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2008年11月13日 (木)

法医学リーズン《52》

(2) 割 創
   鉈や斧などの重い刃物でたたき切るようにしてできた創傷を割創といいま
  す。割創は、切創と裂創を合わせたような性質を有しています。
  ア 割創の外観は切創に類似しており、創縁は直線状で、創縁・創洞面とも
   に切創の場合と同じに正鋭で、創角も鋭くなっています。創口は切創よりも
   大きく、創洞は深く骨まで達していることが多く、頭部では、頭蓋骨を割って
   脳まで達していることもあります。
  イ 凶器の推定
    割創は、重い刃物でたたき切るようにしてできる創傷ですから、通常、鉈
   ・斧・鉞(まさかり)・日本刀が成傷器となっています。そして、鉈や日本刀の
   ように刃先の部分が長い凶器を用いた場合には、切っ先の方向が深い創
   傷を形成しています。また、斧のように刃先の部分が短い凶器の場合には
   凶器の形がそのまま創口となっていますので、創口から凶器を推測するこ
   とができることもあります。
    なお、刃が鈍い凶器の場合には、創縁が挫滅状になりますので、そのこ
   とから、凶器がどの程度鋭利なものかを推定できます。
(3) 刺 創
   刺創とは、先のとがった凶器で身体を刺してできた創傷をいいます。
   刺創は、創口が小さいために、一見、軽微な損傷に見られがちですが、創
  洞が深く、身体の深部にある大きな血管や臓器を損傷して致命傷となってい
  ることが多々ありますので、検視上注意が必要です。
   刺創は、貫通刺創と盲管刺創に分けられています。なお、刺創では、創口
  を刺入口、創洞を刺創管といい、刺器が身体を突き抜けた場合、その出口
  を刺出口と呼んでいます。
  ア 性 状
    刺創は、用いられた刺器の種類によって異なった形状等を呈しますが、
   刺入口(創口)が小さいのに対し、刺創管(創洞)が深いのが特徴です。
   そして、一般的に、創縁は切創と同様に弓形で、線状平滑になっており、
   両創縁を合わせると直線になっています。また、創角は、凶器の刃が作
   用した側は鋭く、峰の部分が作用した側はやや鈍くなっています。そして、
   刺創管の創壁は平等に平滑で、刺創管内には架橋状組織片は見当たら
   ないのが通常です。
    創面の周囲に表皮剥脱や皮下出血が見受けられることがありますが、
   これは、凶器の刃体全部が刺入されて柄が当ったためにできるものです。
    なお、短刀やあいくち等の有刃器で刺した場合、刺したときの創と抜い
   たときの創が残り、刺創と切創の双方の形状の創傷が見受けられること
   があり、これを刺切創(桜花弁状創)といいます。

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コメント

凶器の特定まで傷で分かるのですか。
被害者は必ず無言のまま犯人につながる証拠を話しているのですね。

それをきちんと聞き入れる法医学者と、検視を要請する警察官が居ればの話でしたよね。

無言の証拠を訴えている被害者にも、それを聞こうとする警察官が居なければ検視が行われない、悲しいです!

投稿: 花と風景 | 2008年11月13日 (木) 22時33分

impact 花と風景さん
殺人被害者に限らず、死体というのは非常に多弁です。そして嘘をつきません。
死体と話のできる検視官が余り居ないということが、今、問題となっているんですよね。
しっかりした法医の基礎知識と観察眼を持っていれば死体は何でも話してくれるのですがねー
そういう能力のある担当者を育成するのが、当面の大きな課題となりますね。

投稿: isoxp | 2008年11月13日 (木) 23時39分

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