイドホルモン
の過剰分泌や、ステロイド剤の過剰投与により起こる症状。
クッシング症候群。
○ムッカハーベルマン病<mucha habermannびょう>=皮膚病の一種で、急性痘瘡
状苔癬状ひこう疹。赤い丘疹や小水疱が散在性に生ずる。
比較的軽傷で自然治癒がある。男の子に多い。
○ムンプス<mumps>=流行性耳下腺炎。ウイルスによる小児の伝染性疾患。
発熱とほぼ同時に唾液腺のひとつである耳下腺が腫脹する。
1~2週間で治癒する。おたふくかぜ。
め
○迷走神経<めいそうしんけい>=内臓の運動分泌をつかさどる脳神経。
○酩酊<めいてい>=酒酔いの項参照
○メープルシロップ尿症<メープルシロップにょうしょう>=バリン、ロイシン、イソ
ロイシンといった側鎖アミノ酸の代謝障害で起こる病気で、尿
の臭いが焦げた砂糖、あるいはメープルシロップに似ているこ
とからこの病名が付けられた。代謝障害が起こるのは側鎖ケト
酸脱炭酸酵素活性が先天的に低いためである。
普通生後1~2週間から発病し、重症で乳児期早期に死亡する
ものが多い。すなわち、哺乳困難、無呼吸発作、チアノーゼ、
痙攣などで発症し、眼球運動の異常、筋緊張異常、後弓反張り
がみられるようになり、易感染傾向があるため、感染を起こし
不幸の転帰をとることが多い。
○メス<mes>=医師が切開や解剖に用いる小刀。
○メチールアルコール<methyl alkohol>=木材の乾留によって得られる最も簡単な
1価のアルコール、無色の液体で有毒。摂取すると麻痺を起こし
少量でも盲目となる危険がある。毒物の項参照
○メチオニン<methionin>=硫黄を含むアミノ酸の一種。人間にとって不可欠である。
多くの蛋白質に存在するが、含有量は多くない。
肝臓病あるいは中毒症に内服する。
○メチルアミン<methylamine>=アミンの一種。刺激臭をもつ無色の気体。
動植物質が腐敗分解するときに生じる。
○メチル水銀<methyl すいぎん>=有機水銀の一種。農薬として用いられるが、強い
毒性を有し、水俣病などの原因となる。
○メディカルチェック<medical check>=健康診断。身体検査。
○メニエール病<meniere's びょう>=耳鳴り、難聴、めまい、吐き気、平行障害が
発作的に繰り返す病気。内耳の血管の異常によって起こるといわ
れる。フランスの耳鼻科医メニエールの名前から。
○メラニン<melanin>=動物の体表にある黒または黒褐色の色素。紫外線を浴びる
と活性化する。有害光線を阻止し、体色の変化にも関係する。
○メラノーマ<melanoma>=黒色腫。メラニン形成細胞から発生する皮膚癌。
転移しやすく悪性である。
○面状創<めんじょうそう>=刃器が体表に浅く斜めに作用したため、体表の一部が
はぎとられたような面状の創。
○メンス<menstruation>=月経。
○面疔<めんちょう>=主として黄色ブドウ球菌の毛包(もうのう)および皮脂腺感染
から起こり、後発部位は口の周辺、鼻、前額などで数日で膜栓を
排出して治癒するが、爪で掻いたり指で圧迫したりすると悪化し、
激痛とともに腫脹、静脈洞血栓を起こし、脳膜炎または敗血症で
死亡することもある。
○面皰<めんぽう>=にきびのこと。
も
○毛幹<もうかん>=毛根の上方部。皮膚の毛嚢におさまる部分を毛根、外に現れ
た部分を毛幹、先端を毛先という。
○盲管<もうかん>=開口しない一端(盲端)を持った管腔のこと、盲腸など。
○盲管銃創<もうかんじゅうそう>=弾丸が身体を貫通せず体内に止まっている傷。
○毛球<もうきゅう>=毛根の膨大している部分。
○蒙古症<もうこしょう>=精神薄弱のひとつ。染色体異常の最初のものとして発見
