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2008年6月 4日 (水)

法医学リーズン《37》

(2)   溺死体の外部所見
    水死体の外部所見には、水中に存在したことによって生ずる所見と、
   溺死であることを示す所見とがありますので、その両者について正しく理
   解しておかなければなりません。
  ア  死体が水中に存在していたことによって生ずる外部所見
   (ア)     死体の冷却
       死体の冷却については、法医学リーズン《5》で説明しましたが、
     水中においては、その冷却速度が速くなります。そして、死体を水中か
     ら引き上げると、体表の水分が蒸発し、その蒸発に伴って熱(蒸発熱)
     が奪われることから、死体は急激に冷却していきます。
   (イ)     死斑
       水死体には、通常、死斑は見られません。これは、水の流れによっ
     て死体が移動し、その体位が常に変化しているためと考えられます。
     したがって、流れの全くない水中に存在していた死体については、死
     斑が発現しています。
       なお、水死体の死斑は、赤味が強く発現しますが、その色について
     は、淡紅色、淡赤色、鮮紅色などと様々な表現がされています。このよ
     うな色は、水死体の表皮血管の血液が水中において酸化して酸化ヘ
     モグロビンとなることにより発現するものです。
   (ウ)     皮膚の鳥肌化
       水中に存在している死体は、冷水の刺激によって立毛筋が収縮し
     たまま死後硬直が起こるために、皮膚の毛が立ち、鳥の肌のようになり
     ます。この現象は、特に、陰嚢および乳房(乳頭部付近)に顕著に発現
     します。
       なお、皮膚の鳥肌化は、通常、死後3~4時間くらい経過した後に
     起こるといわれています。最も、この現象は、溺死体でなくても発現しま
     すから、この現象によって死後経過時間を推定するのは危険です。
   (エ)     漂母皮形成
       水中に存在する死体の手及び足の皮膚は、水の浸漬作用によって
     次第に白くふやけて、白いしゅう襞(ひだ)をつくりますが、法医学上、こ
     の現象を漂母皮形成といっています。死体が長時間水に浸かっていま
     すと、漂母皮は、手袋や足袋のように脱げていきます。
   (オ)     損傷
       水中に存在した死体は、色々な損傷を伴っているのが通常です。
       つまり、水中へ飛び込みあるいは投げ込まれた際に川(海)底の岩
     石等に当たるとか、水中を浮遊する間に岩石などに衝突するなどして
     損傷したり、魚類やカニ等の水中の小動物により傷付けられることも
     あります。特に、船のスクリューに巻き込まれて負った創(いわゆるスク
     リュー創)は、刃物で切られたようになっており、しかも、表皮だけが切れ
     た小さい創から内臓が飛び出すほどの大きな創まで大小様々ですから
     自他殺の判断を行う上において極めて困難な問題を提起します。

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コメント

田吾作亭のあたりに時折、人が集まります。

上流で流された人があると、消防団員が召集され、捜索にあたります。

田吾作は臆病ですから、木の葉の隙間から覗いていると「人が流れて来なかったけ~?」って大声をかけられてビビッテいます。

あまり見たくないですね。

2~3年に一度ぐらいあります。

投稿: 田吾作 | 2008年6月 5日 (木) 04時17分

那珂川は、水面の流れは穏やかに見えるのですが、川底の方は流れが複雑で、時折足元をすくわれるようなのです。

慣れない人や、地元以外の人、には気を付けて川に入られる方が宜しいでしょうね。
地元の釣り名人でも、川の中で後退りするときなどに足を取られ転倒することもございます。

河童も流されるのですから、気を緩めることなく真剣勝負が鮎釣りには不可欠ですよ。

ayujijiiさんも気を付けてね。

投稿: 那須の浮雲 | 2008年6月 5日 (木) 06時15分

impact 田吾作さん
溺死は検案死体の中でも難しいもののひとつとされています。
これからの季節は大変多くなる変死のひとつで、検視官の技量の問われるものといえるでしょう。

impact ヤクシンさん
川は浅いからといって安心は出来ません。
田吾作さんも、美味しい鮎捕りには十分気をつけて欲しいと思います。
ヤクシンさんからも、十分に注意するよう喚起しておいて下さいね。

投稿: イソップ | 2008年6月 5日 (木) 10時19分

今朝、私のブログに宇都宮市で写真展を開いている写真家の檜山さんという方が書き込みをしてくれました。

素晴らしい風景写真を撮られる方で、今朝のヤクシンは舞い上がっています。

投稿: 那須の浮雲 | 2008年6月 6日 (金) 06時05分

impact ヤクシンさん
よかったですね。
そういう方とは、交流を深め、そのノウハウを吸収し、自分の感性の向上に役立ててください。

投稿: イソップ | 2008年6月 6日 (金) 10時12分

イソップさんのスキャナーが再入院と聞き、飛んできました。
御見舞申し上げます。
何年もお使いになられたのでしょうか?
診断の結果待ちでしょうけれども、前向きで行きましょう!!

投稿: 那須の浮雲 | 2008年6月 7日 (土) 12時38分

impact ヤクシンさん
早速のお見舞い有難う御座います。
長年使っていた機械ですので、癖を全部飲み込んでおり、愛着があります。
今回、発色の分解能が落ちたため、メンテに出したんですが、いまいち不満が残る仕上がりでしたので再入院させました。
リバーサル写真というのは、こういう点でも、面倒なものです。
慌てず、急がずという心境です。

投稿: イソップ | 2008年6月 7日 (土) 12時58分

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