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2008年12月 6日 (土)

法医学リーズン《61》

(2) 毒物の分類
   毒物については、毒物の種類を基準としたり、あるいは毒物の作用を基準
  としたりして様々な分類が行われています。しかし、どのように基準をおいて
  見ても、相互に入り混じってしまい、はっきりと分類するのは不可能なようです。
   ここでは、一応、毒物の作用を基準として、腐蝕毒・実質毒・酵素毒・血液毒
  及び神経毒に分類して簡単に説明しますが、毒物によっては、血液の酸素に
  作用するとともに神経を麻痺させるものがありますから、この場合、血液毒・
  酵素毒・神経毒のいずれに分類したらいいのか判然としません。したがって、
  次に説明することは、このような分類方法があるという程度に理解してください。
  ア  腐蝕毒
     毒物が身体に触れた場合、その触れた部分の有機成分、特に蛋白質と
   結合して組織を腐蝕する毒物を腐蝕毒といいます。腐蝕毒としては、硫酸・
   硝酸・塩酸・酢酸・石炭酸・水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)・アンモニア・昇汞
   ・硝銀・クロム酸カリウム・オスミウム酸・塩素ガスや昨今問題となった、硫黄
   と水素から成る無機化合物である硫化水素ガスなどが挙げられます。
  イ  実質毒
     体内に吸収された後、肝臓・腎臓・脾臓などの臓器に沈着してこれらの臓
   器を変性させる毒物を実質毒といい、この実質毒には、黄燐・亜砒酸・鉛な
   どがあります。
  ウ  酵素毒
     体内に吸収された後、ある特定の酵素系に作用して、その活性を阻害す
   る毒物を酵素毒といいますが、有機燐剤などを成分とする農薬の大部分は、
   この酵素毒に当るといわれています。
  エ  血液毒
     体内に吸収されてから、主に血液中で作用を現し、血液性状に変化を起
   こす毒物(主として、窒息死のところで説明した内窒息を起こす毒物)を血液
   毒といい、これには、青酸塩(青酸カリ・青酸ナトリウム)・塩素酸カリウム・
   一酸化炭素などがあります。
  オ  神経毒
     体内に吸収された後、主として脳神経系に作用して、これを障害する毒物
   を神経毒といいます。神経毒には、催眠剤・アルコール類・麻薬類・覚醒アミ
   ン類・麻酔薬(アルカロイド類)などがあります。
  

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コメント

最近は皆さんが気を付けるようになって、自己も少なくなっているようですが、浴室の清掃で、洗剤をまぜた有毒ガスで亡くなる方が出ましたね。
最近では、それを自殺にしようする方もいるようで、周りの方への迷惑も考えてもらいたいですね。

投稿: 花と風景 | 2008年12月 6日 (土) 15時45分

impact 花と風景さん
硫化水素ガスは、最近は自殺に使用されたのですっかり有名になってしまいましたが、この種の事故は昔からありました。ただし、自過失によるものが大半であったために余り大きな社会問題とはならなかったようです。

次回からは、代表的なものを個別に解説してゆきます。
毎回コメントを有難う御座います。

投稿: isoxp | 2008年12月 6日 (土) 20時12分

田吾作は友人を二人、農薬中毒で亡くしています。
自殺か事故か判らなかったようです。

砒素は少しずつ飲ませて時間をかけて殺すとか、
トリカブトを使うとか、
〔石見銀山ネズミ捕り〕とか、
探偵小説で馴染んでいますが、あまり気分のいいものではありませんね。

投稿: 田吾作 | 2008年12月 7日 (日) 17時16分

impact 田吾作さん
それは大変お気の毒なことでした。
最近は無農薬野菜が幅を利かせているためか農薬事故は少なくなったと聞いています。
毒薬などを使った事件は嫌なものですね。確かに探偵小説でも取り扱ったものが多いですが、実際とはかなりの隔たりがあるようです。

投稿: isoxp | 2008年12月 7日 (日) 21時55分

先日の、なぎささんの友人で、ネコさんからもイソップさんのアドレスを聞かれました。
教えても宜しいでしょうか?

投稿: 花と風景 | 2008年12月 8日 (月) 07時52分

おはようございます‐`,◎、´‐

昨日は訪問をありがとうございました♪
ずいぶん難しい話で、私には
どうコメントをしていいかわからないけど
しっかり読んで行きますね(*・∀-)☆

投稿: ねこ | 2008年12月 8日 (月) 08時28分

impact 花と風景さん
花風さんのところのご訪問者は、お断りいただく必要はありません。
どんどん紹介してやってください。

日曜日にネコさんのところへお邪魔してみました。大変面白かったので、コメントを残してまいりました。

投稿: isoxp | 2008年12月 8日 (月) 09時30分

impact ネコさん
ご訪問を戴き有難うござました。
「法医学リーズン」は特殊な専門分野の方たちに請われて書いていますので、無理にご覧にならなくてもいいですよ。
カテゴリーから写真や花関係の分野を見てやってください。お気に入ったものがありますかどうか?

投稿: isoxp | 2008年12月 8日 (月) 09時35分

お初にコメさせていただきます・・
初めてなので素直に書かせていただきます。
なにやら難しい文章で、一回読んだだけでは理解できませんでした^_^; このような事をスラスラと書けるという事は医療関係に詳しい・・もしくはお勤めの方でしょうか??・・
どちらにしろ、難しいです・・パソコンをやっている方がもっと楽でしょうか・・(^^♪

投稿: mugichan | 2008年12月 8日 (月) 11時50分

impact ムギちゃん
早速のコメありがとう御座います。
同じ医学の分野でも、法医学は確かにとっつきにくく難しいかも知れませんが、臨床医学と違い、分かってくると面白いんです。
まあ、相性の問題もありますので、こんなものか位に見ていただければ結構です。
私は、プロフィールにも書いていますが、元々、貧乏写真家ですから法医学は何とかの横好きぐらいの実力しかありません。

カテゴリーから駄作の写真を見ていただければ・・・と思います。
「花と風景さん」に懇意にしていただいているので、ムギさんも宜しくご交誼の程をお願いします。
なお、パソコンは、それこそ、ど素人です。

投稿: isoxp | 2008年12月 8日 (月) 12時46分

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