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2008年5月18日 (日)

法医学リーズン《32》

ウ 扼 痕
  扼殺は、手等で直接に頸部を圧迫しますから、頸部には、その証拠として
 指や爪又は腕等が作用した跡が残り、法医学上、これを扼痕と呼んでいま
 す。
  扼痕は縊死や絞死の場合における索溝に相当するものですから、この扼痕
 を見落とさないということが、検視上の最大のポイントです。
  そして、扼痕は、その形状・色調などが様々な上に、腕や足で圧迫した場合
 は、帯やタオルなどの柔らかくて幅の広い索条で絞殺した場合と同じように、
 外見的には全く扼痕が見受けられないことがありますので、十分注意しなけれ
 ばなりません。
 (ア)  扼痕の部位
     通常、扼痕は、喉頭(のど仏)の両側及び両側頸部に残されています。
   それは、扼殺する場合の多くは、犯人と被害者が正対した格好になり、犯人
   は前方から被害者の頸部の喉頭部を中心にして手を掛け、にぎりつぶすよ
   うにしながら頸部を圧迫するためです。
     しかし、子供などのように首の細い者を大きな手で圧迫した場合は、指先
   が後頸部まで達してしまいますから、その場合には、後頸部にも扼痕が見ら
   れることがあります。
     また、扼殺する場合、犯人は、頸部の上下の中間に手を掛けることが多
   いと思われますが、慌てたり、あるいは、被害者の抵抗などにより、手がず
   れたりした場合には、顎に近い部分又は逆に肩口に近い部分に扼痕が残っ
   ていることもあります。
     なお、正面から両手で頸部を圧迫した場合、通常、拇指の扼痕は喉頭部
   及びその両側に、他の指の跡は頸部の両側に残り、後方から圧迫した場合
   には、これとは逆になります。また、犯人が正面から片手で圧迫した場合に
   は、喉頭部付近に拇指の扼痕1個が残り、その他の指の跡は、いずれかの
   側頸部に残っていることになります。
     そして、これらの扼痕は犯人の利き腕を推定する資料として役立ちます。
     なぜなら、片手で扼殺する場合には、犯人は、通常、利き腕で頸部を圧
   迫することが多いはずですから、右手の扼痕が残っていれば、犯人は右利き
   と一応いえますし、両手で扼殺する場合には、利き腕の方の扼痕が強く残り
   ますから、その扼痕から利き腕を推定できるのです。しかし、犯人の力が被
   害者の力よりも極めて強い場合は、利き腕に頼る必要がなくなりますから、
   扼痕だけで利き腕を断定することは危険です。

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             扼 痕 の 状 況

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