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2008年6月15日 (日)

法医学リーズン《39》

(3) 溺死体の内部所見
   水中に存在した死体の外部所見からその死因が溺死であるか否かを判断
  するのは、極めて困難です。ところが、死体の内部には溺死特有の所見が
  多く発現するため、解剖によってその死因を明らかにすることは比較的容易
  であるといわれています。ここでは、内部所見の主なものについて簡単に触
  れておきます。
  ア 肺臓が膨満し、肺葉の辺縁が丸味を帯び、血液が水で薄くなります。
  イ 肺臓の表面に、境界が不明瞭な薄い溢血点・溢血斑が発現します。
  ウ 肺臓及び胃に、砂や泥などの水中異物が入っています。
  エ 肺臓・心臓・肝臓及び骨髄にプランクトンが入っています。
  オ 左心室の血液が、溺水液で薄くなります。
(4) 自他殺判断上の着眼点
   溺死体のほとんどは自殺か事故死ですが、中には、他殺の場合もあります。
  すなわち、泳ぐことのできない者を川岸や海岸へ誘い出して水海中へ突き落
  としたり、あるいは、船で海上へ連れ出してから海中へ突き落とすことも考え
  られますし、さらに、過去には、路上で殴り倒して失神させたうえ、海中へ投げ
  入れ、過失による溺死を装ったものもありました。
   このように、溺死には、自他殺の双方がありますが、いずれの場合も同じ死
  体所見を呈しますから、死体所見のみによって自他殺を判断することは困難
  です。
   ですから、
  ① 死亡者に自殺の原因・動機が存在したか
  ② 生前の行動に不審点はないか
  ③ 入水したと思われる場所に他人と争った形跡はないか
  ④ 致命傷となる外傷はないか
  ⑤ 目撃者はないか
  など、あらゆる角度からの検討を行ったうえで、総合的に判断するほかはあり
  ません。
   溺死の場合における自他殺の判断は、死体観察そのものよりも、現場観察
  及び聞込みなどの捜査が重点になるといえます。

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