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2009年2月 7日 (土)

法医学リーズン《66》

(5) 睡眠剤中毒死
   市中には、数多くの睡眠剤が出回っていますが、これらの睡眠剤には、
  バルビツール酸系統のもの(ヴェロナール・ルミナール・アドルム・ジアール
  など)、非バルビツール酸系統のもの(ドリデン・バラミン・バラミネットなど)、
  さらには、ブロム含有尿素系統のもの(ブロバリン・カルチモ・スイミナール
  など)があります。
   ところで、睡眠剤中毒には、一度に多量の睡眠剤を服用したために陥る
  急性中毒と、睡眠剤を習慣的に常用することにより起こる慢性中毒とがあ
  ります。
   ただ、睡眠剤により中毒死するには、多量の睡眠剤を服用しなければな
  らない上、死亡するまでには長時間を必要としますので、睡眠剤を用いて
  他人を殺害することは非常に困難です。したがって、睡眠剤中毒死の大部
  分は、自殺または事故死(過量の服用)ということになります。
   しかし、時には、心中すると見せかけて、睡眠剤を多量に飲ませて殺害す
  る事件がないわけではありません。
  ア 睡眠剤の作用
    睡眠剤には、脳幹部に作用するもの(バルビツール系)と、大脳皮質に
   作用するもの(ブロウムワレリル尿素系)とがあり、その作用の様相から、
   次のように分けることができます。
   ○ 就眠薬・・・催眠効果が早く起こって、短時間に消えるもの(ブロウムワ
            レリル尿素系)
   ○ 持続性催眠薬・・・催眠作用が遅く起こって、長く続くもの(バルビツー
            ル系)
   ○ 熟眠薬・・・両者の中間のもの(アドルムなど)
  イ 中毒症状
    睡眠剤を多量に服用し急性中毒に陥ると、数分ないし数十分で深い持続
   的睡眠状態に入り、体温が上昇して顔面は充血し、呼吸はゆるくなりいび
   きをかき、脈拍は頻数・微弱となり、血圧は次第に降下していきます。そし
   て、意識の消失度はますます強くなって昏睡状態に陥り、瞳孔反射などの
   身体の諸反応は消失し、さらに、瞳孔散大・顔面チアノーゼ・全身けいれん
   などを呈し、ついには死亡します。
    なお、慢性中毒の場合には、言語障害・運動失調・多発性神経炎などの
   神経症状と、幻覚・幻視などの精神症状を呈します。
  ウ 死体所見
    睡眠剤中毒死の場合の外部所見としては、次のようなものが挙げられま
   す。
   (ア) 死斑は暗赤褐色で濃く、死斑の中に皮膚溢血点が見られる事がある。
   (イ) まぶたに目ヤ二が付着している。
   (ウ) 眼球結膜が浮腫状になっている。
   (エ) 口唇と指の爪床にチアノーゼが見られる。
   (オ) 胸腹部や四肢などにしばしば水泡形成が見られる。
   (カ) 汗くさい体臭がする。
   (キ) 尿失禁や脱糞が見られることがある。

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コメント

怖いですね。

田吾作は睡眠薬のお世話になったことがありません。
眠くなるまで起きてる主義なので、眠れなければ何時までも我慢して起きています。
困るのは、翌日運転して出かける用事のあるときです。
運転中、眠くなることがしばしば起こります。
仕方ないから車を止めて寝ます。

いけね、睡眠薬の話なのに〔睡眠〕の話になってしまいました。

投稿: 田吾作 | 2009年2月 7日 (土) 17時43分

impact 田吾作さん
こんばんは。
普通に生活している普通の人間には用のない薬です。
睡眠薬などは飲まないに超した事はありません。
最近は、ネット販売などで量も際限なく買えるようですが、非常に危ない話で、政府もようやく規制に乗り出しましたが、何をやるのも遅いですよね。
これがため、自殺を図り、犠牲になった人がかなり居るようです。

車の運転で居眠りは、最高に危険なことなので、田吾作式対処法が絶対の良い方法です。

投稿: isoxp | 2009年2月 7日 (土) 19時13分

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