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2009年3月11日 (水)

法医学リーズン《68》

(1) 一酸化炭素中毒死
  ア 一酸化炭素中毒死体検視上の留意点
    一酸化炭素を含有するガスは製造ガス(6B)に限られており、ブタンガス
   や天然ガスは一酸化炭素を含んでいません。したがって、これらのガスが
   部屋に充満して死亡した場合は、その死因は酸素の欠乏であり一酸化炭
   素中毒ではありません。もっとも、ガス自体には一酸化炭素が含まれてい
   なくても、それが不完全燃焼を起こした場合には一酸化炭素が発生します
   から、それが原因で一酸化炭素中毒に陥ることはあります。なお、これは、
   プロパンガスについても同じことがいえます。
    また、自動車の排気ガスにも多量の一酸化炭素が含まれており、最近で
   は、自動車の排気ガスによる一酸化炭素中毒死の事例がかなり多く見られ
   ます。
    そこで、ここでは、いわゆる家庭燃料(都市ガスを含む)による一酸化炭
   素中毒死と自動車の排気ガスによる一酸化炭素中毒死に分けて、検視上
   の留意点を述べることにします。
   (ア) 家庭燃料(都市ガスを含む)の場合
     a  ガス栓等の状況
        最近の都市ガスは、製造ガスから天然ガス(13A)に切り替えられ
       いますが、未だに製造ガスが配給されている地域もあります。
        ところで、製造ガスによる一酸化炭素中毒死体を検視する場合に
      は、ガス栓が閉まっているかどうか、ガス管が破損しているかどうかな
      どを観察しなければなりません。ガス栓が開き放しになっていたり、ゴ
      ムホースなどが死体の近くまで引かれていたり、あるいは、口にくわえ
      られていたような場合には、一応、自殺と考えられますし、ガス管に自
      然な破損があった場合には、事故死と考えられます。
       ただ、ゴムホースが死体の近くにある場合でも、犯人が、ガス自殺の
      ように偽装していることがありますので、死体現象や現場の状況と矛盾
      がないかどうかを検討しなければなりません。
       これに対して、ガス栓が閉まっている上、ガス管にも異常がない場合
      は、他殺の疑いが強くなります。しかし、それでも、直ちに他殺と断定す
      ることは出来ません。なぜなら、先に説明したように、一酸化炭素含有
      量が少ない空気でも、それを吸い続けると中毒に陥っていきますから、
      ガス漏れに気付いてガス栓を閉めたとしても、部屋の空気を入れ替え
      ずにいれば、そのうちに中毒死に陥ることが考えられるからです。

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