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2009年6月28日 (日)

法医学リーズン《79》

(6) 焼死体自他殺の判断基準
  焼死体についての自他殺の一般的な判断基準を示すと、次のようなものが
 挙げられます。

 ① 生体か死体か
  ○ 自殺(事故死を含む)
   ・ 生体で焼かれた場合には、一応、自殺又は事故死と考えられる。
     生体であったことを示すものとして、
    ※ 死体に生活反応が見られる。
    ※ 出火点と逆の方向に向かって倒れているとか、床面にうずくまってい
     るなど出火時に行動した跡が見受けられる。
    ※ 死体の下に焼燬物がある。
     などがある。
  ● 他 殺
   ・ 死体で焼かれた場合には、他の方法により殺害された後、焼かれたこと
     が考えられる死体であったことを示すものとして、
    ※ 生活反応が見られない
    ※ 床面と密着した部分が焼けていない。
    ※ 焼燬物が死体の下にない。
     などがある。

 ② 生前の創傷の有無
  ○ 自殺(事故死を含む)
   ・ 焼死体に切創・刺創等の創傷が認められないのが通常である。
     (ただし、落下物による損傷が考えられるので注意が必要)
  ● 他 殺
   ・ 焼死体に切創・刺創・割創などが認められるときは、他殺の可能性が強い。

 ③ 頭部・顔面・頸部の損傷の有無
  ○ 自殺(事故死を含む)
   ・ 頭部・顔面・頸部に損傷が認められないのが通常である。
     (ただし、落下物による損傷があることがある)
  ● 他 殺
   ・ 頭部・顔面に生前の損傷がある場合は、他殺の疑いが強い。
   ・ 頸部に絞痕などがある場合は、他殺の疑いが極めて強い。
     (扼痕がある場合は他殺と考えてよい)

 ④ 戸締りの状況
  ○ 自殺(事故死を含む)
   ・ 戸締りが完全に行われているときは、事故死の疑いが強い。
  ● 他 殺
   ・ 戸締りが完全でなく開放箇所がある場合は、他殺の疑いがある。

 ⑤ 現場の状況
  ○ 自殺(事故死を含む)
   ・ 物色その他現場の乱れがないのが通常である。
  ● 他 殺
   ・ 物色等現場の乱れがある場合は、窃盗後の放火等が考えられる。

 ⑥ 出火点の検討
  ○ 自殺(事故死を含む)
   ・ 被害者及びその家族が通常火気を使用している場所から出火してい
    る場合は、事故死と考えられる。
  ● 他 殺
   ・ 被害者及びその家族が通常火気を使用していない場所から出火して
    いる場合は、放火殺人の疑いが極めて強い。

 ⑦ 点火物及び燃料容器の有無
  ○ 自殺(事故死を含む)
   ・ 焼身自殺の場合には、点火に用いた容器及びガソリンなどの燃料容器
    が死体の近くに存在する。
  ● 他 殺
   ・ 残存衣類及び現場に油類が付着しているような場合で、点火物及び燃
    料容器が死体の近くに存在しない場合は、焼殺の疑いが強い。

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コメント

イソップさん
こんばんは
世に発信するテーマをお持ちで、また自己研鑽を
継続されるそのお心を尊敬致します。
係るテーマにコメント出来ない自分を恥ずかしく
思います。

投稿: おいちゃん | 2009年6月28日 (日) 18時52分

昨年撮影したリバーサルフイルムを、ひょんなことから整理を始めました。
母に関わる特養ホームから、季節に合った写真はないかと依頼がありました。
施設内に飾るらしい。
マウントのファイルに整理してあったのですが、今一度整理して、気に入ったものがあるかどうか見てもらうことになりました。
これを機に、ブログにも掲載するつもりです。

投稿: 花と風景 | 2009年6月28日 (日) 19時24分

impact おいちゃん
ここは特殊な分野の、しかも限られた範囲の者にしか通用しない内容ですから、一切気にしないで下さい。決して恥ずかしいことではありません。
やはり、ある程度のアクセスがあり、希望があるので続けて居るわけですし、少しでもその道の方々の参考になればと言うところですので・・・
まあ、話の種に、話題の基にでもして下されば結構です。

投稿: イソップ | 2009年6月28日 (日) 20時32分

impact 花と風景さん
それは良かったですね。
大いに、やるべきです。何がきっかけになるか分かりませんから、評判がよければ、他の施設からもエントリーがあるかも・・・
確かに、今のデジは画質も発色も素晴らしくなっていますが、撮像素子と銀塩粒子の違いはどうすることもできません。
大きく伸ばせば伸ばすほどその差が現われます。
おそらく、今までUPした画像とダブって銀塩も撮っていることと思いますが、どれを使っても十分過ぎるくらい素晴らしい出来ですので、自信を持って選定したらよいと思います。
F6の出番。いよいよ、銀塩もブログに登場ですね。楽しみにしております。

投稿: イソップ | 2009年6月28日 (日) 20時47分

おいちゃんとの師弟対話が面白い。

そうですよね。
法医学の知識は実生活では余り役に立ちませんが、イソップさんの解説が面白いので引き込まれます。

世間、役に立たないものがあって初めて生き甲斐になります。

田吾作は無駄に生きているものだから、つい、口が滑りました。


投稿: 田吾作 | 2009年6月29日 (月) 17時56分

impact 田吾作さん
私の写真以外の趣味の範疇としてお許し下さい。
もう、80回も目の前となりましたが、かなり多くの方々が見に来てくれています。
多少でも役に立っていればそれで満足なんですが、なかなか難しい分野でもありますので、気を使うところもあるんです。
若い頃に夢中になって勉強したことの一端ですが、結構覚えているもんですね。

別に個人を特定して、生死を云々しているわけではありませんので、話しの種にでもなればと思います。

投稿: イソップ | 2009年6月29日 (月) 21時27分

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