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2008年6月21日 (土)

法医学リーズン《42》

6  その他の窒息死
 (1)  鼻口閉塞による窒息死
    鼻・口を圧迫して窒息死するものとしては、例えば、乳児に授乳している
   うちに母親が寝込んでしまい、乳房によって乳児の鼻・口をふさいで窒息死
   させるものとか、就寝中の乳児の顔に布団が掛かり、その布団が鼻・口を
   ふさいで窒息死するものなどがあり、そのほとんどは過失によるものです。
    しかし、中には、手・衣類・布団などで鼻・口を圧迫して殺害した例もあり
   ますし、この方法を扼殺と併用した事例もあります。
   ア  死体所見
      死体は、一般的には他の窒息死と同じ外部所見を呈しますが、顔面
    のうっ血・腫脹や眼瞼結膜等の溢血点は通常発現せず、仮に発現しても
    わずかです。
      ところで、顔面のうっ血・腫脹及び眼瞼結膜等への溢血点の発現理由
    については頸部圧迫による窒息死のところで、圧迫により頸静脈が閉塞
    されるためであると説明しましたが、それでは、鼻・口を閉塞するだけで
    頸部を圧迫しない窒息死の場合に、なぜ、わずかでも溢血点が発現する
    のかという疑問が生じると思います。
      この点については、
    ① 窒息により血圧が上昇し、細い血管の抵抗の弱い部分が破たんする
     ため(三木・法医学)
    ② 窒息により血中の酸素量が少なくなると毛細管は障害され漏れやすく
     なる上、カテコールアミンのような物質が大量に増加し、さらに毛細管の
     障害を悪化させ出血を引き起こすため(石山・法医学ノート)
         などの理由が挙げられています。ただ、頸部を圧迫したときのように直接
    的な原因はないわけですから、溢血点の発現の程度は、頸部圧迫による
    窒息死よりも低く、特に乳幼児の場合には発現しないことが多くなります。
   イ  自他殺判断上の着眼点
      死体所見だけから自他殺の判断を行うことは不可能です。したがって、
    窒息死に至った経過・死者の体位・死斑の状況・失禁の位置・家族などの
    関係者等からの事情聴取などにより判断することになります。
      そして、検視上は、特に、顔面の皮下出血や表皮剥脱などの損傷を
    見落としてはなりません。すなわち、他殺の場合には、被害者の鼻・口部
    を圧迫している手などを取り除こうとする結果、自分の顔に傷を付けるこ
    とが予想されますし、犯人のほうでも、被害者の抵抗を弱めようとして顔
    面を殴打することなどが考えられるからです。
       

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