された。高年の婦人から生まれる子供に頻度が高く、主な症状は
精神薄弱のほか、特有な顔貌、手指の異常、筋緊張低下、耳介
変形等がある。
○蒙古斑<もうこはん>=モンゴロイドに属する人種の乳幼児の腰、仙部、皮膚に
見られる大きな青色斑のこと。モンゴロイド特有のものではなく
東アフリカ住民にも約80%に見られる。
○毛根<もうこん>=毛が皮膚中に入っている部分。
○毛細血管<もうさいけっかん>=枝分かれした動脈に続くごく細い血管。全身の
至るところ内組織中に網状に分布。=毛細管
○盲腸<もうちょう>=大腸の項参照
○毛乳頭<もうにゅうとう>=毛球の中にあり、血管に富み、盲球に栄養を与えて
いる。
○網膜<もうまく>=目の一番奥にあって視神経の広がっている膜。
○毛様小帯<もうようしょうたい>=レンズと毛様帯をつないでいる微細な線維。
○毛様体<もうようたい>=目のレンズの周辺を囲む筋肉性の器官。レンズの厚さを
変え、遠近を調節する働きがある。
○モルヒネ<morfine>=アヘン含有アルカロイドの一種。強い麻酔、鎮痛、鎮咳、
呼吸抑制作用を持つ。習慣性のため中毒を起こしやすい。
○脆い<もろい>=外力に対する抵抗が弱いこと。壊れやすい、砕けやすい。
○モンゴロイド<mongoloid>=人種の区分のひとつ。黄色人種。
○門歯<もんし>=歯牙の項参照
○門脈<もんみゃく>=肝臓下面に入りこんでいる静脈。=門静脈
や
○扼頸<やくけい>=腕又は指で頸部を絞扼圧迫すること。
○扼溝<やくこう>=扼殺された死体の首に残る手の爪などの痕跡。
○薬剤性肝障害<やくざいせいかんしょうがい>=薬剤の毒性の出現は単に代謝
中間体の作用によるものばかりではなく、併用薬剤により、単独
で投与した場合よりも中毒症状が強く発現することがある。
このように種々の要因が重なってくる場合が多く、病態像として
は、肝炎型、胆汁うっ滞形、混合型の三形に分類される。
肝炎型は一般に急性ウイルス性肝炎の臨床症状に似て、全身
倦怠感、食思不振、黄疸をきたす。時に劇症化することがある。
胆汁うっ滞型は閉塞性黄疸と鑑別がつかないことがしばしばあ
る。黄疸が著名であるにもかかわらず比較的元気で全身倦怠
感も食思不振も強くない。皮膚そう痒感は多くの場合出現する。
肝炎型に比し経過が遅延することが多い。
○扼殺<やくさつ>=扼頸によって窒息させて殺害する方法。
死亡の主因は頸動脈洞圧迫と気道閉圧とである。血管の圧迫
は完全に起こり得ず、このため顔面の鬱血、溢血点(斑)が高度
に見られ、舌骨、甲状軟骨の骨折が多い。「吉川線」に注意。
ゆ
○ユーイング肉腫<ewing にくしゅ>=若年者(20歳未満)の骨に発生する、比較的ま
れではあるが極めて悪性の肉腫。骨盤や大腿骨に発生すること
が多く、早期に発見された場合は切断手術が行なわれるが、通常
は2年以内に死亡する。
○融解<ゆうかい>=とけること。
○有郭乳頭<ゆうかくにゅうとう>=味覚器で、舌根に8~15個ある。味蕾が最も多い。
○有機燐剤<ゆうきりんざい>=燐を含む製剤の総称。猛毒のものが多い。
○融合<ゆうごう>=とけてひとつになっている状態。
○融痕<ゆうこん>=通電状態の電線等が火災時の高熱によって溶け、その部の先
端が丸くなったもの。=溶痕
○疣贅<ゆうぜい>=いぼ(パポバウイルス)。ヒト乳頭腫(パポローマウィルス)。
○ユータナジー<euthanasie>=安楽死。
○遊底頭痕<ゆうていとうこん>=銃から弾丸が発射された直後、その反動で薬莢が
遊底の頭部に衝突して生ずる圧痕。
○有髪部<ゆうはつぶ>=髪が生えている部分。
