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2008年11月12日 (水)

法医学リーズン《51》

3 鋭器による創傷
  法医学上、どのような物を鋭器というか、学者によってその分け方が異なっ
 ています。その一つは、鋭い刃を有する刃器(日本刀・包丁・斧・鉈など)だけ
 を鋭器とし、先のとがった刃器(やり・あいくち・錐・千枚通し・針など)を刺(尖)
 器とするものです。他の一つは、この両者を併せて鋭器と総称するものです
 が、ここでは、後者の立場に立って、切創・割創・刺創の順に説明していきま
 す。
 (1) 切 創
    切創とは、鋭い刃を持った凶器を皮膚の上に当てて、これを引き切るよ
   うに使用したときにできる創傷で、一般に、切り傷といわれているものです。
    切創の成傷器としては、日本刀・包丁・ナイフなどが代表的なものですが、
   時には、ガラス・陶磁器の破片や竹べらなども成傷器になります。
   ア 性 状
     通常、創面は笹の葉状に開き、創縁は直線状で(傷口が開いていると
    きは弓形状になっているが、傷口を閉じると直線状になっている。)、創
    角は双方とも尖鋭になっています。また、創洞は創底に向かって逆三角
    形(くさび型)を呈し、創壁は平らで、架橋状組織片も見られません。
     そして、創口の大きさに比較して創洞の浅いのが特徴です。
     なお、切創には、挫滅縁や皮下出血、表皮剥脱などを伴わないのが
    通常です。
      イ  凶器との関係
     切創は、多種多様な凶器によってできるものですから、創傷を見ただ
    けでは、その凶器が何であるかを直ちに判断することは不可能です。
     しかし、創縁の状況などから凶器の種類を推定することはできますし、
    また、創傷の部位・走り方・創洞の方向などから、被害者の姿勢や凶器
    が作用した方向などを推定することもできます。すなわち、安全カミソリ
    などの極めて薄い刃の凶器で切った場合、その多くの創縁は流線状に
    ゆがんでいますし、刃こぼれがある凶器で切った場合には、創縁が曲が
    ったり凹凸になったりしています。
     なお、後で説明する一撃多創(一回の加害行為で2個以上の創傷が
    できること)が腕にある場合には、受傷の際にその腕が曲がっていたこ
    とを推定できますし、更に下図のような弁状創や面創がある場合には、
    身体に対して凶器が斜め、あるいは横に作用したことを表しています。

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コメント

同じような傷であっても、様々な事実が隠されているのですね。

刃物を仕事に使う私は、毎日が危険と隣り合わせです。
指先を切ることは、その後の仕事にも差し支えますが、事件などのように、他力による切創ともなると命に直接関わること。

人間とは、なんて愚かな生物なのかと嘆きたくなることが、毎日のように繰り返されますが、嫌な世の中ですね。

投稿: 花と風景 | 2008年11月13日 (木) 07時50分

impact 花と風景さん
絞殺や扼殺などと違って、損傷そのものが即死因となる場合や、内臓損傷などを伴う付随的なもの、手当てができず経時により死に至る失血死など、なかなか死因を突き止めるのは難しいのです。刃物による損傷は理論と実際の違いの大きいのも事実です。

新聞を見てもこのところ殺人事件の報道のない日はありませんね。厭な世の中となりましたね。

投稿: isoxp | 2008年11月13日 (木) 09時19分

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