法医学リーズン《77》
(4) 焼死体の死体所見
焼死体の死体所見には、生体・死体にかかわらず人体が焼けることによ
って生ずるものと、生体が焼けることによってのみ生ずる所見とがあります。
ア 生体・死体にかかわらず生ずる死体所見
(ア) ボクサー型姿勢
焼死体の多くは、腕を上げて肘間接を曲げ、さらには膝を曲げて、
あたかもボクサーが試合をしているような格好をしています。
これは、熱作用により、筋肉内の蛋白質が凝固して筋肉が収縮し、
しかも、四肢の筋肉(拮抗筋)は、伸筋よりも屈筋の方が強いために
起こる現象ですから、生体・死体の両者に現われます。
もっとも、火災現場等で床面にうずくまるような姿勢で焼け死んでい
ることがありますが、それは、逃げ遅れた場合の姿勢であり、生体が
焼けたことを示すものですから、見誤りのないようにしなければなりま
せん。
(イ) 皮膚等の断裂
火熱が作用すると皮膚及び皮下組織が収縮するために、皮膚に断裂
が生じていることが多く見られます。火熱による断裂は、皮膚の割線の
方向に破裂状に大きく哆開し、創縁は収縮したような型になっています
から、生前の裂創・切創との見分けは比較的容易です。
(ウ) 骨 折
焼死体は、時として四肢が骨折していたり、あるいは、不用意に死体
を動かすと骨が折れてしまうことがありますが、これは、火熱により骨が
もろくなっているためで、生体・死体にかかわらず見られる現象です。
イ 生体が焼けたときに見られる死体所見
(ア) 外部所見
a 紅斑、水疱形成の存在
前述しましたように、火傷の症状としての紅斑(第1度)、水疱形成(第
2度)は、いわゆる生活反応ですから、それがある場合には、生体が
焼かれたと見てほぼ間違いありませんが、紅斑は死斑と類似しており、
また例外的に死体を焼いた場合にも発疱ができることがありますので
この点を注意しなければなりません。
この場合の見分け方で最も正確なものは、生体であった場合にはそ
の周囲に発赤腫脹が見られるのに対し、死体であった場合にはそれが
見られない、ということを挙げることができます。
b 鮮紅(赤)色の死斑
火災現場等には、多量の一酸化炭素が発生し、大部分の焼死体は、
この一酸化炭素中毒が原因で死亡しています。そして、先に説明して
いるように、一酸化炭素中毒死の場合は、死斑が鮮紅(赤)色を呈して
いますから火災現場等から発見された焼死体の死斑が鮮紅(赤)色を呈
している場合には、一応、生体が焼かれたものであるということができ
ます。
c 眼の状況
生体であったことを示す外部所見として、眼裂内に煤片又は炭塵が入
っていることが挙げられます。火災等の際に生きていた場合には、その
苦しさなどから、眼を硬く閉じるために、このような現象が生じるのです。
したがって、眼裂内に煤が入っていた場合、それは、生体であったとい
えます。
(イ) 内部所見
焼死体の内部には次のような所見が見られますので、死体を解剖す
ることによって、生体であったか否かを知ることができます。
○ 心臓など深部の血液内にも、一酸化炭素ヘモグロビンが認められ
る。
○ 鼻腔深部、気管及び気管支内に煤、炭末などが吸い込まれており、
それらの内部粘膜の表面が黒くなっている。
○ 胃・十二指腸などにも煤を飲下していることがある。
○ 熱い空気を吸入するために、上気道の内部に火傷・粘膜剥離・腫
脹が見られることがある。
○ 嘔吐物を吸引していることがある。
○ 第3度の火傷(焼痂性火傷)部を切開すると、血管内に熱凝固した血
液が認められる。
※哆開=しかい=創傷の創口がパックリ開いている状態。
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コメント
焼死体は、じぶbbが生きて居たのか、死んでから焼かれたのか、その証拠をシッカル残しているのですね。
しかし犯罪性があるのか、事故なのかを見分けるのは人間が判断しなければならない訳ですね。
イソップさんは、そのようなお仕事に関わってきた訳ですね。
御苦労さまでした。
投稿: 花と風景 | 2009年6月24日 (水) 08時40分
法医学者というのは、融通の利かない堅物が多いことも事実です。
医学的にあるいは科学的に証明できないものは信じない、という感じですかね。
しかし、全てがそれで解決できる訳ではありません。場合によっては人間の第六感の方が正しいこともあるのです。
ただしこの第六感を導き出すには、長年の経験と第五感によって培われた鋭敏な神経が必要なんだそうです。
投稿: イソップ | 2009年6月24日 (水) 13時11分