○幽門<ゆうもん>=胃の項参照
○幽門括約筋<ゆうもんかつやくきん>=幽門にある厚い筋層。
○幽門弁<ゆうもんべん>=幽門括約筋からなっている弁状のもの。
胃内容物の逆流を防ぐ。
○遊離<ゆうり>=他と離れて存在している状態。
○癒着<ゆちゃく>=本来分離しているべき生体の組織面が、線維性の組織で連結
融合していること。
○輸尿管<ゆにょうかん>=腎臓から膀胱に通ずる尿を運ぶ管。=尿管
○輸卵管<ゆらんかん>=卵巣から子宮に通ずる卵子を運ぶ管。=卵管
よ
○宵<よい>=日没1時間前から日没1時間後迄くらいの間。
○容易<ようい>=簡単なこと。
○葉間部<ようかんぶ>=肺の上葉・中葉・下葉各間の部分。
○羊羹様<ようかんよう>=羊羹のような色、形のこと。
○溶血<ようけつ>=血液中の赤血球が壊れ、その成分が血漿の中にでる現象。
○溶痕<ようこん>=融痕の項参照
○幼児<ようじ>=満1歳から小学校就学の始期に達するまでの者をいう。(母子
保健法)
○腰小窩<ようしょうか>=上後腸骨棘。
○葉状乳頭<ようじょうにゅうとう>=味覚器で、舌の後部の両側に少数ある。味蕾
は少ない。
○腰神経叢<ようしんけいそう>=第1~第4腰神経から形成される神経が束状に
なっている部分。
○羊水<ようすい>=羊膜腔を満たす液体で、初めは無色、無臭、透明で主として
羊膜上皮の分泌産物で、これに母親、胎児両体の血管よりの
浸透液が加わっているが、妊娠末期には胎児の繊毛、脱落上皮、
皮脂または少量の胎児尿を混じ、混濁白色、または帯黄色を
呈する。
○腰椎<ようつい>=脊椎の項参照
○腰椎穿刺<ようついせんし>=脳内出血を起こしているかどうかを見分する方法。
腰椎(第3腰椎と第4腰椎間)に穿刺針を刺し、少量の髄液を採取
してその中に血液が混入していれば脳内出血があると判定される。
○ヨード<jod>=微量ではあるけれど、人体成分として必要な無機質。生体内では
大部分が甲状腺に取り込まれ、甲状腺ホルモンとなって発育や
新陳代謝に関係する。ハロゲン元素のひとつであり、チリ硝石や
海水・海藻中に含まれ、哺乳類の甲状腺にはチロキシンとして存
在する。ヨードチンキ、ルゴール液などの医薬原料やヨウ素滴定
の標準試薬として重要。
○ヨードチンキ<jodtinktur>=ヨウ素とヨウ化カリウムを70%程度のエチルアルコール
に溶かしたもの。暗赤褐色液で、ヨウ素とエチルアルコールの殺菌・
刺激作用により外用として薬効がある。
○腰部<ようぶ>=腰のこと。
○腰方形筋<ようほうけいきん>=腰を左右に曲げる筋肉。=骨格筋、腰。
○羊膜<ようまく>=子宮内で胎児及び羊水を入れる袋状の膜。
○吉川線<よしかわせん>=警視庁の元鑑識課長、吉川市が発表した殺人(絞扼殺)
被害者の前頸に縦に走る引っ掻き傷をいう。
絞扼殺の場合、被害者は頸部にかかっている索状や加害者の指
又は腕をもぎ取ろうとして索状や加害者の腕等ばかりでなく自分の
頸部にまで爪を立てるために表皮を剥脱し、縦に走る創傷を作る
ことがある。この創傷を吉川線といい、吉川線があれば殺人とまで
いわれる。
○ヨヒンビン<yohimbin>アカネ科に属するヨヒンベという高木の樹皮に含まれるアル
カロイド。勃起中枢の興奮作用があり催淫剤として用いられる。
ら
○ライ症候群<reye's しょうこうぐん>=インフルエンザや水疱瘡などのあと子供に
表れる急性症状。嘔吐、意識障害、急性脳浮腫、肝臓の脂肪
沈着などの起こる難病。ミトコンドリアが障害される。
アスピリンが原因であるとされる。
○ライソゾーム<lysosome>=白血球などの細胞内にあって、細菌など細胞にとって
