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2009年6月 9日 (火)

法医学リーズン《75》

(2) 火傷の分類
   火熱が作用した部分の身体の変化(火傷)の程度は、通常、第1度から
  第4度までに分類されています。
  ア 第 1度(紅斑性火傷)
    火傷の最も早い時期に起こってくる変化を第1度の火傷といいますが、
   これは、熱の作用により、表在性毛細血管が拡張して充血を起こしてく
   るために、当該部分の皮膚が発赤し軽度の腫脹を来たすもので、紅斑
   性火傷とも呼んでいます。
    紅斑は、生体が熱を受けた場合にだけ生じる症状、すなわち、生活反
   応ですから、火災現場等から発見された焼死体にこの紅斑が存在した
   場合には、火災時には生存していた、ということができます。しかし、紅斑
   は死斑に似ていますので、死斑が発生しない部分、例えば身体(体位)
   の上部などに紅斑があるかどうかをよく調べて、死斑と区別する必要が
   あります。ところが、現実には、そのような部分は強い火力を受けてひど
   く焼けてしまい紅斑が残らないことが多いので、出火後早期に発見された
   焼死体以外は、その発見が難しくなります。
    イ 第2度(水疱性火傷)
      第1度の火傷にさらに火熱が加わると、水疱(水ぶくれ)ができますが、
   これを第2度の火傷と呼んでいます。この水疱は、生体が焼けたときにで
   きる生活反応の一種です。しかし、極めて例外的に、死後間もない死体を
   焼いた場合にも発疱ができることがあるといわれています。
    この場合は、発疱の中は空虚であってガスのみのことが多く、また、発疱
   の底面に発赤は見られません。
    水疱は、火熱を受けた部分が炎症を起こし、漿水が集まって生ずるとい
   われています。そして、水疱の中には、透明黄色の漿液が入っていますが、
   時には、混濁した黄色の液であったり、あるいは、膠のようなものが入って
   いることもあります。
    火傷として生体にできた水疱は、時間の経過とともに内容物が吸収され、
   薄い痂皮になった後1週間ぐらいで脱落してしまいます。                            
    ところで、死体が腐敗をはじめますと、いわゆる腐敗気疱が生じますの
   で、死体観察に当たっては、水疱と腐敗気疱を見分けることが大切になり
   ます。両者の違いは、火傷による水疱には、その周囲に発赤腫脹が見られ
   るのに対し、腐敗気疱ではそれが見られない、という点にあります。
    ウ 第3度(焼痂性火傷)
    第3度(焼痂性火傷)とは、高熱の作用により、当該部分の皮膚組織内の
   蛋白質が変性し、そのために皮膚がみずみずしさを失って黄褐色又は茶
   褐色になった状態をいい、皮膚が壊死状になることから、壊死性火傷とも
   いわれています。
    第3度の火傷は、生体・死体にかかわらず生ずるといわれていますが、
   生体が焼けて生じた場合は、その下部の毛細血管の拡張が見られるのに
   対して、死体が焼けて生じた場合には、このような変化は見られません。
  エ 第4度(炭化性火傷)
    強い火熱によって身体の組織が燃焼し、炭化したものを、第4度の火傷
   (炭化性火傷)といいます。火災現場から発見された焼死体の多くは、皮膚
   及び皮下組織が炭化している程度ですが、時には、筋肉組織の深部まで
   炭化していることもあり、特に強い火熱が作用した部分は、骨までも炭化し
   てしまっていることがあります。
    なお、炭化は、生体・死体にかかわらず生じます。

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