法医学リーズン《82》
エ 頭部損傷
頭部損傷といっても、軟部蓋損傷(頭皮損傷・・・皮下出血・表皮剥脱・挫創・
裂創・割創など)・頭蓋骨折(陥没・亀裂)・脳膜損傷(硬膜外血腫・硬膜下血
腫・蜘蛛膜下出血)・脳損傷(脳震盪・脳圧迫・脳挫傷)と様々なものがあり、
この中には、これといった所見を呈しないものがあります。
そこで、ここでは、次のような所見があれば、一応、頭部に損傷を負っている
可能性が大であるというものを挙げるだけに止めておきます。
○ 眼瞼部の皮膚変色・・・眼瞼部がくまどりされたように青藍色を呈している
場合は、頭蓋骨折の疑いがある。
○ 耳・鼻からの出血・・・外耳道及び鼻腔部から出血している場合は、頭蓋骨
折の疑いがある。
○ 瞳孔の差異・・・左右の瞳孔の大きさに差異が認められるときは、脳幹部
に損傷(出血・挫傷)を負っている可能性が極めて強い。
○ 嘔吐・・・頭蓋内に損傷を負った場合には、吐き気を催し、嘔吐することが
多い。
○ 高い体温・・・頭蓋内を損傷した場合には、脳幹部の温熱中枢の調節が侵
されて体温が異常に上昇することがあり、そのような場合は、普通の死体に
比較して体温が高くなっている。
オ 出血の状況
超高層ビルのような非常に高い所から墜落した死体の場合には、大きな創
傷が生じているのに出血量が予想外に少ないことがあります。
しかし、解剖してみると、内部組織には相当量の内出血が認められます。
カ 滑液の洩出
肘・膝間接部に当る部分の着衣に、車両の油と見誤るようなものが付着して
いることがあります(写真参照)。
これは、間接内の滑液が洩出して着衣に浸み込んだもので、墜落死特有の
所見です。
キ 着衣の破損
墜落死・転落死の場合には、衝突時の衝撃により、着衣が裂けたり、ほころ
びていることが多く、時には、ズボンのベルトが切れていることがあります。
※滑液の洩出(スカートに浸み込んだもの)
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