好ましくない異物が入ってくると分解処理をする組織体。
○ラス遺伝子<ras いでんし>=腫瘍遺伝子の一群。ラットの肉腫ウイルス、ヒトの
腫瘍細胞などで見つかっている。
○落下血痕<らっかけっこん>=点々と地上や床などに落ちている血のあとをいう。
○ラッサ熱<lassaねつ>=悪性の急性熱性感染症。1969年アフリカ西部に流行。
病原はウイルスで、潜伏期は通常1~2週間。初発症状は頭痛、
発熱、全身倦怠感、咽頭炎、咳、下痢、胸痛、腹痛などで徐々に
始まり、腸チフスに似ている。次いで口腔咽頭の潰瘍、リンパ節
腫脹、結膜炎、顔面頸部腫脹がみられる。皮膚には出血疹が出
るが数は少ない。しかしときには紫斑病様になることもある。
重症例では、 ショック、胸水貯溜、心不全、腎不全の徴候が現れ、
脳症による種々の程度の意識混濁が起こる。
死亡率は極めて高い。
○ラッセル<rasselgerausch>=肺を聴診するとき、通常の呼吸音に混じって聞こえる
異常音。ラッセル音。
○ラムダ縫合<らむだほうごう>=人字縫合のこと。縫合の項参照
○卵円窩<らんえんか>=心房中隔で胎生時の卵円孔のあとの凹み。
○卵円孔<らんえんこう>=出生時まで働いている心房中隔にある孔。
○卵管<らんかん>=輸卵管の項参照
○ラング<lung>=肺。肺臓。
○ランゲルハンス島<langerhanssche とう>=膵臓にある内分泌腺。糖代謝調節ホル
モンであるインシュリンが分泌される。ドイツの病理学者ランゲル
ハンスに由来。
○卵巣<らんそう>=女性の骨盤腔にあって卵子を製造する拇指頭大の楕円形の
組織で左右に一対がある。
○ランビエ絞輪<ranvier's こうりん>=有髄神経繊維において、一定間隔で存在す
る髄鞘のとぎれた部分。神経興奮はこの部分でのみ生ずる。
り
○リウマトイド因子<rheumatoid いんし>=ヒトや動物の1gG抗体にある抗原決定基
に対する抗体で、自己抗体の一種。慢性関節リュウマチなどの
膠原病を起こす。リューマチ因子。
○離開<りかい>=離れ開いていること。(縫合離開)
○リケッチア<rickettsia>=細菌とウイルスの中間的な微生物の一群。
長さ0.3~0.5ミクロン、幅.3ミクロン程度。感染症として発疹チフス、
ツツガムシ病などがある。
○梨状筋<りじょうきん>=仙骨全面と大腿骨の大転子を結んでいる筋で、股関節の
運動に関与する筋のひとつ。
○リシン<ricin>=アルブミンのひとつ。分子量8万前後の蛋白質。ヒマ(トウゴマ)の
種子に含まれ、毒性があり多量に摂取すると内臓器官に出血を
起こす。
○リセプター<receptor>=生物体内にあって、刺激を受容する器官。生物体の細胞
にあって、外界の物質や光を受容する物質。レセプターともいう。
○リソゾーム<lysosome>=細胞内消化に関与する細胞小器官。
多数の加水分解酵素を含む膜小胞。
○リゾチーム<lysozyme>=細菌細胞壁のペプチドグリカンに作用して、細胞壁を溶
解する酵素。
○リットル病<little びょう>=脳性小児麻痺の一種。主に両側下肢の強直性麻痺を
示すもの。先天性のものおよび出産時障害によるものがある。
進行性ではない。
○立毛筋<りつもうきん>=毛根部に付着した平滑筋。毛を立てる筋肉。
○リトコール酸<lithocholic さん>=胆汁酸のひとつ。胆汁中の胆汁酸(ケノデオキシ
コール酸)が腸内細菌によって変換されたもの。発癌性がある。
○リトマス<litmus>=地衣類のリトマスゴケから採れる色素の混合物。紫色の粉末。
水に溶け水素イオン濃度(pH)で色が変わる。リトマス試験紙にし
て用いることが多い。
