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2008年6月16日 (月)

法医学リーズン《41》

ウ  損傷の状況
   水死体には多くの損傷があることは、先に説明しましたが、水死体に致命
 傷となる創傷がある場合には、他殺の疑いをもって検視する必要があります。
 ただ、船のスクリューによる損傷は、頭部・腹部以外の部位にもありますし、
 また、非常に大きなものがありますので、創傷については、それが生前に負っ
 たものではないか、刃物によるものではないかを検討しなければなりません。
   船のスクリューは刃物ほど鋭利でなく、しかも湾曲していますから、スクリュ
 ー創も、それに見合ったものになります。つまり、創口・創縁が湾曲をえがき、
 創底は両創角方向が次第に浅くなっており、架橋状の組織片が見受けられる
 ことがあります。
   また、スクリューが骨まで達して骨を傷つけたときには、その断面はギザギ
 ザの状態になっており、さらに、スクリューが骨を切断したときは、当該断面は
 不統一で、ちょうど骨折と同じ形状を呈します。
   なお、生前に負った創傷には、皮内及び皮下に出血(生活反応)が伴ってい
 ますので、この点もよく確認することが必要です。
エ  手・足等の緊縛等
   手足を緊縛し、あるいは、足や腰に石などをくくり付けている水死体を時々
 見受けることがあります。これらの大部分は覚悟の自殺ですが、中には、他の
 方法で殺害した後、死体を水中へ投棄した例もあります。
   手足を緊縛し、あるいは石などをオモシとして使用している水死体について、
 その自他殺の別を判断するには、本人自身にできる縛り方であるか、石などの
 オモシは本人が持ち上げることのできるものであるかなどを実験しながら具体
 的に検討することが大切です。
オ  手中の握持物件等
   死者が他人の着衣の破片やボタンなどを握っている場合や、爪の中に肉
 片が入っている場合などは、生前に何者かと争ったことを示すものですから、
 見落とさないようにしなければなりません。

※ 架橋状の組織=かきょうじょうのそしき=挫創、裂創の創底付近において、
            創壁間に橋をかけたように残存する筋肉のすじ、血管、
            神経などの組織をいう。
             

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