○リトマス試験紙<litmus しけんし>=リトマスの溶液に濾紙を浸して乾かしたもの。
溶液や気体の酸性、塩基性の判断に用いる。酸で赤、アルカリ性
で青を呈す。コップ等に残された液、あるいは服薬した死亡者の
口中に試験紙を入れて青藍色に変色した場合は青酸があること
が判定される。
○リバースブロック<reverse block>=ダイバーが浮上中に中耳腔内圧を大気圧に
減少できないこと。耳痛、めまい、ひどければ嘔吐をひき起こし
危険である。
○リハビリテーション<rehabilitation>=慢性疾患や後遺症の患者を対象に、できる
かぎり最大の身体的・心理的我慢で負傷した箇所の機能回復訓
練もさしていう。
○リピド<lipid>=脂質。炭水化物・蛋白質と共に生態を構成する重要な物質群で、
脂肪、蝋、およびこれと性質、構造の似た物質の総称。リポイド。
○リボ核酸<ribonucleic かくさん>=リボースを糖成分とする核酸。細胞の核、細胞
質中に核蛋白質として存在することが多い。
蛋白質合成に主要な役を演じている。RNAと略称される。
○隆起<りゅうき>=高く盛り上がること、あるいはそのような部位。
○流行性脳脊髄膜炎<りゅうこうせいのうせきずいまくえん>=保菌者の咳の飛沫に
よって感染する。潜伏期は4~5日で突然高熱を発し、激しい頭痛
を訴え、吐き気を起こす。意識は混濁し、嗜眠状態あるいは狂躁
状になる。うなじは木馬のように硬くなる。死亡率は極めて高かっ
たが、最近は新薬により著しく低くなっている。
○流動性血液<りゅうどうせいけつえき>=窒息死の場合の内部所見。急死の場合、
血液は凝固しない。
○リューマチ<rheumatism>=膠原病のうち、リューマチ熱、慢性関節リューマチの
総称。昔はこれらを同一疾患と考えたためにリューマチと呼んだ。
現在は自己免疫疾患と考えられている。関節痛を主訴とする。
○リューマチ熱<rheumatic ねつ>=溶血性連鎖状球菌の感染によって、ある特定の
素質を持った子供に起こる細菌アレルギー性疾患。高熱、上気道
炎、関節痛を主とし、約半数に心炎を伴い、またしばしば後に心弁
膜症を起こす。
○柳葉状<りゅうようじょう>=柳の葉のような形状。
○リンゲル液<ringer's えき>=生理的食塩水をイギリスの医学者リンガーが改良した
もの。塩化ナトリウム8.6g、塩化カリウム0.3g、塩化カルシウム0.33g
を注射用蒸留水に溶かし1リットルにしたもの。静脈注射に用いら
れる。
○鱗状<りんじょう>=魚のうろこのような形状。
○臨床所見<りんしょうしょけん>=病床に臨んで実際に診察したときの病気の状況。
○輪状軟骨<りんじょうなんこつ>=甲状軟骨と気管の間にある軟骨。
○輪帯<りんたい>=大腿骨の頸部を輪状に取り囲んでいる靱帯。
○リンパ<lympha>=組織液がリンパ管に入ったもの。血液と同様に体内を循環し、栄
養物の運搬、免疫抗体の輸送などを行なう。淋巴液。
○淋巴管<りんぱかん>=リンパを輸送する特有の脈管。血管と同様に体内に網状に
広がり、その間にリンパ節がある。
○淋巴球<りんぱきゅう>=白血球のひとつで、全身のリンパ節、脾臓等のリンパ組織
中にあるリンパ芽球によって作られ、その一部は血中に移行してい
る細胞。免疫上重要な役割を果たしている。
○淋巴系<りんぱけい>=リンパ液を循環させる管系。リンパ管とリンパ節からなり、
細胞外液の循環と病原体や異物に対する防御を行なう。
○淋巴節<りんぱせつ>=リンパ管の各所にある粟粒大から大豆大の結節。感染や
癌などで、ここが腫れる。頸部、腋下部等の表在性のものと肺門、
肝門等の深在性のものとがある。=淋巴腺
る
○類円形<るいえんけい>=円形に近い形。(類円形変色)
○涙腺<るいせん>=眼球の外上方にあって涙液を分泌する。
○涙小管<るいしょうかん>=眼球表面に分泌された涙液が鼻腔へ出る管で、
目の内端にある。
○涙嚢<るいのう>=涙小管が注ぐくだ。
○ルミノール<luminol>=白色の固体。アルカリ性で過酸化水素などの酸化剤が
あると紫青色に発光する。過酸化水素、シアンイオンの定量、
血痕の検出に用いられる。(アミノフタルサンヒドラジッド)
○ルミノール化学発光試験<luminolかがくはっこうしけん>=血液の存在を証明
する検査。ルミノールにオキシドールを混合した液を検体に噴
霧すると血液中のヘモグロビンのうちヘムにオキシドールが作
用して分解し酸素を出す。この酸素にルミノールが作用して発
光し、血液の存在を証明する。
ただし、鉄錆、真鍮等もオキシドールに作用して分解し、酸素
を出し、これにルミノールが作用して発光するので注意を要する。
指紋検出のためニンヒドリン液を塗布したあとでも検査可能で
ある。
○ルンゲ<lunge>=肺臓。肺結核の俗称。
○ルンバール針<lunvarlしん>=中空の針で中にマンドリン針が入っている注射針。
後頭窩穿刺、頸椎穿刺、腰椎穿刺などに使い、内出血の有無
などを検査する。
れ
○レーザー内視鏡<laser ないしきょう>=血管内視鏡にレーザーを組み合わせた
もの。心筋梗塞の原因となる冠状動脈狭窄部位の拡張治療に
用いられる。カテーテル内視鏡により病変部を観察しながら
レーザーを照射し、閉塞病変や血栓を蒸散させる。
○レーザーメス<laser mes>=レーザー光を利用したメス。レーザー光を絞って
生体組織に照射すると、その部分が瞬間的に高温となり、組織
に含まれている水分の急激な気化による爆発力で生体の切開
を行なう。切開と同時に血液を熱的に凝固させるため、止血効
果もある。
○レイノー病<raynaud's びょう>=寒いときに、手の指が冷たくなって真っ白にな
り、次いで紫色になって痛み、暖めると回復するような症状(レイ
ノー現象)が、原因不明のままに起こる病気。血管運動神経障
害によるもの。振動工具使用による職業病としてもおこる。
フランスの医師レイノーの名から。
○轢死<れきし>=自動車、汽車、電車等の車輪等にひかれて死ぬこと。
○轢過<れきか>=車輪等にひかれること。
○轢断<れきだん>=自動車、汽車、電車等の車輪等にひかれて腕や足等が断ち
切られたことをいう。
○レクチン<lectin>=細胞膜の糖鎖と結合して細胞凝集反応などを起こす物質。
動植物及び細菌に広く分布する。
○レジオネラ菌<legionnaira きん>=細菌の一種。水分の多い土中や、ビルの冷却
塔に侵入して繁殖。老人や衰弱した人が吸い込むと激しい肺炎を
起こす。慢性の基礎疾患を有し免疫の低下した患者に発生する
難治性呼吸器感染症。紫外線に弱い。
○レシピエント<recipient>=臓器移植手術で臓器の移植を受ける患者。
ドナーから臓器を提供されること。
○レスピレーター<respirator>=人工呼吸器。呼吸が呈し又は呼吸不全状態に
ある患者に対し、人為的に呼吸をさせるための機械。
全身麻酔による手術時にも人為的呼吸と麻酔薬の吸入を兼
ねて頻用される。
○レセプト<rezept>=処方箋の意。診療報酬請求明細書の通称。病院や診療所
が医療費の保険負担分の支払いを公的機関に請求するため
に発行する。
○レチノール<retinol>=ビタミンAの科学名。肝油、バターなどに多く含まれ、欠乏
すると夜盲症、角膜乾燥症などをひき起こす。
○レックリングハウゼン病<von recklinghausen'sびょう>=母斑症の一種で、外胚
葉系の発生異常。全身の皮膚及び末梢神経に多発する神経
線維腫と、淡褐色の母斑を特徴とする。
○裂創<れっそう>=創傷の項参照
○レトロウイルス<retrovirus>=RNAを遺伝子として持ち、細胞に感染後、DNA
に読み替えられプロウイルスになるものの総称。
肉腫ウイルス、乳癌ウイルス、エイズウイルスなど。
○レム睡眠<REM すいみん>=急激な眼球の動きを特徴とする睡眠。身体的には
深い睡眠状態でありながら夢を見る時間でもある。逆説睡眠。
○レンズの淡蒼球<レンズのたんそうきゅう>=大脳基底核。淡蒼球と被殻を合わ
せてレンズ核という。
○レンズ核の被殻<レンズかくのひかく>=レンズ核の淡蒼球に同じ。
○レントゲン<roentgen>=放射線の強さの単位。記号R。エックス線の発見者
レントゲンの名にちなんで名付けられた。
ろ
○ロイコトリエン<leukotriene>=アラキドン酸から動物組織で合成される一群の生
理活性物質。白血球遊走促進作用や気管支収縮作用がある。
気管支喘息の原因物質。
○ロイコマイシン<leucomycin>=扁桃炎、肺炎などの感染症の治療に用いるマク
ロライド系抗生物質。
○ロイコマラカイトグリーン試験<leakomalachitegreen しけん>=血液予備試験。
検体少量をろ紙に拭き取り、試薬2~3滴にオキシドール2滴な
いし3滴を加えると、血液であれば10秒以内に緑色に変色する。
○漏孔<ろうこう>=中から液体(血液など)が漏れ出てくる孔。
○瘻孔<ろうこう>=怪我や病気で身体にできる孔。
○漏出<漏出>=漏らし出ること。
○漏斗孔<ろうとこう>=爆発物の破裂によって、その中心点の下部がじょうご状に
なった穴をいう。
○老耄<ろうもう>=老いぼれること。
○肋間筋<ろくかんきん>=肋骨の下にある筋肉のことで、外肋間筋、内肋間筋が
ある。
○肋間神経<ろくかんしんけい>=肋間筋を支配する神経。
○肋骨<ろくこつ>=あばら骨のこと。第1肋骨から第12肋骨まである。
○肋骨弓<ろくこつきゅう>=肋骨下端で弓状をなした部分。第7~第10肋軟骨から
作られる。
○肋骨弓部<ろくこつきゅうぶ>=肋骨の下端。
○肋軟骨<ろくなんこつ>=肋骨と肋骨とが接続する部の軟骨。
○肋膜<ろくまく>=胸腔の内面に沿って肺の外面を覆う膜。=胸膜
○露出<ろしゅつ>=むき出しになっている状態。
○濾胞<ろほう>=ホルモンを生産する内分泌腺の細胞が形成する組織学的構造。
内部に分泌物(コロイド)を貯留している
わ
○ワイル病<weil びよう>=黄疸出血性レプトスピラによって起こる病気。高熱、筋痛、
黄疸、出血傾向、腎不全などの症状を呈する。多くドブ鼠により伝
染する。
○ワクチン<vakzin>=ある種の感染症に対して人工的に免疫を得させるために、そ
の病原微生物またはその毒素液に適当な操作を加えて作った免
疫原。
○ワッセルマン反応<wassermann はんのう>=ドイツのワッセルマンという人が発見
した梅毒の血清診断法。
○腕尺関節<わんしゃくかんせつ>=肘関節の一部で、上腕骨と尺骨との間の関節。
○腕橈関節<わんとうかんせつ>=肘関節の一部で、上腕骨と橈骨との間の関節。
○腕頭静脈<わんとうじょうみゃく>=内頸静脈が鎖骨下静脈と合流して腕頭静脈と
なり大静脈に入る。
○腕頭動脈<わんとうどうみゃく>=大動脈弓より右方に分岐して腕頭動脈となり、
さらに右鎖骨下動脈に分岐する。
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